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With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2017年7月号
音楽のジャンルや雰囲気を伝える言葉——前編



今月の「BGMのギモン」は、USENの番組ガイド誌「WithMusic」と連動しつつ、USENのディレクターさんに聞いた番組制作のヒミツを紹介しています。

USENのチャンネルはBGMとして使いやすいように専門のスタッフが音楽をセレクトしています。同じジャンルでも複数のチャンネルを展開しているとあって、そのチャンネル名も分かりやすくなっています。以前も紹介しましたが、CLASSICでも「ヒーリング・クラシック」、「やさしいクラシック」、「こどもと聴くクラシック」、「モーニング・クラシック(小鳥の声入)」というように上手に表現しています。こういったチャンネル名や解説などを読んでいると、音楽のジャンルや雰囲気、傾向を表現するキーワードがたくさん登場します。その中にはふだん何気なく使っていても、明確な意味が曖昧だったり、そもそもよく理解できていないキーワードもあると思います。今回は、USENの番組ガイドに登場する音楽用語について解説をしてみようと思います。こうした言葉を理解することで、BGM選びに役立ったり、誰かと音楽について話すときに共通認識を持つことができるようになると思います。

まずは、USENでも人気を誇るJ-POPから。そう“J-POP”です。今でこそ、みなさんが当たり前に使っていますが、これってそもそもジャンルなのでしょうか。音楽のカテゴリーやジャンル分けがされる場合には通常は使われる楽器、作曲形態、音楽様式、リズムなど音楽的な要素から分別されます。それなのに、J-POP……すなわちジャパニーズポップスと括るのはすごくファジーな感じがします。

J-POPという表現の発祥は洋楽中心のおしゃれな音楽を放送する某FM局が、独自にセレクトした日本のポップスをJ-POPと呼んだことから始まったとされています。面白いのは、同時代的に、JR、JT、そしてJリーグなどJを冠した名称がたくさん生み出され、それが定着したということです。1980年代の終わり(つまり平成の始まり)に生まれ、1990年台に定着したJ-POPという言葉ですが、音楽の流通形態がレコードからCDに移り変わったことや、シンセサイザーやMIDIといった機材の発達もあり、ある意味大量生産、大量消費の時代でもあり、耳触りの良い特定のコード進行のみで作られた音楽が大量に出回っていたようにも思います。ただ、この頃の音楽が今でもJ-POPっぽい音楽の源泉でもあるのです。

いずれにしても、J-POPとはこういった時代背景から生まれたカテゴリーであり、一般的な音楽ジャンルとは少し異なります。ふつうは、音楽が発達してジャンルが生まれるものですが、J-POPに関しては、既存の音楽にJ-POPという枠を当てはめたという、順番が逆になっているわけです。ちなみに海外では、日本のポップミュージックは、J-Musicと呼ばれているそうです。

さて、前編はJ-POPというビッグワードに字数を割いてしまいましたが、後編では、他にも何気なく使っているけど説明してと言われると困ってしまいそうな音楽用語について考察しようと思います。

BGMのギモンWEB版、次回は7月16日(金)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/