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With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2017年12月号
番組制作のヒミツ〜ワールドミュージック編——後編



今月の「BGMのギモン」は、「番組制作のヒミツ〜ワールドミュージック編」というテーマで、注目チャンネルを紹介しています。

H-20 ネパール・ポップス」が生まれたストーリーもすごいんです。With Music本誌でも紹介したとおり、日本のカレー屋さんは実はネパール人オーナーが多いのですが、そのネパール人店主のかたがたに、ネパールで流行っているCDを見せてもらい、それを写真に撮って専門店にオーダーしたり、ときにはバイヤーさんに現地で買い付けてもらったりもしたそうです。ネパールポップスは、民族音楽とロックを組み合わせた音楽が多いそうですが、買い付けてきた音源をすべて試聴して、BGMとして適性のある曲だけを選んでいます。その甲斐あって、カレー屋さん以外にも広く聴かれるスマッシュヒットになりました。

お次は、こちらも比較的新しいチャンネル「C-52 POP PARIS」。ジェーン・バーキンやフランス・ギャル、シルヴィ・ヴァルタン、フランソワーズ・アルディといった1960年〜80年代のフレンチ・ポップスが聴けるチャンネルで、最新のフレンチ・ポップスをセレクトしている「D-29 フレンチ・ポップス」としっかりとコンセプトが分かれていて、雰囲気もかなり違っていておもしろいですよ。さらに近しいジャンルとして「H-29 シャンソン」というチャンネルもあります。シャンソンというフランス語は、直訳すると「歌」というくらい曖昧な言葉ですが、USENでは、このチャンネルに「1930〜60年代のフランスの音楽」と明確なコンセプトを与えています。こんなふうに、CDショップのカテゴリーとUSENのチャンネル名は、同じ名前だったとしても微妙に意味やコンセプトが違っているはずです。機会があればぜひCDショップの棚に並んでいるアーティスト名とUSENの「NOW PLAYING」に並んでいるアーティスト名を比べてみてください。

番組制作のヒミツというテーマで、第1弾の「CLASSIC」から「JAZZ/FUSION」、「CAFE/LOUNGE etc.」そして今回の「ワールドミュージック」と各ジャンルのディレクターさんに取材させていただき、そのこだわりように驚いてばかりでしたが、どうやらUSENの制作スタッフの皆さんは、こだわって当然という感じでセレクトされているようです。「CLASSIC」で、曲間の長さ(インターバル)を合わせるように調整をかけるというお話をしましたが、「ワールドミュージック」でも同じですか?と聞いてみたところ、当然ですとのこと。恐るべしUSEN!BGMとして何気なく使っているチャンネルすべてにこうしたスタッフの影の努力が反映されているのですね。ちなみにワールドミュージックとクラシックでは曲間が微妙に変えられているそうで、ワールドミュージックのほうが、全般的に気持ち長いのだとか。さらにテンポ感についても単純なBPMでは測れないこともあるので、最終的には耳で聴いて判断しているそうです。

ワールドミュージックといっても、その国々によって、音楽性も雰囲気も全く違いますし、特殊なシチュエーションやロケーション向けのBGMと思われがちですが、USENのワールドミュージックは、その土地や国の雰囲気が感じられるというコンセプトをキープしつつ、BGMとしての機能性も備えていますので、個性を主張するという意味ではとても効果的です。先に紹介した「C-52 POP PARIS」や「I-29 北欧ポップス」あたりは定番ですが、「J-43 アフリカン・ポップス」や「J-47 アジアン・カフェ」も個性的でありつつもおしゃれなBGMとしての十分なポテンシャルを秘めているチャンネルですよ。ぜひお試しあれ。



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/