HOME / BGMのギモンWEB版|2017年12月号|番組制作のヒミツ〜ワールドミュージック編——前編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2017年12月号
番組制作のヒミツ〜ワールドミュージック編——前編



もうすぐ皆さんの手元に届く「With Music」最新号の「BGMのギモン」では、番組制作のヒミツ第4弾として「ワールドミュージック」を取り上げました。実際にワールドミュージックのディレクションを担当しているスタッフさんに、BGM制作の真髄ともいえるお話を聞くことができました。今回のウェブ版では、誌面で語りきれなかった話題を中心にお話していきましょう。

ワールドミュージックとはまさに「世界の音楽」という意味ですが、ひとつのカテゴリーにまとめるにはあまりに多くのジャンルの音楽が取り上げられています。USENのワールドミュージックの特徴は、「本場の音楽をそのまま放送する」ということ。そして、本場の音楽でありつつもBGMとしての要素を兼ね備えているということです。

本場の音楽とひとくちに言っていますが、そのこだわりようには驚きました。本場の音楽というだけあって、なかには、そもそも日本では普通に流通していない音源もあります。そんなときは、直接現地の店舗から買い付けてくるというおそろしく手間のかかる手順を踏んでいます。それでも手に入らない音源は、現地との繋がりが強い専門のバイヤーが買い付けてきたり、CD以外のカセットテープでも仕入れていたり、とにかくこだわりがすごいのです。

正直、私、齋藤も、日本で流通しているCDを使っているのだろうと思っていましたが、その話を聞いて、頭をガツンと殴られるほどの衝撃を受けました。USENで流れている曲の中には、そのチャンネルでしか聴けない音楽がめずらしくありません。ただし、貴重な音源だからといって、そのまま流すのではBGMとしては成立しません。BGMとしてのクオリティーや、必要な要素が備わっているのか、担当ディレクターや選曲家のかたがたが、自分の耳で確かめて選別しているのです。

担当ディレクターさんは、世界中の音楽のなかから、この国の音楽をBGMとして提供したいという企画を毎年考えていて、たとえば、3年ほど前には「J-27 トルコ・ポップス」を企画したそうです。トルコポップスは、民族楽器をダンスミュージックに取り入れたユニークなサウンドが特徴ですが、、最初はどうやったら音源が手に入るのか、その道の専門家を探し出して、コンタクトを取るということがスタートしたそうです。いまでこそ、日本のCDショップでも見かけるようになったトルコポップスですが、タルカン、セゼン・アクス、セルタブ・エレネルら有名アーティストが揃ったプレイリストはなかなか魅力的です。

I-59 ハワイアン・レゲエ」に関してもやはり同様に、ハワイアンレゲエのオーソリティーに直接アプローチして実現したチャンネルだそうです。ちなみに「D-37 ハワイアン」、「K-27 ハワイアンBGM」というチャンネルもありますが、前者はハワイのロコがハワイ語で歌う曲を、後者は主に日系ハワイアンが演奏している1960〜70年代のインストゥルメンタルが中心で、それぞれ明確にコンセプトが決められています。

次回は12月16日(土)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/