HOME / BGMのギモンWEB版|2017年11月号|ネオ・シティ・ポップって何だ?——前編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2017年11月号
ネオ・シティ・ポップって何だ?——前編



今回は、近年盛り上がりを見せている「ネオ・シティ・ポップ」の話題です。10月の「A-57 USEN MONTHLY SPECIAL」でも「ネオ・シティ・ポップ」というそのものずばりの特集がありましたが、間違いなく要注目のジャンルです。ネオというくらいですから、新しいシティ・ポップということなんですが、ネオという言葉には新しいという意味に加えて復活というニュアンスもあります。ここ数年のうちに音楽シーンに登場したシティ・ポップは1970年代から80年代にかけて流行したシティ・ポップのリバイバルなのです。

明確な指標はもちろんありませんが、シティ・ポップというジャンルは、当時流行っていた、いわゆる歌謡曲やフォークソングとは異なり、ジャズやR&B、フュージョンといったテイストを織り交ぜた、都会的な雰囲気の洗練された音楽のことです。代表的なアーティストとして、細野晴臣、山下達郎、大滝詠一、松任谷由実などの名前が挙げられます。彼らが発信するのは音楽だけでなく、そのファッションやアートワークにもシティ・ポップの要素が表現されていたように思います。

しかし、音楽シーンの変化はめまぐるしく、90年代に入る頃には再びバンドブームや渋谷系の流行によって、シティ・ポップはという名称は影を潜めることになりました。さらに時代は流れて2010年代。おしゃれで洗練されていて、都会的な雰囲気を持ち合わせているシティ・ポップが再評価、再発見されつつあります。

良いものは必ず一定のサイクルを経て、再度ブレイクするものです。たとえば最近ではフィルムカメラの質感が見直されており、デジタルカメラのきれいな画質よりも、ちょっと粒子の荒い写真のほうが“イケてる”のだとか。あの、写ルンですや、さらにはインスタントカメラのチェキも再評価されているというのですから面白いものです。シティ・ポップのリバイバルという事象は、フィルムカメラのリバイバルに似ているのかもしれませんね。



次回は11月16日(木)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/