HOME / BGMのギモンWEB版|2017年10月号|クロスオーバーなチャンネル選び——前編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2017年10月号
クロスオーバーなチャンネル選び——前編



とある雑貨店のオーナーさんいわく、「うちはジャズがいんだよね。JAZZ/FUSIONジャンルのチャンネルから選ぶとすると何がいいかな?美食空間向けジャズは音数が少ないし、スムースジャズだとちょっと爽やかすぎるよな。コーヒージャズはちょっと違うし……」。そこで、齋藤はジャズ系のチャンネルには優秀なBGMが多いけれど、ど真ん中のジャズである必要はないのでは?と提案してみました。。ということで、「D-03 usen for Cafe Apres-midi」をおすすめしてみたところ、「おお!この感じ。いいね。これにしよう」と即決でした。もちろん、お店の雰囲気、コンセプト、オーナーの考えていることなどすべて考慮した上でのおすすめしたわけですが、ぴったりはまったようです。

昨今、ハイブリッド、クロスオーバーといえばクルマのことを指しますが、音楽の世界にもハイブリッド、クロスオーバーという言葉が登場します。オルタナティブ、ミクスチャーという言葉も同じですが、中間的な音楽性だったり、亜流といった意味合いがあって、ど真ん中ではないジャンルやカテゴリーを表現する言葉として用いられることが多いようです。今月は、クロスオーバーなチャンネル選び、ハイブリッドなBGMについてお話してみたいと思います。

冒頭の雑貨店オーナーさんのように、ジャズというジャンルにこだわってしまって、チャンネルリストのカテゴリーから抜け出せないというパターンはよくあります。話を聞いてみると、ジャズのような雰囲気が欲しいだけであって、必ずしもジャズにこだわっているわけでもなく、その必然性もないのです。来店されるお客さんに統一感のあるイメージを与えられればよいのであって、ジャズというカテゴリーに引っ張られ過ぎると、スーパーマーケットの食品売り場のJ-POPインストのようにマンネリ化してしまう恐れがあります。これはもったいない気がしますね。

たとえば、「C-18 salon jazz (Instrumental)」は、とても人気のあるチャンネルですが、音楽性という意味では、クラシック音楽に通じる要素も含んでいます。クラシックをジャズアレンジした楽曲が流れることも多く、「B-38 salon classic (Instrumental)」と違和感なく使い分けることも可能です。また、少しアップテンポで若い世代をターゲットにしているお店なら、CLUB/DANCE MUSICカテゴリーの「I-12 沖野修也 presents Music in The Room」や、BLACK MUSICの「I-33 JAZZY HIP HOP」も十分に射程圏内です。I-33はHIP HOPのグルーヴ感もありBGMとしてもかなりおすすめですが、ジャズの洗練されたクールな和声も持ち合わせています。ちなみに「I-33 JAZZY HIP HOP」は、2017年10月の番組改編で「I-33 JAZZ HIP HOP」に名称変更し、かつジャンル別チャンネルリストでもBLACK MUSICとJAZZ/FUSION両方のカテゴリーに組み込まれました。これぞクロスオーバーという好例ですね。

次回は10月16日(月)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/