HOME / BGMのギモンWEB版|2017年8月号|今こそあえてJ-POP!というセレクト——前編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2017年8月号
今こそあえてJ-POP!というセレクト——前編



「BGMのギモン」では、心地良い音環境を作るBGMの特徴として、いつも3つのことについてお話しています。それは、

(1)調性が曖昧であること
(2)音量の変化が少ないこと
(3)声のメッセージ性が強すぎないこと

の3つです。BGMの役割とは、文字どおり、その空間をバックグラウンドで演出する、いわば縁の下の力持ち的な存在です。主張が強すぎてもいけないし、かといって適当な音楽では無意識の領域で悪影響を与えてしまうことになります。

今日は3つのルールの中でも、(3)声のメッセージ性が強すぎないこと、に注目してみたいと思います。たとえば、飲食店などで、会話を邪魔しないBGMを選ぼうとすると、ボーカルの入っていない音楽、つまりインストゥルメンタルというセレクトが一般的です。人の声は、聴く人に意識されやすく、会話の邪魔になりがちです。一般的に、BGMはインストゥルメンタルというセオリーが生まれたのはこうした理由があるからです。

With Music巻末の番組表を見るとわかりますが、インストゥルメンタルのチャンネルにはピンク色のアイコンが記されています。このことからも、ボーカルの有無がBGM選びに重要な要素であることが分かります。

しかし、今日はそんな教科書的なことをお話したいわけではありません。セオリーはセオリーとして、あえてボーカル入りの音楽を使ってみては?という提案をしてみようと思います。私も、店舗や商業施設といったクライアントさんには、基本的にインストゥルメンタル中心のBGMを提案します。やはり使いやすいですし、統一感のある雰囲気が作りやすいというメリットがあるからです。そして、会話を邪魔しないので、さまざまな業種にフィットするという汎用性もあります。音環境コンサルタントとしての立場から見ると、最も縁遠いジャンルがボーカル入りの音楽なのです。その中でも特にJ-POPは選びづらいジャンルです。実際、クライアントさんに「J-POPのヒットチャートを選びました」と提案したことはまだありません。

と、こんなふうに「仕事上、J-POPのBGMを使うことはまずないだろう」とタカをくくっていたわけですが、どうやら最近のJ-POPにはちょっとした異変が起こっているらしいのです。驚いたことに、SOUND PLANETにもBGMとしてガンガン使われているJ-POP系のチャンネルがあるのだとか……奇しくも、J-POPはジャンルを表す言葉としては曖昧だという考察をしたばかりですが、いったいどんなチャンネルがあるんでしょうか?詳しくは後編でお届けします。お楽しみに!

BGMのギモンWEB版、次回は8月16日(水)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/