HOME / BGMのギモンWEB版|2017年3月号|番組制作のヒミツ〜CLASSIC編――後編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2017年3月号
番組制作のヒミツ〜CLASSIC編――後編



今月の「BGMのギモン」は、USENの番組ガイド誌「WithMusic」と連動しつつ、USENのディレクターさんに聞いた番組制作のヒミツを紹介しています。

それでは、番組制作のヒミツ〜CLASSIC編(後編)をお届けします。クラシック音楽は、時代によって大きく様式や雰囲気、使われる楽器が異なるため、どの時代に作られた曲を選ぶのかが、雰囲気を決める重要なポイントになります。同じピアノ中心の選曲だとしても、バロック〜古典派の曲と、ロマン派や近現代の曲では雰囲気はかなり違いますね。例えば、「B-38 salon classic(Instrumental)」はピアノ中心の選曲をしていますが、夜をイメージさせる雰囲気になっており、近現代のオシャレな楽曲も意図的に選んでいるそうです。

クラシックは同じ曲でも演奏家(指揮者や楽団)によって個性が際立つ場合があるので、趣味性の強いチャンネルはともかく、BGM性の強いチャンネルではどの演奏家の作品かということまで考慮してセレクトしています。例えば「C-24 モーニング・クラシック(小鳥の声入)」では、グレン・グールドのモーツァルトは流れません(笑)。グールドの演奏では、有名なトルコ行進曲も超低速で奇抜なスタッカートですし、誰もが知っているベートーヴェンの月光は、超高速でまるで早送りしているような超絶技巧です。もちろん演奏しながらの唸り声はノイズになりかねません。グールドの演奏は、非常に個性的ではあるものの、空間の背景音楽としてはあまりにも主張が強すぎますね。一方「H-15 クラシック・ピアノ」ではその個性溢れる演奏もちゃんと選曲されています。コアなクラシックファンも満足できるラインナップはさすがの一言です。

「With Music」でも紹介した、聴きやすくするための“プロの技術”についても少し触れておきましょう。クラシックはそもそも、ダイナミクスの変化が大きい音楽です。小さい音から大きな音までは相当な幅があります。これをBGMとして流すとどうなるでしょう?選曲のよしあし以前に、とても使いづらく、せっかくの名曲もBGMとして使うのが難しくなってしまいます。そこで、コンプレッサーというフィルターを掛けて、音の強弱をほどよく圧縮するのです。このコンプレッサーをはじめ、専門的な機材やソフトウェアを駆使することでBGMとしての完成度を高めているのです。

クラシックは選曲する基準になる項目がたくさんあり、とても奥が深いジャンルです。USENの番組には、クラシック音楽に関する専門知識、録音技術やBGM制作の豊富な経験といった“プロの技術”が、私たちの見えないところでたくさん使われています。

BGMのギモンWEB版、次回は4月1日(土)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/