HOME / BGMのギモンWEB版|2017年2月号|ルネサンス期のクラシック音楽――後編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2017年2月号
ルネサンス期のクラシック音楽――後編



今月はルネサンス期のクラシック音楽というテーマでお届けしていますが、前編に続き、ルネサンス音楽の特徴を紹介していきましょう。

ルネサンス期に作られた音楽は教会の典礼や宮廷の行事、娯楽のためであることがほとんどで、曲そのものに感情を強く込めたものではないという特徴が感じ取れます。バロック以降は感情を強く音に込めたり、ロマン派以降は音楽のみで感情を語るというニュアンスがありますが、ルネサンス音楽はそれに比べると、良い意味でさっぱりした印象があります。

お店はさまざまな人が訪れますので、感情を押し付けないという特徴は重要です。さらに、ルネサンス音楽は音楽の作り自体も現代とは異なります。私たちは、長調、短調という大きな枠組みで音楽を捉えがちですが、ルネンサンス期の音楽は、教会旋法と呼ばれる少し特殊な音の繋がりで出来上がっています。細かい説明は他に譲りますが、「長調でも短調でもない、その間のような雰囲気」と思っていただいて構いません。

3度や6度という不完全協和音程(ふたつの音が比較的良く調和するものの、完全には調和しない音程。3度、6度は振動数の比)の和声を土台としていたのも、フワッとした雰囲気を醸し出す要因です。このようにルネサンス音楽は音楽的にもBGMとして理想的な特徴を持っているのです。

簡単に言うと、

1)音量や音域がそれほど広くなく
2)調性が曖昧な感じで
3)楽器がシンプルで空間に馴染む

という、まさにBGMのために生まれたかのような音楽なわけです。

バロック、古典派、ロマン派のクラシック音楽に馴染んでいる私たちにとって、ルネサンス音楽は、むしろ今風の新しい音楽とも感じることもできます。シンプルで素朴な雰囲気は自然派志向の雑貨店や、オーガニックなカフェにも似合いそうですね。

USENのチャンネルでは、「A-45 クラシック 作曲家」や「B-39 バロック」にもルネサンス期の作品が登場します。お店に限らず、プライベートでも、朝やティータイムに聴きたくなる音楽といえるでしょう。

BGMのギモンWEB版、次回は3月1日(水)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/