HOME / BGMのギモンWEB版|2017年1月号|音楽と脳——後編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2017年1月号
音楽と脳——後編



今月は、「音楽と脳」という、ちょっと難しそうなテーマでお届けしていますが、音楽を聴いて「気持ちいい!」と感じるのは本能的なものですよという、ごく単純な話なので安心してください。

さて、前編で解説したとおり、音楽には集団や組織をひとつにまとめる機能があるのですが、現代ではひとりで音楽を聴くことも多くなっています。例えば勉強や仕事をするときなど、音楽が人間に身体や脳に与える影響をうまく利用してパフォーマンスアップすることも可能です。

サトシ・カナザワ著『知能のパラドックス』では、IQが高い人はクラシック音楽が好きであると述べています。詳細は本書に譲りますが、国家レベルの大規模調査から導き出された結果とのことで、進化心理学の面から考察されているのが面白いですね。IQが高い人がクラシックを聴くのか、クラシックを聴くからIQがが高いのかという、鶏と卵の話にもなりますが、いずれにしても因果関係あるということは間違いなさそうです。

ちなみに、音楽を使ったパフォーマンスアップについては、少しコツがあります。なんでも好きな音楽を聴けば良いというものでもありません。大前提として、「単純な作業」をするときには音楽はプラスに働きます。さらに「得意なこと」をするときです。つまり、何か難しいことをこれから学ぶというときではなく、自然に身体が動くような作業をするときには音楽はパフォーマンスを上げるのに有効です。単純とは思えないような作業でも、それがあなたにとって得意なことであれば音楽を取り入れることはプラスに作用します。そして、そのときのプレイリストは新しい音楽ではなく、よく知っている音楽が良いでしょう。新しい音楽は、感情が刺激されやすく、意識が音楽に誘引されてしまうことがあるからです。また歌詞が入っている音楽は思考を邪魔することが多いので、BGM的に聴くならインストゥルメンタルがおすすめです。

音楽は、「短時間で感情に影響を与える」という特徴があります。もし、あなたが締め切りが迫っている資料を作らなくてはならない、あまり気が進まない集計作業をしなくてはならないという状況なら、お気に入りの音楽を10分程度聴いてみてください。無理にデスクに向かうよりも、よっぽど気分に変化をもたらしてくれるでしょう。音楽はこういった日頃のパフォーマンスをアップさせてくれるような使い方もできるのです。音楽の持つ魅力とパワーを存分に利用していきましょう。

BGMのギモンWEB版、次回は2月1日(水)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/