HOME / BGMのギモンWEB版|2016年12月号|注目の新チャンネルはこれ!——前編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2016年12月号
注目の新チャンネルはこれ!——前編



自分のお店やオフィスにBGMを流そうと思ったときに、とりあえず流す程度であれば選択肢はあり余るほどあります。著作権処理さえきちんとされていれば、自分でセレクトしてもいいわけですが、これがまた難しい。数曲お気に入りの音楽を選ぶ程度なら何てことはないのですが、飲食店などで、お客さんの滞在時間をカバーできるような曲数になると、よっぽどの音楽好きでもなかなか難しいものです。

USENやSOUND PLANETといったBGMサービスは、こういった悩みをいとも簡単に解決してくれます。各チャンネルともUSENのプロデューサー、ディレクターといった音楽を選ぶプロフェッショナルが、お店やオフィスの雰囲気を維持できるように均一にセレクトしているのです。有名なアーティストやブランドとコラボレーションしたチャンネルもあり、雰囲気づくりという点では、こちらも参考になります。USENを利用している契約者の中には「チャンネル数が多くて選びきれない」という方もいらっしゃいます。でも、チャンネルひとつひとつを聴き較べてみると、その繊細さが垣間見えるのです。

例えば2016年秋の番組改編で登場した「B-59 コーヒー・ジャズ」。ジャズ関係のチャンネルは人気なので複数用意されていますが、コーヒー・ジャズというタイトルはインパクトがありますね。時代でもジャンルでもアーティストでもなく、「コーヒーを飲みながら楽しめるジャズ」、「コーヒーの香りのするレトロなジャズ」というコンセプトでセレクトしているそうです。こうした選曲は素人にはできない芸当です。じゃあ、「コーヒーの香りがするジャズって?」ということになるわけですが、実際に聴いてみてください。聴いたら分かるのですが、本当にコーヒーの香りがします(笑)。「あ、分かる。なんか昔の雰囲気の良い喫茶店で流れていそうな音楽だよね」と。

With Musicでも「古き良き世界観をベースに」と紹介していましたが、言葉で説明するのはとても難しいので、聴いてもらうのが一番だと思います。シンプルで会話を邪魔せず、すこしアナログテイストなオールド感、そして適度な心地よさをキープするリズム感など、「なぜ、これだけの統一感を持ってピンポイントでセレクトできるのか?」と思わざるを得ません。音楽から感じるイメージというのは、音楽そのものが持つ要素もありますが、「コーヒーの香りがするジャズ」なんて、そもそも無いわけですから。時代とともに育ってきたジャズというジャンルの中で、その雰囲気を感じさせる音楽をセレクトできるのはジャンルを知り尽くしたプロの技だと言えるでしょう。このチャンネルで流れているリー・コニッツやポール・デスモンド、ジェリー・マリガンといったアーティストの曲は本当にコーヒーの香りがしてきそうですよ。

BGMのギモンWEB版、次回は12月16日(金)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/