HOME / BGMのギモンWEB版|2016年10月号|楽器によってBGMの印象はどう変わる?――前編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2016年10月号
楽器によってBGMの印象はどう変わる?――前編



皆さんがふだん使っているUSENのチャンネルはシーンやジャンル、特定のキーワードで分類されていますが、楽器をフィーチャーしたチャンネルも存在します。「I-20 Guitar Compilation」や「J-10 Piano compilation]、「I-26 ピアノBGM」がそうですね。今回は、メインパートを司る楽器によってBGMの印象がどう変化するのか、その辺りを考えてみたいと思います。

私たちは何の楽器なのかを判断するときには、音色を自然と聴き分けています。音色とはその楽器を表している特徴のことです。この音色は、「倍音」という音に含まれる成分の分布や量で概ね特徴付けられます。倍音が多ければ、活性的で元気で派手な印象に、反対に倍音が少ないと鎮静的でシンプルで明瞭な音の印象になります。音色を決めるにはほかにも、音の立ち上がりや減衰時間や減衰量などによっても左右されます。ギターは立ち上がりがとても速いですが、減衰するのも速い楽器です。ポンッと鳴って、すぐに消える。ピアノとギターはそういう意味では、結構似た性質の音の特徴を持っています。

ある実験で、主要楽器16種類の音の印象を調べたものがあります。ギターとピアノを比較すると、ギターの方が若干静かで地味なベクトル、ピアノは少しだけ元気で澄んでいて派手な印象となりました。ただ、そうしたギターとピアノの指標は、16種類の楽器の中でも真ん中付近に位置しており、これはオールラウンドな音質の持ち主であるとも言えます。

ギターやピアノよりも、沈静なイメージがあったのがファゴットやチェロ、アルトサックス。反対に元気で派手な楽器はトランペットやオルガン、ハープシコードです。ここで、「ピアノとギターはリラックスさせる要素が満載!」などと謳えれば面白いのですが、実際はそうではなくて、「あらゆる音楽を演奏できるスーパー・オールラウンダー」と表現したほうがしっくりきます。

BGMのギモンWEB版、次回は10月16日(日)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/