HOME / BGMのギモンWEB版|2016年9月号|食品スーパーの五感マーケティング――前編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2016年9月号
食品スーパーの五感マーケティング――前編



BGMを効果的に利用してる業態といえば、飲食店や美容室、感度の高い小売店などですが、今回は食品スーパーのBGMについて考えてみたいと思います。五感マーケティングというキーワードを耳にするようになってから、かれこれ数年が経ちますが、食品スーパー業界ではここ最近とてもホットな取り組みとして注目されています。それもそのはず、食品スーパーには五感を刺激する要素がたくさんありますからね。見て触って、匂いをかいで、さらには試食もさせてくれる。実はそもそも五感をフルに活用できる環境が整っているというわけです。

生活必需品を扱う食品スーパーは、別に雑貨屋さんのようなオシャレ感やカフェの様な居心地の良さ、見た目の印象を左右するデザイン要素はそれほど気にする必要はないという雰囲気がありました。しかし、よく考えてみれば当たり前なのですが、生活必需品だからといっても、できればキレイでオシャレなお店で買い物したいというのがお客さんのホンネです。

五感の中でも、この業界が最近力を入れているのが視覚要素、つまり見た目です。店内のサイン(看板)もしっかりとデザイナーに依頼したり、POPも統一感を持たせていたりと、今までの「わかれば良い」という段階から、より見やすく洗練された雰囲気を出すために各社とも努力しています。POPだけでなく、食品自体の見せ方やディスプレイも相当に工夫を凝らしています。色合いや大きさ、手に取りやすくするなど、見ていてワクワクしてしまうような売り場もたくさん見受けられます。

さて、五感マーケティングの中で唯一取り残されてしまっているのが、そう聴覚です。ここではBGMをメインにお話しましょう。見た目が洗練されているのにも関わらず、どういうことかBGMには全く無頓着というお店がたくさんあります。聴覚からの刺激は私たちの感情に強く訴えかけます。そしてのその速度も視覚よりも早いといわれています。つまり、音楽から私たちはその空間の雰囲気を無意識に感じ取っているのです。見た目の印象をどれだけ良くしても、音楽が適当では、もったいないですよね。映画でもそうですが、音楽はその場面演出面で重要な役割を果たしています。お店でも同じです。その空間に流れている音楽こそが「こういうお店です」というサインになるのです。

BGMのギモンWEB版、次回は9月16日(金)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/