HOME / BGMのギモンWEB版|2016年8月号|ブラジルで生まれた音楽――後編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2016年8月号
ブラジルで生まれた音楽――後編



前回に続いて「ブラジルで生まれた音楽」をテーマにお届けします。
いつの時代も何か新しいムーブメントが起きるときには「外から何かを取り入れる」という手法が取られます。音楽ではその傾向が特に強く、クラシックの中だけでも常にそういった化学反応は起きていますし、ジャズとクラシックを組み合わせたり、ロックにクラシックの構造を取り入れるというアプローチもあります。ボサノヴァも例外ではありません。一聴してサンバのリズムをふわっとライトに演奏しているように聴こえますが、和声(ハーモニー)的にはフランスの近代音楽を取り入れていたりとなかなか興味深いものがあります。フランスの近代音楽と言えば、ドビュッシーやラベル、サティなんかが有名ですね。これらもBGMとしてはとても使いやすく、クラシック音楽の中では背景に馴染むとても便利な音楽です(ドビュッシーさんごめんなさい)。
このふたつのジャンルが組み合わさってできた音楽なのですから、BGMとしては間違いなく優秀です。中性的で透明感のある和声に、軽快なリズムが組み合わせるんですから、楽しくおしゃべりしながらコーヒーをいただくには最高の背景音楽です。それでいて、サウダージ感(郷愁)を感じられる雰囲気が日本人にとっては異国情緒となって、洗練された空間を作ってくれるのですね。
ボサノヴァで有名なアーティストといえば、生みの親であるジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンは押さえておきましょう。ギター弾きのジョアンと数々の名曲を残してきたジョビン。この二人が出会ったことでボサノヴァの魅力は世界に誇れるものになったのです。60年も前に生まれたボサノヴァですが、今聴いてももちろん洗練された新感覚の音楽として感じることができます。意外と日本の方が流行っていたりしてブラジルよりも多く聴けるのかもしれませんね。リオデジャネイロオリンピックが開催されることもあり、サンバやボサノヴァといったブラジル音楽を聴くことも増えるでしょう。さまざまなアレンジやジャズとの組み合わせなどその変幻自在なポテンシャルも魅力のひとつです。時代背景や音楽の特徴なども知ってから聴くと、また感じるものも深くなるかもしれませんね。

BGMのギモンWEB版、次回は9月1日(木)公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/

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