HOME / BGMのギモンWEB版|2016年6月号 | キャッチーな音楽のメリットとデメリット——前編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2016年6月号
キャッチーな音楽のメリットとデメリット——前編



今回はBGMをセレクトするときについつい陥りがちなことについてお話します。BGMは人の感情や行動にとても大きな影響を与え、しかも無意識の領域に訴えかけるという特徴を持っています。例えば、昨日行ったカフェの音楽はなかなか思い出せないものですが、居心地のいいお店だったな、雰囲気がよかったなという印象は残っているものです。そうした居心地のよさは、音楽が担っている部分が大きいのです。ですから、お店の雰囲気やコンセプトにマッチした音楽を時間をかけてセレクトする必要があるのです。しかし、ついついヒットチャートやJ-POPといった流行りの音楽を流してしまうこともあるようです。当たり障りなく、今どきな雰囲気を出せるというメリットもありますが、キャッチーで有名過ぎる音楽というのは、デメリットも多く潜んでいます。音楽は人の記憶と結びつく傾向が強く、ある音楽を聴くだけでその当時のことを思い出すということは誰しも経験があると思います。これは、人間の記憶を司る海馬という部分と音楽がとても相性が良く、脳科学的にも記憶と音楽が結びつくメカニズムがあるからです。つまり、有名な音楽をBGMにしてしまうと、人によって、その音楽に対する印象にばらつきが出て、お店側が意図したとおりの雰囲気を作り上げることが難しくなるのです。
同業他社で当たり前のように使われているBGMを安直に真似するのも考えものです。パチンコ店の「TRUTH」や「ロッキーのテーマ」、ホームセンターで流れる最新ポップスのMIDI音源(ピコピコ音楽)、最近ではラーメン店でジャズというセレクトも目立ちます。どれも雰囲気的にはとても似合っていますが、あまりに流行り過ぎてしまうと、一気に陳腐化する可能性がありますので、注意が必要です。

BGMのギモンWEB版、次回は6月16日公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/