HOME / BGMのギモンWEB版|2016年4月号 | BGMの音量コントロール——後編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2016年4月号
BGMの音量コントロール——後編



4月の「BGMのギモンWEB版」のテーマはBGMの音量コントロールです。前編で解説したとおり、人間は「慣れ」というメカニズムを持っています。もちろんBGMの音量についても慣れが生じます。ずっとその空間にいるお店側の人間は音量の大小を判断する基準があいまいになることがあるのです。ですから適正な音量を決めるためには、お客さんの立場で聴いてみることが大切です。たとえば、飲食店の場合はお客さんになったつもりで客席に座り、できれば食事をしたり、誰かとおしゃべりしたり、お客さんと同じように過ごしてみてください。こうしたシミュレーションは当たり前のことのようで、意外とできていません。
ボイスレコーダーやスマホのアプリを使って、実際に客席の環境音を録音してみるのもいいでしょう。おそらく、思いもしなかった音がたくさん記録されて驚くことと思います。隣の人の会話や、スタッフの話し声、BGM、キッチンからの音、空調など、レコーダーには音を取捨選択する機能はなく、ストレートにすべての音を録音しますので、今まで気付かなかった音環境に触れることができます。
BGMの音量コントロール以外にも、見直す点が見つかるかもしれませんので、一度実践してみることをおすすめします。
さて音量のコントロールが大事なのは、お客さんのストレス度合いに影響するからです。サウンドスケーピングという概念がありますが、これは周りの音環境を自らコントロールすることを言います。自宅で好きな音楽を流したり、環境音を流したりすることはもちろん、テレビの音を消す、音の静かな冷蔵庫に買い換える、耳栓をする、といった行為もサウンドスケーピングということになります。
人が音からストレスを感じるのは、音の大小や、音楽の好みといった性質よりも、「コントロールできない音」に対してです。たとえば自分の車で結構な大音量で音楽を聴くのは気持ちいいのに、友人の車に乗ったときに聴く音楽をストレスに感じることはありませんか。場合によっては、その友人の、音楽の趣味が自分と同じであったとしても不快に感じることがあるかもしれません。
同じように、BGMの音量をお客さんがコントロールすることはできませんから、大きすぎることでストレスを与えたり、また小さすぎてBGMの効果が半減してしまうことがないように適正にコントロールしていきましょう。
コンセプトにマッチしたBGMがさらに効果的に響くように、ぜひ意識してみてください。

BGMのギモンWEB版、次回は5月1日公開予定です。お楽しみに!



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  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/