HOME / BGMのギモンWEB版|2016年2月号 | 三拍子のリズムがもたらす雰囲気——後編

With Musicで連載中の「BGMのギモン」がウェブ版コラムになりました。
音環境コンサルタントの齋藤 寛さんがBGMに関するちょっとした疑問や豆知識をわかりやすく解説します。

2016年2月号
三拍子のリズムがもたらす雰囲気——後編



「三拍子のリズムがもたらす雰囲気」後編は、三拍子の曲がもたらす効能について解説します。
前編で、日本人が三拍子に弱いという話をしましたが、その代表的な事例が「ハッピーバースデー」です。あの曲が四拍子だと思っている人がかなり多いのではないでしょうか。実は「ハッピーバースデー」は三拍子なのですが、拍手の入れ方で勘違いされていることが分かるのです。「ハッピーバースデー」を歌うときによく手拍子をすると思いますが、あなたは冒頭の「ハッピバースデートゥーユー」の「ハッ」で手を叩きますか?それとも、「バー」で叩き始めますか?
正解は「バー」です。冒頭の「ハッ」はアウフタクトといって、裏拍なので拍の始まりは「ハッピバー」の「バー」ということになります。このアウフタクトは欧米人のほうが得意のようです。例えば英語だとa、an、theといった冠詞がいわゆるアウフタクト的なリズムを持っているからです。日本語は高低アクセントの言語なので、どうしてもリズムには弱いのですね。冒頭の「ハッ」から叩いてしまう人はその後四拍子を取ることはできないはずなので、どちらかというと、一拍子な感じで叩いてしまいますけど。
さて、この三拍子は躍動感を感じさせるリズムを持っていながら、安らぎの雰囲気も合わせ持っています。心臓の動きが三拍子だとする人もいて、そのために三拍子は安心するリズムだという説もあります。大作曲家バッハは三拍子で安らぎの雰囲気を作るのが得意でした。代表曲をあげるとすれば、聴くだけで気持よく寝られるあの「ゴルトベルク変奏曲」。冒頭の有名なアリアはまさに三拍子。三拍子は体が自然と動き出す踊りのリズムでもあり、またテンポを落とすと安らぎの音楽となるとてもミステリアスな拍子です。個人的にはビリー・ジョエルの「ピアノマン」が三拍子の中では好きですね。
そんなわけで、BGMを選ぶときには、スタンダードな四拍子の並びの中に、ときおり三拍子の曲を交ぜてやると、いつもとは違ったノリが醸し出せるかもしれません。

BGMのギモンWEB版、次回は2月中旬公開予定です。お楽しみに!



イラスト



|INFO|


  • イラスト
  • 齋藤 寛(さいとう・ひろし)

    音環境コンサルタント、音楽心理カウンセラー。商用BGMのコンサルティングや執筆活動で知られる。USENの「With Music(業務店用)」で「BGMのギモン」を連載中。著書に『心を動かす音の心理学〜行動を支配する音楽の力〜』(ヤマハミュージックメディア刊)がある。

    公式HP「BGMの心理学」
    http://www.otokan.com/