HOME / 聴きたい、知りたいクラシック 2013年11月

2013.11月号

USENでクラシックを聴いている、もしくは聴いてみたい方、さらにクラシックに興味を持ちはじめたあなたに贈る、ちょっぴりうれしい情報コーナー

聴きたい!知りたい!クラシック

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セルゲイ・ラフマニノフ

今月の「音楽家のサイドストーリー」ではラフマニノフを紹介します。祖国を愛しながらも、その地を離れざるを得なかった音楽家の創造の源とは……!?

contents

1.音楽家のサイドストーリー vol.4

毎月ひとりの音楽家をピックアップ。その意外な素顔や逸話、さらには作品の裏に隠された背景などを紹介します。

今月の音楽家 ~セルゲイ・ラフマニノフ~

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  • セルゲイ・ラフマニノフ
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  • ラフマニノフの創作活動の原点とも言える教会の鐘の音。祖国を離れたとき、彼はその音を持ち出すことはできなかった

創造の源=“鐘”の音が
聞こえなくなる日

(ラフマニノフはこんな人)
セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ(1873~1943)
帝政ロシア時代の作曲家、ピアニスト、指揮者。1917年、革命により政情不安となったロシアを家族と共に出国。その後は一度も祖国の地を踏むことなく、アメリカにて没す。
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ラフマニノフの作品からは、よく“鐘の音”が聞こえてくる。

彼のもっとも有名な作品のひとつ、「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」の冒頭はロシア正教の鐘の音を表現している。
フィギュアスケートでも使用される「前奏曲作品3-2」の愛称は“鐘”。この愛称はラフマニノフ自身によるものではないが、鐘の雰囲気は伝わる。
作曲者が堂々と作品名に“鐘”の名を与えたのは、「合唱交響曲「鐘」作品35」。こちらは人の一生を鐘になぞらえて、各楽章が「銀の鐘」「金の鐘」「真鍮の鐘」「鉄の鐘」と題されている。鐘のオンパレードといっていいくらいの“鐘”名曲だ。
ラフマニノフは少年時代を鐘の音のなかで過ごした。彼にとって鐘の音はインスピレーションの源となっていたのだろう。

「教会の鐘はロシアのあらゆる街を支配していました。ロシア人のだれもが、ゆりかごから墓場まで鐘の音に付き添われているのであり、この影響から逃れられる作曲家はひとりもいません。私はずっと朗らかな鐘の音や哀調を帯びた鐘の音に親しんできました」。

そんなラフマニノフが、1917年の演奏旅行で出国して以来、二度と祖国の土を踏むことができなかったのだから、人の運命というものはわからない。十月革命による混乱を避けて、ラフマニノフは家族とともに北欧へのツアーに出かけた。これが祖国との別れになる。経済的な必要に迫られて、ラフマニノフは作曲よりもピアニストとしての活動に力を入れる。 演奏家としてもっとも稼げるところはどこか。ラフマニノフはアメリカに渡ることを決意した。彼の演奏はセンセーションを巻き起こした。ここから四半世紀にわたる多忙をきわめる演奏活動が続くことになった。
アメリカに渡って以来、作曲家ラフマニノフの筆は進まなくなる。演奏家としてあまりに多忙だったことに加えて、彼はインスピレーションの源を失っていたのだ。

「ロシアを離れたとき、私は作曲するという希望を失いました。故郷を失った私は自分自身を捨てたのです。音楽の源と伝統と故郷の土を失った亡命者には、創作の希望はありません」

その後、アメリカ時代にも何作かの傑作が生まれたことを考えれば、作曲家はこれほど悲観する必要はなかったかもしれない。ただ、彼の頭のなかで鐘の音が響くことはもうなかったにちがいない。

おすすめの1枚

おすすめの1枚

ラフマニノフ:合唱交響曲「鐘」、交響的舞曲

サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン放送合唱団、他
ワーナー・クラシックス

ラトル×ベルリン・フィルによる至高の「合唱交響曲「鐘」」
世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルを音楽監督サイモン・ラトルが率いた最新録音。合唱交響曲「鐘」は、非ロシア系のトップレベルの音楽家たちによる録音として貴重な名盤となりそう。交響的舞曲は鮮烈。
文/飯尾洋一
音楽ライター、音楽ジャーナリスト、編集者。クラシック音楽関連の企画に携わるほか、ウェブマガジン「CLASSICA」を運営。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』(三笠書房・王様文庫刊)など。

ヴェルディ作品はこちらで

B-37シンフォニー/コンチェルト

B-37 シンフォニー/コンチェルト」の特集では、今月来日公演を果たすベルリン・フィルとウィーン・フィルの演奏をお届けします。ラトル&ベルリン・フィルの上記推薦盤より「ラフマニノフ:交響的舞曲」や、ウィーン・フィルをバックにピアニストのルドルフ・ブッフビンダーが弾き振りをつとめた「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』」ほかこの度の来日アーティストによる演奏をはじめ、これまでに両オーケストラが世界的な巨匠指揮者とともに残してきた世紀の名演奏をお送りします。

2.USENクラシックセレクション(2013年11月)

「音楽家のサイドストーリー」でも紹介した、ラフマニノフは「B-37 シンフォニー/コンチェルト」でお楽しみください、そのほか、さまざまな特集番組を放送いたします。

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    • 現代を代表する巨匠リッカルド・ムーティが指揮を執ったオペラ作品を特集
    • B-60オペラ/声楽曲

3.HOT2 INFORMATION

ホットな公演情報やクラシック関連のニュースをまとめて発信(2013年11月1日時点の情報です)

コンサート情報

■NHK交響楽団 公演情報

【NHK交響楽団定期公演(Aプログラム)】

開催日:<1日目>11月30日、<2日目>12月1日
開催場所:NHKホール(東京・渋谷)
出演者:指揮)シャルル・デュトワ、ピアノ)スティーヴン・ハフ、管弦楽)NHK交響楽団
演目:ストラヴィンスキー/バレエ音楽「カルタ遊び」、リスト/ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調、ショスタコーヴィチ/交響曲 第15番 イ長調 作品141

【NHK交響楽団定期公演(Cプログラム)】

開催日: <1日目>12月6日、<2日目>12月7日
開催場所:NHKホール(東京・渋谷)
出演者:指揮)シャルル・デュトワ、ソプラノ)エリン・ウォール*、テノール)ジョゼフ・カイザー**、合唱)新国立劇場合唱団、国立音楽大学**、児童合唱)NHK東京児童合唱団**、管弦楽/NHK交響楽団
演目:プーランク/グロリア*、ベルリオーズ/テ・デウム**

(問)N響ガイド 03‐3465‐1780 http://www.nhkso.or.jp

クラシックNews

■METライブビューイング2013-14シーズンがいよいよ公開!

ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(通称:MET)で上演されるオペラを、日本全国の映画館で上演する“METライブビューイング”。その最新シーズン公演が、ついに11月より公開されます。METの感動をぜひスクリーンで体感してください。
<公演スケジュール・劇場の詳細はこちら>

■年末の風物詩「第九」コンサート情報!

今年の12月も各地で「第九」コンサートが行なわれます。エリアフ・インバル&東京都交響楽団や、広上淳一、小林研一郎&日本フィルハーモニー交響楽団、尾高忠明&東京フィルハーモニー交響楽団など、注目のコンサートが目白押し! お目当ての公演はお早目にチェックを。
http://t2.pia.jp/feature/classic/daiku/index.jsp