HOME / 聴きたい、知りたいクラシック 2013年10月

2013.10月号

USENでクラシックを聴いている、もしくは聴いてみたい方、さらにクラシックに興味を持ちはじめたあなたに贈る、ちょっぴりうれしい情報コーナー

聴きたい!知りたい!クラシック

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ジュゼッペ・ヴェルディ

今回「音楽家のサイドストーリー」で紹介するのは、ビジネスマンとしても辣腕をふるい、一代で財を築いたオペラ作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディ。生誕200年を迎え、彼の作品に接することの多いこの機会に、その横顔を覗いてみませんか?

contents

1.音楽家のサイドストーリー vol.3

毎月ひとりの音楽家をピックアップ。その意外な素顔や逸話、さらには作品の裏に隠された背景などを紹介します。

今月の音楽家 ~ジュゼッペ・ヴェルディ~

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  • ジュゼッペ・ヴェルディ
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  • ヴェルディの生家
    実家は飲食店を兼ねた小さな宿屋を営んでおり、ヴェルディ少年は働く両親の姿を見て育った

音楽ビジネスの本質をも見抜いた
不世出の偉大な作曲家

(ヴェルディはこんな人)
ジュゼッペ・ヴェルディ(1813~1901)
イタリアのロマン派音楽の作曲家で、オペラを語るうえで欠かすことができない。1962~1981年まで1,000リラ紙幣の肖像に採用される。
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今から200年前、ヨーロッパにふたりの偉大なオペラ作曲家が誕生した。イタリアにジュゼッペ・ヴェルディ。ドイツにリヒャルト・ワーグナー。オペラ史上、最大級の才能が同じ年に誕生したのは、歴史の気まぐれというべきか、あるいは時代が才能を要請したゆえの必然というべきか。 同じオペラ作曲家だが、ふたりのキャラクターは対照的だ。ワーグナーが借金を踏み倒して夜逃げしたり、自作オペラの上演に多額の負債を抱え込んだのに対して、ヴェルディは辣腕ビジネスマンとして一代で富を築いた。しかもヴェルディの商才は、本業と副業の両方で発揮された。

オペラ「ナブッコ」でセンセーショナルな成功を収めて以来、ヴェルディには各地の劇場から新作の依頼が殺到するようになった。ヴェルディは締め切りに追われながら、ひたすら働いた。これでもかというほど仕事を背負いこんで、職務を果たす。 ヴェルディはここで手にした稼ぎを土地に投資した。片田舎の商家の息子として生まれた彼にとって、新進作曲家としての人気など、いつまでもあてにできるものではないと思えたのだろう。土地は農地となり、ヴェルディは小作人を雇った。農園は利益を生み出して、作曲家に経済的なゆとりをもたらした。ヴェルディは名声を得てもなお、畑仕事を止めようとはしなかった。あたかも作曲活動の疲れを農作業への没頭で癒すかのように。

「朝5時に起き、夕方の6時まで働き、それから劇場を覗いて、11時に帰宅して、すぐに寝床に入ります」(ヴェルディの手紙)。

オペラのような大作を次々と書くためには、どんな作曲家であれ勤勉でなければならない。同時にヴェルディは利にさとい作曲家だった。当初から契約条件に対しては敏感だったヴェルディだが、やがてフランスで先行していた著作権の考え方をイタリアに持ち込み、作曲家の収益構造を大きく変化させた。 「一作あたりいくら」の作曲料を受け取っていたのでは、作品が大ヒットしても作曲家の取り分はたかが知れている。ヴェルディが出版社リコルディと結んだ契約は、新作オペラの上演から10年間、出版社に入る楽譜レンタル料(上演料)の3割と、楽譜の売上げの4割がヴェルディに支払われるというものだった。これならば、ヒットすればするほど、作曲家の懐は潤う。

作曲で財を築くなら、作曲料よりも大ヒット作の印税。これは今も変わらない真理だろう。

おすすめの1枚

おすすめの1枚

ヴェルディ:歌劇「オテロ」

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ジョン・ヴィッカーズ(オテロ)、ミレッラ・フレーニ(デズデモナ)他
EMI

カラヤン×ベルリン・フィルの聴きどころ満載の名盤
ストーリーを追いながら観て楽しむだけではなく、耳で聴いても楽しめるのがオペラ。名指揮者カラヤンがベルリン・フィルを率いて、作品のシンフォニックな魅力を雄弁に伝えてくれる。冒頭からドラマティックで鮮烈なオーケストラのサウンドに、思わず手に汗を握る。題名役ヴィッカーズの強靭な歌唱が、英雄オテロの苦悩を際立たせて、悲劇的情感をいっそう高めてくれる。全編、聴きどころに次ぐ聴きどころだ。
文/飯尾洋一
音楽ライター、音楽ジャーナリスト、編集者。クラシック音楽関連の企画に携わるほか、ウェブマガジン「CLASSICA」を運営。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』(三笠書房・王様文庫刊)など。

ヴェルディ作品はこちらで

A-45クラシック 作曲家

特集では上記紹介アルバムほか、ヴェルディが生涯に残したオペラ作品を新旧の名盤からお届けします。そのほか、ヴェルディの宗教大作『レクイエム』や最晩年の作品『聖歌四編』を放送。ヴェルディー・イヤーにこそ聴くべき名作をご堪能ください。
また、「B-66 世紀の名演 クラシック」でもヴェルディ特集を行っています。こちらは、ヴェルディが1873年の『アイーダ』の上演延期中に“暇つぶしのために”書いた「弦楽四重奏曲ホ短調」を、巌本真理四重奏団による演奏でお楽しみいただくほか、レコードでしか手に入らないヴェルディ作品の貴重な録音をお届けします。

2.USENクラシックセレクション(2013年10月)

「音楽家のサイドストーリー」でも紹介した、生誕200年のヴェルディ特集や日本フィルのライヴ音源など豪華なラインナップでお楽しみください。

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    • 注目の男性歌手、ヨナス・カウフマン&クリスティアン・ゲルハーヘル
    • B-60オペラ/声楽曲
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    • 来日ピアニスト、マレイ・ペライア&クリスティアン・ツィマーマン特集
    • B-38室内楽/器楽曲
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    • クラシック専門誌『音楽の友』10月号の特集とリンクした内容ほかを放送
    • B-48音楽の友

3.HOT2 INFORMATION

ホットな公演情報やクラシック関連のニュースをまとめて発信(2013年10月1日時点の情報です)

コンサート情報

■NHK交響楽団 公演情報

【NHK交響楽団第1764回定期公演(Aプログラム)】

開催日:<1日目>10月19日、<2日目>10月20日
開催場所:NHKホール(東京・渋谷)
出演者:指揮)ロジャー・ノリントン、テノール)ジェームズ・ギルクリスト、管弦楽)NHK交響楽団
演目:ベートーヴェン/「エグモント」序曲、ブリテン/夜想曲 作品60、ブリテン/歌劇「ピーター・グライムズ」から「4つの海の間奏曲」作品33a、ベートーヴェン/交響曲 第8番 ヘ長調 作品93

【NHK交響楽団第1765回定期公演(Cプログラム)】

開催日:<1日目>10月25日、<2日目>10月26日
開催場所:NHKホール(東京・渋谷)
出演者:指揮)ロジャー・ノリントン、ピアノ)ラルス・フォークト、管弦楽)NHK交響楽団
演目:ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番 作品72、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37、ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」

【NHK交響楽団第1766回定期公演(Aプログラム)】

開催日:<1日目>2013年11月8日、<2日目>2013年11月10日
開催場所:NHKホール(東京・渋谷)
出演者:指揮)ネルロ・サンティ、シモン)パオロ・ルメッツ、マリア、アメーリア)アドリアーナ・マルフィージほか
演目:ヴェルディ/歌劇「シモン・ボッカネグラ」(演奏会形式)

(問)N響ガイド 03‐3465‐1780 http://www.nhkso.or.jp

クラシックNews

■「東京・春・音楽祭」の特別公演「ムーティ conducts ヴェルディ」が10/30、10/31にすみだトリフォニーホールで開催

ヴェルディ生誕200年を記念した秋の特別公演。リッカルド・ムーティ指揮のもと、東京オペラシンガーズや、この公演のために編成された東京春祭特別オーケストラがヴェルディ作品をお送りします。曲目やチケット情報などの詳細は以下のサイトでご確認ください。
<「東京・春・音楽祭 ―東京のオペラの森―」公式サイト>
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_1693.html

■10/26『ムーティ、ヴェルディを語る』開催

10月30日(水)31日(木)の「ムーティ conducts ヴェルディ」公演に先駆けて、10月26日(土)Bunkamuraオーチャードホールにて、特別企画『ムーティ、ヴェルディを語る』を開催いたします。 ムーティはイタリアをはじめヨーロッパやアメリカでも、ヴェルディの作品について話す機会を設けており、日本では初の開催となります。
<「東京・春・音楽祭 ―東京のオペラの森―」公式サイト>
http://www.tokyo-harusai.com/news/news_1825.html

■10/10~10/11「エル・システマ・フェスティバル2013」

ベネズエラで現在約35万人以上の青少年が参加する音楽教育システム「エル・システマ」。そこから結成されたユースのオーケストラ「エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカス(EYOC)」が、日本・ベネズエラ外交樹立75周年を記念して10月に初来日。
<エル・システマ・フェスティバル>
http://www.nhkso.or.jp/news/4367/