HOME / 聴きたい、知りたいクラシック 2013年9月

2013.9月号

USENでクラシックを聴いている、もしくは聴いてみたい方、さらにクラシックに興味を持ちはじめたあなたに贈る、ちょっぴりうれしい情報コーナー

聴きたい!知りたい!クラシック

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ニコロ・パガニーニ(Nicolo Paganini)

今回の「音楽家のサイドストーリー」では、天才的なヴァイオリニスト、作曲家、そして経営者(?)などマルチに活躍したパガニーニのお話を紹介します。彼が遺した作品を聴きながらお楽しみください。

contents

1.音楽家のサイドストーリー vol.2

毎月ひとりの音楽家をピックアップ。その意外な素顔や逸話、さらには作品の裏に隠 された背景などを紹介します。

今月の音楽家 ニコロ・パガニーニ

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  • ニコロ・パガニーニ(Eugène Delacroix画)
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  • 「ある日のできごと」
    ベルリンで行われた、パガニーニの演奏会に熱狂する群集

超絶テクのヴァイオリニストは
悪魔なのか? 守銭奴なのか?

(パガニーニはこんな人)
ニコロ・パガニーニ(1782~1840)
イタリアのヴァイオリニスト、ヴィオラ奏者、ギタリスト、作曲家。天才的なヴァイオリニストとして知られる。

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パガニーニは作曲家である以前にヴァイオリニストだった。想像を絶するテクニックを駆使した華麗な演奏は、当時の聴衆を熱狂させた。目の前に置かれたどんな楽譜も即座に初見で弾きこなし、ひとたびステージに立てば圧倒的なカリスマ性で聴衆を引きつける。あまりのテクニックのすさまじさゆえに「パガニーニは悪魔に魂を売って、技巧を手に入れた」と噂されるほどで、舞台上のパガニーニの姿におそれをなして十字を切る者もいたという。伝説のヴァイオリニストは19世紀のヨーロッパに旋風を巻き起こした。

マスメディアのない19世紀にスターになるには、各地をツアーで移動してライヴを開くほかない。パガニーニは病弱にもかかわらず、イタリア各地、ウィーン、ドイツ、パリ、ロンドンと渡り歩いて、その都度コンサートで大成功を収めた。収入も莫大な額となった。ロンドンでは演奏会の入場料金が法外な値段だったため、新聞紙上で“守銭奴”と非難されてしまう。その結果、演奏会は延期され、やむなく料金を値下げして開催せざるを得なかった。お金にまつわる逸話が残るパガニーニだが、実は熱心に慈善公演を引き受けてもいたのだ。それでも“金に汚い”という悪評は止まなかったというから、成功者への嫉妬はなかなか厄介なものである。

富を手にしたパガニーニは晩年に新事業に乗り出す。パリの賭博場と音楽会場を兼ねた「カジノ・パガニーニ」に出資したのだ。自らパリに赴き事業を監督するものの、まもなく病に伏せてしまう。もとより違法なカジノはわずか2ヵ月で閉鎖され、パガニーニは大きな損害を被ることになる。身体が衰弱してからは弦楽器商になろうと考えていたが、病魔の進行の方が早く、これを叶えることはできなかった。彼が亡くなったときの遺産には、ストラディヴァリやアマティなど22挺もの高価な銘器を所有していたというから、事業に失敗してもなお、資力は十分残していたことになる。

ところで、パガニーニの技巧は現代の水準から見ても、悪魔的なレベルにあるのだろうか? 現代人はだれひとりとして彼の演奏を聴いたことはないのだから、こればかりは何とも分からない。アスリートの世界記録がどんどんと伸びているように、楽器演奏の技巧も時代とともに進化しているとすれば、世界中に“現代のパガニーニ”がいることになるのかもしれない。しかし、パガニーニのように数世紀にわたって威名を轟かせるような演奏家は、今のところは見当たらない。

おすすめの1枚

おすすめの1枚

サルヴァトーレ・アッカルド(vn)、シャルル・デュトワ指揮ロンドン・フィル

『パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調、ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調』
ドイツ・グラモフォン

パガニーニ作品の演奏家と言えば……
ヴァイオリン協奏曲第1番は独奏ヴァイオリンのこれでもかというくらいの名技性に加えて、ロッシーニを思わせるのびやかで晴朗な楽想が心地よい。ヴァイオリン協奏曲第2番の第3楽章には通称「鐘のロンド」のメロディが登場する。リストの「ラ・カンパネラ(鐘)」の元ネタはこのメロディだ。アッカルドの独奏はテクニックによる痛快さ、華麗さに加えて、しなやかな抒情性をあわせもつのが吉。伴奏オーケストラもバランスの良い響きを聴かせてくれる。
文/飯尾洋一
音楽ライター、音楽ジャーナリスト、編集者。クラシック音楽関連の企画に携わるほか、ウェブマガジン「CLASSICA」を運営。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』(三笠書房・王様文庫刊)など。

パガニーニ作品はこちらで

A-45クラシック 作曲家

パガニーニの代表作品のひとつ「24のカプリース」を、今世紀を代表する “ヴィルトゥオーゾ(※)”らの演奏でお届けするほか、パガニーニが遺したヴァイオリンとギターのための室内楽作品を、ギル・シャハム&イェラン・セルシェルという名コンビでお聴きいただきます。もちろん、上記飯尾洋一推薦盤も放送。(※)完璧な技巧を身に着けた超一流の演奏家

2.USENクラシックセレクション(2013年9月)

生誕200年で盛り上がるヴェルディや、「音楽家のサイドストーリー」でも紹介したパガニーニなど、今月もさまざまな特集番組をご用意しました!

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    • ヴェルディ・オペラ特集の第3弾は、中期から後期の作品を放送
    • B-36オペラ/声楽曲
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    • ロンドンを拠点に、世界で活躍するピアニスト・内田光子のさまざまな作品を放送
    • B-38室内楽/器楽曲
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    • 『音楽の友』9月号の特集とリンクした内容ほかを放送
    • B-48音楽の友

3.HOT2 INFORMATION

ホットな公演情報やクラシック関連のニュースをまとめて発信(2013年9月1日時点の情報です)

コンサート情報

■NHK交響楽団 公演情報

【NHK交響楽団第1764回定期公演(Aプログラム)】

開催日:<1日目>10月19日、<2日目>10月20日
開催場所:NHKホール(東京・渋谷)
出演者:指揮)ロジャー・ノリントン、テノール)ジェームズ・ギルクリスト、管弦楽)NHK交響楽団
演目:ベートーヴェン/「エグモント」序曲、ブリテン/夜想曲 作品60、ブリテン/歌劇「ピーター・グライムズ」から「4つの海の間奏曲」作品33a、ベートーヴェン/交響曲 第8番 ヘ長調 作品93

【NHK交響楽団第1765回定期公演(Cプログラム)】

開催日:<1日目>10月25日、<2日目>10月26日
開催場所:NHKホール(東京・渋谷)
出演者:指揮)ロジャー・ノリントン、ピアノ)ラルス・フォークト、管弦楽)NHK交響楽団
演目:ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番 作品72、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37、ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」

(問)N響ガイド 03‐3465‐1780 http://www.nhkso.or.jp

クラシックNews

■「東京・春・音楽祭」の特別公演「ムーティ conducts ヴェルディ」が10/30、10/31にすみだトリフォニーホールで開催

ヴェルディ生誕200年を記念した秋の特別公演。リッカルド・ムーティ指揮のもと、東京オペラシンガーズや、この公演のために編成された東京春祭特別オーケストラがヴェルディ作品をお送りします。曲目やチケット情報などの詳細は以下のサイトでご確認ください。
<「東京・春・音楽祭 ―東京のオペラの森―」公式サイト>
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_1693.html

■9/27~10/13「ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ 松島 2013」

ヨーロッパ屈指の音楽祭「ルツェルン・フェスティバル」がサポートする本音楽祭。初のアジア開催に際して用意されたのが、建築家・磯崎 新とインド出身のイギリス人彫刻家アニッシュ・カプーアが生み出したバルーンで出来た可動式コンサートホールだ。この「アーク・ノヴァ」を中心に世界中から集まった芸術家が東北と日本を盛り上げる。
<ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ 松島 2013 公式サイト>
http://www.nhkso.or.jp/news/4367/

■10/10~10/11「エル・システマ・フェスティバル2013」

ベネズエラで現在約35万人以上の青少年が参加する音楽教育システム「エル・システマ」。そこから結成されたユースのオーケストラ「エル・システマ・ユース・オーケストラ・オブ・カラカス(EYOC)」が、日本・ベネズエラ外交樹立75周年を記念して10月に初来日。
<エル・システマ・フェスティバル>
http://www.nhkso.or.jp/news/4367/

■ピアニスト・辻井伸行、待望の新譜は“ドビュッシー・アルバム”

今年の7月16日、イギリス最大の音楽祭「プロムス」にデビューを果たした辻井伸行が、約1年ぶりとなるクラシック・アルバムを9月11日にリリース。「日本ツアー2012/13」でも披露されたドビュッシー作品に挑む。
『月の光 ~辻井伸行 plays ドビュッシー』
3,150円(税込)
AVCL-25794
avex CLASSICS

■ベルリン・フィル&ドイツ・グラモフォン100周年BOXが9/20発売!

世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団がドイツ・グラモフォンに録音を開始して今年で100年を迎える。これを記念して、100年の歴史を50枚に凝縮した豪華BOXが発売。ご予約はお早めに。
<ユニバーサルミュージック 公式サイト>
http://www.universal-music.co.jp/p/479-1049?s=97204

■マリス・ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団の2012年ベートーヴェン・ツィクルス・日本公演がDVD&BDで登場!

昨年、東京・サントリーホールで行なわれたマリス・ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団の来日公演がDVDとブルーレイで登場。名匠ヤンソンス率いるバイエルン放送交響楽団の4夜に渡るベートーヴェンの交響曲全曲演奏会は、各公演とも大盛況。あの感動と興奮をご自宅でどうぞ。
<NHKエンタープライズ>
http://www.nhk-ep.com/shop/commodity_param/ctc/mus07/shc/0/cmc/18602AA/backURL/http%28++www.nhk-ep.com+shop+main/detail.html

■「眩暈するくらい暑い夏」~藝祭2013

9月6(金)~8(日)開催。
東京藝術大学の学園祭「藝祭」。今年のテーマは「眩暈するくらい」。異素材が共鳴し合う芸術の場「藝祭」で五感が刺激され、その非日常的で特異な空間にくらくらと引き込まれていくことを象徴したテーマ。今年は上野恩賜公園の「竹の台広場」に野外ステージが設置されるとのこと。芸大生による舞台美術と音楽が上野の憩いの場で体感できる。
<藝祭2013公式サイト>
http://www.geidai.ac.jp/event/geisai2013/