HOME / Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew (2017年10月9日~11月30日)

Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

  • 2017 Autumn Selection(10月9日~11月30日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」
詳しい放送内容はこちら

D-03usen for Cafe Apres-midi

作曲家


橋本 徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー)
Toru Hashimoto
  • Terry Callier
    『Free Soul the classic of Terry Callier』
  • Terry Callier
    「Ordinary Joe / Look At Me Now」
  • Moses Sumney
    『Aromanticism』
  • Jordan Rakei
    『Wallflower』
  • Benedek
    『Bene’s World』
  • B.Cool-Aid
    『BRWN』
  • King Gizzard & The Lizard Wizard with Mild High Club
    『Sketches Of Brunswick East』
  • Soft Glas
    『Orange Earth』
  • Kelela
    『Take Me Apart』
  • Sam Trump feat. SharmonJarmon!
    「Spain」
  • Rapsody
    『Laila’s Wisdom』
  • Ivan Ave
    『Every Eye』
  • Kamasi Washington
    『Harmony Of Difference』
  • Jorge Drexler
    『Salvavidas De Hielo』
  • Leo Minax
    『Trinta』
  • Sergio Zabala
    『Tonadas』
  • Joe Armon-Jones & Maxwell Owin
    『Idiom』
  • 美しい紅葉に彩られた風景や深まりゆく秋の心象に思いを馳せながら、今回もメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲した。
    金・土・日トワイライトタイムの特集は、10/28に5周忌を迎え、カフェ・アプレミディで同日から写真展も開かれる偉大な音楽家テリー・キャリアーを追悼して、「秋の夕暮れのフリー・ソウル」。胸に沁みる珠玉の名曲群を、心からの敬愛の念をこめ選んでみた。
    ニュー・アライヴァルではまず何と言っても、LAの黒人SSWモーゼス・サムニーの『Aromanticism』。文句なしの年間ベストワン候補と断言したいほど愛聴している。ダニエル・シーザーやニック・ハキムを聴いたときにも感じた“フランク・オーシャン『Blonde』以降のソウル・ミュージック”の決定打と言える名盤だ(レーベルはボン・イヴェールからジャミラ・ウッズまでのJagjaguwar)。彼はソランジュやコリーヌ・ベイリー・レイの最新作にも参加していたが、「Lindisfarne」の多重録音カヴァーで注目を集めるきっかけになったジェイムス・ブレイクのような内省と、崇高なエロティシズムを感じさせるハイブリッド・メロウ・ゴスペルで、サンダーキャットやキングのパリス・ストローザーも客演し、ミゲル・アトウッド・ファーガソンも編曲を手がけている。
    2014年のデビューEP『Groove Curse』から「Street Light」をコンピ『Free Soul ~ 2010s Urban-Jam』に収めたジョーダン・ラカイも、よりアーバンながら比較的近いタイプの男性シンガーと言ってもいいかもしれない。オセアニアから渡英した彼がニンジャ・チューンと契約して、モーゼス・サムニーと同日にリリースした『Wallflower』も、メロウでスムースな歌声とシャープかつ繊細なビートに研ぎ澄まされたセンスが宿る推薦盤だ。
    共にLAの良質レーベルであるLeaving(マシューデヴィッド主宰)とAkashikから発表されたBenedekとB.Cool-Aidも好作。これまではデイム・ファンクなどに近いシンセ・ファンク寄りのイメージだった前者は、よりヴァラエティーに富んだアルバム構成となり「Afterglo」を次の『Good Mellows』コンピにもエントリー。ネオ・ソウル×ビート・ミュージック的なメロウネスが心地よい後者は、とりわけ「Teach」がお気に入りだ。
    さらにLA人脈では、Stones Throwからのリリースで知られ来日公演も決まったマイルド・ハイ・クラブと、メルボルンのサイケ・ロック・バンドで根強い人気を誇るキング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードの共演盤が最高。進化するジャズとビート・サウンドの融合にコズミックな感覚も魅力的なThe Breathing Effect、ケンドリック・ラマーのプロデュースやフライング・ロータス/レディオヘッドなどのリミックスでも注目を集めたLAビートの要人Nosaj Thingにも触れないわけにはいかないが、ブルックリンで写真家としても活動してきたSoft Glasの待望のセカンド・アルバム『Orange Earth』にも好感を抱いた。浮遊感あふれるメロウ&ドリーミーな世界観は、親交も深いロマンティック・ムーヴメント×テイラー・マクファーリン、と形容したくなる。
    ブルックリンでは、「Cruel」や「Wonderhow」といった先行曲が気持ちよいことこの上なくフェイヴァリットのGermansのファースト・アルバム『Mary Safo』も心待ちにしているが、革新的な女性ヴォーカルR&Bという観点では、2013年のミックステープ『Cut 4 Me』を機に“ポスト・アリーヤ”と大評判を呼んだケレラが、遂にアルバム・デビュー(多くの作曲にモッキーも関わっている)することも大きなトピックだ。その『Take Me Apart』の日本盤には、僕が大好きで一昨年の暮れにアナログ盤をヘヴィー・プレイした「Rewind」がボーナス収録されるのも嬉しい。
    その他の歌姫では、ジミ・ヘンドリックス「Electric Ladyland」とアラン・トゥーサン「Southern Nights」のカヴァーをそれぞれ気に入っているネイ・パームとリズ・ライト。前者はハイエイタス・カイヨーテのフロントのときより、後者は同じジョー・ヘンリー・プロデュースの名作だった前作より、共にアーシーでしっとりメロウに仕上がっている。そして歌もので最も繰り返し聴いているのは、去年の「Count On Me」もよくかけていたSam Trumpのニュー・シングル「Spain」。同じシカゴの女性シンガーSharmonJarmon! との素敵すぎるデュエットで、クリスマスの季節まで聴き続けたくなるようなピュア・スウィートなラヴ・ソングだ。
    ヒップホップに目を移せば、やはり2017年指折りの傑作だと思うのが、ラプソディーの『Laila’s Wisdom』。名プロデューサーのナインス・ワンダーに見出され、ケンドリック・ラマー『To Pimp A Butterfly』への参加で名を上げた女性MCだが、今作には彼に加え同じTDEのランス・スカイウォーカー、アンダーソン・パークにBJ・ザ・シカゴ・キッドといった精鋭、ミュージック・ソウルチャイルド(大作となったニュー・アルバムも発表されたばかり)にザ・ルーツのブラック・ソート、先日の来日公演が共に素晴らしかったムーンチャイルドとテラス・マーティン(多くの曲でアレンジを担当)もフィーチャーされている。個人的にはアルバムの冒頭、アレサ・フランクリン「Young, Gifted And Black」の歌声で始まったところでしびれてしまったが、ムーンチャイルドのアンバー・ナヴラン歌う印象深いラスト・ソングまで、本当に大充実。敢えて「usen for Cafe Apres-midi」的なハイライトを挙げるなら、ムーンチャイルド「Nobody」のリメイクだろうか。
    またデジタル配信オンリーながら、ジ・インターネットのマット・マーシャンズ(今年の初めに出たソロ・アルバムのアウトテイクだという「28」もよかった)とアトランタのクルーNRKのハル・ウィリアムズ(Stones Throwからはピラミッド・ヴリトラ名義でリリース)によるザ・ジェット・エイジ・オブ・トゥモロウの4年半ぶりとなる新作も到着。シドやスティーヴ・レイシーといったジ・インターネットの面々も顔を揃え、相変わらずの活躍ぶりに頬がゆるんでしまう。
    ニュー・アルバムが待ち遠しいという意味では、ノルウェイのIvan Aveも特筆すべき。KaytranadaとKieferが制作した「Also」は今年の「usen for Cafe Apres-midi」ヘヴィー・ローテイションだが、その後に出たMndsgnとDJ Harrisonの手がけた「Fast Forward」やKieferの手がけた「Running Shoes」、デイム・ファンクとKaytranadaによる「Steaming」も絶品。11/10リリース予定だという『Every Eye』が待ちきれない。こうしたメロウ&ジャジー&ソウルフルな路線では、前回紹介したIll Camille同様、先にサブスクリプション/配信音源で気に入っていたが、ようやくアナログ盤を入手することができた、フィリーからドイツに渡ったフィメイル・ラッパーAkua Naru(Cody ChesnuTTとの「Canary Dreams」が特にいい)も、セレクションに加えている。
    ジャズでは、文句なしにカマシ・ワシントンの新しいミニ・アルバム『Harmony Of Difference』を大推薦。「usen for Cafe Apres-midi」15周年記念コンピ『Music City Lovers』に選曲した「The Rhythm Changes」を始め、前作『The Epic』も最高すぎたが、今回の6楽章からなる組曲も筆舌に尽くしがたい素晴らしさで、ヴァラエティーもトータリティーも抜群。前クールで先行フィーチャーした、カマシ・ワシントンとの関連も深いライアン・ポーターやナターシャ・アグラマしかり、活況なLAシーンの動向からはまだまだ目が離せない。その他では、イスラエル出身のベース奏者アヴィシャイ・コーエンの『1970』がビートルズ「For No One」もカヴァーしたヴォーカル中心のアルバムで印象に残った。ジャズ・ヴォーカルでは、再び現代UKジャズの名プレイヤーが結集し、ノーラ・ディーン「Peace Begins Within」のカヴァー始めジャマイカン・ソウル風味を強めたザラ・マクファーレンもBrownswoodから。トニー・アレンやマーク・ジュリアナ、それにトレヴァー・ローレンス・ジュニアといったドラマーをリーダーとする作品にも触れておこう。
    好盤の入荷が続いているラテン・アメリカ勢は、今クールも50枚以上の新しいCDの封を切ったが、ウルグアイのホルヘ・ドレクスレル、ブラジル・ミナスからスペイン・マドリードに渡ったレオ・ミナックスの新作が届いたばかり。ミナス出身のSSWではフラヴィオ・トリスもなかなかの逸品だった。来日ライヴも話題を呼んだアレシャンドリ・アンドレス絡みの2作、アントニオ・ロウレイロ・コネクションとも言えるセンヘセイタやドゥドゥ・ニカシオもミナスの今を伝えてくれる。やはり来日していたアンドレ・メマーリ関係では、ブラジル×クラシックのアントニオ・メネセスとの共演盤と、共同プロデュースを手がけたネイマール・ヂアスのバッハ集、そしてアンドレ・メマーリとネイマール・ヂアスが客演したモニカ・サウマーゾ。ブラジル・ジャズではECMファンにも薦めたいベンジャミン・タウブキンを中心とするピアノ・トリオ(ミルトン・ナシメント「Cravo e Canela」のカヴァーも)、ボサノヴァ系では61歳のデビュー作となった滋味深いアントニオ・カルロス・タタウを。さらにジュッサーラ・シルヴェイラとヘナート・ブラスによるガル・コスタ・トリビュートも楽しませてもらった。
    アルゼンチンでは、ラ・エンディハのセルヒオ・サバラのソロ・デビュー作が期待通りの仕上がり。アカ・セカ・トリオのフアン・キンテーロやアンドレス・ベエウサエルトもサポートしており、カルロス・アギーレ直系のアコースティックなコンテンポラリー・フォルクローレを堪能できる(チリの旧作ながら、カルロス・アギーレが参加しているアントニオ・レストゥッチの2枚も、秋らしい佇まいに惹かれ今回の選曲で重宝した)。ディノ・サルーシに師事したバンドネオン奏者でありマルチ・インストゥルメンタリスト、サンティアゴ・アリアスを中心とするグループ、ラ・カンゴラ・トルンカも出色。CDしかないインディペンデント盤だが、僕はオープニング・ナンバーの「Africa en Once」をDJプレイしたくて12インチ化を熱望している。
    他にもロンドン出身ながらパリに移住してフランスで人気のベンジャミン・クレメンタイン、もはや風格さえ感じられるようになったマウント・キンビー(盟友ジェイムス・ブレイクも共演)に近作では最も好みだったフォー・テット、フォーキーな風合いならウィル・サムソンやアンジェロ・デ・アウグスティン、そしてブレイク間違いないだろうフィービー・ブリッジャーズ、カマシ・ワシントン/チリー・ゴンザレス/ミシェル・ンデゲオチェロと豪華ゲストが名を連ねるイベイー、ネイチャーな電子音楽にポップな磨きもかかったケイトリン・アウレリア・スミス、復活したアシッド・フォークの妖精リンダ・パーハクス、Western Vinylからのミニマル・アンビエンス×ジャズ・サックスJoseph Shabason、ポスト・ロック×ポスト・クラシカルからよりアンビエントになったBalmorhea、デンマーク発のバレアリック・チルアウト・アンビエントThe Swan And The Lakeに、エクスペリメンタル・アンビエントの伝説的存在Laraaji(プロデュース/ミックスはカルロス・ニーニョ)と、枚挙に暇がない。
    そうそう、チャンス・ザ・ラッパー×インディー・ロックなシカゴの新星Knox Fortuneやデトロイトへの愛情あふれるオマージュに満ちたShigetoも忘れてはいけないが、最後に今後のシーンの行方に注目してほしいという願いもこめサウス・ロンドンから一枚、Joe Armon-Jones & Maxwell OwinのアナログEP『Idiom』を。4ヒーローやフローティング・ポインツを好きな方にもお薦めの、かの地らしいジャズとベース・ミュージックやブロークンビーツのメロウなメルティング・ポット。サウス・ロンドンには今、Jamie Isaac/King Krule/Puma Blue/Tom Misch/Laura Misch/Cosmo Pykeといった若手アーティストが集い、シーンがまさに“胎動”していることを知ってもらえたらと思う。

    Dinner-time 土曜日22:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
    Brunch-time 月曜日10:00~12:00
    Brunch-time 火曜日10:00~12:00
    Brunch-time 水曜日10:00~12:00
    Brunch-time 木曜日10:00~12:00
    特集 テリー・キャリアー5周忌に捧ぐ~秋の夕暮れのフリー・ソウル 金曜日16:00~18:00
    特集 テリー・キャリアー5周忌に捧ぐ~秋の夕暮れのフリー・ソウル 土曜日16:00~18:00
    特集 テリー・キャリアー5周忌に捧ぐ~秋の夕暮れのフリー・ソウル 日曜日16:00~18:00

    カフェ・アプレミディWebsite
    橋本徹(SUBURBIA)選曲の近作コンピCDと橋本徹・編集の単行本
    "Free Soul, Free Mind"で、音楽を聴き続けていきたい。(dacapo)
    いつかかけがえのない記憶になる、心を揺さぶる大切な音楽。(dacapo)
    連載コラム【音楽のある風景】(UNITED ARROWS)
    橋本徹の『Haven't We Met?~Music From Memory』全曲解説(HMV)
    橋本徹の『Free Soul~2010s Urban-Mellow Supreme』座談会(HMV)
    橋本徹の『Good Mellows For Seaside Weekend』対談(HMV)
    橋本徹の『Free Soul~2010s Urban-Jazz』座談会(HMV)
    橋本徹の『Good Mellows For Sunset Feeling』対談(HMV)
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・前編(HMV)
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・後編(HMV)
    橋本徹の『カフェ・アプレミディ オランジュ』全曲解説(HMV)
    橋本徹の『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』対談(HMV)
    橋本徹の“Good Mellows”トークショウ(HMV)
    橋本徹の“Good Mellows”トークショウ(diskunion)
    橋本徹の『Ultimate Free Soul 90s』座談会(UNIVERSAL)
    橋本徹の“Good Mellows”ロング・インタヴュー(Real Sound)
    『Another Selection of Music City Lovers』橋本徹インタヴュー(USEN)
    橋本徹の“Suburbia”~“Free Soul”~“Cafe Apres-midi”~“Good Mellows”インタヴュー(Test Pressing)
    橋本徹の『Free Soul~2010s Urban-Jam』座談会(UNIVERSAL)
    橋本徹の“NEW YORK STORY”インタヴュー(BARNEYS NEW YORK)
    橋本徹の“Good Mellows”トークショウ/DJパーティー(diskunion) 

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本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) 
Yoshiaki Honda
  • Jorge Drexler
    『Salvavidas De Hielo』
  • ウルグアイのSSW、ホルヘ・ドレクスレル待望のニュー・アルバムが秋のセレクションに何とか間に合ったことが嬉しい。1曲目から胸がはずむ素晴らしさ。パーカッシヴでポップだけど捻りの効いた好曲でたたみかけられ、南米らしい小刻みで心地よいビートで楽しませてくれた。新しいホルヘ・ドレクスレルが垣間見えた感じもします。そしてハートウォームなヴォーカルや琴線にふれる美しいメロディ―も相変わらずの良さ。正直なところ、秋や冬を通り越して春にセレクトしたくなるアルバムですが。

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中村智昭 Tomoaki Nakamura
  • Neymar Dias
    『Feels Bach』

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添田和幸 Kazuyuki Soeta
  • Will Samson
    『Welcome Oxygen』
  • 「Seeds」をよくセレクトしていたLAのシンガー・ソングライターMoses Sumneyの待望のファースト・アルバムや、Jordan Rakeiのセカンド・アルバム、何度も繰り返し聴いてしまう今年のベスト・セレクション入り間違いなしのSam Trumpのニュー・シングル、どれをピックするか迷ってしまいますが、個人的に秋になるとついつい手が伸びてしまうイギリス人シンガー・ソングライター、Will Samsonの新譜がタイミングよく届けられたので、こちらをご紹介したいと思います。一週間ほどの短い期間で録音されたそうですが、前作『Ground Luminosity』よりエレクトロニックな部分が薄くなって、よりシンプルにアコースティック主体となった今作。秋にふさわしい穏やかな陽射しに溶け込むような心地よい一枚です。

    Dinner-time 火曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00

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中上修作 Shusaku Nakagami
  • L'Arpeggiata
    『All'Improviso(Ciaccone, Bergamasche & Un Po' Di Follie...)』 
  • さてさて、皆様はクラシック音楽に馴染まれておりますでしょうか。「難しそう」「とっつきにくい」等のイメージがあり、どこから聴いていいのか判らないという方も多いかと思います。そこでオススメなのが古楽。日本ではバッハ等のバロック音楽が有名ですが、中世より更に遡る伝承音楽も古楽の範疇です。この“中世以前”というのが大変に面白い。現代はミクスチャー文化が成熟して、いわゆる「ジャンルレス」な音楽が増えていますが、中世以前の古楽こそ「元祖・ミクスチャー音楽」といえるでしょう。イベリア半島付近を拠点としてインドやイスラム圏、ヨーロッパ各地から文物とともに音楽が入ってきては交配が進んでいく。これは楽譜や文章には示すことができない「口伝」の音楽だったからこそ、なのかもしれません。まずオススメなのがフランスのα(アルファ)レーベルの諸作。天才録音技師、ユーグ・デショーによる自然派録音も聴きどころのひとつ。ECMのファンにも親和性が高いレーベルと思います。

    Dinner-time 水曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00

    古美術 中上

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高木慶太 Keita Takagi
  • Mallu Magalhaes
    『Vem』
  • この夏の決定盤としてリリースされたマルーの新作ですが、空気が乾いた今のシーズンの方が断然相性が良いので、このタイミングで紹介します。この手があったかと膝を打った、往時のオデオンやフィリップスさながらの60sブラジリアン・サウンドで幕を開ける極上ポップ・アルバム。マルーのパートナーでもあるマルセロ・カメーロのプロデュース・ワークとしても最上位にランクされる出来映えでしょう。単なるヴィンテージ回帰でも、アーカイヴの再編集でもなく、ディランをアイドルに育った若き才能がブラジルを再発見するロード・ムーヴィーでも観ているかのようなストーリー性とクリエイティヴィティーに心奪われます。「usen for Cafe Apres-midi」自体が本来持っている「ポップネス」を不意に、かつ最高の形で思い出させてもらいました。

    Dinner-time 木曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00

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FAT MASA
  • Ray Hayden
    『Back From The Raggedy Edge』
  • クレモンティーヌの「男と女」のアーバン・カヴァーのプロデュースで知ったレイ・ヘイデンの名盤。パトリース・ラッシェンのカヴァーも秀逸。めくるめくアーバン・サウンドがちりばめられているが、秋に聴きたくなる「October In London, I Found」。街路樹のある街並みを眺めながら散歩する、そんな何気ない雰囲気がたまらない。洋盤のマッチョなアメコミ風なジャケが気に入らないので、日本盤のジャケが優勝です(笑)。

    Brunch-time 金曜日10:00~12:00

    JOYOUS JAZZ(FM NORTH WAVE)

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三谷昌平 Shohei Mitani
  • Alfa Mist
    『Antiphon』
  • 今回紹介させていただくのはイギリスのニューハム出身のビートメイカー/プロデューサー、アルファ・ミストの2017年作です。2015年のデビューEPのリリース後、トム・ミッシュとのコラボ作品等を経てリリースされた本作は、グライムやヒップホップに刺激を受けながらも、映画音楽を嗜好する彼独特の感性が色濃く出た作品となっています。2017 Autumn Selectionではアルバムのアートワークも手がけたカヤ・トーマス・ダイクをヴォーカルにフィーチャーした「Breathe」をピックアップさせていただきました。彼の持ち味であるストーリー性の強い楽曲で、繰り返されるキーボードの旋律に乾いたサックスと透き通るようなカヤの浮遊感のあるヴォーカルが美しく絡み合う作品です。終盤に奏でられるストリングスとピアノ・ソロもまさに映画のサウンドトラックのようにイマジナティブで印象的です。聴いてみてください。

    Dinner-time 金曜日18:00~22:00

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渡辺裕介 Yusuke Watanabe
  • Jocelyn Media
    『Common Ground』
  • Peet Project
    『The Bad Boys Of Budapest』
  • The Accidentals
    『Odyssey』
  • レコード屋をはじめて約半年。ネット販売をしないので、お店に行かねば買えないという情報を聞きつけて来ていただける全国から海外からのお客様には本当に心より感謝いたします。
    一方、以前に北海道の「usen for Cafe Apres-midi」の選曲美女ジュリさんが、「私の街は、本当になかなかレコードはいろいろな所に買いに行けないので、通販するしかないんですよ」という言葉もずっと気になってしょうがなかったので、「何か解決策を」と考えていました。
    今から28年も前の話ですが、高校生の頃に毎週欠かさず観ていた衛星放送のイギリスのインディーズ番組「トランスミッション」。この番組がなかったら今の僕はなかった思うぐらい、イギリス・インディーズ・ファンのミュージック・ステイションでした。録画ができないので、部活を休んで電気屋さんに行って観ていたぐらい。そんな番組で流れるイギリス・インディーズ・チャートに登場する聴いたことも観たこともないバンドたち。ライドとかラッシュとかペイル・セインツにティーンエイジ・ファンクラブとか。ストーン・ローゼズにノースサイドにシャーラタンズ。今でも衝撃なマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズのインタヴューとか。授業では、ノートを一切取らなかったのに、この時間の知らないバンドの名前をどれだけたくさんノートしたことか(笑)。そして、何といっても重要なのは、今かかっている曲をどれだけ覚えるか(その脳を勉学に使っていれば東大だったか……)。もちろんYouTubeとかない時代なんで。そのあと洋楽の雑誌の広告に載っているレコード・リストをじっと眺める。切り詰めた小遣いで、電話して、注文しつつ、その店主にお話を聞く」。そして、「電話代が高い」と母親からいつも怒鳴られる。毎月この繰り返し。そして一年に一度だけ、青春18切符で大阪まで行き、現物をたくさん見て「これがパステルズのシングルか」とか「これがスミスのオランダ限定のシングルか」とか心で呟いて楽しんでいる暗かった学生時代。「大人になったら絶対集めてやるぞ」とか思いながら。部活(いちおうサッカー部)が終わってヘロヘロになりながら、家路につくと、母親が「今月もラヴレター届いてるよ」と。そんなわけない。それは大量に印刷されたレコード在庫のリスト。新作と店頭にあるリストが数枚にわたって、ちょっとしたコメントと一緒に並んでいる白黒コピーされたレコード・リスト。そんなことをふと思い出し、「そうか、そんな個別のレコード・リストなら……」。街のレコード屋の存在も大切だけど、なかなか買えない音楽ファンも大勢いる。でもできれば、それぞれ皆さんとコミュニケイションが取りたいというか、音楽愛を聞きたいという願望を、これなら叶えられるかもと、ただ今リスト制作中です。Twitterで LIVINGSTEREO_JPから発送しますので、なかなかレコード屋さんに行けない気になる方、ご連絡ください。もうすぐLIVING STEREO RECORDSをスタートし、しばらく7インチ・リリース・ラッシュがはじまります。次回にはお知らせできるはずです。取り急ぎ第一弾は前回ご紹介しました鹿児島のピアノ/ベース/ヴォーカル・トリオのBlack Tapeです。乞うご期待。
    ということを考えながら「usen for Cafe Apres-midi」の深まる秋の選曲。Jocelyn MedinaというNYのローカルで活躍する素晴らしすぎるジャズ・ヴォーカリスト。欧米中近東~インド~アフリカのテイストを全て吸収したワールドでいて違和感のないジャズ・ヴォーカルのアルバム。プロデュースは、ECMで洗練されたピアノを奏でるRobert Levin。特に「Mean To Be」「Second Through」のエキゾティック感は素晴らしいのであります。そしてハンガリーでは有名なジャズ・フュージョン・グループPeet Projectの新作『The Bad Boys Of Budapest』から。BadもかっこいいBadではないダサいBadで、ジャケットもろともBadなのであります。どこまでもかぎりなくアシッド・ジャズな感じがたまらない、今年の名曲にノミネイトしたい「Got This Feeling」は、インドネシアIkkubaruのようなEsperantoが現代にタイムスリップしてきたような感じ。そしてThe AccidentalsのデビューLP『Odyssey』。ネオアコやギター・ポップのようなジャケットで、ずばりそのままなんですが、恥ずかしくも身体に染み渡っている80sの産業ロック感覚を隠すようなネオアコ・バンド。見事なバブルガム・ポップから切ないバラードまで満載で飽きない好内容。といった感じで音楽の秋はまだはじまったばかりです。年間ベスト・セレクション迷うなぁ。

    Dinner-time 金曜日22:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00

    LIVING STEREO
    Instagram:living_stereo_fukuoka
    Twitter:LIVINGSTEREO_JP

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富永珠梨 Juri Tominaga
  • Michael Johnson
    『Ain't Dis Da Life』
  • 高く澄んだ空を窓越しに眺めながら、日がな一日読書にふける週末。そんな秋の休日にぴったりな心安らぐ一枚をご紹介いたします。マーク・ヘンリー『River Song』のプロデューサーとしても知られる、マイケル・ジョンソンのサード・アルバム『Ain't Dis Da Life』。1977年、北の街ミネアポリスで吹き込まれた、心温まるアコースティック・サウンドです。どの曲も、とても味わい深く、魅力的な傑作ばかりなのですが、今回2017 Autumn Selectionに選んだ「Lucky Star」は、何度聴いても色褪せない個人的にも大好きな一曲です。甘美なノスタルジアを感じさせる柔らかなアコースティック・ギターに、そっと寄り添うエレピのしなやかな音色。穏やかに語りかけるようなマイケルのナイーヴな歌声が、深まりゆく秋の風景にしっとりと馴染みます。毎年秋の匂いをふと感じると、思わずレコード棚から取り出したくなる一枚です。

    Brunch-time 土曜日10:00~12:00

    Music City Lovers(mono森音)

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小林 恭 Takashi Kobayashi
  • The Swan And The Lake
    『Clouds』
  • デンマークの新鋭アーティスト、Emil Breumのソロ・プロジェクトThe Swan And The Lake の「Clouds Over Osterbro」は、秋の森の澄んだ空気のような清らかさで、あまりの心地よさに眠りに誘われる一曲です。音数が少ないメランコリックなピアノに、浮遊するシンセ、柔らかで効果的に使われているヴォーカル。ニューエイジ、アンビエント、バレアリックな至福の一曲です。橋本さんのコンピ・シリーズ『Good Melllows』にもよく選曲されているKenneth Bager率いるMusic For Dreamsからのリリースです。

    Dinner-time 土曜日18:00~22:00

    設計事務所 ima(イマ)

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ヒロチカーノ hirochikano
  • Jeanne Michele
    『Douze Fois Par An』
  • Lotte Kestner
    『Covers』
  • 移りゆく季節感にあわせて、今回の選曲は、この時期までキープしておいたお気に入りのフレンチSSWを中心に、秋色を意識したモノトーンでフォーキーなトラックを集めました。そんな中からまず紹介したいのは、どこか懐かしさを感じずにはいられないJeanne Micheleの飾らない唄声と、大好きなピエール・バルーの低音の囁きを想い起こさせてくれたJacques Higelinとの珠玉のデュエット「Je Voudrais Dormir」。他にも、素朴な音創りの中に、オマージュ溢れる歌心を聴かせてくれたLotte Kestnerによるジョン・レノン「Imagine」の好カヴァーなどが心が響きました。

    Brunch-time 日曜日10:00~12:00

    『Music City Lovers ~ Soundtracks For Comfortable Life』リリース。
    17人の選曲家の“今”が聴こえる至福の18曲(dacapo)

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吉本 宏 Hiroshi Yoshimoto
  • Kiev Acoustic Trio
    『Moment』
  • 穏やかな夜の訪れを感じさせる「Night Song」は、ウクライナのキエフ・アコースティック・トリオのピアニスト、パヴロ・シェペタの作品。先だって初来日中のパヴロに会った際に、『BEAU PAYSAGE Pino Noir 2015』のCDブックに選んだ「Night Song」が素晴らしかったことを伝えると、彼はうれしそうに微笑んで、ピアノの生演奏でこの曲を聴かせてくれた。パヴロが繊細なタッチで優しく鍵盤を撫でると、あたりの空気は一瞬で変わり、ロマンティックな旋律が流れ始めた。まるで夢を見ているかのような時が訪れる。演奏が終わったパヴロになぜこの曲が生まれたのかをたずねると、彼は初めての娘が生まれたときに彼女のためにつくったララバイだと教えてくれた。この曲の優しさの秘密は、父親がもつ娘への深い愛情だったのだ。この秋にリイシューされるアルバム『Moment』には不思議な魅力がある。言葉はなくとも"何か"を語りかけてくるこの作品には、聴き手一人ひとりの記憶を呼び覚ますような、たくさんの物語が内包されている。

    Dinner-time 日曜日18:00~22:00

    bar buenos aires
    salon de resonance
    TOTOSK KITCHEN(dacapo)

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高橋孝治 Koji Takahashi
  • The Unthanks
    『Diversions Vol.4 The Songs And Poems Of Molly Drake』
  • Cigarettes After Sex
    「Affection」
  • Briana Marela
    『Call It Love』
  • Iron And Wine
    「Time After Time」
  • Ralph Towner, Gary Burton
    『Matchbook』
  • Ralph McTell
    『You Well-Meaning Brought Me Here』
  • Slapp Happy
    『Slapp Happy』
  • Roedelius
    『Wenn Der Sudwind Weht』
  • Pari Zangeneh
    『The Series Of Music For Young Adults: Iranian Folk Songs』
  • Gordon Haskell
    『Sail In My Boat』
  • J.S.D. Band
    『Country Of The Blind』
  • Shanker
    『Song For Everyone』
  • Bridget St. John
    『Ask Me No Questions』
  • 今回のディナータイム選曲は、前回のコメントで橋本さんも取り上げていたシガレッツ・アフター・セックスやアイアン&ワインの新譜を中心に、しっとりとした秋の風情を感じさせる穏やかな作品を選曲の軸に据えて構成してみました。まずはDiversionsシリーズと銘打って以前にもロバート・ワイアットやアントニー&ザ・ジョンソンズなどのカヴァー・ソングをリリースしていたイギリス出身のアンサンク姉妹によるチェンバー・フォーク・デュオ、ジ・アンサンクスによるニック・ドレイクの母親であるモリー・ドレイクの作品を取り上げた『Diversions Vol.4 The Songs And Poems Of Molly Drake』より、ニック・ドレイクの姉で女優として活動しているガブリエル・ドレイクによる詩の朗読も神秘的な「What Can A Song Do To You?」をオープニングに配し、先頃来日も果たしたグレッグ・ゴンザレスを中心にNYブルックリンを拠点に活動するシガレッツ・アフター・セックスの「Apocalypse」に繋げ、ちょっぴり切ない秋の夜長に優しくフィットする流れを作ってみました。そのシガレッツ・アフター・セックスの2015年に配信でリリースされ、今年に入ってヴァイナル化された「Keep On Loving You」も今回の選曲に取り入れていますが、この作品の原曲は、1967年に結成され未だ現役で活動するアメリカのロック・バンド、REOスピードワゴンが81年にリリースし、バンド初の全米No.1を獲得した大ヒット・ナンバーです。この曲が収録されているアルバム『禁じられた夜 (Hi Infidelity)』もバンドにとって初の(それまで1位だったジョン・レノンの遺作となった『ダブル・ファンタジー』に替わって)全米No.1作品となり、以降15週もの間連続して全米No.1の座をキープし続けた大ヒット・アルバムとなりました。当時中学生だった自分もジャーニー『Escape』やスティックス『Paradise Theater』などと共に(これらの音楽は当時、産業ロックなんて呼ばれていましたね・笑)何度も繰り返し聴いていた大好きな作品なので、身体に沁みついたこの思い出のある曲をシガレッツ・アフター・セックスがカヴァーしてくれたのにはとても感動しました。他には以前「usen for Cafe Apres-midi」の年間ベスト・セレクションにも選出した米シアトル出身のシンガー・ソングライター、ブリアナ・マレラが先の8月にリリースした新譜『Call It Love』から、深い霧の中を導いてくれる仄かな灯りのような「Farthest Shore」などをセレクトしています。
    ディナータイム後半にはアイアン&ワインの新譜『Beast Epic』から、柔らかなギターの爪弾きと控えめなピアノの音色が秋の切なさを優しく癒してくれる「The Truest Stars We Know」を選び、他にもこの新譜からのチョイスではないのですが、マクドナルドのコマーシャル用に制作されたシンディ・ローパーの名曲「Time After Time」のカヴァー作品などもセレクトしています。このコマーシャルはYou Tubeで「McDonald's - Time After Time」と検索すればご覧になることができますので、興味のある方は一度検索してみてください。こちらも秋の切なさをちょっぴり癒してくれる暖かみのある素敵な作品です。
    そして今回のミッドナイト・スペシャルは、ニューエイジやクラウト・ロック、カンタベリーやスピリチュアル・ジャズといったジャンルの作品の合間に、ブリティッシュを中心とした欧州や中東のミスティックなフォーク・ミュージックをちりばめてドリーミーで浮遊感のあるセレクションをしてみました。まずはECMよりリリースされたラルフ・タウナーとゲイリー・バートンの1975年作『Matchbook』より、ラルフ・タウナーの在籍していたオレゴンの1973年作『Distant Hills』の中で発表されていた「Aurora」のセルフ・カヴァーをオープニングに、ブリティッシュ・フォークの名盤から、セプテンバー・プロダクションのサンディー・ロバートンがプロデュースを手がけ、マイティー・ベイビーのイアン・ホワイトマンの奏でるエレクトリック・ピアノの音色が幻想的に響くシェラ・マクドナルドの「Look Over The Hill And Faraway」や、こちらもマンフレッド・マンのマイク・ヴィッカーズによるムーグ・シンセサイザーが幻想的に美しい、ラルフ・マクテルの1971年発表の傑作アルバム『You Well-Meaning Brought Me Here』から「Genesis I Verse 20」をセレクト。そしてブリティッシュ・フィメイル・フォークの至宝と呼ばれるヴァシュティ・バニヤンの伝説の名盤『Just Another Diamond Day』より、メランコリックで美しいワルツ・ナンバー「Timothy Grub」をエントリーしました。次にそのワルツのリズムを引き継ぐ形でフィリップ・グラスやスティーヴ・ライヒなどのミニマリストと呼ばれる作曲家たちに強い影響を与えた盲目の音楽家、ムーンドッグが1977年に発表した『In Europe』より、パイプ・オルガンの響きが神々しい「Chaconne C」や、カンタベリー・ミュージックの歌姫、ダグマー・クラウゼが在籍するスラップ・ハッピーの可憐なワルツ・ナンバー「Slow Moon's Rise」へと続け、カンタベリー系の作品の流れでアプレミディ・クラシックでもある、メロトロンの響きが美しいマッチング・モウルの「O Caroline」に繋げました。そしてDiscogsで検索したら99枚プレスともいわれている原盤が70万円を超える金額で取り引きされていた(笑) カルト・ガレージ・サイケ・バンドのフォーエヴァー・アンバーのドリーミーな「Me Oh My」、クラスター~ハルモニアのメンバーであるローデリウスの牧歌的で美しいアンビエントな電子音楽「Wenn Der Sudwind Weht」をセレクトし、ドリーミーで柔らかな流れを作ってみました。そしてこのドリーミーな流れにミステリアスな要素を加え、さらなる深い夢の世界へと迷い込ませるために、1976年イラン発の辺境ミスティック・フォーク、Pari Zangenehの「Baroun Barouneh」や、イタリアのカンツォーネ歌手であるカテリーナ・カゼッリが1974年に発表した問題作で、プログレッシヴ・ロック・ファンから絶大な人気を誇る『Primavera』より「Una Grande Emozione」を選び、ウェールズのシンガー・ソングライター、エンダフ・エムリンが1972年にWrenレーベルからリリースしたファースト・ソロ・アルバム『Hiraeth』からはタイトル曲でありランディー・ニューマン「Living Without You」のウェールズ語カヴァーである「Hiraeth (Living Without You)」をセレクトしています。
    ミッドナイト・スペシャル後半は、9月に亡くなられたホルガー・シューカイの追悼の意も込めて、アラフィフ世代には三宅一生出演のサントリー・ウイスキー「角瓶」のCMソングとして記憶している人もいるであろう(笑)「Persian Love」をセレクトしてスタート。続けてキング・クリムゾンの「Cadence And Cascade」やサード・アルバム『Lizard』でヴォーカリストを務めたゴードン・ハスケルのファースト・ソロ・アルバムから、ジョナサン・ジェレマイアの作品を彷彿とさせる「Boat Trip」や、同じくクリムゾン一派のマクドナルド・アンド・ジャイルズが発表した1970年唯一作『McDonald And Giles』より彼女を想う切ない心情を歌ったブリティッシュ・フォークの世界観を持つ「Is She Waiting?」をセレクトし、グロッケンシュピールの儚い音色が美しいJ.S.D. バンドによるボブ・ディラン「Don't Think Twice It's All Right」のカヴァー・ソングに繋げて秋の切なさを表現しました。そしてこの辺りから少し霧がかった雰囲気を晴らすためにシャンカールがヤン・ガルバレクやザキール・フセインとの鉄壁の布陣で作り上げた、エスニックな透明感のあるミニマル・サウンドを奏でる「Song For Everyone」を挟み、選曲に爽やかな風を吹かせてみました。その風に乗るように70年代にひっそりとオランダで活動していたサンダウンというフォーク・デュオのライト・ボッサなフィーリングでネオアコ的要素も感じる「Bridges」や、ブリティッシュ・フォークのプライヴェイト・プレスの名盤として有名なヴァージニア・トゥリーのメランコリックで儚い「In My Garden」をセレクトし、さらにペンギン・カフェ・オーケストラの「Air A Danser」で選曲の流れに清涼感も加え、途中に挿入される小鳥のさえずりや教会の鐘の音がヒーリング効果をもたらすブリジット・セント・ジョンの「Ask Me No Questions」や、トルコのニック・ドレイクと呼ばれるBulentが1974年に発表した傑作ファースト・アルバム『Benimle Oynar Misin』より、ガラス細工のように繊細な「Yusunu Dokme Kucuk Kiz」をセレクトし、このドリーミーで浮遊感のあるセレクションを締めました。そしてエンディングにスピリチュアル・ジャズの名盤でありサバービア・クラシックでもあるマリオン・ブラウンの「Vista」が静かに流れ、秋の夜はひっそりと更けていきます。


    Dinner-time 日曜日22:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00

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山本勇樹 Yuuki Yamamoto
  • V.A.
    『nisica × Quiet Corner : fabric 01』
  • 今年の夏の終わりに、nisicaとコラボレイションしたCDブックを作りました。nisicaは友人の三橋有さんと宇賀村英明さんが手掛ける洋服ブランドです。三橋さんとは、以前より「いつか一緒に何か作りたいですね」と話していたので、今回、それが実現したということです。選曲も二人で行いました。同世代ということなのか、共感することが多く、自然とまとまりました。メロウなジャズ・ヴォーカル~ピアノ、フォーキーなシンガー・ソングライター、メランコリックなエレクトロニカなど、実に多彩なラインナップで、とても満足のいく内容になり、Quiet Cornerのシリーズの中でも指折りの一枚だと思います。さらにジャケットは40ページのブックレットを収めた上製本仕様です。ぜひ、手に取っていただければと思います。
    ということで、この秋の選曲も、このCDブックの中からいくつか選んでみました。中でも、ハイライトに挙げたいのは、ジャズ・ハーモニカ奏者、ジュリアン・ジャクソンによる「アルフィー」のカヴァー。Quiet Cornerのディスク・ガイド本でもフィーチャーした、バート・バカラックの名曲で、あえてディスクは選ばず、歌詞だけを掲載しました。きっと、みなさんの中に、自分だけの「アルフィー」があると思ったからです。僕にとって、このジュリアン・ジャクソンのヴァージョンも、その中のひとつです。

    Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00

    bar buenos aires
    Quiet Corner
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・前編
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・後編

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武田 誠 Makoto Takeda
  • Angelo De Augustine
    『Swim Inside The Moon』 
  • 木々が色づきはじめ葉を落としてゆく光景に心地よい郷愁を感じるこの季節は、音楽にも装飾があまり過度に施されていない穏やかで内省的なものを求めてしまう。スフィアン・スティーヴンスが主宰するレーベルからの新作となる弱冠24歳のシンガー・ソングライター、アンジェロ・デ・アウグスティンの『Swim Inside The Moon』は、自宅のバスルームでのレコーディングということで生みだされる独特なサウンドのリヴァーブ感、そしてホセ・ゴンザレスらと同様のガット・ギターの弾き語りによる楽曲のクオリティーの高さとあいまって、まるで過去から発掘されたプライヴェイト・プレスのアシッド・フォーク名盤を思わせる趣き。そのたたずまいは、柔らかな浮遊感に包まれるような懐かしい彩りを秋の風景に与えてくれる。

    Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00

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waltzanova
  • Steely Dan
    『Aja』
  • DJ Harrison
    『HazyMoods』
  • Willie Nelson
    『Stardust』
  • 今回のコメントは、やはりウォルター・ベッカーの訃報について触れなければならないでしょう。僕の最愛の音楽グループのひとつ、スティーリー・ダンの片割れである彼が9月3日に亡くなりました。Blue Note JAZZ FESTIVALでのドナルド・フェイゲン&ザ・ナイトフライヤーズの来日が間近になり、このところ立て続けに出ていた関連本をたくさん読んでいたこともあり、SDについて考えることが多くなっていた矢先の大きな衝撃でした。精神的双生児とも言うべき存在を失ったドナルド・フェイゲンは体調不良となり北米公演をキャンセル、さらには日本で予定されていたBNJFへの出演もキャンセルされ、最終的にはイヴェント自体が中止になってしまいました(泣)。フェイゲンのソロ集大成的なライヴをハマ風に吹かれながらビール片手に聴くことを楽しみにしていたので、残念としか言いようがありませんが、フェイゲンの胸中を思うと、何も言えない気持ちです。僕もそうですが、SDとしての音楽を奏でることが二度とできなくなってしまったことをおそらく誰よりも辛く思っているのはフェイゲンでしょう。死というのは、あるものごとや状態を永遠に不可能にしてしまうことなのだと、僕は痛感します。
    WBの訃報を知った日の夜、スティーリー・ダンや関連作を聴いて過ごしました。『幻想の摩天楼』から『ガウチョ』、そしてDFの『The Nightfly』の4枚のクオリティーの高さには本当に唸らされますが、SDとしての3枚と『The Nightfly』の質感は明らかに異なっています。僕はWBこそがSDを成り立たせていた要因だと改めて感じました。「usen for Cafe Apres-midi」というプログラムの中で、SDの洗練の極み「Deacon Blues」や流麗な「Doctor Wu」、「Gaucho」のインスピレイション源として盗作騒動にもなったキース・ジャレットの「Long As You Know You're Living Yours」などを交え、WB追悼&SDトリビュートとしてみました。
    2017 Autumn Selectionは、前回までの反動なのか、スロウな曲や落ち着いた曲を中心とした構成になりました。キーとなるアルバムを何枚か挙げておきましょう。まずは一時期から外れのないストーンズ・スロウからの2枚の新譜。DJ・ハリソン『HazyMoods』は、J・ディラ以降のビート・ミュージックの最新形という感じで、ここ最近のフェイヴァリットです。A Race Of AngelsことYeofi AndohとGBによるプロジェクト、Steoplesの『Six Rocks』もそれに負けず劣らず素晴らしい仕上がりでした。同じくLAの女性ジャズ・ヴォーカリスト、ナターシャ・アグラマの『The Heart Of Infinite Change』も今年のベスト・セレクション候補。清涼感の中に情感を漂わせるヴォーカルが魅力的です。続けて再発ものも紹介しましょう。名カントリー・シンガー、ウィリー・ネルソンの1978年作『Stardust』は、スタンダード・ナンバーを取り上げた好企画盤。山本勇樹さん監修のQuiet Cornerでも取り上げられていましたよね。プロデュースはブッカー・T、と書くと、「Jamaica Song」好きの方に反応していただけるかもしれません。秋の夜長に聴けば、ジャケットよろしく星のきらめく世界へと思いを馳せられそうです。そして世界初CD化となるスティーヴ・ハイエット『Down On The Road By The Beach』は、1983年に日本オンリーでリリースされていたインストゥルメンタル・アルバム。ファッション・カメラマンとして知られる彼が残した唯一の作品には、ムーンライダーズのメンバーや加藤和彦も参加しています。近年、中古市場で価格が高騰していたので、今回のリイシューはまさに待望と言えます。内容も2017年の今にジャスト・フィット。Good Mellows度数もかなり高い一枚なので、アンビエント~チルアウト系の音が好きな方にもオススメです。どちらもソニーの「AOR CITY 100」という企画でのリリースですが、むしろAORマニア以外に聴いていただきたい2枚です。ということで、黄金色に染まる秋の午後を今回のスウィート&ビターな選曲で心地よくお過ごしください。

    Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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