HOME / Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew (2017年12月26日~2018年1月14日)

Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

  • 2017 Best Selection(12月26日~1月14日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」
詳しい放送内容はこちら

D-03usen for Cafe Apres-midi

作曲家


橋本 徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー)
Toru Hashimoto
  • Moses Sumney
    『Aromanticism』
  • Rapsody
    『Laila’s Wisdom』
  • Luedji Luna
    『Um Corpo No Mundo』
  • Kamasi Washington
    『Harmony Of Difference』
  • Kiefer
    『Kickinit Alone』
  • Bjork
    『Utopia』
  • Thundercat
    『Drunk』
  • Dirty Projectors
    『Dirty Projectors』
  • Luiza Brina & O Liquidificador
    『Tao Ta』
  • Mounika.
    『How Are You?』
  • Reginald Omas Mamode IV
    『Children Of Nu』
  • King Garbage
    『Make It Sweat』
  • Smino
    『blkswn』
  • Joey Bada$$
    『ALL-AMERIKKKAN BADA$$』
  • Salami Rose Joe Louis
    『Zlaty Sauce Nephew』

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富永珠梨 Juri Tominaga
  • Ryan Driver
    『Careless Thoughts』
  • 毎年、それほど悩むことなく「usen for Cafe Apres-midi」のベスト・セレクションの選曲は完成するのですが、今年は思いのほか難航しました。ジャンルを問わず、個人的にグッときた作品がとても多い年だったので(と毎年言っている気もしますが)、欲望の赴くままに選曲をしていくと、依頼されている1時間の尺では到底収まりきらず……。結局、締め切りギリギリまで、あれこれ手を入れ続け、なんとか納品することができました。「果報は寝て待て」という訳ではないのですが、締め切りギリギリまで粘ったおかげで、2017年のベスト・セレクションに、ずっと心待ちにしていた、ライアン・ドライヴァーの新作を、図らずも収録することができました。2014年にリリースされたクインテット名義で吹き込まれたアルバム『Plays The Stephen Parkinson Songbook』が、マイ・フェイヴァリット・アルバムのひとつでもあるので、新作『Careless Thoughts』を2017年のベストワンに選ぶことができてとても嬉しかったです。先行配信でリリースされていた、タマラ・リンデマンとのデュエット曲「It Must Be Dark Tonight」を何度も何度も繰り返し聴きながら、アルバムのリリースを指折り数えていました。「It Must Be Dark Tonight」を初めて聴いたときは、あまりの素晴らしさと、個人的にド・ストライクなサウンド(アコースティック・ギターとほどよいストリングス、ミディアム・テンポ、男女のデュエット)に、しばらく胸の高鳴りがおさまりませんでした。まさに一聴惚れ。ジャケットのアートワークにもシビれました。アルバムを手に入れてからは、寝ても覚めても(入眠導入剤的効果絶大)ライアンばかりを聴いていました。聴いたあとすぐに、この作品のレーベル・プロデューサーでもある橋本さんに「最高です! 2017年のダントツ・ベストワンです!」と思わず熱いメッセージを送ってしまいました。
    柔らかく包み込むようなストリングス、耳の奥を心地よく刺激するヴィブラフォンの響き、語りかけるようなライアンの甘く切ない歌声に、そっと寄り添うピアノとギターの親密な音色。甘美でノスタルジックなメロディーの中に、ちりばめられた美しく繊細なエレクトロニクスと、まろやかなノイズ音とサウンド・エフェクト。先鋭的で洗練されたサウンドの中にも、フォーク・ソングのような素朴な温かさと、古い讃美歌や黒人霊歌のような、清らかな美しさを感じさせる傑作です。寒い冬の休日、ブランケットに包まりながら、温かい飲み物とともに、このアルバムをじっくり味わえたら、どんなに幸せなことでしょう。さらに欲を言えば、そのシチュエイションで、暖炉に揺れる炎なんかを眺められたら、もう言うことなしです。寒い冬を温めてくれる、手触りのいいブランケットのようなこのアルバムを今年のベストワンに選びました。

    毎日8:00~9:00

    Music City Lovers(mono森音)

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吉本 宏 Hiroshi Yoshimoto
  • Mariam Sawires
    『Ahuma EP』
  • 僕にとって理想的な音楽との出会い方はふたつある。ひとつは、録りためたiPodをシャッフルで聴いていて、気分のよい帰り道などに、何度目かに聴いたとき、「あ、この曲いいな」と、その曲のよさに気づいたとき。もうひとつは、好きなバーのカウンターで、マスターとたわいもないおしゃべりをしていて、ふと流れてきた一曲に「これ誰ですか?」と訊いて教えてもらったとき。そうして出会った音楽は、知識や理性や早耳とは関係なく心に響く。Mariam Sawiresの「Why」はまさにそのように(前者)して出会った一曲。2017年もお聴きいただきありがとうございました。

    毎日9:00~10:00

    bar buenos aires
    salon de resonance
    TOTOSK KITCHEN(dacapo)

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山本勇樹 Yuuki Yamamoto
  • Sam Amidon
    『The Following Mountain』
  • 2017年も、2016年以上に豊作だった、という印象が強くありますが、その中でも、純粋に選曲のレパートリーに入れた回数の多いものを選び、60分で組んでみました。「usen for Cafe Apres-midi」に欠かせない、サロン・ジャズ系ではステイシー・ケントが断突でしたが、ポーランドのナタリア・マテオや、スペインのマイテ・アルグアシルといった女性ヴォーカルをプライヴェイトでもよく聴きました。他は、フォーキーなシンガー・ソングライターが充実していて、選出に迷いました。ルーシー・ローズも良い形で復活しましたし、キャサリン・ウィリアムスやアンサンクスといったヴェテラン勢も安定した内容でした。あえて挙げるとすると、サム・アミドンが素晴らしかった。トラディショナルをベースに、独自のフォーマットをさらに昇華させた圧巻の出来映えで、こちらを2017年のベストとさせていただきます。

    毎日10:00~11:00

    bar buenos aires
    Quiet Corner
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・前編
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・後編

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ヒロチカーノ hirochikano
  • C Duncan
    『The Midnight Sun』
  • Teen Daze
    「Waves」
  • Ntjam Rosie
    『At The Back Of Beyond』
  • 「いや~音楽は素晴らしい」。2017年のベスト選曲を何度も聴き返しながら、つくづくそう思える今日この頃です。私は今、極限までに「無駄」を排除し、いわゆる利益だけを追求し続けるビジネス社会の中で生きていますが、こうして音楽を聴いているときだけは、昔懐かしい素敵なこころの感覚が蘇ります。ITがどんなに進化しても、人のこころを素敵に豊かにしてくれるのは、やっぱり音楽であり、友や恋人との美味しいお酒や食事であり、人と人との一期一会だと思います。そして時には効率を無視して損得抜きで、情熱をもって何かに取り組んでこそ人生は楽しいと思えるのではないでしょうか? 人間の本質というものは、そんな一見「無駄」とも思える行為の中にこそ、見いだせるのかもしれません。私の生涯の師匠ピエール・バルーさんは自らの生涯を「スロービズ」と呼び、ひたすら利益だけを追求し、衰退していく今の音楽業界に対して、常に苦言を呈していたのを、この年の瀬にふと思い出す出来事がありました。こうして私が原稿を寄稿していることさえも、ビジネスという点では、「無駄」なことかもしれませんが、僕が感動した音楽が、偶然誰かの知り得ることとなり、花粉のようにまたその感動が広がっていく。そう、僕らはそういう喜びを得たくて、ここに集まったということを、常に忘れずにいたいと思います。
    前置きが長くなりましたのでそろそろ2017年のベスト・セレクションの紹介に移りますが、ここ最近の新しい選曲の方向性を象徴する曲として、C Duncanの「Who Lost」やTeen Dazeの「Waves」、Summer Heartの「I Wanted You To Stay On The Other Side」を、象徴的な流れとしてオーラス3曲に選びましたが、彼らに共通する浮遊感と残像感の奥に間接的にサウドシズモが感じられるサウンド・センスに強く心惹かれました。逆にイントロが流れた瞬間、ダイレクトに心に響いたNtjam Rosieの「Thinkin' About You」は、アプレミディ・クラシック・ファンなら絶対「この曲誰?」的な名曲として挙げさせていただきます。他にもSimone Whiteの「Never Be That Tough」、William Fitzsimmonsの「They'll Never Take The Good Years」なんかも偶然出会った中でのお気に入りのナンバーです。2017年は、自分なりに現在進行形というコンセプトを胸に抱きながら、一切の過去に使った候補曲を捨てて選曲と向き合ってきたおかげで、数多くの新しい名曲と出会えた一年でした。
    最後に、このコーナーが来月より移転すると聞きましたが、これまで長きにわたって、このコーナーを支えてくれた編集制作の皆様に、この場をかりて厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。 Saravah!

    毎日11:00~12:00

    『Music City Lovers ~ Soundtracks For Comfortable Life』リリース。
    17人の選曲家の“今”が聴こえる至福の18曲(dacapo)

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本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) 
Yoshiaki Honda
  • Litto Nebbia
    『Antologia 1971-2014』
  • 2017年に出会った音楽から、「usen for Cafe Apres-midi」でよく選曲した曲を振り返り自分の中のベスト・セレクションを編んでみると、今年は南米の作品に気に入った曲が多かったように思います。アーティストを並べてみると、A Tierra、Angelo Paes Leme、Jorge Drexler、Litto Nebbia、Nahuel Carfi、Nicolas Ibarburu、Pablo Fauazといった素晴らしいラインナップでした。秋ごろからの好リリース・ラッシュも記憶に残っています。
    その他には、再プレスのJudit NeddermannやSSWのRaoul VignalやNico Yaryan。アーバンなところではやはり来日ライヴも観ることができたThundercat、Mocky「Birds Of A Feather」をカヴァーしたMVも好みだったVulfpeck、そしてそのMockyのMoxtapeシリーズ第4弾、フォーキーなところではFleet Foxesや「Regina」を気に入っていたBecca Stevens、11月~12月のリリース中で印象にあるのは当然まだ記憶に新しいNicholas Krgovichのニュー・アルバムでした。
    この中から1枚となるとかなり難しいですが、アルゼンチン音楽シーンの偉人Litto Nebbiaの40年以上にも及ぶ長い軌跡とともに変遷するさまざまなスタイルの楽曲を2枚組のヴォリュームで収めた日本発コンピレイション『Antologia 1971-2014』にします。2017年の新曲でも何でもないですが、バレアリックな「Pelas Madrugadas」などが、心地よい衝撃を与えてくれました。

    毎日12:00~13:00

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高木慶太 Keita Takagi
  • Mallu Magalhaes
    『Vem』
  • ポップ。しばらく忘れていた感覚。ゆえにマルーの新作がこの上なく新鮮に響いた。むしろマルーによって、忘れていたポップネスを取り戻したというのが正しいか。
    ベスト・セレクションの全てがそうではないが、新旧問わず懐古ではない2017年型ポップを感じるものにどうしようもなく心惹かれた一年であった。

    毎日13:00~14:00

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武田 誠 Makoto Takeda
  • Nightlands
    『I Can Feel The Night Around Me』
  • 2017年にリリースされた楽曲の中から、とりあえず購入、選曲に使用したものをずらっと並べ、僕の担当する平日午後の時間帯に寄り添うに相応しい1時間分の曲を選び出し、ベスト・セレクションとして構成してみました。しかし年末年始限定のこの放送、セレクターたちの選曲リレーが駅伝のようで、リスナーとしても聴いていて結構グッと来るところがあるんですよね。僕の区間で後退、なんてことがなければと思います……(汗)。
    今年の1枚となれば、曲単位で聴くことばかりが多かった中でアルバムで楽しめたNightlands『I Can Feel The Night Around Me』をあげてみます。使用されたシンセの機材クレジットが身近に感じられたのもありますが、新しい響きを追求する上での重さや息苦しさのない、ほどよく甘美で心地よいまどろみに包まれるどこか新鮮な80年代的作風に惹かれました。
    あと、私的なことを含め2017年で忘れられない出来事を編集後記のように綴らせていただければ、2月の村上春樹さん『騎士団長殺し』、3月の坂本龍一さん『async』にハマりつつ、そこに感じられたある種の鎮魂感が通奏低音のように身体の中で響いていたことが予兆だったのか、父親が鬼籍に入ったときと同じ年齢を迎えた今年、何かの警告のように救急車~ERのお世話になったこと2回(しかも短い期間で)。人生、一寸先は闇。用心深く、注意深くあることをいろいろなことを含め学ばねば、と改めて考えさせられました。
    というところで2018年も、みなさまの大切な時間に心地よく、そして新しい出会いのある音楽をお贈りできるよう努力していきたいと思います。

    毎日14:00~15:00

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FAT MASA
  • Thundercat
    『Drunk』
  • 尺が短いながらコミカルでテクニシャン的な曲数が多いアルバムの中でも、現在進行形なAORトラック「Show You The Way」が特に素晴らしい。マイケル・マクドナルド、ケニー・ロギンスの両御大に全く引けを取らないサンダーキャットのヴォーカルもベース以上に好きなところです。アナログ盤もリリースされ、10インチ4枚組というのも嬉しかったです。来日ライヴは観逃してしまいました(泣)。ライヴに行った本多ディレクターが羨ましいです(笑)。

    毎日15:00~16:00

    JOYOUS JAZZ(FM NORTH WAVE)

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三谷昌平 Shohei Mitani
  • Alfa Mist
    『Antiphon』
  • 2017年のベスト・セレクション、気がついたらトム・ミッシュ、ローラ・ミッシュ、ジョーダン・ラカイ(出身はニュージランド)等、イースト・ロンドン出身のアルファ・ミスト周辺の作品がほぼ3割を占めていた。PVをみていると、ローカルの狭い人脈の中で作られているのだが、彼らの作る音楽は今、世界中で支持されている。彼らは20代前半から20代半ばなのだが、その洗練されたサウンドにはリリースのたびに驚かされる。良い音楽を良い形で聴いてきた世代なのだろう。音の選び方一つ一つにもまずセンスが感じられるし、1曲の中でドラマティックに展開する作風も、繰り返されるビートに固執してきた我々世代からすると、自由で面白い。今後も彼らの活躍がますます楽しみである。
    2018年も「生きているハンドメイド・チャンネル」として、こうした新しいアーティストたちの作品も紹介しながら、常に「街に愛される音楽」を心掛けていきたいと思います。本年が皆様にとって幸多き年となりますようにお祈り申し上げます。

    毎日16:00~17:00

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渡辺裕介 Yusuke Watanabe
  • Majid Jordan
    『The Space Between』
  • Sleep Elevator
    『Floor One』
  • 2017年も素晴らしいミュージシャンの楽曲にたくさん出逢えたことに感謝。個人的には、LAに行って、次世代の新たな感覚を持った若い世代のレコード屋がたくさんあったことが嬉しかった。過去の音楽はグチャグチャになってひとまとまりになっていて、現在からその時代の音楽を選び聴く。また新しい自分たちのジャンルを作っていく。パンクもプログレもジャズもソウルも一緒なんですよ。なんていい時代だ。と相変わらずジャンルレスに無駄に音楽を聴いている中での年間ベスト・セレクション選曲。M-1(漫才)のように選曲リストから1組ずつ落選していくように選んでいく60分。いやいや12時間でも足りませんよ、今年の名曲。といいつつ、削っていく。気づけばこんな60分。来年7インチをリリースする鹿児島のトリオBLACKTAPEにはじまり、ヨーロッパで話題になってしまったSalvador Sobral、奇跡の帰還The Blow Monkeys、今年最高の泣ける曲 Tom Adams、そして最強のゼロ・ミュージシャンMajid Jordanから、最後はまだまだ無名なSleep Elevatorの名曲「The Elevator」などなど。 我ながら2017年を象徴する曲で無事終了。
    来年もよりボーダーレスな選曲をめざしがんばります。よろしくお願いします。

    毎日17:00~18:00

    LIVING STEREO
    Instagram:living_stereo_fukuoka
    Twitter:LIVINGSTEREO_JP

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高橋孝治 Koji Takahashi
  • Teen Daze
    『Themes For A New Earth』
  • The Japanese House
    「Saw You In A Dream」
  • Shura
    『Nothing's Real』
  • Nite Jewel
    『Real High』
  • Angus & Julia Stone
    『Snow』
  • Cigarettes After Sex
    『Cigarettes After Sex』
  • Parekh & Singh
    『Ocean』
  • C Duncan
    『EP』
  • Bonobo
    『Migration』
  • Hiatus
    『Ghost Notes』
  • 2017年も残すところあとわずかとなりましたが、皆様にとって2017年はどんな年だったのでしょうか? 個人的には久しぶりとなるコーネリアス(小山田くん)や小沢健二くんの素晴らしい新作が発表され、さらにジャパニーズ・ネオアコ・シーンの黎明期に活動していたペニー・アーケードやデボネア、ブリッジにフィリップスといったバンドたちが期間限定で復活し、あの頃と何も変わらないスタイルで再び素晴らしいライヴを披露してくれたので、とても思い出深い年となりました。「青春は一度だけ」というネオアコのキーワード的なフレーズがありますが、2017年はそのフレーズをポケットにギュッと押し込んで楽しく過ごさせていただきました(笑)。しかし一方では悲しい別れというものもあり、故にコーネリアスの作品名をお借りすると(楽しいときも悲しいときも)「あなたがいるなら」という言葉が強く響いた年でした。
    さて、「usen for Cafe Apres-midi」の一年を振り返る恒例の年間ベスト・セレクションですが、今年頭に発表されたティーン・デイズの(フル・アルバムとしては)通算5作目となる『Themes For Dying Earth』(滅びゆく地球)と対をなすアルバムとして制作され、先の11月にリリースされた新作『Themes For A New Earth』(新たな地球)より、朝焼け色に染まる湖面のように幻想的な「Kilika」をイントロに、ロンドン在住の女性、アンバー・ベインによるソロ・プロジェクトであるジャパニーズ・ハウスの2017年リリース作よりメランコリックでどこか寂しげな「Saw You In A Dream」や、今年の選曲においてヘヴィー・ローテイションで何度もセレクトした良質な80sフレイヴァー漂うシュラの「2Shy」、そして新作アルバム『Real High』が通して素晴らしかったナイト・ジュエルのドリーミーな浮遊感が心地よいミディアム・ダンサー「Had To Let Me Go」など、素敵な女性アーティストの作品を続けてスタートしてみました。次にオーストラリアの姉弟ポップス・デュオ、アンガス&ジュリア・ストーンの最新作『Snow』より、大好きなニューヨーク出身のシンガー・ソングライターMatthew Houckのプロジェクトであるフォスフォレセンの作品に似たテイストを持つと感じた「Sylvester Stallone」をセレクトし、今年来日も果たし各方面で話題を呼んだシガレッツ・アフター・セックスのデビュー・アルバムからは「Apocalypse」をエントリーしました。モノクロームの世界で統一されたシガレッツ・アフター・セックスの静謐な流れに続き、アイアン&ワインの最新作『Beast Epic』より、期待を裏切らない安定感のある美しいメロディーが胸を打つ「The Truest Stars We Know」が流れるのですが、古巣のSub Popレーベルからリリースされたことも理由のひとつなのか、今回のアルバムはバック・トゥー・ザ・ベーシックといった感じの弾き語り中心の作品だったので、前回の作品がヴァラエティー豊かな作品だった故に、アルバムのトータル感は少々地味で落ち着いている印象を受けました。そしてウェス・アンダーソンの映画から飛び出してきたようなユーモラスな雰囲気を持つインド出身の2人組(笑)、Parekh & Singhのどこかとぼけた感じの洒脱なタッチで演奏される「Philosophize」や、曲を聴いて感動した後に検索したYouTubeで、Parekh & Singhと真逆なその垢抜けていないルックスにがっかりしてしまった(笑)、C・ダンカンによるコクトー・ツインズの名曲「Pearly-Dewdrops' Drops」の美しいカヴァーなど、アコースティックで爽やかなナンバーを続けた後に、またもや80sフレイヴァー漂うカナダはトロントを拠点として活躍するエレクトリック・ユースのエレポップ・ナンバー「Where Did You Go」をセレクトしました。この作品は彼らが全編の音楽を手がけるデンマーク出身の映画監督ニコラス・ウィンディング・レフン(ライアン・ゴズリング主演の『ドライヴ』や『オンリー・ゴッド』といった作品でハリウッドに進出)の最新作である『Breathing』のために制作されたサウンドトラックからのチョイスです。続いてこのエレクトリックな流れから、イントロでも使用したティーン・デイズの『Themes For Dying Earth』からの「Rising」へと繋げたのですが、この美しい作品はひっそりとした雨の日が似合うメランコリックなナンバーですね。そして昨年末にその存在を知って今年の前半によく選曲に取り入れていたドイツ・ケルンを拠点に活動するマリウス・ラウバーによるプロジェクト、ルーズベルトが2014年にリリースしていたブリティッシュ・フォーク界のレジェンドであるジョン・マーティンの作品をドリーミーなシンセ・ポップでカヴァーした「Small Hours」を挟み、2016年秋にデビューしたロンドン出身の4人組バンド、ムンロ・フォックスの冬化粧をした街のどこか切ない風を感じる「Winter Sweeps The Land」や、「No Reason」という曲のPVで日本の社会現象である「引きこもり」をモティーフにしたことでも話題になったボノボの最新作『Migration』より、Rhyeをフィーチャーした「Break Apart」をセレクトして、2017年のベスト・セレクションはクライマックスを迎えます。そしてアウトロとして今年自分のコメント欄に何度も登場したHiatusというアーティストの「Nobody」を選びました。この作品は2010年の配信オンリーのアルバム『Ghost Notes』からのナンバーです。Hiatusは今年に入って前作から4年ぶりとなる『All The Troubled Hearts』というアルバムや、10月に最新シングルとなる「Crow / Origin Myth」を発表しているのですが、YouTubeで偶然に発見した「Nobody」がとても気に入って、それを機に彼の作品を掘り下げていったので、最新作にも素晴らしい楽曲は多くあるのですが、今年のベスト・セレクションは思い入れのあるこの曲で締めることにしました。
    最後に曲のテイストやチャンネルの基準でこのベスト・セレクションに選ぶことのできなかった作品の中から、2017年の裏ベスト・ソングを発表しようと思いますが(笑)、今年は何と言ってもフィリップスの解散コンサートで販売された、過去にカセットテープなどで発表された音源をリマスターした『Never Say Good-Bye』の中で初めて耳にした、ニュー・サンライズ・カウンティ名義で録音されていた「乾いた風」という作品に尽きると思います。このCDには未発表とクレジットされている「喜びと悲しみ」(これも素晴らしい名曲です)は当時メンバーからテープをもらっていたので、フィリップスの音源はコンプリートしていると思い込んでいましたが、まだこんなに素晴らしい作品が眠っていたことにとても驚きました。この素晴らしい内容のCDは年内に限りメンバーに連絡すると入手が可能だということなので、気になる方はぜひ検索して手に入れてみてください。ひとりでも多くの方とフィリップスの残した素晴らしい作品を共有することができたら、それはとても素敵なことだと思います。そして彼らはMCも含め(笑)、ライヴ・バンドとしても素晴らしいので、近い未来にフィリップスに限らず、ペニー・アーケードやデボネア、そしてブリッジのメンバーに再集結してもらい、最高のライヴ演奏をまた披露してもらいたいですね(笑)。

    毎日18:00~19:00

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中上修作 Shusaku Nakagami
  • Ozan Musluoglu
    『My Best Friends Are Vocalists』
  • 2017年も新旧問わず、ライブラリーの嬉しい新発見があった。新たな音源の発掘、つまり情報源には守秘義務があるのだが、店頭で探索する方法とは違うスリリングさと偶然性が大きく関与するだけに、嬉しい出会いに恵まれたときの嬉しさも一入といえる。今年ピックアップしたのは、トルコ出身で現在はドイツを中心に活躍するジャズ・ベーシスト、オザン・ムスルオウルの4作目となるソロ・アルバム。常々この人にはベーシストとしての才能の他にコンポーザーとしての才能と秀逸なプロデュース能力が具わっている、と書いてきたが、本作を聴くと、より彼の才能に平伏せねばならない。曲ごとに違うヴォーカリストを立てて1枚のアルバムを仕上げる手法は常套だが、非常に高い作曲のクオリティーにそれぞれのヴォーカリストが彩りを添え、「すわ、クインシー・ジョーンズの再来か」と想わせるほど。残酷だが、時代性を鑑みながらこのようなアルバムを織ることができるのは一握りの音楽家にしか許されないのだ。

    毎日19:00~20:00

    古美術 中上

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小林 恭 Takashi Kobayashi
  • Hampshire & Foat
    『Galaxies Like Grains Of Sand』
  • 2017年もたくさんのいい音楽に出会えて充実の一年でした。
    パウ・フィゲレスやジュディット・ネッデルマン、クララ・ペーヤなどのカタルーニャの新世代による音楽や、ハファ・カストロやニナ・ベッケル、ハファエル・ジメネスなどの新たなブラジル音楽、そしてダンス・ミュージックではBeat SpacekやMined、Bathsのアンビエント・プロジェクトGeotic、加えてジジ・マシンの初来日のウェルカム・パーティーでも多く選曲したアンビエント系のメディテイション音楽を何度も繰り返し聴きました。The Swan And The LakeやJoseph Shabason、Hampshire & Foatなど今回のベストにはそのような静かな曲も多く選ばれています。アコースティックもエレクトロニックも関係なく、聴いたとたんに新鮮な感覚が湧き起こる音楽たち。それらをパズルのように組み合わせて選曲できて今年も楽しい一年でした。来年もまたどんないい音楽に出会えるか楽しみでしかたありません。

    毎日20:00~21:00

    設計事務所 ima(イマ)

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waltzanova
  • Kiefer
    『Kickinit Alone』
  • ベスト・セレクションの選曲は3回目を迎えるのですが、「usen for Cafe Apres-midi」のセレクターを務めさせていただくことになってから常に意識しているテーマは、“現在進行形のカフェ・ミュージック”をめざすということです。僕の好きなジャンルはジャズやR&B、ヒップホップといったフィールドを中心としているせいでしょうか、そのあたりのテイストを取り入れつつカフェやショップなどのBGMとして心地よさを保ちつつ、2010年代半ばの先鋭的なフィーリングも醸し出したいと思いながらセレクションを編んできました。
    今年はそれが過去2年に比べ、より実現できたように思います。ということで、2017年を象徴する一枚として、マイ・ベスト・ディスクにはキーファーの『Kickinit Alone』を選びました。ムーンチャイルド(アンバー・ナヴランのソロEPも良かったです)やFKJといった、このチャンネルにフィットするタイプのアルバムもとてもよく聴いたのですが、それに加えて今年はビート・ミュージックの要素を感じさせるヒップホップもヘヴィー・ローテイションでした。その代表格はこのキーファーやDJ・ハリソン、彼と同じくイヴァン・アヴェ『Every Eye』のプロデューサー陣の一人として大活躍したMndsgnといったあたりでしょうか。彼らの手がけた曲はビート・ミュージック以降の発想で作られているので、今までのポップ・ミュージックとは違って、ワン・アイディアで押し切るミニマルな構成のものも多いです。それゆえインタールード的な短さも特徴ですね。ところが、そのビートのねじれ方やサウンド・テクスチャーは聴けば聴くほどハマる中毒性を持っています。そして特筆したいのが、どれも独特のメロウネスを湛えていること。例えばかつてのロイ・エアーズやゲイリー・バーツ、1990年代半ば以降のメロウなヒップホップが持っていたようなフィーリングを現代的に解釈するとこのようになるのではないかと思います。その意味で、まだまだカフェ・ミュージックの枠は広がる可能性を持っているし、その枠を少しでも広げていきたいと思っています。
    セレクションにもう一点だけ触れておくと、ラストに置いたチャールズ・ロイド・ニュー・カルテットの「How Can I Tell You」は、本当に心を慰撫された僕にとって特別な曲です。癒しという言葉はあまり積極的には使いたくないのですが、この曲からは真の意味でのそれを感じました。
    そして、今回で「usen for Cafe Apres-midi」のこのサイトでのセレクター・コメントが終了とのことで、今まで読んでいただいた方には本当に感謝の気持ちしかありません。チャンネルのセレクターを橋本さんから打診されたとき、選曲ができる喜びはもちろんのことながら、偉大な先輩方に混じってコラムが書けると思うと感激もひとしおでした。3年近くの間、自分なりに誠実に向き合いながら書いてきたつもりです(いくつかはすぐに思い出せるものもあります)。これからも音楽に対する愛情を大切に、一曲一曲を紡いでいきたいと思います。

    毎日21:00~22:00

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添田和幸 Kazuyuki Soeta
  • Tornado Walace
    『Lonely Planet』
  • 毎年アルバム単位で愛聴したものをベストに挙げていましたが、今年は一曲入魂。オーストラリアのDJ/プロデューサー、Tornado WallaceのRunning Back盤から「Healing Feeling」をベスト・トラックに選びました。人の誕生から終わりまでを描いたような壮大な世界観を3分47秒に落とし込んだ構成力。快楽的な音の抜き差し。宇宙すら感じる完璧な一曲だと思います。

    毎日22:00~23:00

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中村智昭 Tomoaki Nakamura
  • Everything Is Recorded
    『Close But Not Quite EP』

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Supervised by Toru Hashimoto for Suburbia Factory