HOME / Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew (2017年1月9日~2月19日)

Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

  • 2017 Winter Selection(1月9日~2月19日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」
詳しい放送内容はこちら

D-03usen for Cafe Apres-midi

作曲家


ピエール・バルー追悼

生涯、自らが感動したことだけを純粋に記録し発表し続け、私たちに創作するということの本当の意味を教えてくれたピエール・バルーさん。あなたが残してくれたその精神は、“花粉”となって地球上のあらゆる場所に拡散し、創作を志す人々の心に芽吹き、そして永遠に受け継がれていくことでしょう。
ピエール・バルーさんへの感謝と心からの哀悼の意を込めて“Saravah!”。

hirochikano

橋本徹(SUBURBIA)のピエール・バルー追悼文

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橋本 徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー)
Toru Hashimoto
  • V.A.
    『Good Mellows For Stardust Memory』
  • James Tillman
    『Silk Noise Reflex』
  • V.A.
    『サラヴァ・フォー・カフェ・アプレミディ』
  • V.A.
    『サラヴァ・フォー・カフェ・アプレミディ 2』
  • V.A.
    『モンマルトル、愛の夜。』
  • V.A.
    『サンジェルマン、うたかたの日々。』
  • Tito Cordoba
    『Vaya Nomas』
  • Gaby Echevarria
    『Pintarte』
  • Arthur Verocai
    『No Voo Do Urubu』
  • Silva
    『Silva Canta Marisa Monte』
  • Anat Cohen E Marcello Goncalves
    『Outra Coisa』
  • J.Cole
    『4 Your Eyez Only』
  • Bonobo
    『Migration』
  • Senti Toi
    『How Many Stories Do You Read On My Face』

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本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) 
Yoshiaki Honda
  • James Vincent McMorrow
    『We Move』
  • Nitin Sawhney
    『London Underground』
  • 「usen for Cafe Apres-midi」の2017年のスタート。リスナーの皆さん、選曲者の皆さん、本年もよろしくお願いします。まずは“Winter Selection”からですね。
    冬の選曲でいつも気をつけないといけないと思うのは、あまりに冬のイメージに合わせすぎて、おとなしすぎる選曲にならないようにすること。上がりすぎず下がりすぎず、楽器の音色や全体の冬テイストを意識しながら選曲しました。
    そんな選曲の中で今回ピックアップするのは、James Vincent McMorrowの新作サード・アルバム『We Move』です。以前のイメージよりエレクトロニックでポップで鮮やかな今作ですが、このアルバムのソロ・アコースティック・ヴァージョンのLPが存在することを知ったのは、昨年のブラック・フライデイのレコード・ストア・デイにチャンネル・セレクターの添田さんから聞いたとき。「Rising Water」という曲が好きで、通常ヴァージョンを日曜の12時頃、ソロ・アコースティック・ヴァージョンを金曜の14時に選曲しました。
    それから、新譜ではありませんが、Nitin Sawhneyの『London Underground』もお気に入り。ロンドンの過去・現在・未来を考えながら制作されたアルバムで、ポール・マッカトニーはじめロンドンにゆかりのある多数のアーティストをゲスト・ヴォーカルに迎えた大作です。その中からイモージェン・ヒープが歌う「Bring It Home」などを選曲しています。

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中村智昭 Tomoaki Nakamura
  • V.A.
    『Bar Music 2016 Weaver Of Love Selection』

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添田和幸 Kazuyuki Soeta
  • V.A.
    『Jockey Club Salinas・Ibiza - The Sunset Sessions #4』
  • 今年最初のセレクションはデンマークのMusic For Dreamsレーベル率いるKenneth Bager編集のThe Sunset Sessionsシリーズから、このコンピレイションのためのエクスクルーシヴ・トラック、Laid Backの「Satie」をピックアップ。タイトル通りEric Satieにオマージュを捧げた「Gymnopedies」をダビーに仕上げた一曲。去年の夏に幾度となく針を落とした一枚ですが、聴くたびに明確になって思い浮かぶのは、ひんやりと冷たい冬の情景なのでした。いい曲を聴くとすぐにどの季節にフィットするか考えてしまうのは、一種の職業病なのかもしれません(笑)。


    Dinner-time 火曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00

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中上修作 Shusaku Nakagami
  • Punch Brothers
    『The Phosphorescent Blues』
  • 2017年冒頭に現代のオルタナティヴ・シーンを代表するグループを紹介できるのは幸せなことだ。パンチ・ブラザーズは「紛れもなくオーセンティック」なブルー・グラスを演奏するが、全員が驚異的なテクニシャンであるだけでなく、「間違いなく音楽オタク」なバンドである。ブルー・グラスというと、ネルシャツをルーズに着た白髪ヒゲのサンオジを想起する方が多いと思うが、彼らは皆若くイケメン揃い。そして彼らのCDや演奏を一聴するだけで、貴方は間違いなく彼らのとりこになるだろう。ブルースやジャズ、クラシックまでをミックスできる懐の深さ、それらを具現化できるアレンジ能力。彼らのこれからに期待したい。

    Dinner-time 水曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00

    古美術 中上

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高木慶太 Keita Takagi
  • Senti Toy
    『How Many Stories Do You Read On My Face』

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FAT MASA
  • Tommy Guerrero
    『Loose Grooves & Bastard Blues』
  • あけましておめでとうございます。今年も引き続きよろしくお願い致します!
    昨年出たアルバムも素晴らしかった、トミー・ゲレロの懐かしいアルバムの思い出を少々。「So Blue Its Black」がとにかくお気に入りだった僕が、初めて橋本徹さんと一緒にDJツアー同行した際、トミー・ゲレロのようなかっこいい曲だなぁと思い、ジャケットを見せてもらったら、僕の好きなアルバムであることに驚き、改めて通して聴いた。橋本さんがかけた「In My Head」と「B.W.'s Blues」が新たにお気に入りに増えた。僕が当時、買った音源をサラッとイントロ~中盤を聴いてチェックすることが多かったことを後悔した。
    それからまもなく、「usen for Cafe Apres-midi」の選曲をすることになり、改めて隅々まで曲を聴くきっかけになった思い出の一枚。

    Brunch-time 金曜日10:00~12:00

    JOYOUS JAZZ(FM NORTH WAVE)

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三谷昌平 Shohei Mitani
  • Anna Paceo
    『Circles』
  • 新年、あけましておめでとうございます。
    今年最初にご紹介させていただくのはチャーリー・ヘイデン、リック・マーギッツァ、クリスチャン・エスクーデ、アンリ・テキシェ等との共演でも知られるフランスの女性ドラマー、アンナ・パセオの2015年作から「Sunshine」です。リリカルなキーボードにレイラ・マーシャルのスピリチュアルなスキャットとサックスが絡んでくる美しいナンバー。今回のセレクションでは、同じくスキャットが印象的なブラジル人シンガー、タチアナ・パーハとアルメニア出身のピアニスト、ヴァルダン・オヴセピアンのデュオによる「Hand In Hand / Kaqavik」に繋げてみました。
    今年もどんな音楽に出会えるか、今から楽しみです。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

    Dinner-time 金曜日18:00~22:00

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渡辺裕介 Yusuke Watanabe
  • アラゲホンジ
    「でたらめ神楽」
  • Inga Swearingen
    『Let Me Call This Home』
  • The Pines
    『Above The Prairie』
  • Hotel Lights
    『Get Your Hand In My Hand』
  • 昨年は1964年から1967年のポピュラー音楽を自分なりにいろいろ考察しながら整理してきたので、今年は1970年ぐらいまで幅を広げながら、まだ聴かずのミュージシャンを聴き込む心構えです。
    昨年夏、STEREOの姉妹店STERO COFFEEで夏祭りというイヴェントを開催したときに、常盤響さんと一緒に民謡縛りでDJ選曲。昭和歌謡というのは昔からやっていましたが、民謡はさすがにやったことはなかったのですが、こんなにグルーヴィーで愛おしい音楽なのかと、ほとんど耳にしたことのない世代のお客さんと一緒に楽しめました。追い討ちをかけるように、東北出身の東京で活躍しているアラゲホンジというバンドがこれまた現代民謡ロックで素晴らしいと気づき、日本の音楽に心寄せる珍しい衝動が大好きロック心にも浸透してきました。「The Byrds、こんなに素晴らしかったのか」「The Yardbirdsは在籍ミュージシャンにとらわれすぎてたけど、こんなにかっこよかったのか」とか。ベタなロック名盤本に載っている音楽も後に名盤になったわけで、その時代に素晴らしいと世界が評価した音楽なんてそんなになくて、とか。自分なりにその時代に生きていたと想定しながら自分なりに評価していく楽しみを見出しました(自分勝手ですいません)。クラッシックなロックと民謡は結びつかないのですが、今までに考えたことのない音楽の再評価の視点を、民謡を聴くことによって学ばされました。
    そんな20世紀な気持ちでこの“Winter Selection”の選曲。やはりInga Swearingenの『Let Me Call This Home』というアルバム。様々なアコースティック・テイストで1曲1曲が独立しているほど曲作りのクオリティーが非常に高い、アルバム全体としても何度も聴いてしまうほどの濃厚なアルバム。21世紀のジョニ・ミッシェルと言っても過言ではないですね。そしてThe Pines のLP。透き通るほどの夜空ジャケットに魅せられて購入したのですが、イメージ以上に60年代以降のミニマルなフォーク・ロックで感動しました。デビューから追いかけているHotel Lightsの生活密着なLPジャケット・シリーズ。今作も無駄のない淡々と進む快いアコースティック・ロック。最近は好きなミュージシャンがLPでリリースしてくれるので本当に嬉しいですね。ということで今年も過去も現在もいろいろ音楽探しで忙しくなりそうです。

    Dinner-time 金曜日22:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00

    ドリンクバー凡人会議(RKBラジオ)

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富永珠梨 Juri Tominaga
  • Oh Shu
    『Picture』
  • 新しい一年の始まりですね。今年も「usen for Cafe Apres-midi」を聴いてくださる皆さまが、新春の澄みきった青空のように、晴れやかな気分になれる選曲を心がけていきたいと思います。2017年もどうぞよろしくお願いいたします。
    今回、“Winter Selection” のベストワンには、上海出身・日本育ちのシンガー・ソングライター、王舟(おうしゅう)のセカンド・アルバム『Picture』をセレクトしました。このアルバムは、録音、打ち込み、ミックスまで、王舟がたったひとり自宅で制作した作品です。俗にいう「宅録」ですね。とても個人的なイメージですが、このアルバムからは「宅録」特有の、閉塞的な(モッサリとした)空気をあまり感じません。ほどほどに風通しがよく、そしていい意味で“雑多”な雰囲気を漂わせている印象を受けました。前情報を聞いていなければ、「完全ひとり宅録」だとは、きっと気づかなかったと思います。どちらかというと、才能や個性に満ち溢れた、気の置けない音楽仲間が集まって、わいわいとセッションを重ねながら、制作している風景を想い浮かべました。ジャズ、ボッサ、SSW、ポップ・ミュージック、ダンス・ミュージック、エレクトロニカ、一曲ずつ注目しながら聴いていくと、とにかく様々なジャンルが浮かび上がってきます。こんなにカラフルなサウンドが詰まっているのに、ちっとも“胸焼け”しない不思議なアルバムです。新しさと懐かしさが心地よく入り交じる、斬新で自由なサウンド、シルキーでセクシーな浮遊感のある王舟の歌声。肩肘張らず偏らない、でも実は一筋縄じゃいかない、濃密な個性を内包した世界観に、聴くたびどんどん引き込まれていきます。とにかく、はじめてこのアルバムを聴いた瞬間から、私はすっかり王舟のファンなのです。いつかライヴを観てみたいアーティストの一人です。今回、このアルバムの中から「Roji」と「Port Town」をセレクトしました。鼻の奥がつんとするような、真冬の朝の散歩道がよく似合う、軽やかで親しみやすいジャジーなポップ・ソング「Roji」、樹氷の表面で乱反射する冬の陽射しのように、音の粒がきらきらと弾けるギターのアルペジオが美しい「Port Town」。楽曲の素晴らしさも然ることながら、この作品のもうひとつの魅力は、ジャケットのアートワークにあります。シンプルで力強く、ハッとするほど美しい、この油絵で描かれたジャケットを手がけたのは、韓国のオム・ユジョンという女性イラストレイターです。彼女の絵があまりにも素晴らしかったので、ネットで検索して、他の作品も少し拝見させていただいたのですが、これがまた心奪われる素晴らしい作品ばかりで! 2016年の9月にリリースされた、王舟の7インチ・シングル「Moebius」(B面にはモッキーによるリミックスが収録されています!)のジャケットも、彼女が手がけているのですが、その作品もいつまでもうっとり眺めていたくなるような傑作でした。お話は戻りますが、冬のベストワンに選んだ、この『Picture』というアルバムは、コタツとみかんで過ごす休日の午後にも、ゲレンデへ向かう車の中にも、しっくり馴染む親しみやすい一枚です。みなさんもぜひチェックしてみてください!

    Brunch-time 土曜日10:00~12:00

    Music City Lovers(mono森音)

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小林 恭 Takashi Kobayashi
  • Gaby Hernandez
    『I Will Keep You』
  • 一昨年配信で手に入れたBuild An Arkの設立メンバーとして知られるシンガー、ギャビー・ヘルナンデスがカルロス・ニーニョ、ミゲル・アトウッド・ファーガソンに、カマシ・ワシントン、デクスター・ストーリー等のLAのジャズ・シーンのキーマンたちと作り上げた一枚から。昨年の夏にも何曲か選びましたが、最近アナログ・レコードで購入できたので聴き直してみると、意外と冬にもはまると思い、今回選曲しました。デクスター・ストーリーの作る多幸感あるメロウなファンク・インストゥルメンタルに、のびのびと歌う彼女の歌声を聴いていると、心が和みます。

    Dinner-time 土曜日18:00~22:00

    設計事務所 ima(イマ)

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ヒロチカーノ hirochikano
  • Silva
    『Silva Canta Marisa』
  • 2017年のスタートを飾るこのシーズンからの一曲は、ブラジル新世代注目のアーティストSilvaによるマリーザ・モンチのカヴァー集『Silva Canta Marisa』から「Alinda Lembro」を紹介します。カエターノ・ヴェローゾとジャヴァンを彷彿させる歌声に加えて、どこか懐かしさを感じるエレピのサウンドと粒の揃ったベース・ラインが紡ぎ出すグルーヴ感が心地よくて、思わず何度もリピートして聴きたくなる不思議な一曲です。そういえば、このチャンネルの立ち上げ当時には、70年代~80年代のブラジリアン・クロスオーヴァーの名曲が選曲で数多く使われていましたが、新世代を代表するSilvaのサウンドがそうであるように、一巡した今だからこそ、この手のサウンドが再び街の風景にフィットするのかもしれませんね。

    Brunch-time 日曜日10:00~12:00

    『Music City Lovers ~ Soundtracks For Comfortable Life』リリース。
    17人の選曲家の“今”が聴こえる至福の18曲(dacapo)

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吉本 宏 Hiroshi Yoshimoto
  • Marissa Nadler
    『Strangers』

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高橋孝治 Koji Takahashi
  • Emilie & Ogden
    『10 000』
  • Anna Of The North
    「Baby」
  • Hazel English
    「Never Going Home」
  • Promise And The Monster
    「Time Of The Season」
  • Lily & Madeleine
    「Hourglass」
  • Virgin Suicide
    「Virgin Suicide」
  • Sinead O'Connor
    「Chiquitita」
  • Lianne La Havas
    「Elusive」
  • Rufus Wainwright
    『3・16・04 Hear Music Coffeehouse』
  • Gary Clark
    「Make A Family」
  • The Pretenders
    「Everyday Is Like Sunday」
  • Commotion Upstairs
    『Tomorrow Never Comes』
  • The Man Upstairs
    『Home From The Picnic』
  • V.A.
    『The Whip』
  • デヴィッド・ボウイやプリンス、レミー・キルミスターにダン・ヒックス、そしてレナード・コーエンにグレッグ・レイクなど、2016年はいつになく自分にとって大切な存在であるアーティストの訃報が続いた年でした。当たり前のことなのですが、人は老い、時は流れていくものなのですね。だから2016年から2017年へと年は改まりましたが、今年もこのような悲しい訃報を耳にすることがあるでしょう。しかし幸運なことに、自分は橋本さんと「usen for Cafe Apres-midi」というミュージック・チャンネルのおかげで、選曲という形で自分に影響を与えてくれたアーティストに感謝の意を表することができると思っています。したがって2017年も、自分の中を通り抜けていく全てのアーティストが生み出した素晴らしい作品に感謝する気持ちを忘れずに選曲を心がけていこうと思います。
    それでは2017年の記念すべき一発目になるディナータイム選曲からご説明させていただきますと、まずは2016年のベスト・セレクションの中でも特にお気に入りのナンバーであるセイント・ヴィンセントによるカレン・ダルトンのカヴァー作品、「Something On Your Mind」を冒頭に配置してスタートしてみました。この好カヴァーで披露されるセイント・ヴィンセントの歌声は良い意味でいつもより枯れた感じが表現されていて、オリジナルのカレン・ダルトンが歌う憂いを帯びたハスキーな歌声に近づいているような気がします。そして今年も相変わらず話は選曲の説明から早くも脱線してしまいますが(笑)、カレン・ダルトンにまつわるちょっとしたエピソードをお話しましょう。ジョニー・マーやポール・ウェラーなどが登場する、アメーバ・ミュージックが作成しYouTubeで放送されている『What’s In My Bag ?』という番組があるのですが(番組内容は有名人がレコード・ショップで購入する商品を紹介するというもの)、1970年代から80年代にかけてマリファナとヒッピーを題材にしたおバカで下品な(笑)映画や音楽で人気を博したチーチ&チョンの片割れ、チーチ・マリンが出演した回において、彼がカレン・ダルトンについて驚くべき発言をしていました。それはチーチ・マリンがまだエンターテイメント業界で成功を収める前に、地元カナダのヴァンクーヴァーで音楽雑誌のレヴューを書いていたときにカレン・ダルトンのレコードに出会い、その歌声を聴いた途端にこの世で一番素晴らしい歌声にめぐり合えたと感動し、彼女のことをもっと知りたいと思ったそうです。そしてロサンゼルスに移り住んだときにまた音楽雑誌でレヴューを書く仕事に就き、その雑誌社にカレン・ダルトンにインタヴューしたいとお願いしたそうです。そこで偶然彼女がロサンゼルスのウィスキー・ア・ゴー・ゴー近くに住んでいることを教えられ、彼女の住む家に向かいインタヴューを行ったと言っていました。そしてそのときに話の流れで、当時あるトラブルで住んでいたアパートを追い出されていたチーチ・マリンがカレン・ダルトンの住んでいた家に空いているスペースがあることを聞き、彼女に頼み込んでそのまま半年近くも一緒に暮らしていたというから驚きです(笑)。また、番組の中で進行役の男性が「なぜカレン・ダルトンはフレッド・ニールなどに認められながらも商業的に成功を収めることできなかったのでしょうか?」とチーチ・マリンに問いかけているのですが、彼女はフレッド・ニールや、特にティム・ハーディンから手厚い支援を受けていたにもかかわらず、ドラッグの深刻な問題を抱えており、それが音楽活動に大きな支障をきたしていたと答えていました。事実カレン・ダルトンは1980年代後半にはホームレスのような生活を送るようになり、1993年にアルコールとドラッグによる問題でこの世を去ったという不遇な人生を送りました。しかし今ではいろいろなアーティストにリスペクトされ、近年には未発表だった音源や映像などが多く発見されリリースされるなど、多くの人々に愛される存在になりました。それを証明するかのように、この番組でもチーチ・マリンの一番若い娘さん(当時19歳)がiPodで流していた音楽の中から偶然にカレン・ダルトンの曲が流れてきたと言っていました。そしてそのときにチーチ・マリンが「これってカレン・ダルトンなのか?」と娘さんに聞いたところ、いつもはお父さんにパンチを食らわしているような(笑)娘さんが「なんでお父さんがカレン・ダルトンなんて知ってるの!」と、とても驚いていたそうです。そしてチーチ・マリンはその問いに抜群な笑顔で「だって俺は彼女と一緒に暮らしていたんだからな」と答えたそうなのですが、このシーンはこの番組の一番のハイライトだと思います(笑)。
    と、今年も一発目からいきなり長々と話は脱線しておりますが、2017年のウィンター選曲に話を戻しますと、以前にも言いましたが、2015年のベスト・セレクションで「Feel You」という作品をセレクトし、MOJO誌が選ぶ「2015年のベスト・アルバム50枚」の中で見事1位にも選ばれたジュリア・ホルターの『Have You In My Wilderness』というアルバムを聴いて以来、この作品にテイストが似た女性ヴォーカルの作品を好んで聴いているのですが、次に繋げたエミリー&オグデンや、今のところ配信のみのリリースながら良作を発表し続けているアナ・オブ・ア・ノースの作品などが、そのジャンルでのここ最近のお気に入りです。そしてフランスのエレクトリカルなデュオ、Sajeによる「About You」やイギリスのプロデューサー(トラック・メイカー)Attaqueの「Only You」などのダンサブルな作品を挟み、またもや女性ヴォーカルの作品を続けてセレクトしたのはUKのレーベルMarathon ArtistsよりデビューEPをリリースしたヘイゼル・イングリッシュの「Never Going Home」や、久しぶりの新作を発表したプロミス&ザ・モンスター「Time Of The Season」、インディアナポリス出身の美人姉妹リリー&マデリンの「Hourglass」などで、ディナータイム前半ラストには前回のコメントでも触れた、モーリス・ディーバンクが在籍していたチェリー・レッド期のフェルトにそっくりな最高のサウンドを聴かせるメグ・ベアードの「Back To You」を選びました。
    ディナータイムの後半は、現代版ネオ・アコースティック・サウンドを奏でるヴァージン・スーサイドの青春讃歌「Virgin Suicide」のCDシングルを手に入れて嬉しかったので、それに続いてアリエル・ピンクや、仲真史くんのBIG LOVEからリリースされていたヨット・クラブの作品などを、久しぶりに引っ張り出して繋げてみました。そしてこちらも仲くんのレーベルからシングルを発表したこともあるディビディムの10cc「I’m Not In Love」のテイストを強く感じる「She Turns To Gold」などもセレクトしております。
    そして深夜枠の放送となる2017年一発目のミッドナイト・スペシャルは、2016年に手に入れたCDで印象に残っているものをいろいろとご紹介する、題して「2016年、私の収穫したCDたち」(完全に新年のレコード・コレクターズ誌名物企画、「私の収穫、この1枚」のパクリです)をお贈りしたいと思います。とはいうものの、いつものように長々とお喋りしすぎているので、ここはざっと大まかにそれらをご紹介いたしますと、まずはここ2年くらい探していたシネイド・オコナーのABBA「Chiquitita」をカヴァーしたCDシングルや、こちらも同じように探していた、リアン・ラ・ハヴァスのスコット・マシューズ「Elusive」のカヴァーCDシングルなどがやっと手に入ったので、これらの作品たちを冒頭に配し、ルーファス・ウェインライト・コレクターを自負するわたくしも昨年までその存在を知らなかった、スターバックスが運営するHear Music制作の「3・16・04 Hear Music Coffeehouse」と題された、サンタモニカのスターバックス開店記念で行われたライヴを収録したアルバムより、アコースティック・ギター一本で「僕はジョン・レノンやレナード・コーエンにはなりたくない。ただ父さんみたいになりたいだけなんだ」と歌われる「Want」を選び、同じくライヴ演奏においてこちらもアコースティック・ギター一本でブルー・ナイルの名曲「Saturday Night」を歌い上げる、ダニー・ウィルソンのゲイリー・クラークが1993年にリリースした作品も、昨年初めて知って手に入れたのでセレクトしてみました。他には1995年に制作されたプリテンダーズのモリッシー「Everyday Is Like Sunday」をカヴァーしたプロモ盤シングルなども昨年捕獲した嬉しい1枚ですね。2016年にリリースされた発掘音源ではドイツのファイヤーステイション・レベールからリリースされたコモーション・アップステアーズとマン・アップステアーズの未発表音源満載のCDが最高だったので、ミッドナイト・スペシャル後半はネオアコ色を強めて、こちらも初CD化が嬉しかったトゥワ・トゥーツの前身ユニット、サラ・ゴーズ・ショッピングの「Summer Blues」や、ドリー・ミクスチャー周辺のバンド、ア・ショート・コマーシャル・ブレイクの「Unbeatabix / Bran Flakes」などを選んでお贈りいたしております。このア・ショート・コマーシャル・ブレイクというバンドについて少しご説明いたしますと、ヴォーカリストのChristiane Kistnerが1982年頃キャプテン・センシブルの彼女だったので、そのキャプテンのバックアップによって当時イギリスで流れていたコマーシャル・ソングをレパートリーに数回ライヴを行うも、レコードなどのメディアは一切制作しておらず、一度ジョン・ピールのラジオ番組に出演したことがあるだけという、自分の中ではカルトで謎のバンドでした。しかし昨年ひょんなことから入手した1993年リリースのコンピレイションCDの中に、そのラジオ出演時に演奏された4曲のうちの1曲が収録されていたのでとても驚きました。しかもそのコンピレイション盤がポジパン(ポジティヴ・パンク)やゴスのバンドばかりを集めたものだったので、この音源だけがセレクションの中で浮きまくっていたのでさらに驚いたのですが、ポジパンやゴスのコンピレイション盤ゆえに、このCDのジャケットには上半身裸の男性が女王様に鞭で打たれている写真が使われております。したがってこのジャケットをこの場に掲載するにあたり、当然のように「usen for Cafe Apres-midi」が築き上げてきたイメージを崩してしまいますので、関係者の皆様にはわたしのダラダラとした長文コメント同様、多大なるご迷惑をおかけすることを心からお詫び申し上げます。
    橋本さん、新年早々こんなジャケットを掲載してごめんね……(泣)。

    Dinner-time 日曜日22:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00

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山本勇樹 Yuuki Yamamoto
  • Flo Morrissey And Matthew E. White
    『Gentlewoman, Ruby Man』
  • あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。さて、新年一発目は、“現代のアル・クーパー”こと、70年代のブルー・アイド・ソウルをアップデイトしたようなサウンドを構築するマシュー・E.ホワイトをご紹介。Quiet Cornerのディスクガイド本にはファースト・アルバムの『Big Inner』を掲載し、その後の『Fresh Blood』も最高ですが、ナタリー・プラス(こちらは現代のジャッキー・デシャノン)とのコラボでも知られ、プロデューサーとしても活躍中です。今までも、ここぞとばかりに、選曲してきた彼の楽曲は、グルーヴィーなジャズ・ヴォーカルやソフト・ロックあたりと並べると、気持ちよく映えるんです。そんな彼の届いたばかりの新作(なんとフロー・モリッシーとのコラボ!)から、リトル・ウィングスの「Look At What The Light Did Now」のカヴァーを選びました。この曲はファイストもカヴァーしていましたが、やはりこういうセンスがいいですね。ちなみにアルバムでは他に、フランク・オーシャン、ジェイムス・ブレイク、ロイ・エアーズ、レナード・コーエン、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、シャルロット・ゲンスブールも取りあげています。これは話題になること間違いなしですね! それでは2017年もたくさんの素晴らしい音楽をみなさんにお届けできればと思います。

    Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00

    bar buenos aires
    Quiet Corner
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・前編
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・後編

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武田 誠 Makoto Takeda
  • Kele Goodwin
    『Hyms』
  • 冬は嫌いじゃないし、冬の寒さを想像して選曲するのはどちらかというと好きなくらい(というか、そういうタイプのレコードばかりが部屋に多いのかもしれませんが)。爪弾くようなギターの弦の響きから冬の張りつめた澄んだ空気を思うように、やはりこの季節はシンガー・ソングライター系の楽曲が多くなります。ピーター・ブロデリックなどでお馴染みのポートランドのレーベルHUSHから2010年にリリースされた、ケール・グッドウィンの『Hyms』。アラスカ州ジュノーにも住んでいたという彼の声とギターから紡ぎだされる歌に耳を傾けていると、自然と溶けあった静かで穏やかな美しい冬の風景が目の前に広がるよう。
    今回の“Winter Selection”は、ひとり静かに本のページを繰る方、静かに会話をかわす男女――そんなカフェでたたずむお客さまを、冬の午後の柔らかな陽射しの中の風景に閉じこめるような思いで、選曲にたずさわってみました。

    Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00

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waltzanova
  • V.A.
    『Born To Be Blue:Original Soundtrack』
  • 「usen for Cafe Apres-midi」の選曲をさせていただくようになってから、セレクターの方とイヴェントなどでお会いすると、やはり選曲についての話をすることが多くなりました。もちろん、最近買った新譜や締めきりの話といったところから始まり、プログラムの構成や世界観というところまで話が及ぶことも少なくありません。皆さんの話を聞いていると、音楽に対するその知識と愛情にいつも感心させられ、敬服させられることばかりなのですが、そんな中で共通して出てくるのは、音楽で心象風景を描いているのだということ。考えてみれば、それは僕が音楽を好きになった10代前半の頃からずっと続けていることだったりします。曲を素材にして、何時間かの物語やタペストリーを織り上げる感覚。セレクターになって2度目の新年を迎えた“Winter Selection”、少しはグラデイションや陰影のつけ方が上手になったようにリスナーの方に感じていただけるといいのですが。
    チェット・ベイカーの伝記映画『Born To Be Blue』(邦題は『ブルーに生まれついて』)を先日観てきたのですが、そこで流れていた「Over The Rainbow」がとても印象的だったので、今回の1曲として選びました。もちろん、映画のタイトル曲と言うべきなのはチェットという人物のエッセンスを見事に自分のものにしていたイーサン・ホークが歌う「I’ve Never Been In Love Before」や「Let’s Get Lost」なのでしょうが。映画ではちょっと切ないシーンでかかるのですが、デヴィッド・ブレイドのこのヴァージョンが持つ、虹の向こうに希望のかけらを見るような感覚や、もう失われてしまったものをそれでも追い求めるような感覚に、僕はじーんとしてしまいました。暖炉の残り火の温もりにも似たそれは、人が生きていくうえでかけがえのないもののように思えますし、それを味わいながら、人は人生の後半を生きていくのだろうな、といったことも考えてしまいました。新年からしんみりしたムードの文章になってしまいましたが、選曲の方はしっとりとした曲から冬の澄んだ空を思わせる曲、心がふっと軽やかな気分になる曲などを配しています。2017年が良い年でありますように。そして今年もどうぞよろしくお願いします。

    Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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Supervised by Toru Hashimoto for Suburbia Factory