HOME / Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew (2017年4月3日~5月21日)

Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

  • 2017 Spring Selection(4月3日~5月21日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」
詳しい放送内容はこちら

D-03usen for Cafe Apres-midi

作曲家


橋本 徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー)
Toru Hashimoto
  • Gigi Masin
    『Gigi Masin For Good Mellows』
  • Dirty Projectors
    『Dirty Projectors』
  • Thundercat
    『Drunk』
  • Drake
    『More Life』
  • Smino
    『blkswn』
  • Wayne Snow
    『Freedom TV』
  • FKJ
    『French Kiwi Juice』
  • Gustavo Spinola
    『Mares,Rios』
  • Litto Nebbia
    『Antologia 1971-2014』
  • Omar Sosa & Seckou Keita
    『Transparent Water』
  • Chocolate Genius Inc.
    『Truth vs Beauty』
  • Jeb Loy Nichols
    『Country Hustle』
  • Julie Byrne
    『Not Even Happiness』
  • Laura Marling
    『Semper Femina』
  • Luiza Brina & O Liquidificador
    『Tao Ta』
  • Salami Rose Joe Louis
    『Zlaty Sauce Nephew』
  • 春の訪れを祝福するような気持ちで、今回もメロウ&グルーヴィーな心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲した。
    金・土・日トワイライトタイムの特集は、3/13に80歳で亡くなった偉大なプロデューサー、ミスター・ソフィスティケイションの異名もとるトミー・リピューマ追悼セレクション。A&M~Blue Thumb~Warner/Reprise~Horizon期を中心に、半世紀にわたる輝かしいキャリアから、ジャジーなメロウネスと都会的なグルーヴを併せもつ彼の手がけた名作を集めてみた。やはり2/23に77歳でこの世を去った、ミスター・メロウネスことレオン・ウェアの追悼セレクションは、現在制作中のコンピレイションCD『Free Soul. the classic of Leon Ware & His Works』と「usen for Free Soul」の方でお届けしようと思っている。
    マイ・コンピでは、待望の来日公演も楽しみすぎるイタリアの生ける伝説であり名アンビエント・プロデューサー、ジジ・マシンのキャリア集大成ベスト盤『Gigi Masin For Good Mellows』がライヴに合わせたタイミングでリリースされるが(僕は『美しき音楽のある風景~素晴らしきメランコリーのアルゼンチン』をコンパイルして、カルロス・アギーレが初来日した2010年の再来のような気分で、胸の高鳴りを抑えることができない)、前回のしめきり直後に出たダーティー・プロジェクターズとサンダーキャットの2枚を交互に繰り返し聴いていたのがずいぶん前に思えるほど、ニュー・アライヴァルも傑作ラッシュだ。
    特にヒップホップは豊作で、まずはドレイクの『More Life』。彼のインターネット・ラジオで流す曲がすべて自分の新作だったらという遊び心あふれるコンセプトの(アルバムでなく)プレイリスト、という趣向からして最高。フィーチャリング・アーティストの並びが冴えているし、ポップな新境地も素晴らしい。ノーネイムとの共演も嬉しいスミーノの「Amphetamine」は、最近のNo.1と言いたくなるくらい気に入った名曲。アルバム通しても愛聴していて、やはり今年もチャンス・ザ・ラッパー周辺から目が離せない。曲単位でなら、まもなく到着のニュー・アルバムからの先行カット、ジョーイ・バッドアス「Land Of The Free」もかなり好み(メッセージも必聴)。さらに、全編セルフ・プロデュースのオディシーの2年ぶりラップ・アルバム『The Iceberg』、ジャイルス・ピーターソンも絶賛していたStones Throwからの『Rap Album One』に優るとも劣らない西海岸の白人ラッパー/ビート・メイカーのジョンウェインによる『Rap Album Two』、“フューチャー・バウンス”を標榜する若き才能ゴールドリンクのメジャー・デビュー作『At What Cost』(ジャズミン・サリヴァン/ケイトラナダ/スティーヴ・レイシーらもサポート)、ケンドリック・ラマーやローリン・ヒルも讃える新世代女性ラッパーでSiRやシド(トラックの重複のため彼女の『Fin』には未収録となっていたスティーヴ・レイシー制作の「Treading Water」も『Steve Lacy’s Demo』好きの僕にはジャスト・ミート)も参加しているリトル・シムズの『Stillness In Wonderland』も聴き逃せない。もちろんリード曲の「Bahia Dreamin’」が死ぬほど好きだったカリーム・リギンスの新しいビート集も。
    歌ものなら、5月リリースの楽しみな新作『Voyager』からいち早くフィーチャーしたムーンチャイルド「Cure」も素敵なメロウ・ジャムだが、遂に登場した“ナイジェリアのディアンジェロ”ことウェイン・スノウ『Freedom TV』を大推薦したい。僕はまさにディアンジェロを思わせる「Rosie」を昨年出た12インチでヘヴィー・プレイしていたが、Max Graef周辺との交流が効いているだろう浮遊感に満ちた黒いビートダウンや、ロウでソウルフルでグルーヴィーなアーバン・ブレイクスを中心にした多彩なヴォーカル・アルバムで、2000Black~Eglo~RSIといったレーベルに通じる漆黒かつモダンな輝きを放っている。一方で、心地よく洗練されたグルーヴと洒落たフィーリングで人気を集めそうなのが、フランスのDJ/プロデューサーFKJの『French Kiwi Juice』。僕は彼の主宰するレーベルRoche Musiqueクルーの動向を欠かさず追ってきたが、そのサンプリングやヴォーカル加工のセンスを生かしながら、よりメロウでセクシーでエレガントに仕上げたこのファースト・ソロ・アルバムは、フレンチ・ハウス~R&Bの枠をこえて、多くのリスナーにアピールするような気がする。新しいアルバムでも相変わらず快調にとばしているなと感じたタキシードのファンなどは、どう反応するのだろうか。そして次世代R&Bの星カリードや、アンダーソン・パーク好きも気にしてほしいドイツJakartaレーベル経由のオーティス・ジュニア&ドクター・ダンディフ、ロバート・グラスパー/ビラルを始め豪華ゲストが客演したジェフ・ブラッドショウの実況録音盤も要チェックだ。
    ブラジルに目を移すと、最も推したいのはノヴォス・コンポジトーレスの新星、サンパウロのSSWグスタヴォ・スピノーラの『Mares,Rios』。タイトル通り自作/カヴァー共に海と川が歌詞に登場するレパートリー、素晴らしく親密な歌声と歌い口、アコースティック&ジャジーな質感が絶品だ。女性SSWなら、ジャズ・ピアノのトリオ演奏をバックに歌うカリーニ・アギアール『Organic』、2016年作ながら聴き逃していたブラジル音楽とムビラ/コラなどのアフリカ~イベリア~アラブの要素が溶け合うナターシャ・レレーナ『Canto Sem Pressa』(ジャキス・モレレンバウムやアンドレ・メマーリも参加)、日本盤が出たトノの女性ヴォーカリストで夫のベン・ジル(ジルベルト・ジルの息子)がプロデュースを手がけたアナ・クラウジア・ロメリーノの2015年作『Maeana』あたりだろうか。アルゼンチン音楽の偉人リト・ネビアのアンソロジーが、『Gigi Masin For Good Mellows』のライナーを書いてくれたChee Shimizuの監修でリリースされたことも付け加えておこう。
    アフロ・キューバン・ジャズの雄と言っていいだろう名ピアニスト、オマール・ソーサがコラ奏者のセック・ケイタと共演した『Transparent Water』も期待に違わぬ素敵なアルバムだった。キューバと言えば、エラ・フィッツジェラルド/ビリー・ホリデイ/エリカ・バドゥに影響を受けたというダイメ・アロセナの、Brownswoodからの第2弾『Cubafonia』は、共同プロデュースにデクスター・ストーリーを迎え、弦アレンジはミゲル・アトウッド・ファーガソン。パナマ生まれカリフォルニア育ち、そしてNYダウンタウン・シーンの伝説でありネオ・ソウル期にも支持されたチョコレイト・ジニアス(マーク・アンソニー・トンプソン)が、自らすべての楽器を多種録音した『Truth vs Beauty』が、フランスNo Format!から発表されたのも嬉しい。同じくヴェテランと言えるだろう、現代の吟遊詩人ジェブ・ロイ・ニコルズの『Country Hustle』が、自然体かつハイブリッドにカントリー~レゲエ~ダブ~フォーキーが一体となった唯一無二の素晴らしさだったことも、特筆しておきたい。
    ジェブ・ロイ・ニコルズやチョコレイト・ジニアスだけでなく、他にもフォーキーな肌触りの好盤は多かった。ヴァシュティ・バニヤン~ジョニ・ミッチェル好きに薦めたい女性フォークならジュリー・バーン。前作でもジョニ・ミッチェルの再来と話題を集めたイギリスのSSWローラ・マーリング。ビョークも注目するアイスランドの若き女性SSWとして、JFDRの名も挙げておこう。男性アーティストでは、カリフォルニア出身のCameron Lewによるソロ・プロジェクトGinger Rootのほのかにソウル・フィール香る70年代SSWテイストが良かったが、1980年のファースト『Crazy Rhythms』が我が青春の一枚の(「Original Love」という曲も)、結成40周年を迎え6年ぶり6枚目にして再結成後の第2作を届けてくれたフィーリーズにも、(内容も良くて)感激した。そうそう、こちらも懐かしくて胸が疼く、ステレオラブを思わずにいられなかったレティシア・サディエール・ソース・アンサンブルにも。
    そして最後に忘れてはいけない、サラミ・ローズ・ジョー・ルイスの新作発表に歓喜。ちょうど去年の今頃に届いた前作や、それ以降に公開された珠玉の名曲群も併せて、アプレミディ・レコーズ(そういえばルイーザ・ブリーナの素晴らしすぎるアルバム『Tao Ta』はもう聴いていただけましたか?)で彼女のキャリアを網羅した日本盤CDを作れないかと、担当ディレクターと企画を進めているので、ぜひ実現を祈っていただけたらと思う。

    Dinner-time 土曜日22:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
    Brunch-time 月曜日10:00~12:00
    Brunch-time 火曜日10:00~12:00
    Brunch-time 水曜日10:00~12:00
    Brunch-time 木曜日10:00~12:00
    特集 Cafe Apres-midi Tribute To Tommy LiPuma 金曜日16:00~18:00
    特集 Cafe Apres-midi Tribute To Tommy LiPuma 土曜日16:00~18:00
    特集 Cafe Apres-midi Tribute To Tommy LiPuma 日曜日16:00~18:00

    カフェ・アプレミディWebsite
    橋本徹(SUBURBIA)選曲の近作コンピCDと橋本徹・編集の単行本
    "Free Soul, Free Mind"で、音楽を聴き続けていきたい。(dacapo)
    いつかかけがえのない記憶になる、心を揺さぶる大切な音楽。(dacapo)
    連載コラム【音楽のある風景】(UNITED ARROWS)
    橋本徹の『Haven't We Met?~Music From Memory』全曲解説(HMV)
    橋本徹の『Free Soul~2010s Urban-Mellow Supreme』座談会(HMV)
    橋本徹の『Good Mellows For Seaside Weekend』対談(HMV)
    橋本徹の『Free Soul~2010s Urban-Jazz』座談会(HMV)
    橋本徹の『Good Mellows For Sunset Feeling』対談(HMV)
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・前編(HMV)
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・後編(HMV)
    橋本徹の『カフェ・アプレミディ オランジュ』全曲解説(HMV)
    橋本徹の『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』対談(HMV)
    橋本徹の“Good Mellows”トークショウ(HMV)
    橋本徹の“Good Mellows”トークショウ(diskunion)
    橋本徹の『Ultimate Free Soul 90s』座談会(UNIVERSAL)
    橋本徹の“Good Mellows”ロング・インタヴュー(Real Sound)
    『Another Selection of Music City Lovers』橋本徹インタヴュー(USEN)
    橋本徹の“Suburbia”~“Free Soul”~“Cafe Apres-midi”~“Good Mellows”インタヴュー(Test Pressing)
    橋本徹の『Free Soul~2010s Urban-Jam』座談会(UNIVERSAL)
    橋本徹の“NEW YORK STORY”インタヴュー(BARNEYS NEW YORK)
    橋本徹の“Good Mellows”トークショウ/DJパーティー(diskunion) 

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) 
Yoshiaki Honda
  • PREP
    『Futures』
  • Jens Lekman
    『Life Will See You Now』
  • 最近のニュー・リリースの中で、春にふさわしいと思う作品を2枚だけ選んで紹介します。
    1枚目は、昨年のベスト・セレクションで挙げたPREPの『Futures』。新曲やリミックスを3曲追加して計7曲で、ようやくCDでもリリースされました(祝)。メンバーそれぞれヒップホップ・プロデューサー、クラシカル・コンポーザー、ハウスDJ、シンガー・ソングライターという経歴で、有名アーティストのサポート・メンバーで構成されている注目のブルー・アイド・ソウルなバンドです。そのサウンドは素晴らしくメロウ&グルーヴィーでほどよくエレクトリックでどこか懐かしい普遍的な魅力を放っています。何よりメロディーがすごくイイ! ヴォーカリストの特徴的な歌声もだんだんとクセになります。フル・アルバムが待ち遠しいですね。
    2枚目は、北欧ポップスの天才シンガー・ソングライターの一人、スウェーデン出身のイェンス・レークマンの4年半ぶり通算4枚目のアルバム。「usen for Cafe Apres-midi」的にトピックなのは、EBTGのベン・ワットとトレイシー・ソーンが何人かの共同プロデューサーと共に参加していることで、それだけでちょっと気になってしまいます。今までよりもさらに音楽の幅を広げ、ディスコ、カリプソ、サンバ、ボサノヴァの要素をポップス・フィールドに取り入れた意欲作で、爽やかでハッピーなナンバーが、まさにこれからのシーズンにぴったりはまります。
    春はこんな2枚でいかがでしょうか。木曜日~日曜日のランチタイム~ティータイム(12時~16時)に織り交ぜて選曲しているので聴いてみてください。

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

中村智昭 Tomoaki Nakamura
  • Sampha
    『Process』

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

添田和幸 Kazuyuki Soeta
  • FKJ
    『French Kiwi Juice』
  • 今回のSpring Selectionでは待ちに待ったフランスのプロデューサー/マルチ・プレイヤー、FKJことFrench Kiwi Juiceのファースト・アルバムをピックアップ。先行で公開された「Skyline」がPVともに素晴らしい個人的には上半期ベスト・トラック確定の一曲ですが、アルバム全編浮遊感に満ちた春に心地よい風を運ぶ一枚。今回は彼が主宰するRoche Musiqueの音源や、手がけたリミックス等もたっぷりと収録していますので、ぜひチェックしてみてください。

    Dinner-time 火曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

中上修作 Shusaku Nakagami
  • Laurent De Wilde
    『Over The Clouds』
  • かつてはアコースティックなピアノ・トリオを率いて日本でも人気の高かったフランス人ピアニスト、ローラン・ド・ウィルド。いつしかエレクトリック・サウンドを取り入れて往年のファンからは白眼視されてしまったが、現時点で最新作の2012年にリリースされた本アルバム、アフリカン志向でかなりファンキー。時代の波に乗っていた彼も50代の半ばを越えて、いよいよ深みのある表現に目覚めたのかもしれない。ここでは「Fe Fe Naa Efe」を取り上げたが、大地を踏みしめるようなピアノに絡みつく、アイラ・コールマンのエレクトリック・ベース、ドラムのクラレンス・ペンのリズムが最高に気持ちよい。心浮き立つ季節の反面、花粉症に悩まされるこの時期。「女性を口説くのも飽きたよ」といわんばかりのジャケットの彼の容貌を思いつつ、脂の乗ったプレイでパワー・チャージします!

    Dinner-time 水曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00

    古美術 中上

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

高木慶太 Keita Takagi
  • Sergio Perere
    『No Chilla Viamao』
  • このチャンネルの本来の方向性とは異なるかもしれないが、担当する8時間という長丁場を平板なものにしないために、耳当たりの良さに隠されたある種の狂気のようなものをそっと忍ばせたいと思っている。春シーズンの選曲では特にその傾向が強まる。毎年決まったようにこの時期に咲き乱れる桜の偉容と異様による影響だろうか。春は人を狂わせる。

    Dinner-time 木曜日18:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

FAT MASA
  • Robert Glasper Experiment
    『Black Radio 2』
  • ロバート・グラスパーのビル・ウィザース「Lovely Day」グレイト・カヴァーを初めて聴いたのはグラスパー初見である2013年の札幌でのライヴだった。『Black Radio 2』に収められたテイクに比べ、かなりメロウでビートもルーズというか、かなりスロウな印象でケイシー・ベンジャミンのヴォコーダーで何となくわかる印象だった。
    『Black Radio 2』アナログ盤を先に購入してがっかりしたのは、「Lovely Day」がCDにしか収録されていなかったこと。ライヴで聴いたメロウなテイクと違い、かなりガッツあるアレンジに様変わりしていて、断然アルバム・テイクに軍配が上がった。なぜ、こんなに素晴らしいテイクなのにアナログ盤未収録なのか。それが悔しい。シングルでも、アルバム3枚組でもいいので、グラスパー様アナログ盤出してください(笑)。

    Brunch-time 金曜日10:00~12:00

    JOYOUS JAZZ(FM NORTH WAVE)

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

三谷昌平 Shohei Mitani
  • Ian Lasserre
    『Sonoridade Polvora』
  • 前回Early Spring Selectionで橋本さんも紹介していたバイーアのシンガー・ソングライター、イアン・ラセールのデビュー・アルバム。チガナ・サンタナ『Tempo & Magma』のプロデューサーとして知られるスウェーデン出身の打楽器奏者、セバスチャン・ノチーニの全面的なバックアップのもと制作されたもので、基調は彼の弾き語りですが、ベース、パーカッション、チェロ、フルート、クラリネットの洗練された演奏も素晴らしいです。ブラジル音楽ファンのみならず、全ての音楽リスナーにぜひ聴いていただきたい作品。興味のある方はぜひ!

    Dinner-time 金曜日18:00~22:00

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

渡辺裕介 Yusuke Watanabe
  • Roger Nichols
    『Treasury』
  • Randy McQuay
    『My Kind Of Blues』
  • Electric Guest
    『Plural』
  • FKJ
    『French Kiwi Juice』
  • STEREO 15th Anniversary ~ Free Soul Record
  • 九州の春は、なかなか暖かくならない。4月なのに雪が降りそうです。さすがにこの文章が公開される頃には陽射しが心地よく感じられるはず。
    そんな春の選曲。遅ればせながらロジャー・ニコルスの『Treasury』CD2枚組 全69曲。もう悶絶ですよ。
    人生を駆けて編集した濱田高志さんに脱帽。LPも出ましたが、CDも買わないと意味がない。
    “It Don't Mean A Thing If It Ain't Got That CD Roger's Treasury”ということで、今回のオープニングはこの最後69曲目に収録されているロジャー・ニコルス自ら演奏する“Roger Nichols Medley”からスタートします。もう涙なしには聴けない黄金のメドレー。そうです、アノ曲からあの曲まで。痺れます。
    そして人生初、ブルース・ブームが訪れました。たまたま出逢ったRandy McQuayというクールで愉快で軽快なブルースマン。日本で言うならオリジナル・ラヴ田島さんのソロ弾き語りとかモアリズムの中村さんのソロ・ライヴのような空間。ぜひ聴いてほしいアルバムです。「Rehab Blues」はとても愉快で「Right Here」は泣けて痺れる名曲でした。
    Electric Guest の「Zero」は今年を代表する名曲。まさにゼロ・サウンド。涙腺緩みます。他にはFKJ(French Kiwi Juce)の初フル・アルバムも全曲素晴らしかった。山盛りてんこ盛りの春選曲。金曜日の夜をお楽しみください。
    今年で我がお店STEREOも15周年。今年も4/16橋本さんを迎えて Free Soulパーティーを開催いたします。4/14に常盤響さんとはじめるLIVING STEREOというレコード屋オープンも兼ねて今回のテーマは「RECORD」。毎年どんたくに負けない福岡Free Soulパーティー。ぜひお越しください。

    Dinner-time 金曜日22:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00

    ドリンクバー凡人会議(RKBラジオ)

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

富永珠梨 Juri Tominaga
  • The Danny Gottlieb Trio
    『Jazz Beautiful Ballads』
  • きらきらと零れ落ちる、春を待ちわびた雪解け水のように、無垢な光を放つ繊細なピアノの音色。生まれたばかりの春の息吹にも似た生命力溢れる、ゆったりとふくよかなベース・ライン。穏やかな春の海辺をイメージさせる、柔らかいさざ波のようなドラム・ソロ。毎年春の訪れをふと感じる瞬間、いつもきまって「Soiree」の可憐で純粋なメロディーが耳の奥に流れ出します。初代パット・メセニー・グループに在籍したダニー・ゴットリーブをリーダーとするピアノ・トリオ作品『Jazz Beautiful Ballads』から「Soiree」を、2017年春のベストワンとしてセレクトしました。そしてこの曲この選曲を、今年の春、天国へと旅立っていった私の大切な友人に捧げます。 「Soiree」を心から愛していた彼女へ。

    Brunch-time 土曜日10:00~12:00

    Music City Lovers(mono森音)

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

小林 恭 Takashi Kobayashi
  • Judit Neddermann
    『Un Segon』
  • Clara Peya
    『Mimulus』
  • 前回ご紹介したカタルーニャ気鋭のギタリストのパウ・フィゲレスがプロデュースする、こちらもギタリストでありSSWのジュディット・ネッデルマンのセカンド・アルバム。フィゲレスもまだ28歳ですが、若干25歳で音楽一家に生まれた彼女の音楽的な幅の広さと才能は、これからの活躍を期待せずにはいられません。ナチュラルで微風のようなサウンドは、まさに春が訪れたこの季節のもの。ジャズやソウル、フラメンコやフォーキーが融合したサウンドに、軽やかでありながら力強さもほどいい彼女のヴォーカルが絡んで、心地よい空間を演出しています。加えて最近のカタルーニャで注目しているのが、上記の二人とも頻繁にコラボレイションしている新鋭ピアニストで作曲家のクララ・ペーヤ。最近アンビエントでエクスペリメンタルなニュー・アルバムを発表したばかりですが、今回紹介する2曲は2015年に発表したアルバムに収録されていて、ネッデルマンがメイン・ヴォーカルをとっています。ロック、ポップ、音響、エクスペリメンタル要素が融合した個性あるサウンドは新鮮に響きます。シルヴィア・ペレス・クルス以降の新しい才能が芽吹くカタルーニャの音楽シーンに、これからも素晴らしい音が生まれてくるに違いありません。

    Dinner-time 土曜日18:00~22:00

    設計事務所 ima(イマ)

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

ヒロチカーノ hirochikano
  • Dom La Nena
    『Cantando』

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

吉本 宏 Hiroshi Yoshimoto
  • Beach House
    『Depression Cherry』

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

高橋孝治 Koji Takahashi
  • Georges Delerue
    『Rapture』
  • Feist
    「La Meme Historie / We're All In The Dance」
  • Pino Donaggio
    『Carrie』
  • V.A.
    『Mary And Max』
  • Cat Stevens
    『Harold And Maude』
  • Gustavo Santaolalla
    『Brokeback Mountain』
  • Eddie Vedder
    『Into The Wild』
  • Johan Soderqvist
    『Let The Right One In』
  • Stephin Merritt
    『Pieces Of April』
  • Joel P West
    『Short Term 12』
  • Dave Grusin
    『The Heart Is A Lonely Hunter』
  • Bernard Herrmann
    『Taxi Driver』
  • Serge Gainsbourg
    『Anna』
  • V.A.
    『The Virgin Suicides』
  • Mikis Theodorakis
    『Serpico』
  • Bruce Langhorne
    『Hired Hand』
  • Tim Buckley
    『Works In Progress』
  • V.A.
    『Over The Edge』
  • C Duncan
    『EP』
  • Hiatus
    『Parklands』
  • M83
    『Reunion(Remixes)』
  • みなさんは映画を観ることが好きですか? 嫌いな人ってあまりいないですよね。わたくしも映画を観ることが大好きです。映画の世界に感情移入して泣いたり笑ったり、時には思いもよらない結末に考え込んでしまったり。最近では若い頃よりも映画館に足を運ぶことは少なくなりましたが、今でも週に2本はDVDレンタルなどを利用して(今の世ではアナログな行為ですね・笑)最新の作品からクラシックな作品まで、いろいろな映画を観賞しております。もちろんお気に入りの映画はコレクター気質ゆえDVD化されると必ず購入しているのですが、音楽メディアと同様にリマスターされたり、特典映像などが追加されたりすると、すでに所有している作品でも新たに買い直してしまい、収納スペースが悲鳴を上げているのが深刻な悩みです(泣)。
    さて、今回のミッドナイト・スペシャルですが、映画というものに焦点を合わせ、その中でも自分の大好きな映画に使用されている音楽にテーマを絞って選曲してみました。
    まず冒頭に配置した作品は、1962年製作のセルジュ・ブールギニョン監督によるフランス映画『シベールの日曜日』のシベール役を演じたことによって世界に多くのファンを持つフランスの女優パトリシア・ゴッジが、その『シベールの日曜日』に次ぐ作品として主演した『かもめの城』より、ジョルジュ・ドルリューによる美しいクラシカルな旋律で奏でられる映画のメイン・テーマを選びました。この映画はわたしが学生時代から観たかった映画なのですが、長年観る機会に恵まれず、自分の中では幻の映画でした。しかし2011年にこの映画が日本盤で世界初DVD化されると聞き、すぐに注文して映画を観賞したのですが、これが想像以上に素晴らしく、自分の人生において大切な映画の1本となりました。映画の内容に関してはスペースの都合上詳しくは触れませんが、この映画を観終わった瞬間に、こちらも自分の人生において大切な映画のひとつであるヴィクトル・エリセ監督、アナ・トレント主演の『ミツバチのささやき』との類似性を感じました。そしてこのことを指摘する人に出会ったことはないと思っていたのですが、このコメントを書くに当たって調べ物をしていたら、某大手通販サイトのカスタマー・レヴューでそれを指摘されている方がいてとても嬉しくなりました(笑)。またセンスの全くない素っ頓狂な邦題をときどき目にしますが、『かもめの城』というのは(原題は“Rapture”)この映画にぴったりなとても素敵な邦題だと思います。
    続いて18人の監督によるフランスを舞台に「愛」をテーマにした2006年のオムニバス映画『パリ、ジュテーム』より、エンド・ロールでファイストが歌う「La Meme Historie / We're All In The Dance」をセレクト。この映画はジーナ・ローランズとベン・ギャザラが熟年離婚を話し合う夫婦役で出ていることも個人的にはポイントが高いですね。そして1976年作のブライアン・デ・パルマ監督、シシー・スペイセク主演の『キャリー』より、とても美しいオープニング・シーンに流れる「Theme From Carrie」と、映画のハイライト直前のこれまた美しいプロム・パーティーのダンス・シーンで流れる「I Never Dreamed Someone Like You (Could Love Someone Like Me)」を続けてみました。その流れを引き継ぐのがペンギン・カフェ・オーケストラの「Perpetuum Mobile」で、これは2009年にアダム・エリオットが監督したクレイ・アニメイションの傑作『メアリー&マックス』からの選曲です。この映画のラスト・シーンでメアリーがマックスの部屋を訪れ天井を仰ぐシーンは何度観ても涙してしまいます。
    そしてここからは映画の中で印象的に使われたロックな作品が続きます。まずは映画のラストにティム・バックリーの「Once I Was」が使用されていることでも個人的にポイントが高い、ハル・アシュビーによる1978年製作の反戦やフェミニズムがストレートに表現された『帰郷』のオープニング及びエンド・ロールで使用されたローリング・ストーンズ「Out Of Time」をセレクトし、最近では遠藤周作『沈黙』を題材とした『沈黙 サイレンス』が話題となっているマーティン・スコセッシの1973年作『ミーン・ストリート』より、ロネッツの「Be My Baby」に繋げました。この曲は映画のオープニング・シーンに使用されているのですが、初めてそのシーンを観たときはそのカッコよさに思わず息を呑みました。他にもこの映画にはローリング・ストーンズ「Tell Me」が流れる中、バーでハーヴェイ・カイテルが軽くステップを踏みながらヌード・ダンサーと戯れるシーンや、同じくローリング・ストーンズの「Jumping Jack Flash」と共にロバート・デ・ニーロが登場するシーンなどがあって、最高に痺れますね。前述したハル・アシュビーの映画ではやはり『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』を忘れてはいけません。狂言自殺を趣味としている少年と天真爛漫な老女との恋を描いたこの映画に関しては、以前日本盤DVDが発売されたときに嬉しくてこのコメント欄で書いたことがあり、そのときも同じようなことを書いたと思いますが、この映画に使用されたキャット・スティーヴンスの数々の挿入歌が第3の主人公のように力強いメッセージを放ち、この映画をさらに魅力的なものにしています(同じくキャット・スティーヴンスの作品が深い意味を持ち使用されている、1970年作のイギリス映画『早春』の日本盤DVD化を切に願っています)。
    ここで一旦ブレイクとして再度『かもめの城』より美しいワルツ「Agnes And Seagulls」を挟みます。2005年制作のスペイン映画『あなたになら言える秘密のこと』よりクレム・スナイド「Forever, Now And Then」や、E・アニー・プルーの短編小説を映画化した『ブロークバック・マウンテン』のエンド・ロールで美しく響くルーファス・ウェインライト「The Maker Makes」、スカーレット・ヨハンソンが12歳で初主演した1996年製作のロード・ムーヴィー『のら猫の日記』からジョン・ルーリーによる映画のメイン・タイトルである「Manny & Lo Main Titles」を選び、2007年に製作された俳優のショーン・ペンが監督を務めた『イントゥ・ザ・ワイルド』からはエディー・ヴェダーの「Guaranteed」をセレクトしてみました。この『イントゥ・ザ・ワイルド』という映画の中で「Happiness only real when shared(幸福が現実となるのはそれを誰かと分かち合えたとき)」という印象的な言葉が出てくるのですが、これは本当に胸に突き刺さる言葉ですね。SNSというものを全くやっていないわたくしでさえ、この長い駄文を通して人に何かを伝えてそれに共感してほしいという想いがあるのですから。
    そして2008年のスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』(原題・Let The Right One Inが素晴らしいだけにこの邦題は酷いですね・泣)より、切なく美しいピアノの音色が心を打つ「Then We Are Together」をセレクト。余談ですが、今回のディナータイム選曲にセレクトしたM83の「Reunion (Sei A Remix)」のシングル盤ジャケットがまさにこの映画のイメージとぴったり重なるので、今回ここに掲載しておきます(笑)。そしてその切なさをインタールードに2003年製作のハートフル・コメディー『エイプリルの七面鳥』から、モーマスがヴォーカルを取るThe 6thsのキラキラとした眩いまでの輝きを放つ「As You Turn To Go」や、キミヤ・ドーソン「Tire Swing」(『ジュノ』)、エドウィナ・ヘイズ「Feels Like Home」(『私の中のあなた』)などのフォーキーな作品を続け、問題を抱えるティーンエイジャーたちのためのグループ・ホームを舞台とした2013年のアメリカ映画『ショート・ターム』のエンディングに使用された、ツリー・リングの「Brushbloom Glow (Instrumental)」でミッドナイト・スペシャルの前半戦のハイライトを迎えます。前半戦ラストには、これもわたしの人生の中でとても大切な映画のひとつである、カーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』を原作とした1968年のアメリカ映画『愛すれど心さびしく』より、デイヴ・グルーシンのスコアによる映画のメイン・タイトル「The Heart Is A Lonely Hunter」をセレクトしました。わたしがこの映画から学んだことは自分自身にとってとても大切なもので、昔は周りの人たちは楽しそうなのに、自分だけが悩みごとを抱えている、なんて思っている時期がありました。しかし悩んでいるのは決して自分だけではないんですよね。劇中にこんなセリフがあります。「みんな自分の悩みを彼に問いかけていた。だけど彼自身の悩みは誰もわかっていなかったんだ」「彼は私が必要なときに傍にいてくれた。だけど彼が私を必要になったとき、私はそこにいなかったの」。もし何か悩みを抱いている人がいるのなら、ぜひ一度この映画を観てほしいですね。
    そして映画特集選曲の後半戦ですが、まずはデンヴァーで起こった、ラジオのパーソナリティー、アラン・バーグが極右団体に射殺される事件をモチーフにした、オリヴァー・ストーン監督の1988年作『トーク・レディオ』のエンド・ロールで流れるペンギン・カフェ・オーケストラの「Telephone And Rubber Band」。続いて2015年のフランス・トルコ・ドイツ合作映画『裸足の季節』にも大きな影響を与えたソフィア・コッポラの初監督作品『ヴァージン・スーサイズ』より、色気のある気怠さを醸し出すエールの「Playground Love」に繋げ、その気怠さを引き継ぐように、マーティン・スコセッシ監督の歴史的名作『タクシー・ドライバー』からバーナード・ハーマンが指揮する「I Still Can’t Sleep / They Cannot Touch Her (Betsy’s Theme)」に続けました。そして次にフランス国営放送初のカラー番組として製作されたTV映画『アンナ』より、郷愁感漂う「Sous Le Soleil Exactement」をセレクト。今回この選曲をするにあたって久しぶりにこの映画を観直したのですが、なぜ自分がこの映画に惹かれるのかわかりました。それは根底に流れる日本の昭和青春ドラマ感ですね(笑)。特にアンナ・カリーナが電車に乗って街を出るラスト・シーンには『ゆうひが丘の総理大臣』のエンディングに毎回綴られるポエム・シーンと同じ空気が流れていると感じました(笑)。
    そしてここからは後半戦のロック・タイムとなり、ビー・ジーズ「First Of May」(『小さな恋のメロディー』)、ELO「Strange Magic」(『ヴァージン・スーサイズ』)、トッド・ラングレン「Hello It’s Me」(『ヴァージン・スーサイズ』)を繋げ、「Hello It’s Me」の跳ねたリズム感をキープするために、レア・グルーヴの作品としても知られる1973年のアル・パチーノ主演、シドニー・ルメット監督による『セルピコ』のサウンドトラックより、ボブ・ジェイムスがアレンジを担当した「Honest Cop」を選んでみました。2012年のアメリカ映画『チョコレートドーナツ』からはストーリーの切なさを優しく包み込むルーファス・ウェインライトの「Metaphorical Blanket」を選び、ピアノ作品の流れで、1986年製作のシアトルを舞台に売春や窃盗などをしながら暮らす10代のストリート・チルドレンたちの生活を綴ったドキュメンタリー映画、『子供たちをよろしく』のエンディングに流れるトム・ウェイツ「Take Care Of All My Children」に続けました(この作品も乞う日本盤DVD化です)。自分も10代のときにこの作品を観たのですが、映画の最後に「俺の子供たち全員の面倒をみてほしい、彼らがさまよって放浪しないように。絶対に悪魔を信じてはいけない、ルシファーの手が届かないように」と歌われるこの歌詞を聴いて、何かがグッと胸に突き刺さりました。
    そして少し張り詰めた空気を和ますために、第79回アカデミー賞で2部門を受賞した『リトル・ミス・サンシャイン』のスタッフが再び集結し製作された2009年のアメリカ映画『サンシャイン・クリーニング』から、ゴールデン・スモッグによる爽やかなアコースティック・ナンバー「Cure For This」をセレクトしましたが、ここで余談をもうひとつ。『リトル・ミス・サンシャイン』で悲願のアカデミー賞を取ったアラン・アーキンですが、彼は前述した『愛すれど心さびしく』で主役の心優しいろうあ者を演じていた役者さんです。しかしその素晴らしい演技でアカデミー賞にノミネートされるも、残念ながらこの映画では受賞することはできませんでした。それから時は過ぎて23年、やっとのことで『リトル・ミス・サンシャイン』という作品を通じてアカデミー賞を手にしたのですが、その役というのが、ヘロイン使用のために老人ホームを追い出され、美少女コンテストに出場する幼い孫娘にストリップ・ダンスを教え込むという、エロ爺役だったっていうのが最高すぎますね(笑)。そしてアメリカン・ニュー・シネマの傑作『さすらいのカウボーイ』からは、ミスター・タンブリングマンことブルース・ラングホーンの奏でるバンジョーやギターの音色がミニマルに響く「Opening」という作品を選び、その神秘的で静謐な響きに導かれるようにこの映画音楽特集のハイライトであるティム・バックリーの「Song To The Siren」へと繋げました。この曲は『ブロークバック・マウンテン』でも好演を見せた今は亡きヒース・レジャー主演でヘロイン常習者の恋の末路を描く2006年のオーストラリア映画『キャンディ』のエンディングに使われている作品なのですが、使われているのがオリジナル・ヴァージョンではなくて、マニア垂涎の音源を限定盤でリリースするライノ・ハンドメイドより1999年にリリースされた『Works In Progress』で初出となった「Song To The Siren (Take 7)」っていうのが素晴らしいですね。このヴァージョンをあえて使った監督のニール・アームフィールドにはとても共感を覚えます。そして当時小6か中学生だったわたしに強烈なインパクトを与えた若きマット・ディロンなどが出演する1979年のアメリカ映画『レベルポイント』から、ヴァレリー・カーターの「Ooh Child」を選びこの選曲は終焉を迎えます。最後にヴィム・ヴェンダースの代表作である『パリ、テキサス』(個人的には断然『都会のアリス』と『アメリカの友人』ですが)から、ライ・クーダーによる「Cancion Mixteca」でエンド・ロールが流れるイメージでミッドナイト・スペシャルの幕は下ろされます。
    そしてディナータイム選曲ですが、今回はいつも以上に興奮して長く喋りすぎてしまったので(泣)、ポイントだけお伝えしますと、C・ダンカンというアーティストによるコクトー・トゥインズの名曲「Pearly-Dewdrops' Drops」のカヴァーと、前回紹介したシュラという女性アーティストを調べていて繋がったHiatusというアーティストの作品がとても素晴らしかったので、この2作品を軸にセレクトしています。とくにHiatusの作品はディナータイム選曲で複数曲セレクトしており、彼について語りたいこともいろいろとあるので、次回のコメント欄で詳しく紹介するつもりです。

    Dinner-time 日曜日22:00~24:00
    Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

山本勇樹 Yuuki Yamamoto
  • Karine Aguiar
    『Organic』
  • 新緑の輝く季節、心が晴れやかに、気持ちが高ぶるような、いきいきとした選曲を意識しました。ブラジルから届けられたニュー・カマー、カリーニ・アギアールのデビュー・アルバムもそんな時期にぴったりの内容でした。中でもオープニングを飾る「Promenades」は、ブラジリアン女性ジャズ・ヴォーカルの傑作だと、久しぶりに強く言いたくなる傑作。ファビオ・トーレスの流麗なピアノに乗って華麗に歌う姿がまぶしいです。渋谷ヒカリエのような、春にときめく色とりどりのデザインが並ぶ空間で流れていたら素敵かなと、そんな気分で選んでみました。

    Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00

    bar buenos aires
    Quiet Corner
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・前編
    橋本徹の『Cafe Apres-midi』15周年対談・後編

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

武田 誠 Makoto Takeda
  • Fabiano Do Nascimento
    『Tempo Dos Mestres』
  • JRの線路と渋谷から明治神宮の森へとつづく通りにはさまれたビルの5階にあるカフェ・アプレミディ。2月下旬のある朝の出勤後、空気を入れ替えるためいつものようにその両方に面した窓をあけてみると、店内を通りぬけてゆく風に、季節が変化してゆく瞬間を感じさせる春の甘い匂いが漂っていたときがありました。そんな風の匂いに包まれ、その日のアイスコーヒー用としてサーヴするための豆を丁寧にゆっくりとドリップしながら、この気持ちよさに寄り添ってくれる音楽ってなんだろうと思い、今回のSpring Selectionに収録した楽曲は、ストーンズ・スロウのイーゴンが主宰するNow-Againから登場したブラジルのギタリスト、ファビアーノ・ド・ナシメントの新作。ジョアン・ペルナンブコの古いショーロ「Brasilerinho」、そして民謡の「O Tempo」といった、どこか遠い記憶の中の物語のように優しく甘美に響くメロディーに、新しい季節の訪れを告げる風の匂いを感じていただけたら幸いです。

    Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ

waltzanova
  • Bill Evans
    『From Left To Right』
  • 音楽好きなら、おそらく皆そうなのではないかと思うのだが、意識的に音楽を聴くようになった30年近く前から、「何のために音楽を聴くのだろう」とか「音楽で世界は変えられるのだろうか」といったことをぼんやりと考えてきた。
    音楽を通じて、僕はその世界観やアーティストのアティテュード、ファッション、彼らが影響されたバックボーン(文学や映画、あるいは彼らが育った地域の気候や文化など……)といったさまざまな事柄を学んだ。しかし、音楽が僕にもたらしてくれたものの中で最も重要だったのは、世界の見方や切り取り方のようなものであったと思う。その音楽が提示してくれる景色を眺め、そして共有すること。自分とは場所や時代が遠く隔たっている音楽でも、「ここには僕の心を震わせる、同じ何かがある」と思わせてくれた。
    そしてまた、音楽を通じた数多くの出会いも。彼や彼女たちと音楽を聴き、話しているとき、同じ共通の言語を分かち合っている喜びがそこにはあった。
    僕の人生は音楽によって多分に方向づけられ、導かれてきた。
    その意味で、音楽は世界を変える力を持っている、そう思う。
    人生においては、音楽を聴きたくないと思う瞬間、音楽なんて無力だと思ってしまう瞬間もときに訪れる。それまで輝いていた音楽が色褪せ、あるいは意味を反転させてしまうことがある。けれど、これまでの人生を振り返ってみると、そんな悲しみを癒してくれたのもまた音楽だった。

    今回の選曲を2月13日に亡くなった妻、満里に捧げます。

    Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

ページTOPへ

usen for Cafe Apres-midiへ



Supervised by Toru Hashimoto for Suburbia Factory