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D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

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月曜日 22:00~ 『ジャズレーベル完全入門』~スティープル・チェース

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リー・コニッツ&レッド・ミッチェル『アイ・コンセントレイト・オン・ユー』(Steeple Chase)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第40回
『ジャズレーベル完全入門』~スティープル・チェース(再放送)

スティープル・チェース・レーベルは1972年にデンマークのジャズ研究家、ニールス・ウインターによって設立された。彼はコペンハーゲンのジャズクラブ「カフェ・モンマルトル」に入り浸り、ジャッキー・マクリーンなど出演するジャズマンをレコーディングしていたが、これが予想外の好評を得たことがレーベル設立のきっかけとなった。
このレーベルの特徴は、その頃アメリカのジャズシーンが活況を失っていためヨーロッパに移住していたアメリカ人ミュージシャンの録音が主軸で、彼らの活躍が70年代“ハードバップ・リバイバル"の原動力となった。マクリーン盤が第一弾であることからもわかるように、オーソドックスなハードバッパーの快演が多い。
このレーベルは新録音と同時に、過去の音源も同時に発売した。『ショート・ストーリー』は1963年に「カフェ・モンマルトル」を訪れたケニー・ドーハムのライブ盤で、彼の隠れ名盤として知られる傑作。サイドのピアニスト、テテ・モントリューの快演も特筆ものだ。
『サムシング・ディフィレント』はヨーロッパ移住組みの大物、デクスター・ゴードンの代表作で、サイドのギタリスト、フィリップ・カテリーンの参加が70年代ハードバップらしい斬新感を出している。スティープル・チェース設立のきっかけとなったジャッキー・マクリーンが、息子のルネ・マクリーンたちと共演した『ニュー・ヨーク・コーリング』は、彼の新境地を表した勢いのある演奏。ジョニー・グリフィンもヨーロッパ移住組で、このアルバムもマクリーン盤とともに初期スティープルの人気を高めるのに一役買った。同じく北欧在住のデューク・ジョーダンの『フライト・トゥ・デンマーク』は、彼の傑作《危険な関係のブルース》のヒットで、このレーベルの経済的基礎を固めた代表作。
このレーベルのもうひとつの特徴に、ピアノの名盤が多いことがあげられる。これも日本での人気の理由だろう。大ベテラン、メリー・ルウ・ウイリアムスがしみじみと奏でる《ダット・デア》はヨーロッパ人には出せない味。ホレス・パーランの名演《グッドバイ・ポークパイ・ハット》の黒々とした佇まいは言うまでも無い。ケニー・ドリューも古くからヨーロッパ在住で、マクリーン、グリフィンらのアルバムとともに『デュオ』はこのレーベルのイメージを高めた。演奏スタイルがアメリカ時代と変わっていることもファンの話題を呼んだ。
通好みのハードバッパー、クリフ・ジョーダンが70年代になっても健在であることを示したのが『ファーム・ルーツ』だ。録音のせいかテナーの音色に艶が乗っている。ギターの名手、ジミー・レイニーが息子のダグ・レイニーと共演した『ストールン・モーメンツ』は親子の交流がほほえましい。レニー・トリスターノの高弟として鳴らしたリー・コニッツが、ベースのレッド・ミッチェルとデュオでコール・ポーターの名曲を取り上げた『アイ・コンセントレイト・オン・ユー』は、淡々とした中にもコニッツならではの味わいが聴き所。
ヨーロッパ在住ミュージシャンの大先輩、バド・パウエルのレコーディングを大量発掘したのもスティープル・チェースの功績だ。信じられないほどゆっくりとしたテンポで弾く《アイ・リメンバー・クリフォード》は、晩年のパウエルが到達した境地を表した絶品。

【掲載アルバム】
ケニー・ドーハム『ショート・ストーリー』(Steeple Chase)
デューク・ジョーダン『フライト・トゥ・デンマーク』(Steeple Chase)
バド・パウエル『ゴールデンサークル第3集』(Steeple Chase)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~  新譜特集 第1回

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ゴーゴー・ペンギン『マン・メイド・オブジェクト』(Blue Note)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第136回
新譜特集 第1回

今春から毎月1回新譜特集として、比較的新しいアルバムをご紹介して行こうと思います。選択基準はわりあい幅広く取って、21世紀以降に録音されたものを中心に、それ以前の録音でも、発掘音源など発売が21世紀以降という作品も含めることにしようと思います。
最初にご紹介するのは、このところ注目を集めているイスラエル・ミュージシャン、オマール・アヴィタルの『ニュー・ソング』(Plus Loin Music)。オマールはベーシストで、サイドにはトランペットのアヴィシャイ・コーエンが参加しており、彼の熱気を孕んだトランペット・サウンドが聴き所です。
次に収録したのはイギリス生まれのベテラン・サックス奏者、ジュリアン・アーギュロスの最新作『テトラ』(Whirlwind)。彼のサックス・サウンドはじっくり聴くほどに味が増すタイプ。3枚目のアルバムは、今まさに注目のグループ「スナーキー・パピー」のキーボード奏者、ビル・ローレンスの新作『アフター・サン』(Universal)。メンバーは同じくスナーキー・パピーのベース奏者マイケル・リーグに、ドラム奏者ロバート“スパット"シーライト、そしてガーナ出身のパーカッション奏者ウィーディー・プライマーの参加がサウンドにワールド・ミュージック色を加えているところが聴き所ですね。実に快適で心地よい演奏ながら、音楽としての新しさが感じられます。
そしてこちらもUKジャズのピアニスト、キット・ダウンズがサイドに参加した、テナー・サックス奏者サム・クロカットの新作『メルス・ベルス』(Whirlwind)も力作です。華やかなキットのピアノと渋味サックス、クロカットの組み合わせは正解。 そしてECMからは、いかにもECM的な作品『アルバ』(ECM)が面白い。マークス・ストックハウゼンのフリューゲル・ホーンとフローリアン・ウィーバーのピアノによるデュオ作品で、かなり変則的な楽器編成ながら聴き手を飽きさせない作りこみはさすがECMですね。聴き所は、ちょっとマティアス・アイクを思わせるマークスのフリューゲル・ホーンの叙情的なサウンドです。
さて、最後に収録したのは今回の目玉作品、ゴーゴー・ペンギンの新作『マン・メイド・オブジェクト』(Blue Note)です。実を言うと2月にこのアルバムを聴くまでまったく知らないグループだったのですが、その斬新な演奏に惹かれ先日ブルーノート東京でわずか2日のみのライヴに出かけて見ました。まださほど知名度の高いグループだとは思えないのに客席は満員、立ち見も出るほど。そして客層が従来のファン層とは少し違っていて年齢層も若く、まさに「ジャズ新時代」を予感させるものでした。
そして何より驚いたのは演奏の素晴らしさです。アルバムでもその魅力は充分に伝わるとは思いますが、ライヴでのメンバー相互のインタープレイの密度の濃さは尋常ならざるものがあります。まさに現代のトップ・ジャズ・グループと言っていいでしょう。
ロブ・ターナーのドラミングの凄さは言うまでもありませんが、ベーシスト、ニック・ブラカのテクニックが素晴らしい。彼がチームの要となっているのもライヴでよくわかりました。そしてクールな表情のピアニスト、クリス・イリングウォースの従来のジャズ・ピアニストとは一味違う発想が、このグループならではの斬新なテイストを醸し出しているのも実感できました。なお、途中で音が歪んでいるように聴こえる部分がありますが、これは意図的にサウンドを加工しているのです。

【掲載アルバム】
オマール・アヴィタル『ニュー・ソング』(Plus Loin Music)
ビル・ローレンス『アフターサン』(Universal)
ゴーゴー・ペンギン『マン・メイド・オブジェクト』(Blue Note)

火曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~  ジョン・コルトレーン特集

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ジョン・コルトレーン『至上の愛』(Impulse)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第125回
「ジャズの巨人シリーズ」 第3回 ジョン・コルトレーン(再放送)

ジョン・コルトレーンに対するイメージは世代によって異なっているかもしれません。私自身を含めた「団塊世代」の方々は「フリー・ジャズの巨人」、あるいは「激動の60年代のシンボル」といった見方が代表なのではないでしょうか。他方、70年代に青春を迎えた現在50代後半のみなさんは、マイケル・ブレッカーやデイヴ・リーヴマンに影響を与えたテナーの巨人、あるいはロック・ミュージシャンをも魅了したジャズの異端児といった見方もあるかもしれません。
今回はそうしたコルトレーンの演奏を時代を追ってご紹介することで、なるべく客観的に彼の業績を辿ってみようと思います。まず冒頭に収録したのは彼の記念すべき初リーダー作、プレスティッジの『コルトレーン』です。さあ何かをやってやるぞという意気込みが聴き手に伝わって来ますね。同じくプレスティッジの『ライク・サムワン・イン・ラヴ』も、多くの「50年代ハードバッパー」とは一線を画した斬新なスタンダード表現が魅力的です。
そしてコルトレーンの足跡を辿る上で欠かせないのが、セロニアス・モンクとの出会いです。彼はモンクのバンドに属することで格段の音楽的進歩を遂げました。『モンク・ウィズ・コルトレーン』(Jazzland)に収録した、いかにも演奏しにくそうなモンクのオリジナル曲をコルトレーンは闊達に演奏しています。
その成果が現れたのがブルーノートの看板アルバム『ブルー・トレーン』です。ここでのコルトレーンは、リー・モーガン、カーティス・フラーを従えた3管セクステットで典型的ハードバッパーとしての顔を見せています。他方、ワンホーンで吹きまくる壮絶なコルトレーンが『ソウルトレーン』(Prestige)収録の《ロシアの子守唄》。コルトレーン・ミュージックの代名詞ともなった、空間を音で埋め尽くすような「シーツ・オブ・サウンド」の登場です。
そして面白いのが意外なコルトレーンの柔軟性です。『ケニー・バレル&ジョン・コルトレーン』(Prestige)にしろミルト・ジャクソン&ジョン・コルトレーンによる『バグス&トレーン』(Atlantic)にしても、ちゃんと相手の音楽性に合わせつつ、自分の持ち味を出しています。
いよいよ「巨人」がその第一歩を歩み始めたのが、その名も『ジャイアント・ステップス』 (Atlantic)です。率直に言って、ここまでのコルトレーンは優れたテナー奏者の一人に過ぎませんでしたが、1959年に吹き込んだこの作品を境として文字どおり前人未到の世界に足を踏み入れたのです。フリー・ジャズの旗手、オーネット・コールマンの相棒であるドン・チェリーと共演した『アヴァン・ギャルド』(Atlantic)は、彼のフリー・ジャズへの関心の高さを示しています。
そして記念すべきインパルス・レーベルへの移籍第1弾が『アフリカ・ブラス』です。『ライヴ・アット・ヴィレッジ・ヴァンガード』(Impulse)収録のスタンダード・ナンバー《朝日のように爽やかに》は、もはや完全にコルトレーン・ミュージックと化した快演と言えるでしょう。
アップテンポの情熱的演奏がコルトレーンの特徴と思われがちですが、人気アルバム『バラード』(Impulse)で見せるスタンダード解釈はなかなかのものです。 数あるコルトレーンの代表曲《マイ・フェイヴァリット・シングス》の最高ヴァージョンが収録されているのが、『セルフレスネス・フィーチャリング・マイ・フェイヴァリット・シングス』(Impulse)です。最後に収録した彼の最高傑作『史上の愛』(Impulse)の後半部分には、コルトレーンの特異な音楽観が現れているように聴こえます。

【掲載アルバム】
ジョン・コルトレーン『ソウルトレーン』(Prestige)
ジョン・コルトレーン『セルフレスネス・フィーチャリング・マイ・フェイヴァリット・シングス』(Impulse)
ジョン・コルトレーン『至上の愛』(Impulse)

水曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~  新譜特集 第14回

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ビアンカ・ジスモンチ『プリメイロ・セウ』(Fina Flor)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第149回
新譜特集 第14回(再放送)

今回冒頭に収録したのは、ピアニストのビアンカ・ジスモンチが2015年にリリースしたアルバム『プリメイロ・セウ』(Fina Flor)で、初のピアノ・トリオ作品。父親のエグベルト・ジスモンチもそうでしたが、彼女の音楽にはクラシックの素養が感じられます。もともとブラジルの音楽界は、クラシックとポピュラー・ミュージックがさほど距離を取らずに共存していることもあって、ビアンカの音楽もクラシック的な要素とジャズがごく自然に溶け合ったサウンドが心地よいですね。
2枚目もブラジリアン・ミュージシャンのアルバムです。先月来日公演を行った、カート・ローゼンウィンケルのカイピ・バンドでパーカッションを担当したアントニオ・ローレイロが、今回はヴィブラフォンで同じくブラジルの若手ヴァイオリニスト、ヒカルド・ヘルスとデュオで吹き込んだアルバム『Herz E Loureiro』(Boranda)です。変わった楽器編成ですが、聴くほどに味わいが増すアルバム。ジャズという音楽ジャンルの懐の広さを改めて気付かせてくれますね。
3枚目はバークリーに学びニューヨークで活動するピアニスト、大林武司が初めてピアノ・トリオで放つ新譜です。タイトルは『マンハッタン』(Somethin' else)。サイドが豪華で、1曲目がホセ・ジェームスのドラマーとして来日公演も行った名手ネイト・スミスがドラムスを担当。そして2曲目は女性ドラマーとして知られたテリ・リン・キャリントン。こうした人選からもわかるように、彼のピアノ・トリオは現代ジャズの流れに沿った切れの良いリズムに乗った流れるようなラインが聴き所です。
前半3枚は新録作品でしたが、後半の3枚は発掘音源です。最初はジャコ・パストリアス率いるビッグ・バンド「ワード・オブ・マウス」82年のニューヨーク録音で、アルバム・タイトルは『ライヴ・イン・ニューヨーク』(Resonance)。。1曲目はおなじみの「インヴィテーション」。ジャコのベースの切れ味が素晴らしい。ちなみにジャコはウエザー・リポートでのデビューが印象的でしたが、それ以前からビッグ・バンドに参加しており、バンド・サウンドと共にベースを演奏することが根っから好きだったようです。ジャコの演奏する喜びが伝わってくるようですね。
発掘音源の2枚目は、ウィントン・ケリー・トリオにゲストでウエス・モンゴメリーが参加した、ライヴ・アット・ザ・ペントハウス1966とサブタイトルが付いたアルバム『スモーキン・イン・シアトル』(Resonance)です。極め付き名盤『フル・ハウス』(Riverside)や『スモーキン・アット・ザ・ハーフ・ノート』(Verve)で知られているように、ケリーとウェスはたいへん相性のいい組み合わせ。
また、ケリーはマイルス・バンドのサイドマンとしての名演はじめ、多くのハードバップ・セッションでの好サポートが知られていますが、ピアノ・トリオでの演奏は思いのほか少ないのですね。この発掘盤はケリーのトリオ演奏とウェスとの共演がバランスよく収録されており、そういう意味でも要注目です。
そして最後は大御所ビル・エヴァンス晩年の発掘盤『オン・ア・マンディ・イヴニング』(Fantasy)です。録音は1976年で、サイドはエディ・ゴメスにエリオット・ジグムンド。演奏の出来は極めてよく、また音質も全く問題ありません。エヴァンス・ファンなら必聴のアルバムと言っていいでしょう。

【掲載アルバム】
ビアンカ・ジスモンチ『プリメイロ・セウ』(Fina Flor)
ウェス・モンゴメリー / ウィントン・ケリー『スモーキン・イン・シアトル』(Resonance)
ビル・エヴァンス『オン・ア・マンディ・イヴニング』(fantasy)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第33回

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マーカス・ストリックランド『ピープル・オブ・ザ・サン』(Blue Note)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第169回
「新譜特集」第33回(再放送)

今回最初にご紹介するのは、デイヴ・ダグラス率いるレギュラー・クインテットによるライヴ・アルバム。レコーディングは2015年で、この年に出た彼らの傑作アルバム『Brazen Heat』の名を冠した『Brazen Heat Live at Jazz Standard Saturay』(Greenleaf Music)というアルバム・タイトルです。
聴き所はライヴならではの活きの良さで、リーダー、ダグラスのトランペットもさることながら、サイドのサックス、ジョン・イラバゴンの活躍が目立ちます。ニューヨーク・シーンの活気が伝わる熱演ですね。
現代ジャズを象徴するサックス奏者、マーカス・ストリックランドの2年ぶりの新作は、本人のプロデュースによる『ピープル・オブ・ザ・サン』(Blue Note)です。コンポーザー、バンド・リーダー、そしてサックス奏者としての役割を統一的に表現した作品で、西アフリカにルーツを持つアフリカン・アメリカンとしての出自、そして多くの現代ジャズ・ミュージシャンが影響を受けて来た、ポップス、ビート・ミュージックといったアメリカン・ミュージック的要素を実に自由なスタンスで融合させています。
イギリスは旧インドの宗主国だったので、インド音楽の影響が根付いているようです。ユナイティング・オブ・オポジッツもそうしたグループで、アルバム『Ancient Lights』(Tru Thoughts)は、彼らの手になる新作です。メンバーは1945年スコットランド生まれのシタール奏者クレム・アルフォードを中心に、ベーシストのベン・ヘイゼルトン、そしてバンドのまとめ役兼プロデュースを行うのはクラブ・シーンで活躍して来たティム・リッケンで、このアルバムではシンセサイザー等を担当しています。
極めてインド音楽的テイストが強い演奏ですが、本格的なインド音楽をクレムがメンバーに教え、録音、エンジニアリング、スタジオ・ワークなどはティムが担当し、インド音楽とジャズの橋渡し役はベンの役割だそうです。現代ジャズはエスニックな要素が重要なポイントとなっていますが、このアルバムなどはその顕著な例と言えるでしょう。
アルバム『This Is It』(Storyville)のリーダーであるカースティン・ヴォーゲルは、1970年代にデンマークで人気を誇ったプログレッシヴ・ロック・バンド、シークレット・オイスターなどで活躍した経歴を持つ、異色のサックス奏者です。それだけに楽曲の解釈もユニークで、2曲目に収録した《Kyoto》は明らかに日本の京都のことだと思うのですが、インド音楽を思わせるサウンドからは古都京都のイメージは浮かびませんよね。とは言え、優しく語りかけるようなヴォーゲルのサックスはなかなか魅力的で、彼にとっての「京都」はこうした印象だったのかな、とも思わせます。
ブラッド・メルドーなど現代有数のピアニストらから敬意を抱かれているフレッド・ハーシュの発掘作品が『フレッド・ハーシュ・トリオ’97 アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(King International)です。このアルバムは1997年に彼が初めてヴィレッジ・ヴァンガードに出演した際の貴重な記録で、スタンダード・ナンバーを斬新かつ活き活きと演奏しています。
最後に収録した『Ivisible Hand』(Cortez Sound)は、ビッグ・バンドを率い多くの優れたアルバムを残している藤井総子が、水戸のライヴ・ハウス「Cortez」でソロ・ピアノを披露した珍しいアルバムです。ジャズならではの緊張感と音楽的な豊かさが高度なレベルで融合した素晴らしい演奏で、彼女のピアニストとして技量の高さを改めて再認識させられました。名演です。


【掲載アルバム】
デイヴ・ダグラス『Brazen Heat Live at Jazz Standard Saturay』(Greenleaf Music)
マーカス・ストリックランド『ピープル・オブ・ザ・サン』(Blue Note)
藤井総子『Ivisible Hand』(Cortez Sound)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第44回

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バッド・プラス『Activate Infinity』(Edition)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第180回
新譜特集 第44回

異色のピアノトリオ、バッド・プラスの新作『Activate Infinity』(Edition)は、ピアニストがイーサン・アイバーソンからオリン・エヴァンスに変わってから2枚目のアルバムとなります。アコースティック・トリオですが、極めて現代的なデヴィッド・キングのハイテク、ドラミングによって、従来のピアノ・トリオのイメージを覆す斬新な演奏となっているところは変わりません。
全曲彼らのオリジナルで、アメリカのグループながらイギリスのゴー・ゴー・ペンギンが醸し出す未来サウンド的エキゾチシズムを感じさせる曲想が面白い。しかし聴き手を惹きつけているのは、緊密なチームワークから生まれる演奏の密度感によっているようです。
クリヤ・マコト率いるグループ「アコースティック・ウエザー・リポート」は、ウエザー・リポートの楽曲をピアノ・トリオで再現するという斬新な試み。彼らの新作『アコースティック・ウエザー・リポート2』(Sony Music)は、良い意味で事前の想像を裏切る作品と言えるのではないでしょうか。彼らは楽曲を素材とするチャーリー・パーカー以来の「ジャズの王道」を極めて現代的スタンスで実現しているのですね。
チーム名を見ただけではウエザー人気に寄り掛かっているように見られかねませんが、アルバムを聴いてみると極めてオリジナリティの高い「彼らの音楽」となっているのです。聴き所はグループとしての緊密なまとまりに裏付けられたダイナミックな躍動感で、クリヤのピアノの切れも申し分ない。付け加えれば、ピアノ・トリオとは思えない豊かな色彩感と音楽的スケールの大きさも魅力です。
『ブッゲ・ヴェッセルトフト&プリンス・トーマス』(Smalltown Supersound)は、タイトル通りノルウェーのピアニスト、ブッゲと、同じくノルウェーの人気D.J.プリンス・トーマスが共演したアルバムです。ブッゲのピアノとトーマスのエレクトリック・サウンドが幻想的な気分を盛り上げ、それをヨン・クリステンセンのパーカッションが支えてあたかも時が無限にループしていくような錯覚を聴き手に与えます。
冒頭にご紹介したアルバムから始まる3作とも、ピアノというジャズの伝統的な楽器がいまや完全に表現を刷新したことをいみじくも象徴しているようです。
北欧ジャズから一転し、キューバのピアニスト、ロベルト・フォンセカの新作『This Is Who I Am』(Mack Avenue)からはカリブの陽光を思わせる熱気が漂い出しています。とはいえ、いわゆるラテン・タッチの陽気さに留まらないほのかな陰影感をも感じさせる曲想が好ましく、レバノンのトランぺッター、イブラヒム・マーロフがゲスト参加する《Kachucha》など、まさに融合音楽としてのジャズの面白さが現れたトラックと言えるでしょう。
ローレン・セヴィアンはニューヨークで注目を浴びている珍しい女性バリトン・サックス奏者。彼女の初リーダー作『Bliss』(Positone)は女性とは思えない力強い演奏に驚かされます。サウンドはジェリー・マリガン風のまろやかなものではなく、ペッパー・アダムス流のゴリゴリ・サウンド。さすがアメリカは人材豊富です。
最後に収録したのは、今年来日公演を行ったノルウェイのピアニスト、エスペン・バルグの新作『Free To Play』(Odey)です。ごくオーソドックスなピアノ・トリオ演奏ながら演奏の集中力、密度感が凄まじく、《Camillas Sang》のエキゾチシズムを感じさせる曲想も極めて魅力的です。

【掲載アルバム】
バッド・プラス『Activate Infinity』(Edition)
クリヤ・マコト『アコースティック・ウエザー・リポート2』(Sony Music)
ロベルト・フォンセカ『This Is Who I Am』(Mack Avenue)

土・日曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

インフォメーション

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■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

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