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D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

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月曜日 22:00~ 新譜特集 第27回

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カマシ・ワシントン『ヘヴン・アンド・アース』(Beat Record)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第162回
新譜特集 第27回(再放送)

今回の目玉は何と言ってもカマシ・ワシントンの話題作『ヘヴン・アンド・アース』(Beat Record)でしょう。ここ数年、ジャズは新しいディメンションに突入し、斬新なアイデアを持った新人ミュージシャン、魅力的なアルバムが続々と登場しています。その流れを決定付ける作品が、ついにカマシによって世に問われたのです。
このアルバムは「アース編」と「ヘヴン編」がそれぞれのCDに収録された大作で、聴き応え十分でありつつ、全編聴き通しても飽きることが無いという、練り上げられた作品です。今回は「アース編」から冒頭の3曲を収録しましたが、これだけでも十分魅力が伝わってくるでしょう。
「アース」とは地球、あるいは大地のことですが、カマシはこの言葉の意味を次のように説明しています。「『アース』のパートは、私が『外向きに』見る世界を表現している。つまり私が存在している世界を表している」。そして「ヘヴン」つまり「天国編」についてもこう述べています。「『ヘヴン』のパートは、私が『内向き』に見る世界、つまり私の中に存在している世界を表している。私が何者であるか、そしてどんな選択をしていくのか。その答えは、それら二つの世界の間にある。」。こう書くとやはり『ヘヴン編』が気になりますよね。こちらは次回のお楽しみということにしておきましょう。
彼の言葉通り、冒頭に収録された楽曲《Fists of Fury》は印象的で親しみやすいメロディがダイナミックなサウンドと共に迫ってくる、良い意味で「世俗的」な名曲です。そして3曲目には、何とフレディ・ハバードの《ハブ・トーン》が。この辺り、カマシが伝統的ジャズ・シーンに連なっていることを印象付けますね。お馴染みの「カマシ節」もふんだんに登場し、今のところ今年のベスト1アルバムと言って間違いありません。
スイス人ピアニスト、ニック・ベルチュのバンド「Ronin」は、日本の「浪人」のことです。そして今回収録したアルバム『AWASE』(ECM)の意味は、日本の武術、合気道などで相手の動きに「合わせ」て動くことのようです。まさにベルチュは「日本ファン」ですね。
シンプルなフレーズが執拗に繰り返されるのですが、次第に彼らの音楽に惹き込まれてしまうのは、「浪人バンド」の演奏力の確かさの賜物と言っていいでしょう。
強面テナー奏者、デヴィッド・マレイが、テリ・リン・キャリントン、昨年惜しくも亡くなったジェリ・アレンらと結成したグループ、パワー・トリオによるデビュー・アルバム『Perfection』(Motema)は、三者の良いところが結実した傑作です。テナー、ピアノ、ドラムスの変則トリオですが、違和感を一切感じさせないのはさすがですね。
エドワード・サイモンはベネズエラ出身のピアニストで、現在はニューヨークで活躍しています。彼の新作『Sorrows & Triumph』(SUNNYSIDE)は、アルトのデヴィッド・ビニー、ベース、スコット・コリー、そしてドラムスのブライアン・ブレードなど、ニューヨークのトップ・プレイヤーが脇を固めています。爽やかな空気感を感じさせるサウンドは、ラテン・ミュージシャンの血が成せる技なのでしょうか。
最後に収録したブラッド・メルドーの新作『Seymour Reads the Constitution!』(NONSUCH)は、ベースのラリー・グレナディア、ドラムス、ジェフ・バラードによるトリオ・アルバムです。オリジナル・ナンバーでみせる「メルドーらしさ」は、やはりこの人の強みですね。

【掲載アルバム】
カマシ・ワシントン『ヘヴン・アンド・アース』(Beat Record)
ニック・ベルチュ『AWASE』(ECM)
デヴィッド・マレー、ジェリ・アレン、テリ・リン・キャリントン『Perfection』(Motema)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~ マイルス・デイヴィス特集

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マイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルー』(Columbia)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第123回
「ジャズの巨人」シリーズ 第1回 マイルス・デイヴィス(再放送)

今回から、私が監修している小学館刊行のCD付隔週マガジン『ジャズの巨人』にちなみ、ジャズ史に名を残したビッグ・ネームたちの名演・名盤をご紹介して行こうと思います。第1回目はマイルス・デイヴィスです。マイルスは時代によって大きくスタイルを変え、そして彼の「新趣向」自体が「モダン・ジャズ」の領域を広げて行った、文字通りジャズの巨人です。
マイルスは天才アルト奏者、チャーリー・パーカーのサイドマンとしてジャズマン人生をスタートさせますが、パーカー流、即興第一主義に疑問を感じ、アンサンブルにも意を払った9重奏団によるアルバム「クールの誕生」(Capitol)を40年代末に録音します。このサウンドは後にウエスト・コースト・ジャズに影響を与えました。
しかしマイルス自身は次の時代のジャズ、ハードバップの先駆けとも言えるアルバム「ディグ」(Prestige)を、ソニー・ロリンズ、ジャッキー・マクリーといった次世代のスターたちとレコーディングしています。50年代初頭のことでした。そして54年のクリスマス・イヴに録音された「バグス・グルーヴ」(Prestige)は、マイルスが共演者の先輩、セロニアス・モンクに「オレがソロをとっている間はバックでピアノを弾くな」と言った、有名なアルバムです。
「喧嘩セッション」などと言われていますが、むしろハードバップ流、「楽想の統一」を考えたマイルスの音楽観が背後にあったのではないでしょうか。そして、その成果ともいうべき名盤が56年に大量録音されます。世に言う「プレスティッジ・マラソン・セッション」と、それと同時期のコロンビア録音「ラウンド・ミッド・ナイト」です。これらに録音された名曲「ラウンド・ミッドナイト」や「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は、マイルスの名を不動のものとした名演です。
58年、早くもハードバップの行き詰まりを感じ取ったマイルスは、新時代のジャズを目指し「モード」の考えを取り入れた演奏「マイルストーン」(Columbia)を録音します。そしてこの発想は、翌59年録音の歴史的名盤「カインド・オブ・ブルー」(Columbia)に結実します。このアルバムは現在に至るまで、ジャズ・アルバムとしては驚異的な累積販売枚数を誇っています。
そして60年代マイルス初期の名盤として、レギュラー、テナー奏者、ハンク・モブレイと、ゲスト参加した元サイドマン、ジョン・コルトレーンが共演した「いつか王子さまが」(Columbia)がジャズ喫茶で大人気を博します。この時期はサイドマンがなかなか一定せず、さまざまなテナー奏者がマイルス・コンボに去来します。
64年録音のライヴ盤「フォア&モア」(Columbia)は、ジョージ・コールマン参加の名ライヴ盤として知られると同時に、まだ10代のトニー・ウィリアムスの火の出るようなドラミングが素晴らしい。そしてようやくレギュラー、テナー奏者がウェイン・ショーターに決まり、傑作「ソーサラー」(Columbia)が67年に吹き込まれます。しかしマイルスの前進は止まりません。69年にはエレクトリック楽器を大胆に取り入れた記念碑的作品「ビッチズ・ブリュー」(Columbia)を吹き込み、エレクトリック・マイルスの次代が始まります。「アット・フィルモア」(Columbia)は70年代前半の名演です。
そしてマイルスは75年の大阪公演を最後に、6年に及ぶ活動停止期間を経た後、81年に「ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン」(Columbia)を引っさげ、颯爽とシーンにカムバック。その後は今回最後に収録した「デコイ」(Columbia)など、多くのレコーディング、そしてライヴで80年代シーンを牽引して行ったのです。

【掲載アルバム】
マイルス・デイヴィス『クッキン』(Prestige)
マイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルー』(Columbia)
マイルス・デイヴィス『ビッチズ・ブリュー』(Columbia)

火曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~ ドナルド・バード特集

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ドナルド・バード『オフ・トゥ・ザ・レイシズ』(Blue Note)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第112回
ドナルド・バード特集(再放送)

ドナルド・バードは典型的なクリフォード・ブラウン直系トランペッターです。その明るく輝かしい音色はまさにブラウニーゆずり。1932年生まれのバードは1930年生まれのブラウニーとほぼ同世代。惜しくも1955年に交通事故のため亡くなってしまったブラウニーの遺志を継ぐようにしてジャズ・シーンにデビューしたバードは、ハードバップの名トランペッターとして幾多の傑作を残しました。
最初のアルバム『ハーフ・ノートのドナルド・バードVol.1』(Blue Note)はルース・ブラウン(後に、ブルーノート・プロデューサー、アルフレッド・ライオンの奥さんとなる人)の名司会によって紹介される、バリトン・サックスのペッパー・アダムスと組んだ新2管クインテットのお披露目とも言うべき名演。聴きどころは、まずはデューク・ピアソンの書いた名曲《マイ・ガール・シャール》を小気味良く吹ききるバードのトランペットの切れ味です。
次いで注目したいのは、高音域を担当するトランペットからは一番音域の離れた超低音楽器、バリトン・サックスから信じられない切れ味のフレーズを発射するペッパー・アダムスの迫力です。音の魅力だけで聴かせてしまうワザは彼ならでは。
2枚目『バード・イン・ハンド』(Blue Note)は、そこにテナー・サックスのチャーリー・ラウズが加わっていた時期の分厚い3管セクステットによる典型的ハードバップ。マイナー調の曲想とラウズの持ち味がジャスト・フィットですね。ちょっと元気の良い演奏が続いたので、3枚目のアルバムはバードの初期の傑作、幻の名盤と言われたトランジションの『バード・ブロウズ・オン・ビーコンヒル』です。ワンホーンでじっくりとフレーズを歌い上げるほのぼの調のバードもまたいいもの。後に博士号までとったバードの奥ゆかしい面が現れた傑作でしょう。
さて一転して3枚目『フエゴ』(Blue Note)は、かつて一世を風靡したファンキー・ジャズの名盤。マイナー曲想を吹かせたら天下一品、ジャッキー・マクリーンがこのアルバムのアーシーな味わいに一役買っています。とりわけバード作になる《エーメン》はそのゴスペル調の曲想によって60年代ジャズ喫茶で大ヒットしました。
バードとマクリーンの相性の良さを証明するのが『オフ・トゥ・ザ・レイシズ』(Blue Note)でしょう。前出のアルバム『バード・イン・ハンド』のチャーリー・ラウズの代わりにマクリーンが、そしてピアノがウォルター・デイヴィスから名手ウィントン・ケリーとなっているところが効いています。
というか、アップテンポで演奏された収録曲の目玉《恋人よ我に帰れ》の張り切りぶりは、やはりマクリーンならではのもの。私などもその日の気分のよって二つのアルバム、それぞれの持ち味を楽しんでいます。
さて、最後にご紹介するのは、昨年オリジナル・ジャケット・デザインでCD化されたブルーノート未発表シリーズから、1961年録音の『チャント』(Blue Note)です。一見一昔前のフュージョンっぽいジャケットなので素通りしちゃっている方もあるかと思いますが、いつも言うとおり、「なんでこれがお蔵なの?」という出来の良さ。ソニー・ロリンズの演奏で知られた《俺は老カウボーイ》(アルバム『ウェイ・アウト・ウェスト』収録)が採り上げられているのも珍しい。また、ピアノがハービー・ハンコックというもの聴き所でしょう。

【掲載アルバム】
ドナルド・バード『ハーフ・ノートのドナルド・バードVol.1』(Blue Note)
ドナルド・バード『オフ・トゥ・ザ・レイシズ』(Blue Note)
ドナルドバード『チャント』(Blue Note)

水曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~ 新譜特集 第1回

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ゴーゴー・ペンギン『マン・メイド・オブジェクト』(Blue Note)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第136回
新譜特集 第1回(再放送)

今春から毎月1回新譜特集として、比較的新しいアルバムをご紹介して行こうと思います。選択基準はわりあい幅広く取って、21世紀以降に録音されたものを中心に、それ以前の録音でも、発掘音源など発売が21世紀以降という作品も含めることにしようと思います。
最初にご紹介するのは、このところ注目を集めているイスラエル・ミュージシャン、オマール・アヴィタルの『ニュー・ソング』(Plus Loin Music)。オマールはベーシストで、サイドにはトランペットのアヴィシャイ・コーエンが参加しており、彼の熱気を孕んだトランペット・サウンドが聴き所です。
次に収録したのはイギリス生まれのベテラン・サックス奏者、ジュリアン・アーギュロスの最新作『テトラ』(Whirlwind)。彼のサックス・サウンドはじっくり聴くほどに味が増すタイプ。3枚目のアルバムは、今まさに注目のグループ「スナーキー・パピー」のキーボード奏者、ビル・ローレンスの新作『アフター・サン』(Universal)。メンバーは同じくスナーキー・パピーのベース奏者マイケル・リーグに、ドラム奏者ロバート“スパット"シーライト、そしてガーナ出身のパーカッション奏者ウィーディー・プライマーの参加がサウンドにワールド・ミュージック色を加えているところが聴き所ですね。実に快適で心地よい演奏ながら、音楽としての新しさが感じられます。
そしてこちらもUKジャズのピアニスト、キット・ダウンズがサイドに参加した、テナー・サックス奏者サム・クロカットの新作『メルス・ベルス』(Whirlwind)も力作です。華やかなキットのピアノと渋味サックス、クロカットの組み合わせは正解。
そしてECMからは、いかにもECM的な作品『アルバ』(ECM)が面白い。マークス・ストックハウゼンのフリューゲル・ホーンとフローリアン・ウィーバーのピアノによるデュオ作品で、かなり変則的な楽器編成ながら聴き手を飽きさせない作りこみはさすがECMですね。聴き所は、ちょっとマティアス・アイクを思わせるマークスのフリューゲル・ホーンの叙情的なサウンドです。
さて、最後に収録したのは今回の目玉作品、ゴーゴー・ペンギンの新作『マン・メイド・オブジェクト』(Blue Note)です。実を言うと2月にこのアルバムを聴くまでまったく知らないグループだったのですが、その斬新な演奏に惹かれ先日ブルーノート東京でわずか2日のみのライヴに出かけて見ました。まださほど知名度の高いグループだとは思えないのに客席は満員、立ち見も出るほど。そして客層が従来のファン層とは少し違っていて年齢層も若く、まさに「ジャズ新時代」を予感させるものでした。
そして何より驚いたのは演奏の素晴らしさです。アルバムでもその魅力は充分に伝わるとは思いますが、ライヴでのメンバー相互のインタープレイの密度の濃さは尋常ならざるものがあります。まさに現代のトップ・ジャズ・グループと言っていいでしょう。
ロブ・ターナーのドラミングの凄さは言うまでもありませんが、ベーシスト、ニック・ブラカのテクニックが素晴らしい。彼がチームの要となっているのもライヴでよくわかりました。そしてクールな表情のピアニスト、クリス・イリングウォースの従来のジャズ・ピアニストとは一味違う発想が、このグループならではの斬新なテイストを醸し出しているのも実感できました。なお、途中で音が歪んでいるように聴こえる部分がありますが、これは意図的にサウンドを加工しているのです。

【掲載アルバム】
オマール・アヴィタル『ニュー・ソング』(Plus Loin Music)
ビル・ローレンス『アフターサン』(Universal)
ゴーゴー・ペンギン『マン・メイド・オブジェクト』(Blue Note)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第21回

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バンダ・マグダ「ティガー」(Ground Up)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第156回
新譜特集 第21回(再放送)

新年おめでとうございます。私の担当するジャズ・チャンネルももうずいぶん長くなりました。これも番組を長らくお聴きくださっているジャズ・ファンのみなさま方のおかげです。この場を借りてあつく御礼いたします。ところで、「新譜紹介」のコーナーも無事3年目を迎えることが出来ました。こちらはここ数年、バラエティに富んだ新譜、新人がたくさん出てきており、「とりあえず聴いてみる」べきアルバム、ミュージシャンが飛躍的に増えたことと関係があります。
選曲の方針として、レギュラーの番組は「聴きやすさ」「楽しさ」「面白さ」を一番に考えますが、「新譜紹介」では、ある意味で「評価」や「好悪」はお聴きになるファンの皆様に委ねるようなスタンスを採っています。というわけで今年最初にご紹介するアルバムは、多彩な活動を見せるドラマー、ブライアン・ブレイドの「ブライアン・ブレード・アンド・ザ・フェローシップ」による3年ぶりの新作「ボディ・アンド・シャドウ」(Blue Note)です。ニューヨークのような都市ではなく、アメリカの広大な自然を感じさせるゆったりとしたサウンドが心地よいですね。
2枚目は映画「バードマン」の音楽で新たな方向性を見出したドラマー、アントニオ・サンチェスの「Bud Hombre」(Cam Jazz)です。このアルバムはサンチェスのメキシコ人としての誇りが大きな基本テーマで、自宅の地下室を改造したスタジオで半ば実験的に作られた作品と言っていいでしょう。自身のドラムソロに多重録音を重ね、実にエネルギッシュなサウンドが現出しています。
3枚目は今注目の新人キーボード奏者、ビッグユキのファースト・フル・アルバム「リーチング・フォー・ケイローン」(Universal)です。「ケイローン」とは、ビッグユキ自身の言葉によれば「ギリシャ神話の中に出てくるケンタウロスの中でも頭が良く、周りを教え諭す奴」だそうです。また彼はこのアルバムのコンセプトとして、AIの技術を取り込んだ人間を半身半獣に例え、新技術で世界に貢献するという思いを込めているとも語っています。彼の多彩な音楽の引き出しが伺えるサウンドが面白い。
スナーキー・パピーでフィーチャーされたギリシャ人シンガー・ソング・ライター、マグダ・ヤニクゥが中心となって結成された多国籍バンド、「バンダ・マグダ」による新作「タイガー」(Ground Up)は、彼女のヴォーカルがフィーチャーされたエキゾチックなテイストの楽しいアルバム。こういうタイプのバンドはライヴを観たかったのですが、アントニオ・サンチェスのライヴと重なってしまい、残念ながら今回は見送り、ぜひ次の機会に観てみたいですね。
このところチック・コリアの活躍が目立っています。「チャイニーズ・バタフライ」(Strech Record)はスティーヴ・ガッドとの共作です。ベテラン同士らしい手慣れたサウンドながら、演奏の密度はなかなかのもの。
そして最後に収録したのは若手の注目株、ピアニストの桑原あいと今や日本人ドラマーとして高い評価を得ている石若駿によるデュオ・アルバム「ディアー・ファミリー」(Verve)です。ドラムスとピアノの二人だけというフォーマットならではの、シンプルながら心地よい緊張感が聴き所となった作品で、じっくりと聴き込むことによってレコーディング現場での二人音楽的やり取りの模様が浮かび上がって来ます。

【掲載アルバム】 BIGYUKI「リーチング・フォー・ケイローン」(Universal) バンダ・マグダ「ティガー」(Ground Up) 桑原あい×石若駿「デアー・ファミリー」(Verve)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第32回

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Time Groove『More ThanOne Thing』(Ring)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第167回
新譜特集 第32回

このところUKジャズが注目されています。このコーナーでもシャバカ・ハッチングスなどのイギリスのジャズ・ミュージシャンたちを採り上げて来ましたが、今回冒頭でご紹介する『There is a Olace』 (Beat Record)もまた、サウス・ロンドンのジャズ・シーンを代表するニュー・グループ「マイシャ」のデビュー作です。マイシャはドラマーのジェイク・ロング率いる6人組グループで、注目すべきは女性版カマシ・ワシントンと呼ばれたサックス奏者ヌビア・ガルシアの存在です。
彼らの音楽は、かつてスピリチュアル・ジャズと呼ばれた60~70年代のファラオ・サンダースらの影響も受けつつ、ロンドンという多文化が混交した都市で生まれた音楽らしい斬新な発想が魅力になっています。2曲目に収録したタイトル曲はかつてドン・チェリーが演奏したナンバーで、こうした埋もれた名曲を採り上げるアイデアはなかなかアメリカのジャズ・ミュージシャンからは出てこないように思います。
2番目『More ThanOne Thing』(Ring)もまた話題のミュージシャンを大勢誕生させているイスラエル発のニュー・バンド、「タイム・グルーヴ」による新譜です。プロデューサーであるリジョイサーことユヴァル・ハヴキンがイスラエルの新人たちを終結した作品で、まさに現代ジャズの見本のようなクールで多彩なサウンドが心地よい。
次は、イタリアを代表するピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィがその才能を認めた新人、クラウディオ・フィリッピーニ率いるピアノ・トリオによる『Bifor The Wind』(Cam Jazz)です。オーソドックスなスタイルながら随所に見せるタッチの切れ味など、ピアノ・トリオ好きなら見逃せない実力の持ち主と言っていいでしょう。
そして昨年カート・ローゼンウィンケル率いる「カイピ・バンド」の一員として来日した、ブラジル・ミナスを代表するシンガー・ソング・ライター兼マルチ奏者、アントニオ・ロウレイロの6年ぶりの新作が『Livre』(NRT)です。サイドにはカート・ローゼンウィンケルや、以前このコーナーでご紹介したペドロ・マルチンスが参加しており、極上のミナス・サウンドが聴き所となっています。
今回の目玉はウェイン・ショーターのコミック付きCD3枚組大作『エマノン』(Blue Note)でしょう。一度実物を手に取ってご覧になることをお勧めしますが、ショーターが自ら推薦したコミック作家とのコラボ作品で、ショーターの思い描く世界がビジュアル化された魅力的なアルバムです。
もちろん音楽も壮大で、ストリングス・オーケストラを率いるショーターの作曲家としての才能が全面開花したスケールの大きな世界が繰り広げられています。バック・サウンドから浮かび上がるショーターのミステリアスなソロが聴き所で、その年齢を感じさせないイマジネーションの広がりには圧倒されるばかり。ちなみにタイトルの「エマノン」とは、ノー・ネームの綴りを逆さまにしたものです。
最後に収録したキース・ジャレットのソロ・ピアノ・アルバム『ラ・フェニーチェ』(ECM)は、2006年にベネチアのラ・フェニーチェ劇場で収録したもので、キースの即興演奏家としてのパフォーマンスが素晴らしい。それだけに聴衆の反応も熱狂的で、はるか昔、70年代から世界各地で繰り広げられたキースのソロ・ピアノに対する人気の幅広さを21世紀に伝えた名演と言っていいでしょう。

【掲載アルバム】
マイシャ『There is a Olace』 (Beat Record)
Time Groove『More ThanOne Thing』(Ring)
ウェイン・ショーター『エマノン』(Blue Note)

土・日曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

インフォメーション

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■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

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