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D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

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月曜日 22:00~ 新譜特集 第11回

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Mammal Hands
「Floa」(ゴンドワナ・レコード)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第146回
新譜特集 第11回(再放送)

最近のジャズ・シーンを眺めていると、日本人ミュージシャンの作品が質、量共にたいへん充実していることを実感します。挟間美帆、黒田卓也、ビッグ・ユキといったニューヨークを活動拠点としている人たちだけでなく、日本で活躍しているミュージシャンの演奏も一昔前に比べ確実にレベルアップしているだけでなく、さまざまなタイプの音楽が楽しめるようになって来ました。
最初にご紹介するのは、D.J.大塚弘子がプロデュースする注目のグループ、RM jazz legacyの2作目「RM jazz legacy 2」(key of Life +)からの演奏です。メンバーが凄い。1曲目「ザ・ユニバース」にはリーダー格のベーシスト守家巧ほか、キーボードの俊英坪口昌恭、そして注目の新進ドラマー石若駿が参加。以下2曲目からはベテラン、トランペッター類家心平、コンガの山北健一が加わり、3曲目では大物ドラマー芳垣安洋が参加するという豪華さです。とにかくリズムの心地良さが傑出したバンドです。 その大塚広子の音楽的バックグラウンドの広がりを示すのが、彼女が監修、選曲したコンパイル・シリーズ「PIECE THE NEXT」の第3弾「JAPAN BREEZE」(Key of Life+)です。最初に収録したトラックは、関西発総勢10名からなるダンサブルなユニット、NAKED VOICE a.k.a 野良犬の「Spank-A-Lee Jam」。続いて、既にご紹介したこともある黒田卓也のアルバム「ジグザガー」から未収録のトラック「Actors」、最後の曲はMISIAのツアー・メンバーでもある吉田サトシの「ザ・ソース」です。サイドには黒田卓也も参加しています。
そして25分に及ぶ大曲が1曲しか収録されていないアルバムが話題となった、ベルギーのユニークなヴォーカリスト、メラニー・デ・ビアシオの「Blackened Cities」(PLAY IT AGAIN SAM)は、とにかく聴き手の想像力を喚起させる力が素晴らしいですね。長いトラックですが、まったく飽きないで聴き通せます。曲数の割りに少々お高いですが、これは買いです。
少々先鋭的な音楽が続いたので、4枚目はトム・ハレルのオーソドックスかつ和めるトランペット、フリューゲルホーンで一休みしてください。ご紹介するのは2014年のアルバム「トリップ」(HighNote)で、サイドのテナー・サックスはマーク・ターナーです。
「哺乳類の手」という奇妙なバンド名「Mamal Hands」のアルバム「Floa」は、ゴーゴー・ペンギンがブルーノートに移籍する前に所属していたマンチェスターの「ゴンドワナ・レコード」からの新作です。ジャズ的ではないピアノと複雑なリズムの組み合わせはゴーゴー・ペンギンと似ていますが、こちらはベースの代わりにサックスが入ったトリオ編成です。このところアメリカ発では無いグループがジャズに新風を吹き込んでいますが、このグループも注目する必要がありそうです。
最後に収録したのは、先日「ブルーノート東京」にダニー・マッキャスリンのサイドマンとして来日したキーボード奏者、ジェイソン・リンドナーとドラマー、マーク・ジュリアナの2013年のアルバム「Earth Analog」です。ブルーノートでの演奏は私も観ましたが、ジェイソン・リンドナーのキーボードがバンド・カラーに大きく寄与していました。また、マーク・ジュリアナの切れの良いドラミングは、明らかに「ジャズ新世代」を象徴していましたね。今一番好きなドラマーです。

【掲載アルバム】
「RM jazzs legacy 2」(Key of Life+)
メラニー・デ・ビアシオ「Blackened Cities」(PLAY IT AGAIN SAM)
Mammal Hands 「Floa」(ゴンドワナ・レコード)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~  ボビー・ハッチャーソン特集

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ボビー・ハッチャーソン
『ハプニングス』(Blue Note)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第106回
ボビー・ハッチャーソン特集(再放送)

1941年生まれのボビー・ハッチャーソンは、前々回ご紹介した1943年生まれのゲイリー・バートンとほぼ同世代ですが、わずか2歳の年の差が微妙な音楽性の違いを生んでいるようです。しいて言えば、ハッチャーソンはビバップ以来シーンで活躍し続けていたミルト・ジャクソンと、明らかに新世代のヴァイヴ奏者、バートンとを繋ぐ役割を果たしたといえるでしょう。
また、ハッチャーソンは一ヴァイブ奏者であると同時に、1960年代新主流派の重要人物でもありました。60年代新主流派は別名ブルーノート新主流派などとも呼ばれましたが、今回ご紹介するハッチャーソンのアルバムも、すべてブルーノート作品です。
新主流派の特徴は、モード奏法を用いるなど50年代ハードバップに比べ音楽の表情がクールで斬新な響きを持っています。最初にご紹介する『ハプニングス』などはその代表で、新主流派の代表的ピアニスト、ハービー・ハンコックをサイドマンに迎え、ハンコックの名曲《処女航海》を取り上げています。
ホーン奏者の入ったハンコック版の同曲に比べ、ヴァイブとピアノによる演奏は、この曲の特徴をより一層引き立てており、まさに名演です。
ハッチャーソンはホーン奏者との共演盤でも個性を発揮し、『コンポーネンツ』では、ヴァイブならではのクールで透徹した響きが音楽の表情を引き締め、50年代ハードバップとの違いを際立たせています。ジャケット写真に用いられた金属のアブストラクトのイメージそのまま、「モダンアート」のような切れ味が聴き所。サイドマンのフレディ・ハバードとの相性も抜群です。
『インナー・グロウ』はヴァイヴとマリンバ(木琴)を効果的に使い分けた傑作。《サーチン・ザ・トレーン》では、テーマ部分はヴァイブ、ソロではマリンバとそれぞれの楽器の特徴を生かし、シンプルな曲想を逆手に取った名演を披露しています。
ハッチャーソンは70年代に入ると微妙にスタイルを変え、『ナックルビーン』冒頭収録の《ホワイ・ノット》はマリンバの柔らかい音色を生かしたメロウな心地よい演奏です。しかし続く《サンダンス・ノウズ》では相変わらず切れ味の良いソロを展開しており、音楽の表情が多様になって明らかに新境地を切り拓きました。長年の相棒、フレディ・ハバードの快演も注目です。
毎度のことですがブルーノートは録音時に未発表の好演がたくさんあり、『スパイラル』は60年代後半に録音されましたが、発売は70年代に入ってから。最初に収録したタイトル曲ではハロルド・ランドをフロントに据え、テナー奏者との相性の良さも見せています。ピアノがスタンリー・カウエルというのも面白い。アルバム最後の曲《ジャスパー》はメンバーが変り、いつものフレディのほか、初リーダー作で共演したサム・リヴァースやアンドリュー・ヒルが参加しています。
『オブリーク』も録音当事未発表のアルバムで、『ハプニングス』と同じようにピアノのハンコックと共演しており、楽器構成はあのM.J.Q.といっしょ。ただ当然描き出される世界は違っており、ミルト・ジャクソンのソウルフルな魅力に対し、こちらはモダンかつクール。この一事に象徴されるように、ハッチャーソンのヴァイブ・サウンドが加わることによって、音楽の表情がクールでモダンなものに変貌するところが彼の魅了であり、聴き所です。

【掲載アルバム】
ボビー・ハッチャーソン『ハプニングス』(Blue Note)
ボビー・ハッチャーソン『コンポーネンツ』(Blue Note)
ボビー・ハッチャーソン『ナックルビーンズ』(Blue Note)

火曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~ アート・ファーマー特集

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アート・ファーマー
『アート』(Argo)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第96回
アート・ファーマー特集(再放送)

少々地味ながら聴くほどに味わいが深まるトランペッターとして、アート・ファーマーはコアなジャズファンの間で愛好されてきました。私がお届けしている番組でも、ファーマーの登場回数は多いはずです。彼の魅力は、トランペット、あるいはフリューゲルホーンの音色に豊な表情があることです。必要以上にテクニックを強調することなく、微妙なニュアンスで聴き手の心を惹きつける、まさに日本のファンの細やかな感受性にピッタリなミュージシャンと言えるでしょう。
『ザ・タイム・アンド・ザ・プレイス』(Columbia)は冒頭のキャッチーなタイトル曲の魅力も手伝い、60年代ジャズ喫茶でヒットしたアルバムです。ジミー・ヒースのテナーをサイドに従えた2管クインテットでのライヴ演奏で、2曲目に収録した《シャドウ・オブ・ユア・スマイル》など親しみやすい選曲の名盤です。彼のアルバムを買おうと思うファンにとっての最初の1枚として、最適のアルバムではないでしょうか。
トランペットのワンホーン・カルテット、つまり他にサックス奏者のいない編成は、思いのほか少ない。マイルス・デイヴィスやクリフォード・ブラウンも、ほとんどのアルバムがサックス奏者入りのクインテットです。その理由は、トランペットだけでアルバム1枚を飽きさせずに保たせるのは、意外と難しいからです。
『アート』(Argo)はそうした困難なフォーマットでの名演で、ジックリと聴き込むほどに魅力が増す、マニア好みの名盤です。
スティーヴ・ガッドのドラムスにマイク・マイニエリのヴァイヴ、まさに70年代フュージョンのスターといわれるミュージシャンたちをサイドに従えた『ビッグ・ブルース』(CTI)はファーマーの異色作と言えるでしょう。しかし、共演者にギターの名手ジム・ホールを選んだことも手伝って、しっとりと落ち着いた傑作に仕上がりました。暖かい音色が特徴であるフリューゲルホーンを使用していることも聴きどころです。
かつてクインシー・ジョーンズのセッションで共演したフィル・ウッズとの双頭クインテット『ホワット・ハップンズ』(Campi)は、ダイナミックに吹きまくるウッズに合わせ張りと勢いのある演奏を展開していますが、そこはかとなく漂うファーマーの落ち着いた雰囲気がこのアルバムの品位を高めています。
北欧の民謡を取り上げた『スエーデンに愛を込めて』(Atlantic)は、哀愁帯びた曲の魅力で多くのファンから支持された傑作です。このアルバム成功の秘密は、相性の良いギター奏者ジム・ホールを向かえたピアノレス・カルテットというフォーマットと、曲想にフィットしたフリューゲルホーンのまろやかな音色にあると思います。
渋めのアルト奏者、ジジ・グライスと共演した『ホエン・ファーマー・メット・グライス』(Presutige)は何気ないハードバップでありながら、聴くほどに深みが増す通好みの名演です。共に控えめなファーマーとグライスの気質が、音楽を表面だけの派手さとは無縁の味わい深いものにしているからでしょう。
1970年代、日本ジャズレーベル、イースト・ウィンドから出された『おもいでの夏』は、いかにもなタイトルにもかかわらず、しっとりとした味わいの傑作に仕上がっています。それはファーマーの地に足の着いた音楽観が演奏に一本芯を通しているからです。フリューゲルホーンの使い方も実に巧みです。

【掲載アルバム】
アート・ファーマー『ザ・タイム・アンド・ザ・プレイス』(Columbia)
アート・ファーマー『アート』(Argo)
アート・ファーマー『ホエン・ファーマー・メット・グライス』(Prestige)

水曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~  ソニー・クリス特集

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ソニー・クリス
『アップ・アップ・アンド・アウェイ』
(Prestige)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第120回
ソニー・クリス特集(再放送)

ソニー・クリスは歴としたチャーリー・パーカー派のアルト奏者で、パーカーと共演したこともあります。そのときの録音を聴くと、ほんとうにパーカーそっくり。しかし主に西海岸で活動していたためハードバップ的な作品が少なく、ジャッキー・マクリーンやフィル・ウッズのような典型的パーカー派ハード・バッパーとはちょっと違うタイプと観られているようです。
彼が一般的人気を獲得したのは冒頭に収録した1967年録音のアルバム『アップ・アップ・アンド・アウェイ』(Prestige)で、タイトル曲はロック・グループ、フィフス・ディメンションが採り上げてヒットした作品。たしか航空会社のコマーシャル・ソングとしても使われていたはず。「いーぐる」開店の年の新譜で、リクエストもひんぱんにかかりましたね。ちなみに、このアルバムの最初のライナー・ノートはあの村上春樹氏が書いており、さすがジャズ喫茶店主だけにクリスに対する洞察も深く、読み物としてもたいへん面白い。書かれたのは1980年で、氏が『風の歌を聴け』で群像新人文学書でデビューした翌年。中古レコード、あるいはCDを探し出して一読する価値があります。
それはさておき、ポップスのジャズ化としてはたいへんうまく出来た作品で、クリスの明るいアルト・サウンドがうまく活かされています。サイドのギター名手、タル・ファーロウの存在も大きい。次に収録した同じくプレスティッジ盤『ジス・イズ・クリス』は前年に録音されたワン・ホーン・カルテットで、《ブラック・コーヒー》や《酒とバラの日々》など、良く知られたスタンダード・ナンバーを採り上げています。
『アット・ザ・クロスロード』はピーコックという珍しいレーベルに吹きこまれたため、長らく「幻の名盤」扱いされていました。録音は1959年で、この時点ですでにクリスはオリジナリティを獲得しており、独特の明るくメローなアルト・サウンドを活かしたスタイルは、マクリーンなどとは一線を画したスタンスです。聴きどころは明朗な中にも一抹の哀愁を帯びた独特なフレージングで、彼の不幸な最期を想像させたりもします。サイドにウィントン・ケリーが控え、編成もトロンボーンが入った2管クインテットと凝っています。
さて、『アップ・アップ・アンド・アウェイ』である程度の認知度を得たとは言え、やはりクリスはマクリーンやウッズなどと比べれば、相対的にマイナーな存在であったことは否めません。そんなクリスに思わぬスポットが当たったのが、例の“70年代ハード・バップ・リバイバル"の動きでした。フュージョン・ブームへの反動からか、オーソドックスなジャズマンを再評価しようという試みです。
後半に収録した3枚のアルバムがそれで、1975年録音の『アウト・オブ・ノー・ウェアー』(Muse)はオーソドックスなワンホーン・カルテット。同じく75年にミューズから出た『クリスクラフト』はギターが入ったクインテットで、哀感漂うホレス・タプスコット作の名曲《ジス・イズ・フォー・ベニー》が素晴らしい。そして何と言っても極め付きはザナドゥから出た『サタディ・モーニング』でしょう。名曲《エンジェル・アイズ》を切々と歌い上げるクリスの境地、技量、音色共に明らかに50年代60年代を凌駕しています。バリー・ハリスの好演にも支えられ“ハード・バップ・リバイバル"が単なる昔懐かしがりだけではなく、ジャズマンの進歩の軌跡を辿る試みでもあることがこうした作品で実証されたのです。

【掲載アルバム】
ソニー・クリス『アップ・アップ・アンド・アウェイ』(Prestige)
ソニー・クリス『クリスクラフト』(Muse)
ソニー・クリス『サタディ・モーニング』(XANADU)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第5回

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カマシ・ワシントン
『ザ・エピック』
(Brainfeeder)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第140回
新譜特集 第5回(再放送)

まず最初にご紹介するのはニューヨーク、ブルックリンを拠点として活動するトランペット、フリューゲル・ホーン奏者ブライアン・グローダー2016年のアルバム『R Train on the D Line』(Latham Record)です。彼は作曲家でもあり、この新譜ではマイケル・ビシオのベースとジェイ・ローセンのドラムスのみを従えたシンプルなトリオ編成です。
一般にピアノ・レスのワン・ホーン・トリオというのは、そうとう実力が無ければ間が持てない難しいフォーマットです。とりわけトランペット、フリューゲル・ホーンでそれをやるというのは滅多にないこと。お聴きになればおわかりかと思いますが、その難題を見事にこなしているだけでこの人は注目に値するミュージシャンと言えるでしょう。
そしてそれを支えているリズム・セクションの実力もそうとうなものです。ベース、ドラムスとフリューゲル・ホーンの3者が緊密に絡み合っているからこその名演と言えるでしょう。
同じトランペット・ジャズでも、ノルウェーのミュージシャンともなるとずいぶん音楽の表情が変るものです。マティアス・アイクの『ミッドウェスト』(ECM)は、いかにも北欧的な空気感を感じさせるサウンドが実に魅力的。ノルウェイのフォーク・ミュージックと現代ジャズが見事に融合しています。ヴァイオリンの使い方も秀逸。
3枚目にご紹介する『Ancestral Tongues』((Latham Record)は、またもやブライアン・グローダーですが、こちらは彼の初期のアルバムで録音は1993年。サックスとギターが入ったわりあいオーソドックスなスタイルで演奏しています、しかしピアノはいません。この辺り彼のこだわりがあるのかもしれません。彼の出発点を知るアルバムと言えるでしょう。
『Super Petit』(Cuneiform)は、ドラムス、パーカッションのジョン・ホーレンベック率いる、結成20周年を迎えるクラウディア・クインテットの新譜です。アコーディオンとサックスが醸し出すユニークなサウンドとリズムの絡みが快適です。彼らのアルバムはものによってはちょっと取っ付きが悪いものもありますが、この新作は一般的なジャズ・ファンにも好意的に迎えられるのではないでしょうか。
 今もっとも注目されているジャズ・ミュージシャンがカマシ・ワシントンでしょう。ブラック・ミュージックの伝統と現代ジャズ・シーンの動向がうまい具合に融合しています。昨年発表された3枚組みの大作『ザ・エピック』(Brainfeeder)は、彼の壮大な世界観がコーラスを含む大編成チームによって見事に結実した傑作です。
私も彼らのライヴを見ましたが、その実力を裏付ける素晴らしいものでした。12月にビルボード大阪、ビルボード東京で公演を行うので、またぜひ見たいと思っています。とにかく注目の人物ですね。
最後に収録したコリン・ヴァロンのアルバム『ル・ヴァン』(ECM)は2013年の録音ですが、ピアニストとしてのヴァロンの音楽性がよくわかる、地味ながら名演と言っていいでしょう。取り立てて派手なことや目新しいことはしませんが、じっくりと聴けば演奏の質の高さはおわかりになることと思います。

【掲載アルバム】
ブライアン・グローダー『R Train on the D Line』(Lathm Record)
マティアス・アイク『ミッドウェスト』(ECM)
カマシ・ワシントン『ザ・エピック』(Brainfeeder)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第151回

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ビル・フリゼール
『スモール・タウン』(ECM)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第151回
新譜特集 第16回

今回最初にご紹介するのは、今年なんと80歳を迎えたという大ベテラン・ドラマー、ルイス・ヘイズのブルーノート、デビュー・アルバム『セレナーデ・フォー・ホレス』です。タイトルからもわかるように、彼が長年サイドマンを務めたブルーノート・レーベルの看板ピアニスト、ホレス・シルヴァーの楽曲を披露しています。楽器編成は、かつてルイスがホレスのバンドにいた時と同じトランペットとテナーの2管クインテットに、楽曲によってヴァイブラフォンが加わった総勢6名。
聴き所は、2曲目に収録したホレスの名曲「セニョール・ブルース」とホレスの人気を不動のものとした、3曲目に収録した「ソング・フォー・マイ・ファーザー」でしょう。とりわけ後者には今人気のグレゴリー・ポーターがゲストに加わるという豪華さです。ブルーノート・レーベルの意気込みが伝わって来ます。
私は2015年に彼が来日した際インタビューを行っていますが、実に元気で、いろいろとホレス・シルヴァーのバンドにいたころの話をしてくれました。印象に残っているのは、ホレスがまだ若かったヘイズにいろいろと親切にジャズ界のことを教えてくれたことや、かなり自由に演奏させてくれたので、たいへんやりやすかったといったエピソードでした。
2枚目は、アメリカのTVトーク番組「トゥナイト・ショー」の音楽監督を降板し、アルバム制作を再開したギタリスト、ケヴィン・ユーバンクスの『イースト・ウェスト・タイム・ライン』(Mack avenue)です。二つのグループで録音していますが、ニコラス・ペイトン、ディヴ・ホランドによるメインストリーム・ジャズが聴き所です。
次は、山中千尋が今年生誕100周年を迎えたセロニアス・モンクをテーマとした新作『モンクス・スタディズ』(Blue Note)です。このアルバムで山中は、ピアノの他、シンセサイザー・オルガンも披露し、積極的にモンクの世界を拡張しています。聴き所は、彼女の前向きな意欲が演奏のクオリティに直結しているところでしょう。モンクの音楽が持つ、ちょっとクセがありつつも懐が深く、ミュージシャンによる解釈の自由度の高さが山中の資質と巧くフィットしたのでしょうね。たいへん素晴らしく聴き応えのある作品で、彼女の代表作となるでしょう。
そしてこの企画が成功の理由の一つに、適切なサイドマンの選択があったと思います。何しろドラマーが、フライング・ロータスやサンダーキャットの新作に参加した元祖人力ドラム・マシーン、ディーントニ・パークス、そしてベーシストもヒップホップ・グループ、ザ・ルーツのレギュラー・ベーシスト、マーク・ケリーです。彼らのまさに21世紀的なリズムが、山中の先鋭な発想と実にうまくマッチしているのですね。
ダーシー・ジェームス・アーギューはカナダで生まれアメリカで活動する作曲家です。今回ご紹介した『Infernal Machine』(New Amsterdam)は彼が率いるラージ・アンサンブル「シークレット・ソサエティ」が2009年に発表したアルバムで、スティーム・パンクを標榜した作品です。お聴きになればお分かりかと思いますが、さまざまなエフェクトを多用したサウンドの斬新さが新時代のジャズ・バンドの在り方を示唆しています。
次はダニー・マキャスリンなどのバンドで活躍するベーシスト、スコット・コリーの新譜『セヴン』(Artist Share)です。聴き所はジョナサン・フィレンソンの軽やかなトランペット。そして最後は、つい先日来日したビル・フリゼールが、トマス・モーガンと共演したデュオ・ライヴ・アルバム『スモール・タウン』(ECM)。フリゼールのギターが素晴らしいのは言うまでもありませんが、モーガンとの息の会い具合が何とも心地よい。ライヴの雰囲気も大変に暖かいものとなっています。

【掲載アルバム】
山中千尋『モンク・スタディズ』(Blue Note)
ダーシー・ジェームス『Inferent machines』(New amsterdam)
ビル・フリゼール『スモール・タウン』(ECM)

土・日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

インフォメーション

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■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

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