HOME / ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

放送スタイル
タイムテーブル参照
備考
毎月1日に更新
対応サービス
SOUND PLANET
SOUND PLANET-i
music AirBee!
SOUND PLANET-i HOME MIX
USEN440

月曜日 22:00~ 新譜特集 第32回

d51_190501_01

Time Groove『More ThanOne Thing』(Ring)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第167回
新譜特集 第32回(再放送)

このところUKジャズが注目されています。このコーナーでもシャバカ・ハッチングスなどのイギリスのジャズ・ミュージシャンたちを採り上げて来ましたが、今回冒頭でご紹介する『There is a Olace』 (Beat Record)もまた、サウス・ロンドンのジャズ・シーンを代表するニュー・グループ「マイシャ」のデビュー作です。マイシャはドラマーのジェイク・ロング率いる6人組グループで、注目すべきは女性版カマシ・ワシントンと呼ばれたサックス奏者ヌビア・ガルシアの存在です。
彼らの音楽は、かつてスピリチュアル・ジャズと呼ばれた60~70年代のファラオ・サンダースらの影響も受けつつ、ロンドンという多文化が混交した都市で生まれた音楽らしい斬新な発想が魅力になっています。2曲目に収録したタイトル曲はかつてドン・チェリーが演奏したナンバーで、こうした埋もれた名曲を採り上げるアイデアはなかなかアメリカのジャズ・ミュージシャンからは出てこないように思います。
2番目『More ThanOne Thing』(Ring)もまた話題のミュージシャンを大勢誕生させているイスラエル発のニュー・バンド、「タイム・グルーヴ」による新譜です。プロデューサーであるリジョイサーことユヴァル・ハヴキンがイスラエルの新人たちを終結した作品で、まさに現代ジャズの見本のようなクールで多彩なサウンドが心地よい。
次は、イタリアを代表するピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィがその才能を認めた新人、クラウディオ・フィリッピーニ率いるピアノ・トリオによる『Bifor The Wind』(Cam Jazz)です。オーソドックスなスタイルながら随所に見せるタッチの切れ味など、ピアノ・トリオ好きなら見逃せない実力の持ち主と言っていいでしょう。
そして昨年カート・ローゼンウィンケル率いる「カイピ・バンド」の一員として来日した、ブラジル・ミナスを代表するシンガー・ソング・ライター兼マルチ奏者、アントニオ・ロウレイロの6年ぶりの新作が『Livre』(NRT)です。サイドにはカート・ローゼンウィンケルや、以前このコーナーでご紹介したペドロ・マルチンスが参加しており、極上のミナス・サウンドが聴き所となっています。
今回の目玉はウェイン・ショーターのコミック付きCD3枚組大作『エマノン』(Blue Note)でしょう。一度実物を手に取ってご覧になることをお勧めしますが、ショーターが自ら推薦したコミック作家とのコラボ作品で、ショーターの思い描く世界がビジュアル化された魅力的なアルバムです。
もちろん音楽も壮大で、ストリングス・オーケストラを率いるショーターの作曲家としての才能が全面開花したスケールの大きな世界が繰り広げられています。バック・サウンドから浮かび上がるショーターのミステリアスなソロが聴き所で、その年齢を感じさせないイマジネーションの広がりには圧倒されるばかり。ちなみにタイトルの「エマノン」とは、ノー・ネームの綴りを逆さまにしたものです。
最後に収録したキース・ジャレットのソロ・ピアノ・アルバム『ラ・フェニーチェ』(ECM)は、2006年にベネチアのラ・フェニーチェ劇場で収録したもので、キースの即興演奏家としてのパフォーマンスが素晴らしい。それだけに聴衆の反応も熱狂的で、はるか昔、70年代から世界各地で繰り広げられたキースのソロ・ピアノに対する人気の幅広さを21世紀に伝えた名演と言っていいでしょう。

【掲載アルバム】
マイシャ『There is a Olace』 (Beat Record)
Time Groove『More ThanOne Thing』(Ring)
ウェイン・ショーター『エマノン』(Blue Note)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~ バド・パウエル特集

d51_190501_02

バド・パウエル『アメイジング・バド・パウエルVol.1』(Blue Note)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第128回
「ジャズの巨人シリーズ」 第6回 バド・パウエル(再放送)

チャーリー・パーカーが切り拓いたビ・バップ・ムーヴメントをピアノで実践したモダン・ジャズ・ピアノの開祖、バド・パウエルは、天才的閃きで彼以降のジャズ・ピアノ・スタイルを一新しました。日本のファンに人気のあるウィントン・ケリーはじめ、ソニー・クラークやトミー・フラナガンなど、多くのピアニストがパウエルのスタイルを踏襲するところから自らの経歴をスタートさせています。
パウエルは若い頃警官に暴行され情緒不安定を来たし、それが演奏にも影を落しています。時期によって好不調の波が激しいのです。今回はほぼ年代順に彼の演奏をご紹介しましたが、初期のアドリブの冴えで聴かせる演奏から晩年の枯淡の境地まで、終始一貫した強烈な個性は圧倒的な存在感をもって聴き手に迫ってきます。
最初に収録したアルバム『ジャズ・ジャイアント』(Verve)の《テンパス・フュージット》の凄まじいスピード感は思わず背筋に戦慄が走ります。単に速いだけでなく、切迫感をもった強靭なタッチは誰にも真似できません。そして同じアルバムに収録された《アイル・キープ・ラヴィング・ユー》では、パウエルならではの底知れぬロマンチシズムが素晴らしい。
同じく初期の名演『アメイジング・バド・パウエルVol.1』(Blue Note)の《ウン・ポコ・ロコ》の集中力や、夭折したバップ・トランペッター、ファッツ・ナヴァロとの競演では、「俺が、俺が」のソロの奪い合いが、いかにもビ・バップ的です。まだ若いソニー・ロリンズの演奏が聴けるのもこのセッションの魅力です。
ソニー・スティットとのワン・ホーン・セッションを収録した『スティット・パウエル&J.J.』(Prestige)でも、自分のソロこそが一番とばかり逸りに逸った演奏の勢いは、まさにビ・バップの聴きどころと言ってもいいでしょう。50年代以降パウエルの影響下に活躍する、前述した「パウエル派ピアニスト」たちの整った演奏では味わえないスリルがこの時期のパウエルの魅力ですね。
パウエルは晩年パリに活動拠点を移しましたが、『トリビュート・トゥ・キャノンボール』(Columbia)は、その時期にヨーロッパで活躍していたテナー奏者ドン・バイアスと共演したアルバム。プロデュースはキャノンボール・アダレーで、録音からだいぶ経ってから発売されました。若い頃に比べタッチの切れ味こそ若干の衰えを見せていますが、フレージングに込められた表情はむしろ深みを増しています。
パウエルは作曲の才もあり、名曲《クレオパトラの夢》が一世を風靡した『アメイジングVol.5~シーン・チェンジス』(Blue Note)は、ジャズ喫茶のリクエストの常連でした。パウエルはこのセッションを最後にパリに移住したのです。すべて名曲ですが、意外と他のピアニストたちによって演奏されてはいません。それは、この曲の境地を表現できるのはパウエルしかいなかったということなのかもしれませんね。
最後に収録した『セロニアス・モンクの肖像』(Columbia)も晩年のパリでの録音です。パウエルは若い頃モンクに音楽理論を教わっており、そうした経緯からモンクの曲目を採りあげていますが、演奏はまったくパウエルの味付けとなっているのが興味深いですね。この時期のパウエルの枯淡の境地はやはり彼ならではのもの。若い頃の勢いのある演奏と比べて聴くと、味わいも一層深まります。

【掲載アルバム】
バド・パウエル『ジャズ・ジャイアント』(Verve)
バド・パウエル『アメイジング・バド・パウエルVol.1』(Blue Note)
バド・パウエル『セロニアス・モンクの肖像』(Columbia)

火曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~ レッド・ガーランド特集

d51_190501_03

レッド・ガーランド『ア・ガーランド・オブ・レッド』(Prestige)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第117回
レッド・ガーランド特集(再放送)

1955年に結成された、伝説的マイルス・デイヴィス・クインテットの一員としてその名を知られた名ピアニスト、レッド・ガーランドは、バド・パウエルの系列に連なる典型的ハードバップ・ピアニストです。しかし、その特徴的な「球を転がす」ようなタッチはまさにワン・アンド・オンリーで、誰しも一聴して「これはガーランドだ」と聴き分けられる優れた個性の持ち主でもあります。もちろん、だからこそマイルスは彼をサイドマンとして起用したのでしょう。
彼は1958年までマイルス・コンボに在籍していましたが、その間プレスティッジ・レーベルと契約し、自分自身のリーダー作を吹き込むだけでなく、マイルス・コンボの同僚、ジョン・コルトレーンのサイドマンを務めていたりもします。面白いのは、そのコルトレーンを自分名義のアルバムではサイドマンとして使うなど、同時期に主役が入れ替わるような吹き込みが混在し、プレスティッジらしさが現れているように思います。
「プレスティッジらしさ」とは、同じような顔ぶれをスタジオに集め、とりあえずセッションを行ない、てきとうにリーダー名をつけて発売してしまうような、ある意味で「ジャジー」な感覚です。『ハイ・プレッシャー』(Prestige)は、そのコルトレーンにトランペットのドナルド・バードを加えた典型的ハードバップ2管クインテットで、いかにも50年代的な気分が好ましい。もちろんガーランドのピアノ・ソロがタップリ聴けるところは、やはり彼のリーダー作。
時代は一気に70年代に飛び、録音もドイツのMPSレーベルです。このアルバムを新譜で聴いた時はほんとうに驚きました。まず、当時すでに「伝説のピアニスト」と化していたガーランドの健在振りと、録音のせいなのでしょうか、まったくピアノの音色が変わっているところ。キラキラと輝かしいタッチは、プレスティッジ・レーベルでは聴けなかった新鮮さです。そしてもう一つの聴きどころはサイドのテナー奏者、ジミー・ヒースの好演ですね。このアルバムは「70年代ハードバップ・リバイバル」の先鞭となった傑作です。
そしてまた50年代に戻り、『ハイ・プレッシャー』と同じメンバーによる『ソウル・ジャンクション』(Prestige)を聴くと、時代の違いが浮き彫りになります。こちらの演奏はコルトレーンのソロもドナルド・バードの出番も十分に確保され、聴きようによっては誰がリーダーでもおかしく無い。うがった見方をすれば、金看板マイルスをコロンビア・レーベルに取られてしまったプレスティッジが、バードを代役に見立てた巻き返し作戦とも言えなくもありません。
そしてご存知、ガーランドの代表作『グルーヴィ』(Prestige)です。まさにピアノトリオによる名演。その秘密は何といっても、彼もまたマイルス・コンボの同僚、ポール・チェンバースの参加でしょう。ぐんぐんと演奏を前進させ活気を与え続けるチェンバースのベースは、それだけ聴いても充分気持ちがよい。『ディグ・イット』(Prestige)は『ハイ・プレッシャー』『ソウル・ジャンクション』と同一メンバーによる《ビリーズ・バウンス》の他に、チェンバースを迎えたトリオ演奏と、バードが抜けたカルテット演奏が収録されたアルバム。最後にご紹介する『ア・ガーランド・オブ・レッド』(Prestige)は、トリオによる初リーダー作で、こちらもチェンバースが参加しています。それだけに聴き応え充分な傑作となっています。

【掲載アルバム】
レッド・ガーランド『ザ・クオータ』(MPS)
レッド・ガーランド『グルーヴィー』(Prestige)
レッド・ガーランド『ア・ガーランド・オブ・レッド』(Prestige)

水曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~  新譜特集 第6回

d51_190501_04

黒田卓也『ジグザガー』(Concord)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第141回
新譜特集 第6回(再放送)

「いーぐる」で毎月1回開かれているユニーバーサル・ジャズの斉藤さんとディスクユニオン新宿館の羽根さんによる新譜紹介イヴェント『New Arraivals』も、既に31回を迎えています。
ジャズ喫茶を半世紀近くやっていると、折々の新譜には当然関心があります。率直に言って、シーンに活気があり次々と話題作・傑作がリリースされる時代と、沈滞期というか、いまひとつ乗れないアルバムばかりが続く時代がありました。
そうした長い眼で見てみると、明らかにここ数年はジャズの新たな可能性が見えていると言っていいでしょう。時代の最中ではその動きを明確なことばで説明するのは難しいのですが、従来の「ジャズ史観」では説明出来ないようなアルバムが世界中から出ています。
たとえば冒頭でご紹介する黒田卓也の新作『ジグザガー』(Concord)などは、つい「マイルスの影響」などということばが出かかりますが、よく聴くと、かつて多くあった「マイルスの子供たち」あるいは「孫たち」の作品とは、一線を画する斬新さが聴き取れます。具体的にはリズムの扱いの進化・洗練がまず挙げられるでしょう。それはメンバーの技量が昔とは比較にならないぐらい向上していることも大きいのですが、なによりそれらをアルバムに纏め上げる黒田のクールなセンスが、まさしく「今」なのですね。
そして同じことが、このところいろいろな形でご紹介しているスナーキー・パピーのライヴ盤にも言えます。今回収録した32枚組みボックス・セット『ワールド・ツアー2015』(Ground Up)は、2015年のツアーの記録で、彼らがまさに「ライヴ・バンド」であることを示した名演です。同じ曲目も当然ありますが、微妙にテイストが違う。そして何より、めちゃくちゃテクニックが凄い。
「ハイテク・バンド」は大昔のフュージョン全盛期にも山のように出現しましたが、表層的なサウンドは似ていても、ライヴを聴くとスナーキーの新しさが実感できます。それをひとことで言い表すと、彼らの演奏は極めて「ジャジー」なのですね。まさに新時代の「グルーヴ感」が感じ取れるのです。
ちなみに、ワンセット4万円以上もし、しかも32枚組みという大部のセットものを買うのはちょっと、と思っていらっしゃるファンのために、「いーぐる」ではこのところ毎日順番にCDを1枚ずつおかけするというイヴェントを行っています。実を言うと、私もまだ半分ぐらいしか聴けていないのですが、それでも彼らの実力、現代シーンにおける重要性はリアルに実感出来ました。
つい最近惜しくも亡くなってしまったプリンスが賞賛した、ピアノ、ヴォーカルのキャンディス・スプリングスの歌声は、聴くほどに味が出るタイプ。ぜひライヴでじっくりと聴いてみたいミュージシャンです。
クラウディア・クインテットとアンリ・テキシェの新譜は前にもご紹介しましたが、一般のジャズファンはあまり聴く機会も無いかと思い、違う曲目も含め、再びお聴きいただきます。最後に登場する「ハウス・オブ・ウォーターズ」は、今ニューヨークで注目されている3人組にグループです。リーダー格のMax ZTは、ハンマー・ダルシマーという「琴」のように張った弦をスティックで叩いて音を出す珍しい楽器を巧みに操って、ジャズに新風を吹き込みました。とにかく今、ジャズは面白い。

【掲載アルバム】
黒田卓也『ジグザガー』(Concord)
スナーキー・パピー『World Tour 2015』(Ground Up)
『House Of Waters』(Ground Up)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第26回

d51_190501_05

Logan Richardson Blues People (Universal)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第161回
新譜特集 第26回(再放送)

今話題のアルト奏者、ローガン・リチャードソンが、ジャズ、ブルース、そしてカントリーといったアメリカン・ミュージックの坩堝の地、生まれ故郷カンザス・シティの音楽的環境を、現代ジャズとして表現した新作が「ブルース・ピープル」(ユニバーサル)と言っていいでしょう。ツイン・ギターによる新グループのサウンドは、いわゆる「ブルース」のイメージを大きく変えるもので、斬新さと懐かしさが同居した不思議なテイストが魅力です。2016年の来日公演ではまだちょっと硬さ感じられたリチャードソンですが、今回の新譜は明らかに一皮剥けた印象です。
ニコラ・コンテというとお洒落なDJのイメージが強いのですが、新作「レット・ユア・ライト・シャイン・オン」(ユニバーサル)では、音楽の楽しさと演奏のコクが巧い具合にブレンドされた好演となりました。キーワードはアフリカン・テイストで、軽やかな女性ヴォーカルに絡む手練れメンバーのソロのジャズ度数は、思いの外濃いのですね。気軽に聴けるのですが、二コラが率いる多国籍バンドはかなりハイレベルと言っていいでしょう。
以前(第152回)でもご紹介した、ロンドンで活動するジャマイカ出身のアフリカ系テナー・サックス奏者、シャバカ・ハッチングス率いるグループ「サンズ・オブ・ケメット」の新作「ユア・クイーン・イズ・ア・レプタル」(インパルス)は、ユニークな楽器編成から繰り出されるエスニックなテイストが魅力です。シャバカのテナーを支えるチューバにツイン・ドラムスが絡む重厚なサウンドが、音楽に骨太な力強さを与えています。
今回私が個人的に興味を持った新譜は、レゲエのリズム・セクションとして有名なスライ&ロビーのタクシー・チームと、北欧のトランぺッター、ニールス・ペッター・モルヴェルが共演した「Nordub」(Okeh)でした。というのも私はレゲエもけっこう好きで、昔有明で開かれたレゲエ・サン・スプラッシュで来日したスライ&ロビーの炎天下の長時間演奏で驚かされた口なのです。
それにしても、クールなエレクトロ・サウンドが持ち味であるモルヴェルと、まさに熱帯の音楽、レゲエのリズム・セクションの組み合わせというのはどうにも想像が付きませんでした。しかし、聴いて納得、というか、お聴きいただいたみなさまも同意していただけるのではないかと思うのですが、不思議な融合感があるのですね。そう言えば、モルヴェルが日本で話題となったきっかけのアルバム「クメール」(ECM)では、古代カンボジアのクメール王国がテーマとなっていましたね。つまりモルヴェルには、一見異質と思える文化背景を融合させて音楽を作る特別な才能があるのでしょう。そしてこの融合力は、ジャズの基本発想にも繋がっているのです。
次にご紹介するのは、多方面での活躍が話題となっているドラマー、アントニオ・サンチェスがドイツの名門、WDRビッグバンドと共演した新譜「Channels of Energy」(PI Records)です。指揮するのはヴィンス・メンドゥーサ。アレンジもメンドゥーサで、スケールの大きなサウンドがポイントです。
そして最後に登場するピアノ・トリオの新譜は、イタリアのピアニスト、アントニオ・ザンブリーニの「Pinocchio」(Abeat for Jazz)です。ごくオーソドックスな演奏ながら聴くほどに味わいが増す作品で、ヨーロッパ・ピアノ・トリオに関心のあるジャズ・ファンにはお勧めですね。

【掲載アルバム】
Logan Richardson Blues People (Universal)
Suns of Kemet Your Queens is a Reptile (Impulse)
Sly & Robbie meets Niels Petter Molvaer  Nordub (Okeh)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第37回

d51_190501_06

クリスチャン・スコット『Ancestral recall』(Ropeadope)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第172回
新譜特集 第37回

前回の新譜特集は復刻盤中心でしたが、今回はバリバリの新録ぞろいです。最初にご紹介するのはスナーキー・パピー話題の新作『immigrannce』(Graund Up)。来日公演直前のリリースということもあって各方面が注目していますが、確かにこれは傑作。
従来スナーキーの魅力は当店も購入した32枚組CD入りボックス・セット『ワールド・ツアー2015 コレクター・エディション・ボックス・セット』(Graund Up)に象徴される「ライヴ感覚」の面白さでした。ライヴならではの臨場感・迫力が彼らの多様な顔を実感させてくれたのです。
それに対し今回の新作の特徴は、スタジオでじっくりと練り上げた完成度の高さですね。演奏の良さは言うまでもありませんが、練り上げられた密度感のある音質がそれを助長しているのです。言ってみれば鬼に金棒と言うことです。皮を剥がれた魚とその骨のイラストのジャケットもユニーク。
2枚目に収録したのは、こちらも注目のドラマー、ケンドリック・スコット率いるグループ、オラクルによる4年ぶりの新作『A Wall Became A Bridge』(Blue Noe)です。メンバーはテイラー・アウグスティのピアノ、ジョン・エリスのサックス、マイク・モレノ、ギター、そしてプロデュースはデリック・ホッジ。
聴き所は、何より洗練されたサウンドの心地よさですね。音の流れに身を任せる快楽がありながら、リーダー、スコットの切れの良いドラミングが良質の緊張感を保たせているところは、まさに現代ジャズならではの魅力でしょう。
『リキッド・サルーン』(Rings)は、第167回でご紹介したイスラエル発のグループ「タイム・グルーヴ」から派生した新グループです。ドラマーのアミール・プレスラーがリーダー格で、それにトランペッターのセフィ・ジスリング、キーボード奏者ノモックらが中心となったチーム。聴き所は、切れの鋭いプレスラーのドラミングに乗った、しかしゆったりとしたトランペットを中心とした豊かなメロディですね。
この、切れと一種ドリーミーなサウンドの合体がアメリカ・ジャズとは一味違ったユニークな感覚を醸し出しています。この辺りが近年イスラエル発のジャズが注目される原因の一つなのかもしれません。
驚異のトランぺッター、クリスチャン・スコットによる新作『Ancestral recall』(Ropeadope)は、エスニックなテイストとクリスチャン独特の天空に羽ばたって行くようなトランペットの爽快感がたまりません。何より耳をそばだたせるのは不思議なポリリズムですが、これは西アフリカやインド音楽をサンプリングしたものと、スタジオでのドラミングをミックスしたとのこと。
前出の「リキッド・サルーン」といい、クリスチャンの新作と言い、ジャズの肝であるリズムが明らかに革新されていますね。
キューバのピアニスト、アロルド・ロベス・ヌッサ率いるグループ、エル・コミテによる『Y Que !?』(Philippe MONSAN)は、ラテン・ミュージックならではの底抜けの明るさが心地よい。そして最後を飾る、冒頭にご紹介したスナーキー・パピーのキーボード奏者ビル・ローレンスの『Cables』(Flint)は、彼の多彩な才能が新境地を迎えたことを如実に示す傑作です。揺蕩うように、そして万華鏡のように変化するサウンドの多彩さ、微妙さ、これはもうローレンスにしか表現しえない境地でしょう。

【掲載アルバム】
スナーキー・パピー『immigrannce』(Graund Up)
『リキッド・サルーン』(Rings)
クリスチャン・スコット『Ancestral recall』(Ropeadope)

土・日曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

インフォメーション

D51-book_090201
■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

タイムテーブル

全て表示する

月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜 日曜
0:00 Night Time Shuffle
1:00 Night Time Shuffle
2:00 Night Time Shuffle
3:00 Night Time Shuffle
4:00 Night Time Shuffle
5:00 Night Time Shuffle
6:00 Day Time Shuffle
7:00 Day Time Shuffle
8:00 Day Time Shuffle
9:00 Day Time Shuffle
10:00 Day Time Shuffle
11:00 Day Time Shuffle
12:00 Day Time Shuffle
13:00 Day Time Shuffle
14:00 Day Time Shuffle
15:00 Day Time Shuffle
16:00 Day Time Shuffle
17:00 Day Time Shuffle
18:00 Night Time Shuffle
19:00 Night Time Shuffle
20:00 Night Time Shuffle
21:00 Night Time Shuffle
22:00 月曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 2時間
23:00 月曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 ↓
0:00 Night Time Shuffle
1:00 Night Time Shuffle
2:00 Night Time Shuffle
3:00 Night Time Shuffle
4:00 Night Time Shuffle
5:00 Night Time Shuffle
6:00 Day Time Shuffle
7:00 Day Time Shuffle
8:00 Day Time Shuffle
9:00 Day Time Shuffle
10:00 Day Time Shuffle
11:00 Day Time Shuffle
12:00 Day Time Shuffle
13:00 Day Time Shuffle
14:00 Day Time Shuffle
15:00 Day Time Shuffle
16:00 Day Time Shuffle
17:00 Day Time Shuffle
18:00 Night Time Shuffle
19:00 Night Time Shuffle
20:00 Night Time Shuffle
21:00 Night Time Shuffle
22:00 火曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 2時間
23:00 火曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 ↓
0:00 Night Time Shuffle
1:00 Night Time Shuffle
2:00 Night Time Shuffle
3:00 Night Time Shuffle
4:00 Night Time Shuffle
5:00 Night Time Shuffle
6:00 Day Time Shuffle
7:00 Day Time Shuffle
8:00 Day Time Shuffle
9:00 Day Time Shuffle
10:00 Day Time Shuffle
11:00 Day Time Shuffle
12:00 Day Time Shuffle
13:00 Day Time Shuffle
14:00 Day Time Shuffle
15:00 Day Time Shuffle
16:00 Day Time Shuffle
17:00 Day Time Shuffle
18:00 Night Time Shuffle
19:00 Night Time Shuffle
20:00 Night Time Shuffle
21:00 Night Time Shuffle
22:00 水曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 2時間
23:00 水曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 ↓
0:00 Night Time Shuffle
1:00 Night Time Shuffle
2:00 Night Time Shuffle
3:00 Night Time Shuffle
4:00 Night Time Shuffle
5:00 Night Time Shuffle
6:00 Day Time Shuffle
7:00 Day Time Shuffle
8:00 Day Time Shuffle
9:00 Day Time Shuffle
10:00 Day Time Shuffle
11:00 Day Time Shuffle
12:00 Day Time Shuffle
13:00 Day Time Shuffle
14:00 Day Time Shuffle
15:00 Day Time Shuffle
16:00 Day Time Shuffle
17:00 Day Time Shuffle
18:00 Night Time Shuffle
19:00 Night Time Shuffle
20:00 Night Time Shuffle
21:00 Night Time Shuffle
22:00 木曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 2時間
23:00 木曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 ↓
0:00 Night Time Shuffle
1:00 Night Time Shuffle
2:00 Night Time Shuffle
3:00 Night Time Shuffle
4:00 Night Time Shuffle
5:00 Night Time Shuffle
6:00 Day Time Shuffle
7:00 Day Time Shuffle
8:00 Day Time Shuffle
9:00 Day Time Shuffle
10:00 Day Time Shuffle
11:00 Day Time Shuffle
12:00 Day Time Shuffle
13:00 Day Time Shuffle
14:00 Day Time Shuffle
15:00 Day Time Shuffle
16:00 Day Time Shuffle
17:00 Day Time Shuffle
18:00 Night Time Shuffle
19:00 Night Time Shuffle
20:00 Night Time Shuffle
21:00 Night Time Shuffle
22:00 金曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 2時間
23:00 金曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 ↓
0:00 Night Time Shuffle
1:00 Night Time Shuffle
2:00 Night Time Shuffle
3:00 Night Time Shuffle
4:00 Night Time Shuffle
5:00 Night Time Shuffle
6:00 Day Time Shuffle
7:00 Day Time Shuffle
8:00 Day Time Shuffle
9:00 Day Time Shuffle
10:00 Day Time Shuffle
11:00 Day Time Shuffle
12:00 Day Time Shuffle
13:00 Day Time Shuffle
14:00 Day Time Shuffle
15:00 Day Time Shuffle
16:00 Day Time Shuffle
17:00 Day Time Shuffle
18:00 Night Time Shuffle
19:00 Night Time Shuffle
20:00 Night Time Shuffle
21:00 Night Time Shuffle
22:00 土曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 2時間
23:00 土曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 ↓
0:00 Night Time Shuffle
1:00 Night Time Shuffle
2:00 Night Time Shuffle
3:00 Night Time Shuffle
4:00 Night Time Shuffle
5:00 Night Time Shuffle
6:00 Day Time Shuffle
7:00 Day Time Shuffle
8:00 Day Time Shuffle
9:00 Day Time Shuffle
10:00 Day Time Shuffle
11:00 Day Time Shuffle
12:00 Day Time Shuffle
13:00 Day Time Shuffle
14:00 Day Time Shuffle
15:00 Day Time Shuffle
16:00 Day Time Shuffle
17:00 Day Time Shuffle
18:00 Night Time Shuffle
19:00 Night Time Shuffle
20:00 Night Time Shuffle
21:00 Night Time Shuffle
22:00 日曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 2時間
23:00 日曜日のWEBコラム連動 ジャズ特集 ↓

店舗向けサービス