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D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

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月曜日 22:00~  『ジャッキー・マクリーン特集 その2』

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ジャッキー・マクリーン『ジャッキーズ・バッグ』(Blue Note)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第52回
ジャッキー・マクリーン特集 その2 「ブルーノート時代」(再放送)

少し内幕話をすると、この番組は基本的に私の経営するジャズ喫茶いーぐるで、営業時間内に作っている。ジャズ喫茶の現場の感覚をそのままお伝えするためだ。とはいえ、ミュージシャン特集など、同じミュージシャンのアルバムが2時間続くときなど、営業時間外に作ることもある。
ところがジャッキー・マクリーンの場合は、2時間マクリーンが続いても、営業に何の差しさわりも生じない。特に、今回お送りするブルーノート時代のマクリーンは、むしろジャズ喫茶らしい濃密な気分を漂わせた時間が心地良く過ぎていくのだ。改めてマクリーンはジャズ喫茶のミュージシャンであることを実感した次第である。
1曲目の、アナログ時代は茶色一色のジャケットが強烈な印象で迫ってきた『ジャッキーズ・バッグ』(Blue Note)は、B面のブルー・ミッチェル、ティナ・ブルックスをサイドに従えた3管セクステットが聴き所。名曲《アポイントメント・イン・ガーナ》はジャズ喫茶のテーマ曲と言っても良い。
続いてブルーノート時代の幕開けを象徴するワンホーンの傑作、59年録音『スイング・スワング・スインギン』(Blue Note)では、プレスティッジ時代の若干くすみ色のアルトの音色に、明るい力強さと艶が加わったことが実感されるだろう。
そして、リーダーこそピアノのフレディ・レッドだが、同じくワンホーンで吹きまくる『ザ・ミュージック・フロム・ザ・コネクション』(Blue Note)は、マクリーン・ファンならゼッタイ外すことのできない必聴盤である。全曲フレディ・レッドのオリジナルだが、この哀愁を帯びた曲想がマクリーンの気分にピッタリなのだ。
あまり取り上げられることはないが、フレディ・ハバードとの2管アルバム『ブルースニク』(Blue Note)のアナログB面は、タイトルどおりブルージーなマクリーンが堪能できる傑作。サイドのフレディもフュージョン時代しか知らないファンには意外な渋い味わいを出しており、マニア好みのアルバムと言えるだろう。
『ティッピン・ザ・スケール』(Blue Note)は、未発表アルバムとして後から出されたためいまひとつ知られていないが、これはソニー・クラークがサイドを務める唯一のワンホーン。もちろん演奏も冒頭の曲を聴いただけでナットクのお買い得盤。
マクリーン・ファンなら先刻承知のことと思われるが、サイド物にも傑作が多い。リー・モーガン名義の『リー・ウエイ』(Blue Note)は、ハードバップ・マニア好みの曲目《ジーズ・アー・ソウルフル・デイズ》、そしてブルーノートのプロデューサー、アルフレッド・ライオンと、彼の相棒であるカメラマン、フランシス・ウルフにちなんだ曲《ザ・ライオン・アンド・ウルフ》が並び、ジャズ喫茶での使い勝手が極めてよいアルバムだ。
そして最後を飾る63年録音の『ワン・ステップ・ビヨンド』(Blue Note)は、ヴァイブのボビー・ハッチャーソン、トロンボーンのグラチャン・モンカー3世を従え、新たな60年代シーン到来を予告する意欲作。いわゆる“60年代新主流派”に近づきつつある時期の演奏だ。
こうして59年から63年に至るジャッキー・マクリーンのブルーノート時代の前半をまとめて聴いてみると、この時期マクリーンは完全に自分のスタイルを確立させ、リーダーでも、サイドでも快調な演奏を続けざまに発表していたことが実感される。まさにマクリーンの絶頂期と言って差し支えないだろう。

【掲載アルバム】
ジャッキー・マクリーン『ジャッキーズ・バッグ』(Blue Note)
ジャッキー・マクリーン『スイング・スワング・スインギン』(Blue Note)
フレディ・レッド『ザ・ミュージック・フロム・ザ・コネクション』(Blue Note)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~  新譜特集 第13回

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カート・ローゼンウィンケル『Caipi』(Song X)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第148回
新譜特集 第13回(再放送)

去年の春から始めさせていただいた「新譜特集」、早くも2年目を迎えました。こうした企画を思いついたきっかけは、「いーぐる」で毎月1回行われている、既に40回を迎えようとしているユニバーサルさんとディスクユニオンさんによる共同企画の新譜特集「New Arrivals」の内容を少しでもご紹介したいということがまずありました。ここ数年、明らかに新譜が面白くなっているのです。それは当然ジャズシーン自体の活性化の反映で、実際このところ興味深い来日ミュージシャンのライヴが目白押しなのです。
まず最初にご紹介するのは、明後日の「ブルーノート東京」でのライヴが楽しみなカート・ローゼンウィンケルの新譜『Caipi』(Song X)です。正直に言うと、私は今まであまりカートのことを高く評価していませんでした。それは私たち「団塊世代ジャズファン」の良くないところで、どうしてもパット・メセニーのデビュー・アルバムの衝撃とか、ビル・フリゼールを最初にライヴで見た時の驚きといった、過去の体験と比較してしまうからです。
率直に言って、今までのカートのアルバムは彼らほど「斬新」とは思えませんでした。その印象が一変したのが今回の新作です。ミナス派の影響を強く感じさせますが、数年かけ多重録音を重ねたというだけあって、カートの音楽性が明瞭に表れている傑作と言っていいでしょう。このところ話題になっている、ブラジルのミナス地方のミュージシャンたちによる音楽は、非常に繊細でまた知的でもありますが、それだけに聴く方も神経を使いがち。カートは、彼らの音楽が持つサウンドの斬新な響きを実にうまい具合に「ジャズ」に移入しているのです。まさに「ジャズの強み」を実感させてくれる傑作です。
そしてエスペランサです。彼女の印象もつい先日のライヴで一変しました。ベースがアコースティック、エレクトリックともに極めて巧みなのは言うもでもないのですが、歌が素晴らしい。加えて彼女のシンガー・ソング・ライターとしての資質が途轍もないのですね。彼女が書く旋律は極めてユニークでありながら、実に自然なのです。今回ご紹介した『Emily’s D + Evolution 』(Concord)は、そうしたエスペランサの最新のアイデアがコンセプト・アルバムとして結実しています。
ブラッド・メルドーのドラマーとして知られたホルヘ・ロッシーの新作『Stay There』(Pirouet)は、彼がヴァイブラフォン、マリンバに専念した作品です。メンバーはマーク・ターナーのテナー、ピーター・バーンスタインのギター、そしてドラムスはアル・フォスターです。地味ながら聴くほどに味が出てくる作品です。
デヤン・テルジッチはバルカン半島出身のドラマーで、出身を同じくするピアニスト、ボヤン・ズルフィカパシチとの初共演が収められているのが、彼らの新作『Prometheus』(Cam Jazz)です。そしてサックスは硬派で鳴らしたクリス・スピードで、ベースはマット・ペンマン。結果として、エスニックなテイストとハードな側面が万華鏡のように変化する面白い作品になっています。
オマール・ソーサはキューバのピアニストですが、単なるキューバン・ミュージックの枠に収まらない多彩な才能はアルバム『JOG』をお聴きになれば納得でしょう。私は昨年、プランクトンが主催した「ジャズ・ワールド・ビート」で彼のステージに接しましたが、その時の感動がこの作品を聴くと蘇ってきます。
最後に収録した『Charlie』 (5Passion)は、同じくキューバのピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバが、惜しくも亡くなったチャーリー・ヘイデンに捧げたアルバムです。チャーリーの傑作《ファースト・ソング》はじめ、パット・メセニーの作品も収録しています。

【掲載アルバム】
カート・ローゼンウィンケル『Caipi』(Song X)
エスペランサ・スポルディング『Emily’s D + Evoltion』(Concord)
ホルヘ・ロッシー『Stay There』(Pirouet)

火曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~  新譜特集 第2回

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イブラヒム・マーロフ『Kalthoum』(Impulse)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第137回
新譜特集 第2回(再放送)

このところ中東地域のジャズ・ミュージシャンが注目されていますが、最初に収録したイブラヒム・マーロフもレバノンのベイルート出身のトランペッターです。彼はアラブ音楽の特徴である半音より細かい「微分音」を表現するため、ふつう3つしかないトランペットのピストンを4つとした特製トランペットを使用しています。アラブ地域の伝説的女性歌手ウム・クルスームに捧げた『Kalthoum』(Impulse)は、エスニックなメロディがジャズと見事に融合した傑作です。
『I Long To See You』(Blue Note)はベテラン・サックス奏者チャールス・ロイドがビル・フリゼールと共演した話題作。カントリー・ミュージックのテイストがごく自然にロイドの世界と溶け合った作品。
ミン・ヨンチがプロデュースする「新韓楽」と、ジャズ・ピアノのハクエイ・キム率いるトライソニークが共演した新譜『HANA』(Verve)は、東洋的エキゾチシズムとジャズが巧い具合に混ざり合った面白い作品。ヨンチは韓国の現代音楽であるサムルノリの大会での優勝経験があり、彼の叩き出す韓国の伝統楽器によるリズムが小気味良いドライヴ感を生み出しています。
Shezoo(p) 壺井影久(violin) 小森慶子(cl) 小森武文(perc)によるトリニテの新譜『月の歴史 Moons』(qs)は、たいへん面白い雰囲気を持ったアルバムです。クラシック的でもあり、またジャズのようにも聴こえます。しかし中途半端な感じは一切なく、特にジャンルを特定する必要もない「グッド・ミュージック」のひとこと。
セロニアス・モンク・コンペティションで優勝したフィリピン系アメリカ人サックス奏者、ジョン・イラバゴンの『Behind The Sky』(Irrabagast Record)は、彼のパワフルでエネルギッシュなテナーの魅力が全開。サイドのピアニスト、ルイス・ペルドモの切れ味の良いピアノ・ソロも聴き所です。
そして最後に収録したのは、話題のピアニスト上原ひろみの『Spark』(Telark)です。私はたまたまこのアルバムの新譜発表イヴェントを観たのですが、コントラバス・ギターのアンソニー・ジャクソン、ドラムスのサイモン・フィリップスと上原ひろみの息の合い具合が尋常ではありませんでした。
長くチームを組んでいたからということもあるのでしょうが、ほんとうに3者が一体となって音楽が進行して行く様は圧巻としか言いようがありません。しかしそれは昔ながらの「ジャズの熱演」とは少し違っていて、実に細かい音楽的計算がなされた上での一体感なのですね。
この辺りの感覚は上原の持ち味なのでしょうが、それをしっかりと受け止めた上で「チームの音楽」たらしめているのには、アンソニー・ジャクソンの存在が大きいように思いました。ちょっとロックっぽいテイストのドラマー、サイモン・フィリップスが自由奔放に叩きながら、それが極上のジャズになっているのはじつい興味深い。
それにしても、ライヴではかなり音量のあるドラミングに対し、一歩も引けをとらずに音楽的一体感を作り上げる上原の音楽的センスには脱帽でした。このアルバムはそのライヴの魅力が完璧な形でパッケージされた傑作です。

【掲載アルバム】
イブラヒム・マーロフ『Kalthoum』(Impulse)
トリニテ『月の歴史 Moons』(qs)
上原ひろみ『Spark』(Telark)

水曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~  新譜特集 第26回

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Logan Richardson 『Blues People』 (Universal)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第161回
新譜紹介 第26回(再放送)

今話題のアルト奏者、ローガン・リチャードソンが、ジャズ、ブルース、そしてカントリーといったアメリカン・ミュージックの坩堝の地、生まれ故郷カンザス・シティの音楽的環境を、現代ジャズとして表現した新作が「ブルース・ピープル」(ユニバーサル)と言っていいでしょう。ツイン・ギターによる新グループのサウンドは、いわゆる「ブルース」のイメージを大きく変えるもので、斬新さと懐かしさが同居した不思議なテイストが魅力です。2016年の来日公演ではまだちょっと硬さ感じられたリチャードソンですが、今回の新譜は明らかに一皮剥けた印象です。
ニコラ・コンテというとお洒落なDJのイメージが強いのですが、新作「レット・ユア・ライト・シャイン・オン」(ユニバーサル)では、音楽の楽しさと演奏のコクが巧い具合にブレンドされた好演となりました。キーワードはアフリカン・テイストで、軽やかな女性ヴォーカルに絡む手練れメンバーのソロのジャズ度数は、思いの外濃いのですね。気軽に聴けるのですが、二コラが率いる多国籍バンドはかなりハイレベルと言っていいでしょう。
以前(第152回)でもご紹介した、ロンドンで活動するジャマイカ出身のアフリカ系テナー・サックス奏者、シャバカ・ハッチングス率いるグループ「サンズ・オブ・ケメット」の新作「ユア・クイーン・イズ・ア・レプタル」(インパルス)は、ユニークな楽器編成から繰り出されるエスニックなテイストが魅力です。シャバカのテナーを支えるチューバにツイン・ドラムスが絡む重厚なサウンドが、音楽に骨太な力強さを与えています。
今回私が個人的に興味を持った新譜は、レゲエのリズム・セクションとして有名なスライ&ロビーのタクシー・チームと、北欧のトランぺッター、ニールス・ペッター・モルヴェルが共演した「Nordub」(Okeh)でした。というのも私はレゲエもけっこう好きで、昔有明で開かれたレゲエ・サン・スプラッシュで来日したスライ&ロビーの炎天下の長時間演奏で驚かされた口なのです。
それにしても、クールなエレクトロ・サウンドが持ち味であるモルヴェルと、まさに熱帯の音楽、レゲエのリズム・セクションの組み合わせというのはどうにも想像が付きませんでした。しかし、聴いて納得、というか、お聴きいただいたみなさまも同意していただけるのではないかと思うのですが、不思議な融合感があるのですね。そう言えば、モルヴェルが日本で話題となったきっかけのアルバム「クメール」(ECM)では、古代カンボジアのクメール王国がテーマとなっていましたね。つまりモルヴェルには、一見異質と思える文化背景を融合させて音楽を作る特別な才能があるのでしょう。そしてこの融合力は、ジャズの基本発想にも繋がっているのです。
次にご紹介するのは、多方面での活躍が話題となっているドラマー、アントニオ・サンチェスがドイツの名門、WDRビッグバンドと共演した新譜「Channels of Energy」(PI Records)です。指揮するのはヴィンス・メンドゥーサ。アレンジもメンドゥーサで、スケールの大きなサウンドがポイントです。
そして最後に登場するピアノ・トリオの新譜は、イタリアのピアニスト、アントニオ・ザンブリーニの「Pinocchio」(Abeat for Jazz)です。ごくオーソドックスな演奏ながら聴くほどに味わいが増す作品で、ヨーロッパ・ピアノ・トリオに関心のあるジャズ・ファンにはお勧めですね。

【掲載アルバム】
Logan Richardson『Blues People』 (Universal)
Suns of Kemet『Your Queens is a Reptile』 (Impulse)
Sly & Robbie meets Niels Petter Molvaer『Nordub』 (Okeh)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第45回

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Bill Laurance & WDR Big Band 『Live at the Philharmonie Cologne』 (Jazz Line)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第181回
新譜特集 第45回(再放送)

コペンハーゲンの老舗ジャズクラブ「モンマルトル」を拠点として活動するドラマー、フレデリック・ヴィルモウの初リーダー作『フレデリック・ヴィルモウ・カルテット・フィーチャリング・トーマス・フランク~ライヴ・イン・コペンハーゲン』(AMP)は、久しぶりに往年のジャズ・シーンの熱気を感じさせるアルバムです。 
カルテットと表記されていますが、北欧を代表するテナー奏者トーマス・フランクがゲスト参加しているので、カルテットのソプラノ奏者マーク・ドフェイと合わせて2管クインテットによるライヴ演奏となっています。
ライヴ、2管、ゲスト参加ということで想像通りサックス奏者同士の意気込みが凄く、あたかもかつてのエルヴィン・ジョーンズの名盤『ライトハウス』におけるデイヴ・リーヴマンとスティーヴ・グロスマンの熱演を彷彿させます。最近のニューヨーク・シーンの繊細な演奏を聴き慣れていると、このストレートさはちょっと懐かしいですね。
2枚目にご紹介するアルバムもヴィジェイ・アイヤー、チャールス・ロイドらと共演したニューヨーク在住のベーシストHarish Raghavanの初リーダー作『Calls For action』(Whirwind) で、こちらはガラッと雰囲気が変わってまさに現代ニューヨーク・ジャズです。編成はクインテットで、聴き所はつい最近来日公演を行って注目されたヴァイヴ奏者ジョエル・ロスの参加でしょう。
3枚目は、これも上に挙げた2作品とは趣を異にしたジョージ・コリガンのオーソドックスなピアノ・トリオ・アルバム『Again With Attitude』(Iyoue Music)です。リーダーはコリガンですが、レーベル自体がドラマー、レニー・ホワイトが主宰しているので、彼がベーシスト、バスター・ウィリアムスとコリガンを招いたピアノ・トリオ作品ということでしょう。こちらもサウンドの「懐かしさ」という点では冒頭の北欧アルバムと似ているかもしれません。
スナーキー・パピーのキーボーディストとして注目されているビル・ローレンスが、ドイツの著名なWDRビッグ・バンドを従えた力作アルバム『Live at the Philharmonie Cologne』(JAZZ KINE)は、ローレンスのカラーを出しつつ、スナーキーとは異なるサウンドが魅力です。
大編成ビッグ・バンドを意のままに操りつつ、WDRビッグ・バンドらしさもキチンと出しているところが聴き所で、この辺りローレンスのバランス感覚の見事さが現れていますね。 共にジャンル横断的な活動で知られたベーシスト、ビル・ラズウェルとJah Wobbleが共演した興味深いアルバム『Realm of Spells』(Jah Wobbke)は、予想通り怪しく響く低音に乗った小気味良いリズムが聴き所。最初のトラックにはドラムスの山木秀夫も参加しています。
最後にご紹介するチリのピアニスト、エンリケ・ロドリゲスの新譜『Lo Wue Es』(Extra Lovery) は不思議なテイストを持った作品で、ほとんどのトラックが彼自身の演奏で作られているそうです。チリ在住とは言え、いわゆるラテン的な要素はほとんど感じられず、あえて例えれば近未来SF映画のサウンド・トラックのような印象ですね。聴くほどに味が出てくるタイプの音楽と言えそうです。

【掲載アルバム】
Bill Laurance & WDR Big Band『Live at the Philharmonie Cologne』(Jazz Line)
Jan Wobble & Bill Laswell 『Realm of Spells』(Jan Webble)
エンリケ・ロドリゲス『Lo Wue Es』(Extra Lovery)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第56回

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ギブトン・ジェリン『True Design』(自主製作盤)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第192回
新譜特集 第56回

前回に続き、今回の新譜紹介でも、冒頭にご紹介するギブトン・ジェリンの初リーダー自主製作盤『True Design』は、熱いソロを聴き所とするベテラン・ジャズファン向けの1枚と言えるでしょう。抑え気味ながら内に秘めた熱気を感じさせるトランペット・サウンドは、かつてファンを唸らせたイスラエルのトランぺッター、アヴィシャイ・コーエンを彷彿させます。
しかしギブトンの出身はフロリダ半島の沖合に位置する島国バハマ生まれ。彼はジャズに惹かれニューヨークに渡り、現在名門ジュリアード音楽院に在学中の新人です。聴き所はギブトンのトランペットも素晴らしいのですが、前回ご紹介した注目のアルト奏者、イマニュエル・ウィルキンスの参加が効いています。そして同じく新鋭ピアニスト、ミカ・トーマスのソロが圧倒的。ハードバップ名曲《グランド・ストリート》けれん味なくを採りあげているところもベテランファン向けでしょう。
2枚目は、シャバカ・ハッチングス率いるサンズ・オブ・ケメットで重要な役割を果たしたチューバ奏者テオン・クロスのデビュー作『ファイア』(Gearbox)です。こちらもサイドの援軍、ヌバイア・ガルシアの個性的なテナーが聴き所。フレーズだけでなく、独特の艶、輝きを持った音色自体が個性的なガルシアのサックスと、テオンの重厚なチューバ・サウンドが絡み合うさまは圧巻です。
落ち着いた音色でしっとりとメロディを聴かせるテナー奏者、ジョナサン・グリーンステインの『Jonathan Greenstein Vol.4』(Somethin’ Cool)は、今注目のイスラエル出身ミュージシャンによるEPプロジェクト第4弾。サックス奏者ながら《トランペット・キングス》というタイトルの楽曲を演奏しているので不思議に思いましたが、キングの中に先ほど言及したイスラエルのトランぺッター、アヴィシャイ・コーエンが入っているという本人のコメントで納得です。ほかにフライング・ロータスの《MmmHmm》をカヴァーしているのも興味深いですね。
ドラマー兼コンポーザー、ダン・ワイスの『Natural Selection』(Pi Recordings)はクレイグ・テイボーンのキーボード・サウンド、ベン・モンダーのギターが聴き所で、ダンのジャンル横断的な発想が面白いアルバムです。聞くところによると、このアルバムはデヴィド・リンチ監督のTV番組「ツイン・ピークス」復帰にインスパイアーされたとのこと。
カート・ローゼンウィンケルの傑作『カイピ』でブラジル、ミナス地方の音楽が注目されましたが、ディアンジェロ・シルヴァは「ミナス新世代」を代表するピアニストです。彼の第2弾『ハングアウト』(Think! Record)には、こちらもブラジルを代表するミュージシャン、アントニオ・ロウレイロがドラマーとして参加しています。ディアンジェロはブラッド・メルドーを尊敬しているそうですが、やはりブラジル人の血か、音楽全体が明るいのですね。
聴き所はジャズとブラジリアン・テイストが完全に融合しており、明らかにジャズの表現領域が広がっていることを実感させるアルバムだというところでしょう。
最後に収録した『The George Coleman Quintet In Baltimore』(Real To Real)は未発表発掘音源で、タイトル通り71年にボルティモアで行われたライヴの記録。演奏は折り紙付きの熱演です。注目すべきはこれがコールマンのリーダーとしての初録音らしいというところで、60年代にマイルス・グループで名演を残している彼も、リーダーとしての活動は70年代に入ってからだったのですね。

【掲載アルバム】
ギブトン・ジェリン『True Design』(自主製作盤)
テオン・クロス『ファイア』(Gearbox)
ディアンジェロ・シルヴァ『ハングアウト』(Think! Record)

土・日曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

インフォメーション

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■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

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