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D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

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月曜日 22:00~ 新譜特集 第29回

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マティアス・アイク『Ranensburg』(ECM)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第164回
新譜特集 第29回(再放送)

前回予告した、カマシ・ワシントン『ヘヴン・アンド・アース』(Beat Record)のシークレット・ディスクを最初にご紹介いたしましょう。実を言うと、このアルバムに「ザ・チョイス」というタイトルの40分近いシークレット・ディスクが付いているということは、ライナー・ノートを書いた私も事前には知らされていませんでした。それほどこの件の情報は制限されていたのです。
こうした試みはたいへん面白いと思います。要するに「話題作り」なのですが、カマシは単に音楽的なことを考えているだけでなく、それを如何にファンに興味を持ってもらえるように伝えるかということにも、たいへん気を配っているのですね。こうした彼の「気遣い」はもちろん音楽面にも表れていて、音楽的な質の高さ、個性表現といったジャズの本筋を押さえた上でのポピュラリティということが、今回収録したシークレット・ディスクの内容にも現れています。
それは親しみやすいメロディ・ラインを持った楽曲と、それらの楽曲がそれぞれ多様で、モノトーンに陥らず、結果として「飽きずに聴ける」というところですね。付け加えれば、多様でありながら前回そして前々回にご紹介した「アース編」「ヘヴン編」を含め、すべての楽曲に「カマシらしさ」が実にわかりやすい形で現れているところでしょう。 マティアス・アイクは私が大いに気に入っているノルウェイのトランぺッターですが、今回の新譜『Ravensburg』(ECM)も期待にたがわぬ出来です。聴き所は何と言ってもトランペットの音色でしょう。単にまろやかなだけでなく、サウンドの表情が実に繊細でニュアンスに富んでいるのです。
ミュージシャンを評価するとき、まずはリズム感やフレージングに耳が行きがちですが、アイクのように音色の表情が豊かなミュージシャンは実は稀なのです。その音色に乗ったフレージングもいかにも北欧のミュージシャンらしいエキゾチックな響きがあり、そこもまた彼の大きな魅力なのです。
クリス・シーリーはカントリー畑のグループ、パンチ・ブラザースのマンドリン奏者です。そのシーリーがブラッド・メルドーと共演したアルバム『クリス・シーリー・アンド・ブラッド・メルドー』(Nonesuch)は、いわゆる「他流試合」作品なのですが、不思議と違和感はありません。シーリーも良いのですが、やはりメルドーの闊達で切れの良いピアノが光っています。
次にご紹介するのは、2000年にクルト・ワイルの生誕100周年及び没後50周年を記念して行われた、マリア・シュナイダーとSWAビッグ・バンドの共演ライヴです。「スピーク・ロウ」など、良く知られたクルト・ワイルの楽曲が収録されています。
オーソドックスながら力強いプレイが聴き所のトランぺッター、ジェイソン・パルマーの新譜『ジェイソン・パルマー・アット・ウォリーズVol.2』(Steeple Chase)は、ボストンのライヴ・ハウス「ウォリーズ」での実況盤です。取り立てて変わったことはしないのですが、ライヴならではの熱気が伝わる好演と言っていいでしょう。
最後に収録したのは、ハービー・ハンコックが「眩しいピアノ奏者」と賞したエストニア出身のピアニスト、クリスチャン・ランダルクのECMデビュー、アルバム『Absence』です。いかにもECM的なピアニストですが、明確な個性が感じられ今後が楽しみな新人と言っていいでしょう。

【掲載アルバム】
マティアス・アイク『Ranensburg』(ECM)
『Jason Palmer at Wally's Volume 2』(Steeple Chase)
クリスチャン・ランダルク『Absence』(ECM)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~ ジョン・コルトレーン特集

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ジョン・コルトレーン『ソウルトレーン』(Prestige)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第125回
「ジャズの巨人」シリーズ 第3回 ジョン・コルトレーン(再放送)

ジョン・コルトレーンに対するイメージは世代によって異なっているかもしれません。私自身を含めた「団塊世代」の方々は「フリー・ジャズの巨人」、あるいは「激動の60年代のシンボル」といった見方が代表なのではないでしょうか。他方、70年代に青春を迎えた現在50代後半のみなさんは、マイケル・ブレッカーやデイヴ・リーヴマンに影響を与えたテナーの巨人、あるいはロック・ミュージシャンをも魅了したジャズの異端児といった見方もあるかもしれません。
今回はそうしたコルトレーンの演奏を時代を追ってご紹介することで、なるべく客観的に彼の業績を辿ってみようと思います。まず冒頭に収録したのは彼の記念すべき初リーダー作、プレスティッジの『コルトレーン』です。さあ何かをやってやるぞという意気込みが聴き手に伝わって来ますね。同じくプレスティッジの『ライク・サムワン・イン・ラヴ』も、多くの「50年代ハードバッパー」とは一線を画した斬新なスタンダード表現が魅力的です。
そしてコルトレーンの足跡を辿る上で欠かせないのが、セロニアス・モンクとの出会いです。彼はモンクのバンドに属することで格段の音楽的進歩を遂げました。『モンク・ウィズ・コルトレーン』(Jazzland)に収録した、いかにも演奏しにくそうなモンクのオリジナル曲をコルトレーンは闊達に演奏しています。
その成果が現れたのがブルーノートの看板アルバム『ブルー・トレーン』です。ここでのコルトレーンは、リー・モーガン、カーティス・フラーを従えた3管セクステットで典型的ハードバッパーとしての顔を見せています。他方、ワンホーンで吹きまくる壮絶なコルトレーンが『ソウルトレーン』(Prestige)収録の《ロシアの子守唄》。コルトレーン・ミュージックの代名詞ともなった、空間を音で埋め尽くすような「シーツ・オブ・サウンド」の登場です。
そして面白いのが意外なコルトレーンの柔軟性です。『ケニー・バレル&ジョン・コルトレーン』(Prestige)にしろミルト・ジャクソン&ジョン・コルトレーンによる『バグス&トレーン』(Atlantic)にしても、ちゃんと相手の音楽性に合わせつつ、自分の持ち味を出しています。
いよいよ「巨人」がその第一歩を歩み始めたのが、その名も『ジャイアント・ステップス』 (Atlantic)です。率直に言って、ここまでのコルトレーンは優れたテナー奏者の一人に過ぎませんでしたが、1959年に吹き込んだこの作品を境として文字どおり前人未到の世界に足を踏み入れたのです。フリー・ジャズの旗手、オーネット・コールマンの相棒であるドン・チェリーと共演した『アヴァン・ギャルド』(Atlantic)は、彼のフリー・ジャズへの関心の高さを示しています。
そして記念すべきインパルス・レーベルへの移籍第1弾が『アフリカ・ブラス』です。『ライヴ・アット・ヴィレッジ・ヴァンガード』(Impulse)収録のスタンダード・ナンバー《朝日のように爽やかに》は、もはや完全にコルトレーン・ミュージックと化した快演と言えるでしょう。
アップテンポの情熱的演奏がコルトレーンの特徴と思われがちですが、人気アルバム『バラード』(Impulse)で見せるスタンダード解釈はなかなかのものです。
数あるコルトレーンの代表曲《マイ・フェイヴァリット・シングス》の最高ヴァージョンが収録されているのが、『セルフレスネス・フィーチャリング・マイ・フェイヴァリット・シングス』(Impulse)です。最後に収録した彼の最高傑作『史上の愛』(Impulse)の後半部分には、コルトレーンの特異な音楽観が現れているように聴こえます。

【掲載アルバム】
ジョン・コルトレーン『ソウルトレーン』(Prestige)
ジョン・コルトレーン『セルフレスネス・フィーチャリング・マイ・フェイヴァリット・シングス』(Impulse)
ジョン・コルトレーン『至上の愛』(Impulse)

火曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~ ソニー・スティット特集

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『スティット・パウエル&J.J.』(Prestige)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第114回
ソニー・スティット特集(再放送)

ソニー・スティットはチャーリー・パーカーに似ていると言われることが嫌で、アルト・サックスからテナー・サックスに転向したりしたこともあるサックス奏者です。しかし、ある時期からはあまりそうした「外野の意見」を気にしなくなり、両方のサックスを自在に操るマルチ・サックス・プレイヤーとなりました。
彼の特徴は、どちらのサックスでも抜群のテクニックを備え、小気味良くフレーズを吹ききる実力と、音楽が基本的に陽性というか明るいところです。このあたりが、同じパーカー派アルト奏者と言っても、一抹の哀愁を聴き所とするジャッキー・マクリーンなどとの違いでしょう。
最初にご紹介する『スティット、パウエル&J.J.』(Prestig)は、彼のテナー奏者としての代表作です。バップ・ピアノの雄、バド・パウエルと互角に競い合い、一歩も引けをとっていません。そしてもちろん、この演奏はバド・パウエルの絶頂期の記録でもあって、パウエルの名演としても多くのファンに愛されています。ちなみにアルバム・タイトルに表示されたJ.J.ジョンソンは、ご紹介したセッションには参加していません。
最初のアルバムは1949年から50年にかけての録音ですが、次にご紹介する『チューン・アップ』(Cobble Stone)は、それから20年以上も経った1972年の演奏です。ちょうどこの年、チック・コリアの『リターン・トゥ・フォエヴァー』(ECM)が録音され、「フュージョン時代」の幕が切って落とされました。しかし、オーソドックスなジャズを好むファン層も健在で、スティットのこのアルバムなどが「ハードバップ・リバイバル」という名称で大いに人気を博したものです。彼は曲目によって自在に二つのサックスを使い分け、器用なところを見せています。ちなみに、冒頭の《チューン・アップ》と《アイダホ》がテナーで、《言い出しかねて》がアルトですね。
ソニー・スティットはテナー奏者、ジーン・アモンズと2テナーのコンビを組んでいたこともあって、他のサックス奏者との共演は得意。『インター・アクション』(Cadet)はテナーのズート・シムスと絶妙の掛け合いを見せています。どちらもテクニシャンだけにこの勝負五分と五分。完全に左右のチャンネルに振り分けられた録音なので、両者の持ち味の違いが明瞭にわかります。
同じ「掛け合い」をアルト・サックス同士で行ったのが、1980年に録音されたアート・ペッパーとの共演作『グルーヴィン・ハイ』(Atlas)です。アート・ペッパーもまた1970年代以降、オーソドックスなジャズ・スタイルを見直す風潮の中で再評価が進んだミュージシャンです。このアルバムでは、気合充分な両者の白熱のバトルが聴き所。
70年代に録音された『アイ・リメンバー・バード』(Catalyst)は、ウエスト・コースト・ジャズの大物トロンボーン奏者、フランク・ロソリーノを共演者に迎えた2管クインテットによる作品。スティットはその明るいサックス・サウンドがアート・ペッパーはじめ、ウエスト・コースト出身のミュージシャンたちとも絶妙の相性で、このアルバムでも実に快適な演奏を聴かせてくれます。
最後に収録したのは、スティットの原点とも言うべきパーカー曲集、その名もズバリ『スティット・プレイズ・バード』(Atlantic)です。ここでは心置きなくアルトの名演を披露。明るく健康なスティット流パーカー・ナンバーが楽しめます。

【掲載アルバム】
『スティット・パウエル&J.J.』(Prestige)
ソニー・スティット『チューン・アップ』(Cobble Stone)
ソニー・スティット『グルーヴィン・ハイ』(Atlas)  

水曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~  新譜特集 第3回

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スナーキー・パピー『ファミリー・ディナーVol.2』(Ground Up)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第138回
新譜特集 第3回(再放送)

今年新春の「ブルーノート東京」での公演がたいへん好評だった新人トランペッター、クリスチャン・スコットの新たなメンバーによる新作『Stretch Music』(Ropeadope)は、切れの良いリズムとアンサンブル・サウンドがたいへん心地よい傑作です。それにしても, 鮮烈な赤が印象的なジャケットに写る変形トランペットは、まるで「知恵の輪」みたいですね(笑)。
話題のグループ「スナーキー・パピー」の『ファミリー・ディナーVol.2』(Ground Up)は、冒頭に収録した《アイ・アスクト》のベッカ・スティーヴェンスはじめ、多彩なゲストが魅力です。2曲目《モリノ・モレノ》にはギターのチャーリー・ハンター、南米の女性歌手スサーナ・バカが参加しています。エキゾチックな味わいが聴き所。そして3曲目《リキッド・ラヴ》は男性ソウル・シンガー、クリス・ターナーがフィーチャーされたファンク・ナンバー。このように「スナーキー・パピー」は、ゲストのテイストに合わせて万華鏡のように音楽の表情を変えるつつも、バンドとしての音楽的統一感は見事に保たれているところが素敵ですね。
若手ピアニスト、Julien Shoreの新譜『Which Way Now』(Tone Rough Record)は、聴き手の想像力を刺激するサウンドが新鮮です。ピアノの響きも美しさと力強さがうまい具合に共存しています。
つい最近80歳の誕生日を迎えたカーラ・ブレイの新作『Andand el Tiempo』(ECM)は、アンディ・シェパードのサックスと、長年の相棒であるスティーヴ・スワローのベースのみを従えたシンプルなトリオ編成です。それにしても、彼女の衰えを見せない旺盛な音楽的想像力にはまさに脱帽です。静けさの中にもエネルギー感を秘めたピアノのタッチも驚き。
Fractal Limit 『Hand In Hand』(自主制作)は、多くのアルバムに参加しているブラジルの人気歌手、タチアナ・バードとアルメニアのピアニスト、ヴァルダン・オヴセピアンによるデュオ作品です。かなり異色ですが、聴くほどに味わいが増す素晴らしいアルバムです。
タチアナの情感溢れるヴォイスと、クールで理知的なヴァルダンの組み合わせが不思議な魅力を醸し出しているのですね。こうしたアルバムに象徴されるように、現代ジャズ・シーンはまさにジャンル横断的、そして文字通り国境、地域を越えてさまざまな音楽が混ざり合い、新たなシーンが産み出されているのです。
そして最後に収録したチック・コリアと小曽根真のデュオ・アルバム『Chick & Makoto –Duets』(Verve)は、チックと小曽根のこれまでの共演作品を1枚にまとめたコンピレーションですが、未発表の即興演奏トラックが収録されています。
それにしても、二人のせめぎ合いのスリル、そしてそこからうまれるジャズならではの醍醐味は筆舌に尽くしがたいものがあります。良く知られた《ブルー・ボッサ》や《ラ・フィエスタ》も素晴らしいのですが、即興演奏がぶつかり合う《Duet Improvisation Vol.4》の緊張感もたまりません。

【掲載アルバム】
スナーキー・パピー『ファミリー・ディナーVol.2』(Ground Up)
Flactal Limit 『Hand To Hand』(自主制作)
チック・コリア&小曽根真『Chick & Makoto-Duets』(Verve)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第23回

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ジュリアン・ラージ
『モダン・ロア』
(Mac Avenue)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第158回
新譜特集 第23回(再放送)

今回は初めての試みとして、昨年2017年のベスト盤を選んでみました。正確には2017年発売では無いものも少し混ざっていますが、要するに「私が昨年聴いたアルバム」ということでご容赦いただければと思います。個々のアルバムの内容については、末尾にこのコラムに登場した回を記しましたので、提示した回のコラムをご覧ください。
作ってみて驚いたのですが、数年前でしたらベスト5を選ぶのにも苦労したのに、今では簡単に10枚選べるばかりでなく、「次点」を作らざるを得ないほどなのです。また、いわゆるビッグネームが相対的に少ないのは、新人を積極的にご紹介したいという気持ちとともに、新人、そして相対的に知名度が低いミュージシャンのレベルが飛躍的に上がっていることの反映でもあります。

【2017ベスト盤】
1, Kurt Rosenwinkel『Caipi』(第148回)
2, Kamashi Wasington『Harmony of Difference 』(第154回)
3, V.A.『The Passion of Charlie Parker』(第152回)
4, Chihiro Yamanaka『Monk Studies』(第151回)
5, Mamal hands『Floa』(第146回)
6, Ky『心地よい絶望』(第150回)
7, Rebecca Martin『The Upstate Project (第150回)
8, Lizz Wright『Grace』/「Barley」(第154回)
9, Stephan Tsapis 『Border Lines』(第155回)
10, Ollie howell『Self-Identity』(第152回)
次点 Hamshire and Foat『Galaxis Like Grains of Sand』(第152回)

さて、今回のアルバムのご紹介に移りましょう。1枚目はカンザス・シティを拠点として活動する新人トランぺッター、ハーモン・メハリの『Blue』(自主製作)です。聴き所はサイドに参加したアルトのローガン・リチャードソン、ピアノ、キーボードのアーロン・パークスの活躍ぶりです。
2枚目はリトアニア出身のサックス奏者Kestutis Vaiginisの『Lights of Darkness』(自主製作)です。いわば「現代ハードバップ」とでも言うのでしょうか、オーソドックスな演奏がらその斬新なエネルギーはまさに21世紀。
そして昨年はセロニアス・モンク生誕100周年だったこともあり、様々なモンク・トリビュート作が出ましたが、『セロニアス・スフィアー・モンク』(Alph Pap)は、マルチ楽器奏者・プロデューサーであるマストこと、ティム・コンリーによる意欲作です。モンクの楽曲の想像力は21世紀のジャズ・シーンにも確実に届いているのです。
今話題の新人ギタリスト、ジュリアン・ラージの新譜『モダン・ロア』(Mac Avenue)は、彼の音楽的バック・グラウンドの広さを印象付ける軽快な作品。圧倒的なテクニックによるサウンドの万華鏡が心地よい。
そして大御所ビル・フリゼールの新作『ミュージック・イズ』(Okeh)は、何と18年ぶりのソロ・アルバムです。個人的体験ですが、私は90年代でしたか彼のアコースティック・ギターによるソロ・コンサートを観て、その音楽的センスの素晴らしさに圧倒されたのでした。今回の作品はその時の感動を彷彿させます。
最後にご紹介するのは、フランス領マルティニーク島出身のピアニスト、グレゴリー・プリヴァによる『ファミリー・ツリー』(ACT)です。彼はフランスの名ピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニに触発されてジャズ・ピアニストを目指したという経歴の持ち主で、切れの良いタッチとラテンのフレーヴァーが聴き所です。

【掲載アルバム】
マスト『セロニアス・スフィアー・モンク』(Alph Pap)
ジュリアン・ラージ『モダン・ロア』(Mac Avenue)
ビル・フリゼール『ミュージック・イズ』(Okeh)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第34回

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マーカス・ストリックランド『ピープル・オブ・ザ・サン』(Blue Note)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第169回
新譜特集 第34回

今回最初にご紹介するのは、デイヴ・ダグラス率いるレギュラー・クインテットによるライヴ・アルバム。レコーディングは2015年で、この年に出た彼らの傑作アルバム『Brazen Heat』の名を冠した『Brazen Heat Live at Jazz Standard Saturay』(Greenleaf Music)というアルバム・タイトルです。
聴き所はライヴならではの活きの良さで、リーダー、ダグラスのトランペットもさることながら、サイドのサックス、ジョン・イラバゴンの活躍が目立ちます。ニューヨーク・シーンの活気が伝わる熱演ですね。
現代ジャズを象徴するサックス奏者、マーカス・ストリックランドの2年ぶりの新作は、本人のプロデュースによる『ピープル・オブ・ザ・サン』(Blue Note)です。コンポーザー、バンド・リーダー、そしてサックス奏者としての役割を統一的に表現した作品で、西アフリカにルーツを持つアフリカン・アメリカンとしての出自、そして多くの現代ジャズ・ミュージシャンが影響を受けて来た、ポップス、ビート・ミュージックといったアメリカン・ミュージック的要素を実に自由なスタンスで融合させています。
イギリスは旧インドの宗主国だったので、インド音楽の影響が根付いているようです。ユナイティング・オブ・オポジッツもそうしたグループで、アルバム『Ancient Lights』(Tru Thoughts)は、彼らの手になる新作です。メンバーは1945年スコットランド生まれのシタール奏者クレム・アルフォードを中心に、ベーシストのベン・ヘイゼルトン、そしてバンドのまとめ役兼プロデュースを行うのはクラブ・シーンで活躍して来たティム・リッケンで、このアルバムではシンセサイザー等を担当しています。
極めてインド音楽的テイストが強い演奏ですが、本格的なインド音楽をクレムがメンバーに教え、録音、エンジニアリング、スタジオ・ワークなどはティムが担当し、インド音楽とジャズの橋渡し役はベンの役割だそうです。現代ジャズはエスニックな要素が重要なポイントとなっていますが、このアルバムなどはその顕著な例と言えるでしょう。
アルバム『This Is It』(Storyville)のリーダーであるカースティン・ヴォーゲルは、1970年代にデンマークで人気を誇ったプログレッシヴ・ロック・バンド、シークレット・オイスターなどで活躍した経歴を持つ、異色のサックス奏者です。それだけに楽曲の解釈もユニークで、2曲目に収録した《Kyoto》は明らかに日本の京都のことだと思うのですが、インド音楽を思わせるサウンドからは古都京都のイメージは浮かびませんよね。とは言え、優しく語りかけるようなヴォーゲルのサックスはなかなか魅力的で、彼にとっての「京都」はこうした印象だったのかな、とも思わせます。
ブラッド・メルドーなど現代有数のピアニストらから敬意を抱かれているフレッド・ハーシュの発掘作品が『フレッド・ハーシュ・トリオ’97 アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(King International)です。このアルバムは1997年に彼が初めてヴィレッジ・ヴァンガードに出演した際の貴重な記録で、スタンダード・ナンバーを斬新かつ活き活きと演奏しています。
最後に収録した『Ivisible Hand』(Cortez Sound)は、ビッグ・バンドを率い多くの優れたアルバムを残している藤井総子が、水戸のライヴ・ハウス「Cortez」でソロ・ピアノを披露した珍しいアルバムです。ジャズならではの緊張感と音楽的な豊かさが高度なレベルで融合した素晴らしい演奏で、彼女のピアニストとして技量の高さを改めて再認識させられました。名演です。

【掲載アルバム】
デイヴ・ダグラス『Brazen Heat Live at Jazz Standard Saturay』(Greenleaf Music)
マーカス・ストリックランド『ピープル・オブ・ザ・サン』(Blue Note)
藤井総子『Ivisible Hand』(Cortez Sound)

土・日曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

インフォメーション

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■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

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