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D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

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月曜日 22:00~ 新譜特集 第13回

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カート・ローゼンウィンケル
『Caipi』
(Song X)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第148回
新譜特集 第13回(再放送)

去年の春から始めさせていただいた「新譜特集」、早くも2年目を迎えました。こうした企画を思いついたきっかけは、「いーぐる」で毎月1回行われている、既に40回を迎えようとしているユニバーサルさんとディスクユニオンさんによる共同企画の新譜特集「New Arrivals」の内容を少しでもご紹介したいということがまずありました。ここ数年、明らかに新譜が面白くなっているのです。それは当然ジャズシーン自体の活性化の反映で、実際このところ興味深い来日ミュージシャンのライヴが目白押しなのです。
まず最初にご紹介するのは、明後日の「ブルーノート東京」でのライヴが楽しみなカート・ローゼンウィンケルの新譜『Caipi』(Song X)です。正直に言うと、私は今まであまりカートのことを高く評価していませんでした。それは私たち「団塊世代ジャズファン」の良くないところで、どうしてもパット・メセニーのデビュー・アルバムの衝撃とか、ビル・フリゼールを最初にライヴで見た時の驚きといった、過去の体験と比較してしまうからです。
率直に言って、今までのカートのアルバムは彼らほど「斬新」とは思えませんでした。その印象が一変したのが今回の新作です。ミナス派の影響を強く感じさせますが、数年かけ多重録音を重ねたというだけあって、カートの音楽性が明瞭に表れている傑作と言っていいでしょう。このところ話題になっている、ブラジルのミナス地方のミュージシャンたちによる音楽は、非常に繊細でまた知的でもありますが、それだけに聴く方も神経を使いがち。カートは、彼らの音楽が持つサウンドの斬新な響きを実にうまい具合に「ジャズ」に移入しているのです。まさに「ジャズの強み」を実感させてくれる傑作です。
そしてエスペランサです。彼女の印象もつい先日のライヴで一変しました。ベースがアコースティック、エレクトリックともに極めて巧みなのは言うもでもないのですが、歌が素晴らしい。加えて彼女のシンガー・ソング・ライターとしての資質が途轍もないのですね。彼女が書く旋律は極めてユニークでありながら、実に自然なのです。今回ご紹介した『Emily’s D + Evolution 』(Concord)は、そうしたエスペランサの最新のアイデアがコンセプト・アルバムとして結実しています。
ブラッド・メルドーのドラマーとして知られたホルヘ・ロッシーの新作『Stay There』(Pirouet)は、彼がヴァイブラフォン、マリンバに専念した作品です。メンバーはマーク・ターナーのテナー、ピーター・バーンスタインのギター、そしてドラムスはアル・フォスターです。地味ながら聴くほどに味が出てくる作品です。
デヤン・テルジッチはバルカン半島出身のドラマーで、出身を同じくするピアニスト、ボヤン・ズルフィカパシチとの初共演が収められているのが、彼らの新作『Prometheus』(Cam Jazz)です。そしてサックスは硬派で鳴らしたクリス・スピードで、ベースはマット・ペンマン。結果として、エスニックなテイストとハードな側面が万華鏡のように変化する面白い作品になっています。
オマール・ソーサはキューバのピアニストですが、単なるキューバン・ミュージックの枠に収まらない多彩な才能はアルバム『JOG』をお聴きになれば納得でしょう。私は昨年、プランクトンが主催した「ジャズ・ワールド・ビート」で彼のステージに接しましたが、その時の感動がこの作品を聴くと蘇ってきます。
最後に収録した『Charlie』 (5Passion)は、同じくキューバのピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバが、惜しくも亡くなったチャーリー・ヘイデンに捧げたアルバムです。チャーリーの傑作《ファースト・ソング》はじめ、パット・メセニーの作品も収録しています。

【掲載アルバム】
カート・ローゼンウィンケル『Caipi』(Song X)
エスペランサ・スポルディング『Emily’s D + Evoltion』(Concord)
ホルヘ・ロッシー『Stay There』(Pirouet)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~ ギル・エヴァンス特集

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ギル・エヴァンス
『スヴェンガリ』
(Atlantic)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第109回
ギル・エヴァンス特集(再放送)

時代と共に評価が高まるアーティストがいます。ジャズの世界ではギル・エヴァンスがその代表ではないでしょうか。マイルス・デイヴィスとのコラボレーションで知られた名アレンジャー、ギル・エヴァンスの音楽は、今、弟子筋に当たるマリア・シュナイダーの活躍に象徴されるように、改めてスポットが当たっています。
最初にご紹介するのは、そのマイルスのアルバム『スケッチ・オブ・スペイン』(Columbia)です。クラシック作曲家、ロドリゴの名曲《アランフェス協奏曲》を見事ジャズ作品として世に問うたこの作品は、1960年代のジャズ喫茶で爆発的人気を得たものです。原曲の持つエキゾチックな雰囲気を活かしつつ、マイルスのちょっと陰影感のあるトランペット巧みにフィットさせたのは、ひとえにジャズとマイルスを知り尽くしたギルだからこそ出来たワザでしょう。
その一方で、ギルはミュージシャンのイメージまで変えてしまうようなアレンジも見せます。『ギター・フォームス』(Verve)では、それまでアーシーなハード・バップ・ギタリストとして知られたケニー・バレルの新たな可能性を引き出しました。想像力を刺激する選曲構成、アレンジはギルの手柄。このアルバムもまた60年代ジャズ喫茶のヒット盤でした。
『ビッグ・スタッフ』(Prestige)はギルの50年代後半の作品で、彼の空間を音響のカーテンで包み込むような独特の手法が明確に聴き取れます。そしてそのちょっと霞がかかった様なサウンドの壁から、極めて個性的で明確な輪郭持ったスティヴ・レイシーのソプラノ・サックスが姿を現す演出は見事。ちょっとクセのあるサウンドですが、慣れるとけっこうのめり込みます。
ギルのサウンドに対する探求は当然新たなツール、エレクトリック・サウンドにも向かいます。シンセサイザーを大胆に導入したアルバム『スヴェンガリ』(Atlantic)はギルの新生面を知らしめた傑作。ギルの音楽的好奇心は極めて幅広く、それこそ「ジャズ」に限りません。60年代後半彗星のごとく現れ、1970年に惜しくも亡くなってしまったロック・スター、ジミ・ヘンドリックスに捧げた『プレイズ・ジミ・ヘンドリクス』(RCA)は、優れた音楽家を素材として、それを極上のジャズ作品として纏め上げるギルの非凡な才能がうかがえます。
聴きどころは、後にフュージョン・シーンで大活躍するデヴィッド・サンボーンの一聴して彼とわかる特徴的なソロでしょう。スティーヴ・レイシーといいサンボーンといい、ギルはバック・サウンドとソロイストの個性の対比のさせ方が実に巧妙。それはもちろんマイルスについても言えることです。 アレンジャーであるギルは、当然歌伴においても優れた作品を残しています。1987年に吹き込まれた『コラボレーション』(EmArcy)は、ヘレン・メリルとのほぼ30年ぶりの再演アルバムで、しっとりとした情感を湛えたメリルの歌唱をギルのサウンドが優しく支えています。
私がギルのオーケストラをライヴで観たのは1980年代に入ってからでした。その時の驚きは今でも覚えています。極めて色彩感に溢れるサウンドに深い奥行きがあるのです。これはさまざまな楽器の音色がナマの空間でブレンドされてはじめて実感でき性質のものなのでしょう。その時の感動を最も良く伝えているのが『プリエステエス』(Antilles)です。

【掲載アルバム】
ギル・エヴァンス『ビッグ・スタッフ』(Prestige)
ギル・エヴァンス『スヴェンガリ』(Atlantic)
ギル・エヴァンス『プリエステス』(Antilles)

火曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~ チャールス・ミンガス特集

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チャールス・ミンガス
『直立猿人』
(Atlantic)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第98回
チャールス・ミンガス特集(再放送)

ジャズを聴き始めたばかりの頃、チャールス・ミンガスの音楽はかなり手ごわいものでした。1960年代当時、ジャズ喫茶ではやっていたのは彼の代表作『直立猿人』(Atlantic)で、そのアクの強さも含め、ジャズファンに強烈な印象を与えたのです。
しかし、彼の魅力をほんとうに理解できたのはだいぶ経ってからで、それは一ベーシストの枠を超えた、実に個性的な音楽家としてのチャールス・ミンガス像が見えてきてからでした。
冒頭にご紹介する《直立猿人》を聴いたとき、これがたった5人の演奏とは信じられませんでした。サウンドの厚み、エネルギーはより大きな楽器編成を想像させます。それをジャッキー・マクリーンのアルトサックスと、テナー・サックスJ.R.モンテローズのたった二人のホーン奏者にリズム・セクションが付いただけのクインテットで実現させているのは、まさにコンポーザー、アレンジャー、そしてバンドリーダーとしてのミンガスの力量の成せる技でしょう。
このようにミンガスは、サイドマンを自在に使いこなすことで自分の音楽を表現しましたが、その中でミンガス・ミュージックの枠に収まり切らない超大物が居ました。エリック・ドルフィーです。タウン・ホールでのライヴ録音『タウン・ホール・コンサート』(Mingus)のドルフィーにちなんだナンバー《ソー・ロング・エリック》では、後半に登場するドルフィーが素晴らしい。しかし皮肉なことに、この演奏がミンガスとドルフィーとの永遠の別れとなってしまいました。随所に登場するミンガス自身のベースの迫力も聴き所です。
『ミンガス・アー・ウム』(Columbia)は変わったタイトルですが、有名なデイブ・ブルーベックの『タイム・アウト』(Columbia)と同じ画家のデザインしたジャケット、と言えば、「あー、あれか」と思い出す方も多いはず。このアルバムはバンド全体で生み出す「ミンガス・サウンド」の特徴を知るに好適なアルバムでしょう。
1957年、最愛の妻を失ったミンガスは気分転換のためメキシコを訪れました。アルバム・ジャケットに「私の最高の作品」と記された『メキシコの思い出』(RCA)はそのときの印象を音楽にしたもので、彼の優れた情景描写の才能が現れた傑作です。
腰の据わったミンガスのベース・ソロで始まる《ハイチ人の戦闘の歌》は、ミンガスの音楽が持つパワー、エネルギー、熱気を代表する演奏です。それにしても『道化師』(Atlantic)というおどけたタイトルのアルバムの冒頭に、それこそ「戦闘的」とも聴こえる曲目を入れるミンガスはけっこう皮肉屋なのかもしれませんね。あまり知名度はありませんがカーティス・ポーターのファナティックなサックスも聴き所です。
1970年代になってもミンガスの活動は衰えを見せず、新たなメンバーで吹き込んだ『チェンジズ・トゥー』(Atlantic)は70年代らしい新鮮なサウンドが聴き所です。そして、ミンガス晩年の傑作が、南米コロンビアの音楽にに題材を採った『クンビア・アンド・ジャズ・フュージョン』(Atlantic)です。エキゾチックな旋律が次第にエキサイティングなジャズになって行く過程が素晴らしい。
そして最後に収録したのは、ミンガスを敬愛していたロック・シンガー、ジョニ・ミッチェルがミンガスに捧げたアルバム『ミンガス』(Asylum)から、名曲《グッド・バイ・ポーク・パイ・ハット》です。しみじみとした歌声からはミンガスに対する思いが伝わってきます。

【掲載アルバム】
チャールス・ミンガス『直立猿人』(Atlantic)
チャールス・ミンガス『メキシコの思い出』(RCA)
チャールス・ミンガス『クンビア・アンド・ジャズ・フュージョン』(Atlantic)

水曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~  ミシェル・ペトルチアーニ特集

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『ミシェル・ペトルチアーニ』
(OWL)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第122回
ミシェル・ペトルチアーニ特集(再放送)

一人のミュージシャンのデビューから最期まで見届けられるというようなことは、めったにあることではありません。それも第一級のジャズマンで、しかも“ヨーロッパ・ジャズ”の新時代を築いたようなビッグ・ネームともなれば、なおさらです。ミシェル・ペトルチアーニとの出会いはまさに「音楽の理想」とも思えるような状況でした。何の予備知識もなく、ただ耳に届いた音だけで「これは凄いぞ」と思わせたのですから……。
1980年代の初頭、とあるジャズバーで聴いた彼のアルバムがきっかけでした。冒頭に紹介した彼の日本デビュー作ともいうべき『ミシェル・ぺトルチアーニ』(OWL)です。特に「ジャズ」を聴こうという気持ちもなく、お気に入りのツボルグ・ビールを傾けているとき、突如彼のピアノが耳に飛び込んできました。それはメロディではなく“タッチ”でした。輪郭の鮮明な力強いピアノの響きが、完全に私を“ジャズ・ファン・モード”に戻したのです。
その後、彼の名前はジャズ喫茶周辺からファンの話題となり、来日公演にも繋がったことは皆さんご存知ですよね。私も話には聞いていたのですが、実際彼の1メートル足らずの身長を間近に見て、改めてそのタッチの強さに驚いたものです。床に足が届かない宙ぶらりんの姿勢で、あれだけ“芯”のしっかりとした音を出すのは容易ではないはずです。 そしてドライヴ感の凄さ。それも単に「早弾き」を誇るのではなく、まさにジャズならではの心地よさが聴き手を魅了するのです。彼は直ちに新生ブルーノートと契約し、ウェイン・ショーターら、第一級の本場ジャズマンたちと共演することとなりました。『パワー・オブ・スリー』(Blue Note)がそれです。
当初、彼の魅力はどちらかというとオスカー・ピーターソンばりのアップ・テンポの小気味良さだと思っていたのですが、ベーシスト、ロン・マクルーアとのデュオ・アルバム『コールド・ブルース』(OWL)を聴いて、それこそビル・エヴァンスのように繊細な“インタープレイ”もこなせる表現の幅の広さを持っていることを知りました。まさに当代一流の新人ピアニストと言って良いでしょう。
それは共演者との組み合わせによって多様性が引き出されることでもわかります。ロイ・ヘインズと組んだ『ミシェル・プレイズ・ペトルチアーニ』(Blue Note)では、ビ・バップ生え抜き、ばりばりの名ドラマーを相手に回し、一歩も引けをとっていないことで明らかです。そしてまた、ジョン・アバークロンビーのようなタイプのギタリストとも何の違和感もなく快演を繰り広げているのです。
こうした彼のフレキシビリティが最大限に発揮された名演が、邦題『パリの二人』(Dryfus)です。フランスでは著名なオルガン奏者、エディ・ルイスとのデュオ・アルバムですが、ライヴならではの乗りの良さが素晴らしい。それにしても、《枯葉》とか《キャラヴァン》といった「やりつくされた」感のあるスタンダード・ナンバーから、これほど聴き応えのある演奏を引き出せるのは、両者ともに「ただもの」ではありませんね。
そしてアルバム『オラクルズ・デステニイ』(OWL)では、ピアニストとしての評価が歴然と見えてしまうソロ演奏でも、ペトルチアーニは明らかなオリジナリティを見せているのです。ともあれ、彼は初めて“ヨーロッパ・ジャズ”が本場アメリカのジャズマンに拮抗できることを示した、画期的なミュージシャンなのです。

【掲載アルバム】
『ミシェル・ペトルチアーニ』(OWL)
『ミシェル・プレイズ・ペトルチアーニ』(Blue Note)
『パリの二人』(Dryfus)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第7回

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ステーヴ・リーマン『Slebeyone』(PI Recordings)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第142回
新譜特集 第7回(再放送)

今回最初に収録したのは、グラフィック・デザイナー出身のプロデューサー、ジェイソン・マクギネスの最新作『Empyrean Tones』(オクターヴ)です。今何かと注目されているアメリカ西海岸を拠点に活動するジェイソンは、カマシ・ワシントンはじめ、マイルスの伝記映画に使われたトランペッター、キーヨン・ハロルドや、ケンドリック・ラマーの『TRAB』のメンバーであるベーシスト、ブランドン・オウエンスらを起用し、「ヒップホップのレンズを通した」ジャズを制作しています。現代ジャズの一つの行き方ですね。
続いてはガラッと気分を変え、プエルトリコ出身のテナー・サックス奏者、マリオ・カストロのアルバム『Estrella De Mar』(Interrobang Records)です。エキゾチックで、どこか懐かしいような気分を醸し出すストリングスの使い方が巧みです。途中で「針音」のようなものが聴こえるトラックがありますが、これもレトロ感を醸し出すうまい演出。
3枚目に収録したアルバムは「ニーボディ」のテナー・サックス奏者ベン・ウェンデルの最新作『ホワット・ウィ・ブリング』(コアポート)です。ウェンデルは、この「新譜特集」シリーズの第4回で、西海岸で活動する電子音楽家デイデラスとの共演盤『ニーデラス』(Brainfeeder)をご紹介しましたが、まさに21世紀のジャズ・ミュージシャン。彼はチャーリー・パーカーやジョン・コルトレーンといったジャズの巨匠のアルバムと同時に、ヒップホップを聴きまくるという環境から、自らの音楽を作り上げてきたそうです。実際彼の演奏からはジャズの伝統と同時に、現代の息吹が伝わって来ます。
そして個人的に面白いと思ったのが、アルト・サックス奏者ステーヴ・リーマンの新作『Slebeyone』(PI Record)です。リーマンはずいぶん昔、ニューヨークの『CBGB』でトロンボーンのジョナサン・フィレンソン、ドラムスのタイソン・ショーリーなどといっしょに演奏しているのを見たことがあります。今回のアルバムはセネガルのラッパーを加えた編成で、彼の独特の語感が面白いですね。そして何より、リーマンならではの切れの良い個性的アルト・サウンドが印象的。今話題のロバート・グラスパー・トリオのドラマー、ダミオン・リードの叩き出すリズムが心地よいですね。
続くのは大御所ギタリスト、ジョン・スコフィールドの『カントリー・フォー・オールド・メン』(Impulse)です。この作品のコンセプトは、自らの音楽的ルーツであるカントリーやフォーク・ミュージックを「ジャズというフィルターを通して表現」しているそうです。ラリー・ゴールディングスのオルガンとの絡みも上々ですが、何よりジョンスコのギターの切れ味が尋常ではありません。ルーツ云々はその通りなのでしょうが、この凄まじい緊張感とノリの良さは、ジャズ以外の何ものでもありません。とは言え、ゆったりとしたナンバーでは、アルバム・タイトルどおり、古きよき時代のカントリー・ミュージックの気分が漂いだします。ともあれ、これはジョンスコ近年の傑作でしょう。
そして最後に収録したのは、少し前の作品ですがフランスのドラマー、フランク・バイヤンが、元プリズムのピアニスト、ピエール・ド・ベスマンと、ベーシスト、ブルーノ・ジョビンと組んだスーパー・トリオのアルバム『Thisisatrio』(Abalone)です。近年のピアノ・トリオの特徴であるリズムが突出した演奏の典型で、従来のピアノ・ジャズとは一線を画すスリリングな演奏です。このところスポットを浴びている「ゴー・ゴー・ペンギン」に通じる感覚が面白い。

【掲載アルバム】
ジョン・スコフィールド『カントリー・フォー・オールド・メン』(Impulse)
マリオ・カストロ『Estrella De Mar』(Interrobang)
ステーヴ・リーマン『Slebeyone』(PI Recordings)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第18回

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ビル・エヴァンス『Another Time : The Hilversum Concert』(Resonance)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第153回
新譜特集 第18回

今回は熱心なマニアの間で好評だったライヴ・アルバムの復刻盤や、発掘音源を中心にご紹介いたします。ハービー・ハンコック率いるVSOPは、1976年に半ば引退状態だったマイルス・デイヴィスを現場復帰させようとの思惑から仕組まれた、1回限りの特別プロジェクトでした。しかし御大マイルスの登場は実現せず、代わりにフレディ・ハバードがマイルスの代役を演じ、ウェイン・ショターら60年代マイルス・クインテットのメンバーと共演したスペシャル・バンド。
しかしこれがたいへん好評で、この臨時編成グループの公演、アルバムは数多く作られました。そしてメンバーを大幅に入れ替えた第2期VSOPの貴重なライヴ記録が、このアルバム『VSOP ll Tokyo 1983』(HI HAT)です。この音源は、1983年の来日時にFM放送用にNHKホールで収録されたもので、音質も極めて良好です。注目すべきは、当時日の出の勢いの新人兄弟、ウィントン・マルサリスとブランフォード・マルサリスの参加で、演奏のスピード感が倍加しているところでしょう。
2枚目にご紹介する『ライヴ・アット・アカデミー・オブ・ミュージック』(DOL)は、1990年フィラデルフィアにおけるパット・メセニーのライヴ音源の豪華なアナログ盤による復刻です。この音源は以前からDVD,CDで発売されていましたが、今回2枚組180gの重量盤仕様で音質も向上しています。メンバーが凄く、ハービー・ハンコックにデイヴ・ホランド、そしてジャック・デジョネットによるスーパー・グループです。
チック・コリアの『ザ・ミュージシャン』(Concord)は、2011年にチックの生誕70周年を記念したニューヨークのクラブ「ブルーノート」でのライヴ・レコーディング。このライヴは何と23日間も行われ、全部で10もの組み合わせで演奏が行われたそうです。今回収録したのは、チックとスタンリー・クラークの二人がリーダーを務めたグループ「リターン・トゥ・フォエヴァー」による演奏。「キャプテン・マーヴェル」「ライト・アズ・ア・フェザー」の2曲は、共にアルバム『ライト・アズ・アフェザー』で採り上げていた楽曲です。
後半に登場するチェット・ベイカーの『Live at Gaetano’s』(Chet Baker Estate)は、1992年に『Chet Baker Live at Pueblo, Cololad 1966』というタイトルで出されたアルバムの復刻版です。一般に60年代後半のチェットは不調だったとされているようですが、この演奏の迫力にはほんとうに驚かされます。凄まじい勢い、ノリの良さどれをとっても快調そのもの。こうした貴重な記録が復刻されることによって、60年代チェットのイメージがずいぶんと変わるのではないでしょうか。サイドのテナー、フィル・アーソは名盤『プレイボーイズ』(ワールド・パシフィック)で共演していましたね。
続くダスコ・ゴイコヴィッチの『セカンド・タイム・アラウンド』(Organic)は、楽器編成こそチェットのアルバムと同じですが、録音は新しく2015年。サイドはベテラン白人テナー奏者、スコット・ハミルトンです。今回収録したケニー・ドーハムの「蓮の花」以外にも、ハンク・モブレイの「リカード・ボサ・ノヴァ」など懐かしのハードバップを並べた選曲が面白いですね。
そして最後に収録したのは、ビル・エヴァンスの話題の発掘盤『アナザー・タイム』(Resonance)です。有名なモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに出演した際のメンバーによる新たな発掘音源で、1968年にオランダの放送のスタジオで録音された貴重な記録です。

【掲載アルバム】
ハービー・ハンコック『VSOP ll Tokyo 1983』(HI HAT)
チェット・ベイカー『Live at Gaetano’s』(Chet Baker Estate)
ビル・エヴァンス『Another Time : The Hilversum Concert』(Resonance)

土・日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

インフォメーション

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■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

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