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D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

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月曜日 22:00~ 新譜特集 第24回

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ゴー・ゴー・ペンギン
『ア・ハムドラム・スター』
(ブルーノート)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第159回
新譜特集 第24回(再放送)

今一番注目されている日本人アレンジャー、挟間美帆の新譜はセロニアス・モンク曲集でした。昨年はモンク生誕100周年ということもあって多くのモンク・トリビュート・アルバムが出ましたが、挟間の『ザ・モンク・ライヴ・アット・ビムハウス』(ヴァーヴ)はその中でも白眉と言っていい作品です。
何と言ってもアレンジがユニークです。2曲目に収録した《13日の金曜日》のギターを中心にしたサウンドなど、今まで聴いたことが無い斬新さです。演奏するメトロポール・オーケストラ・ビッグバンドは1945年にオランダで結成された伝統のあるオーケストラで、ジャズのビッグバンドに弦楽セクションが加わった大編成から繰り出されるサウンドは圧倒的です。
テナー・サックス奏者、ウォルター・スミス3世の『トリオ』(Core Port)は、タイトル通りベース、ドラムスのみを従えたトリオ・フォーマットが基調の作品です。彼の特徴は新世代サックス奏者らしく、しっかりとしたテクニックに裏付けられた個性でしょう。ふくよかで厚みのあるテナー・サウンドから繰り出されるフレーズは聴くほどに味わいが増します。ウェイン・ショーターの名曲《アダムス・アップル》のドラム・ソロはエリック・ハーランド。そして最後の曲にはジョシュア・レッドマンがゲスト参加しており、二人の音色の違いが聴き所になっています。
話題のピアノ・トリオ、ゴー・ゴー・ペンギンの新譜『ア・ハムドラム・スター』(ブルーノート)は前作に比べより緻密さを増した印象。先日彼らのライヴをブルーノート東京で観ましたが、チームワークの一体感が強く感じられました。一聴、無機的にも響くピアノが躍動感あふれるドラミングと一体化することで、ジャズならではの濃密なグルーヴ感が醸し出されています。そしてこのチームをまとめ上げているベースの役割の大きさも特筆すべきでしょう。
圧倒的テクニックの持ち主であるヴァイオリン奏者、喜多直毅率いるカルテットの『ウィンター・イン・ア・シーズン2』(ソングX)の聴き所は、何と言ってもその情感表現の豊かさ、深さです。メンバーは喜多以下、北村聡のバンドネオン、三枝伸太郎、ピアノ、そして田辺和弘のベースで、彼らの演奏からは音楽に対する愛、信頼が確実に伝わって来ます。
リー・コニッツのサイドを務めたこともある新世代ピアニスト、ダン・ティファーのアルバム『ファイヴ・ペダルス・ディープ』(Sunnyside)はベース、トーマス・モーガン、ドラムスがテッド・プアーによるピアノ・トリオです。ブラッド・メルドーの影響を感じさせつつも、その積極的でダイレクトな感情表現は明らかにオリジナルなもの。トリオとしてのまとまりも良く、ピアノ・トリオ作品の傑作としてお勧めです。
最後に収録したのはオルガン奏者ブライアン・シャレットの変わった編成の新譜『バックアップ』(スティープル・チェース)です。ハモンド・オルガンを弾くシャレットの他にピアノ奏者がおり、それにドラムスという変則トリオながら、出てくるサウンドは実に快適。タッド・ダメロン作の名曲《タッドズ・デライト》ジョー・ヘンダーソンの《ア・シェード・オブ・ジャイド》、そしてオーネット・コールマンの《ザ・ブレッシング》といったジャズマン・スタンダードを小気味よく料理しています。

【掲載アルバム】
挟間美帆『ザ・モンク・ライヴ・アット・ビムハウス』(ヴァーヴ)
ゴー・ゴー・ペンギン『ア・ハムドラム・スター』(ブルーノート)
喜多直毅『ウィンター・イン・ア・シーズン2』(ソングX)

土・日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~ ソニー・クリス特集

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ソニー・クリス
『アップ・アップ・アンド・アウェイ』
(Prestige)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第120回
ソニー・クリス特集(再放送)

ソニー・クリスは歴としたチャーリー・パーカー派のアルト奏者で、パーカーと共演したこともあります。そのときの録音を聴くと、ほんとうにパーカーそっくり。しかし主に西海岸で活動していたためハードバップ的な作品が少なく、ジャッキー・マクリーンやフィル・ウッズのような典型的パーカー派ハード・バッパーとはちょっと違うタイプと観られているようです。
彼が一般的人気を獲得したのは冒頭に収録した1967年録音のアルバム『アップ・アップ・アンド・アウェイ』(Prestige)で、タイトル曲はロック・グループ、フィフス・ディメンションが採り上げてヒットした作品。たしか航空会社のコマーシャル・ソングとしても使われていたはず。「いーぐる」開店の年の新譜で、リクエストもひんぱんにかかりましたね。ちなみに、このアルバムの最初のライナー・ノートはあの村上春樹氏が書いており、さすがジャズ喫茶店主だけにクリスに対する洞察も深く、読み物としてもたいへん面白い。書かれたのは1980年で、氏が『風の歌を聴け』で群像新人文学書でデビューした翌年。中古レコード、あるいはCDを探し出して一読する価値があります。
それはさておき、ポップスのジャズ化としてはたいへんうまく出来た作品で、クリスの明るいアルト・サウンドがうまく活かされています。サイドのギター名手、タル・ファーロウの存在も大きい。次に収録した同じくプレスティッジ盤『ジス・イズ・クリス』は前年に録音されたワン・ホーン・カルテットで、《ブラック・コーヒー》や《酒とバラの日々》など、良く知られたスタンダード・ナンバーを採り上げています。
『アット・ザ・クロスロード』はピーコックという珍しいレーベルに吹きこまれたため、長らく「幻の名盤」扱いされていました。録音は1959年で、この時点ですでにクリスはオリジナリティを獲得しており、独特の明るくメローなアルト・サウンドを活かしたスタイルは、マクリーンなどとは一線を画したスタンスです。聴きどころは明朗な中にも一抹の哀愁を帯びた独特なフレージングで、彼の不幸な最期を想像させたりもします。サイドにウィントン・ケリーが控え、編成もトロンボーンが入った2管クインテットと凝っています。
さて、『アップ・アップ・アンド・アウェイ』である程度の認知度を得たとは言え、やはりクリスはマクリーンやウッズなどと比べれば、相対的にマイナーな存在であったことは否めません。そんなクリスに思わぬスポットが当たったのが、例の“70年代ハード・バップ・リバイバル"の動きでした。フュージョン・ブームへの反動からか、オーソドックスなジャズマンを再評価しようという試みです。
後半に収録した3枚のアルバムがそれで、1975年録音の『アウト・オブ・ノー・ウェアー』(Muse)はオーソドックスなワンホーン・カルテット。同じく75年にミューズから出た『クリスクラフト』はギターが入ったクインテットで、哀感漂うホレス・タプスコット作の名曲《ジス・イズ・フォー・ベニー》が素晴らしい。そして何と言っても極め付きはザナドゥから出た『サタディ・モーニング』でしょう。名曲《エンジェル・アイズ》を切々と歌い上げるクリスの境地、技量、音色共に明らかに50年代60年代を凌駕しています。バリー・ハリスの好演にも支えられ“ハード・バップ・リバイバル"が単なる昔懐かしがりだけではなく、ジャズマンの進歩の軌跡を辿る試みでもあることがこうした作品で実証されたのです。

【掲載アルバム】
ソニー・クリス『アップ・アップ・アンド・アウェイ』(Prestige)
ソニー・クリス『クリスクラフト』(Muse)
ソニー・クリス『サタディ・モーニング』(XANADU)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~ ギル・エヴァンス特集

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ギル・エヴァンス
『スヴェンガリ』
(Atlantic)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第109回
ギル・エヴァンス特集(再放送)

時代と共に評価が高まるアーティストがいます。ジャズの世界ではギル・エヴァンスがその代表ではないでしょうか。マイルス・デイヴィスとのコラボレーションで知られた名アレンジャー、ギル・エヴァンスの音楽は、今、弟子筋に当たるマリア・シュナイダーの活躍に象徴されるように、改めてスポットが当たっています。
最初にご紹介するのは、そのマイルスのアルバム『スケッチ・オブ・スペイン』(Columbia)です。クラシック作曲家、ロドリゴの名曲《アランフェス協奏曲》を見事ジャズ作品として世に問うたこの作品は、1960年代のジャズ喫茶で爆発的人気を得たものです。原曲の持つエキゾチックな雰囲気を活かしつつ、マイルスのちょっと陰影感のあるトランペット巧みにフィットさせたのは、ひとえにジャズとマイルスを知り尽くしたギルだからこそ出来たワザでしょう。
その一方で、ギルはミュージシャンのイメージまで変えてしまうようなアレンジも見せます。『ギター・フォームス』(Verve)では、それまでアーシーなハード・バップ・ギタリストとして知られたケニー・バレルの新たな可能性を引き出しました。想像力を刺激する選曲構成、アレンジはギルの手柄。このアルバムもまた60年代ジャズ喫茶のヒット盤でした。
『ビッグ・スタッフ』(Prestige)はギルの50年代後半の作品で、彼の空間を音響のカーテンで包み込むような独特の手法が明確に聴き取れます。そしてそのちょっと霞がかかった様なサウンドの壁から、極めて個性的で明確な輪郭持ったスティヴ・レイシーのソプラノ・サックスが姿を現す演出は見事。ちょっとクセのあるサウンドですが、慣れるとけっこうのめり込みます。
ギルのサウンドに対する探求は当然新たなツール、エレクトリック・サウンドにも向かいます。シンセサイザーを大胆に導入したアルバム『スヴェンガリ』(Atlantic)はギルの新生面を知らしめた傑作。ギルの音楽的好奇心は極めて幅広く、それこそ「ジャズ」に限りません。60年代後半彗星のごとく現れ、1970年に惜しくも亡くなってしまったロック・スター、ジミ・ヘンドリックスに捧げた『プレイズ・ジミ・ヘンドリクス』(RCA)は、優れた音楽家を素材として、それを極上のジャズ作品として纏め上げるギルの非凡な才能がうかがえます。
聴きどころは、後にフュージョン・シーンで大活躍するデヴィッド・サンボーンの一聴して彼とわかる特徴的なソロでしょう。スティーヴ・レイシーといいサンボーンといい、ギルはバック・サウンドとソロイストの個性の対比のさせ方が実に巧妙。それはもちろんマイルスについても言えることです。
アレンジャーであるギルは、当然歌伴においても優れた作品を残しています。1987年に吹き込まれた『コラボレーション』(EmArcy)は、ヘレン・メリルとのほぼ30年ぶりの再演アルバムで、しっとりとした情感を湛えたメリルの歌唱をギルのサウンドが優しく支えています。
私がギルのオーケストラをライヴで観たのは1980年代に入ってからでした。その時の驚きは今でも覚えています。極めて色彩感に溢れるサウンドに深い奥行きがあるのです。これはさまざまな楽器の音色がナマの空間でブレンドされてはじめて実感でき性質のものなのでしょう。その時の感動を最も良く伝えているのが『プリエステエス』(Antilles)です。

【掲載アルバム】
ギル・エヴァンス『ビッグ・スタッフ』(Prestige)
ギル・エヴァンス『スヴェンガリ』(Atlantic)
ギル・エヴァンス『プリエステス』(Antilles)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~ ハービー・ハンコック特集

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ハービー・ハンコック
『ガーシュウィン・ワールド』
(Verve)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」第133回
「ジャズの巨人シリーズ」第11回 ハービー・ハンコック(再放送)

「ジャズの巨人」と言われるミュージシャンは単に人気があるだけではなく、一種の「存在感」が無ければいけません。ステージに登場しただけで場が引き締まるようなカリスマ性ですね。いまやそうしたジャズマンは数えるほどしかおりません。その一人が現在も第一線で活躍しているハービー・ハンコックです。
彼は1960年代にマイルス・デイヴィス・クインテットのサイドマンとして名を上げると同時に、自らブルーノート・レーベルに発表するリーダー作で“60年代新主流派"の第一人者としてジャズ・シーンを切り拓いて行きました。
最初にご紹介するのは、マイルス・バンド参加前にブルーノート・レーベルに吹き込んだ初リーダー作『テイキン・オフ』です。ハンコックはこのアルバムに収録された《ウォーターメロン・マン》の大ヒットで、一躍ジャズ界に躍り出ました。それにしても、幼少期にはクラシック音楽で名を上げた人間がこんなにファンキーな演奏ができるとは驚きです。ハンコックの多才さが最初に発揮されたアルバムです。
そしてマイルス・バンドに参加してから、いわゆる“新主流派"と呼ばれるような名演群をブルーノート・レーベルを舞台として発表して行きます。その先駆けとも言うべき『エンフィリアン・アイルズ』は、トランペッターにフレディ・ハバードを迎えたクインテットで、まさにマイルス・バンドのブルーノート版ですね。
そして68年に録音した『スピーク・ライク・ア・チャイルド』(ブルーノート)は、ハンコックの作・編曲者としての実力が良くわかる傑作です。マイルスの懐刀と言われた名アレンジャー、ギル・エヴァンスに触発された深みのあるサウンドは、ハンコックの新たな出発点となりました。
その後マイルス・バンドから独立しワーナー・ブラザースに移籍したハンコックが、1972年に録音した『クロッシング』は、複雑なリズムが渦巻く中をハンコックのエレクトリック・キーボードが縦横に駆け巡る次世代ジャズを予見させるアルバムでした。そして70年代クロスオーヴァー / フュージョン時代を牽引するアルバムをいくつも世に問い、まさに時代の寵児となったのです。
そうした中、来日時に録音した名盤が『ダイレクト・ステップ』(コロンビア)です。このアルバムは、ハンコックの幅広い音楽性がエレクトリック・サウンドという新時代のツールによって見事花開いた傑作で、冒頭に収録した名曲《バタフライ》は現在第一線で活躍する女性ヴォーカリスト、グレッチェン・パーラトによって採り挙げられていますね。
ハンコックにとっては珍しいピアノ・トリオ作品が『ハービー・ハンコック・トリオ'81』(コロンビア)で、81年の来日時にロン・カーター、トニー・ウィリアムスといった昔のマイルス・グループの仲間たちと吹き込まれました。彼のオーソドックスなピアニストとしての魅力が溢れた演奏です。
ハンコックの音楽的展開はその後も続きます。幼少期のクラシック体験に始まり、ジャズ界に入って最初のヒットであるブラック・ミュージック的世界、そしてギル・エヴァンスに触発された「サウンド」の時代を経て、70年代から80年代にかけてはエレクトリック・サウンドのみならず、ビル・ラズウェルらに触発されたヒップホップへの接近など、その音楽体験は実に多岐に渡っています。
そのハンコックが1998年にアメリカが誇る偉大な作曲家、ジョージ・ガーシュウィンをテーマにした『ガーシュウィン・ワールド』(Verve)を録音しました。この作品は20世紀における彼の活動の総決算とも言える、実にチャーミングなアルバムです。《セントルイス・ブルース》を歌うのは、なんとブラック・ミュージックのもう一方の巨人、スティーヴィー・ワンダーです。

【掲載アルバム】
ハービー・ハンコック『エンピリアン・アイルズ』(Blue Note)
ハービー・ハンコック『ダイレクト・ステップ』(Columbia)
ハービー・ハンコック『ガーシュウィン・ワールド』(Verve)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第18回

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ビル・エヴァンス
『Another Time : The Hilversum Concert』
(Resonance)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第153回
新譜特集 第18回(再放送)

今回は熱心なマニアの間で好評だったライヴ・アルバムの復刻盤や、発掘音源を中心にご紹介いたします。ハービー・ハンコック率いるVSOPは、1976年に半ば引退状態だったマイルス・デイヴィスを現場復帰させようとの思惑から仕組まれた、1回限りの特別プロジェクトでした。しかし御大マイルスの登場は実現せず、代わりにフレディ・ハバードがマイルスの代役を演じ、ウェイン・ショターら60年代マイルス・クインテットのメンバーと共演したスペシャル・バンド。
しかしこれがたいへん好評で、この臨時編成グループの公演、アルバムは数多く作られました。そしてメンバーを大幅に入れ替えた第2期VSOPの貴重なライヴ記録が、このアルバム『VSOP ll Tokyo 1983』(HI HAT)です。この音源は、1983年の来日時にFM放送用にNHKホールで収録されたもので、音質も極めて良好です。注目すべきは、当時日の出の勢いの新人兄弟、ウィントン・マルサリスとブランフォード・マルサリスの参加で、演奏のスピード感が倍加しているところでしょう。
2枚目にご紹介する『ライヴ・アット・アカデミー・オブ・ミュージック』(DOL)は、1990年フィラデルフィアにおけるパット・メセニーのライヴ音源の豪華なアナログ盤による復刻です。この音源は以前からDVD,CDで発売されていましたが、今回2枚組180gの重量盤仕様で音質も向上しています。メンバーが凄く、ハービー・ハンコックにデイヴ・ホランド、そしてジャック・デジョネットによるスーパー・グループです。
チック・コリアの『ザ・ミュージシャン』(Concord)は、2011年にチックの生誕70周年を記念したニューヨークのクラブ「ブルーノート」でのライヴ・レコーディング。このライヴは何と23日間も行われ、全部で10もの組み合わせで演奏が行われたそうです。今回収録したのは、チックとスタンリー・クラークの二人がリーダーを務めたグループ「リターン・トゥ・フォエヴァー」による演奏。「キャプテン・マーヴェル」「ライト・アズ・ア・フェザー」の2曲は、共にアルバム『ライト・アズ・アフェザー』で採り上げていた楽曲です。
後半に登場するチェット・ベイカーの『Live at Gaetano's』(Chet Baker Estate)は、1992年に『Chet Baker Live at Pueblo, Cololad 1966』というタイトルで出されたアルバムの復刻版です。一般に60年代後半のチェットは不調だったとされているようですが、この演奏の迫力にはほんとうに驚かされます。凄まじい勢い、ノリの良さどれをとっても快調そのもの。こうした貴重な記録が復刻されることによって、60年代チェットのイメージがずいぶんと変わるのではないでしょうか。サイドのテナー、フィル・アーソは名盤『プレイボーイズ』(ワールド・パシフィック)で共演していましたね。
続くダスコ・ゴイコヴィッチの『セカンド・タイム・アラウンド』(Organic)は、楽器編成こそチェットのアルバムと同じですが、録音は新しく2015年。サイドはベテラン白人テナー奏者、スコット・ハミルトンです。今回収録したケニー・ドーハムの「蓮の花」以外にも、ハンク・モブレイの「リカード・ボサ・ノヴァ」など懐かしのハードバップを並べた選曲が面白いですね。
そして最後に収録したのは、ビル・エヴァンスの話題の発掘盤『アナザー・タイム』(Resonance)です。有名なモントルー・ジャズ・フェスティヴァルに出演した際のメンバーによる新たな発掘音源で、1968年にオランダの放送のスタジオで録音された貴重な記録です。

【掲載アルバム】
ハービー・ハンコック『VSOP ll Tokyo 1983』(HI HAT)
チェット・ベイカー『Live at Gaetano's』(Chet Baker Estate)
ビル・エヴァンス『Another Time : The Hilversum Concert』(Resonance)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第29回

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マティアス・アイク
『Ranensburg』
(ECM)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第164回
新譜特集 第29回

前回予告した、カマシ・ワシントン『ヘヴン・アンド・アース』(Beat Record)のシークレット・ディスクを最初にご紹介いたしましょう。実を言うと、このアルバムに「ザ・チョイス」というタイトルの40分近いシークレット・ディスクが付いているということは、ライナー・ノートを書いた私も事前には知らされていませんでした。それほどこの件の情報は制限されていたのです。
こうした試みはたいへん面白いと思います。要するに「話題作り」なのですが、カマシは単に音楽的なことを考えているだけでなく、それを如何にファンに興味を持ってもらえるように伝えるかということにも、たいへん気を配っているのですね。こうした彼の「気遣い」はもちろん音楽面にも表れていて、音楽的な質の高さ、個性表現といったジャズの本筋を押さえた上でのポピュラリティということが、今回収録したシークレット・ディスクの内容にも現れています。
それは親しみやすいメロディ・ラインを持った楽曲と、それらの楽曲がそれぞれ多様で、モノトーンに陥らず、結果として「飽きずに聴ける」というところですね。付け加えれば、多様でありながら前回そして前々回にご紹介した「アース編」「ヘヴン編」を含め、すべての楽曲に「カマシらしさ」が実にわかりやすい形で現れているところでしょう。 マティアス・アイクは私が大いに気に入っているノルウェイのトランぺッターですが、今回の新譜『Ravensburg』(ECM)も期待にたがわぬ出来です。聴き所は何と言ってもトランペットの音色でしょう。単にまろやかなだけでなく、サウンドの表情が実に繊細でニュアンスに富んでいるのです。
ミュージシャンを評価するとき、まずはリズム感やフレージングに耳が行きがちですが、アイクのように音色の表情が豊かなミュージシャンは実は稀なのです。その音色に乗ったフレージングもいかにも北欧のミュージシャンらしいエキゾチックな響きがあり、そこもまた彼の大きな魅力なのです。
クリス・シーリーはカントリー畑のグループ、パンチ・ブラザースのマンドリン奏者です。そのシーリーがブラッド・メルドーと共演したアルバム『クリス・シーリー・アンド・ブラッド・メルドー』(Nonesuch)は、いわゆる「他流試合」作品なのですが、不思議と違和感はありません。シーリーも良いのですが、やはりメルドーの闊達で切れの良いピアノが光っています。
次にご紹介するのは、2000年にクルト・ワイルの生誕100周年及び没後50周年を記念して行われた、マリア・シュナイダーとSWAビッグ・バンドの共演ライヴです。「スピーク・ロウ」など、良く知られたクルト・ワイルの楽曲が収録されています。
オーソドックスながら力強いプレイが聴き所のトランぺッター、ジェイソン・パルマーの新譜『ジェイソン・パルマー・アット・ウォリーズVol.2』(Steeple Chase)は、ボストンのライヴ・ハウス「ウォリーズ」での実況盤です。取り立てて変わったことはしないのですが、ライヴならではの熱気が伝わる好演と言っていいでしょう。
最後に収録したのは、ハービー・ハンコックが「眩しいピアノ奏者」と賞したエストニア出身のピアニスト、クリスチャン・ランダルクのECMデビュー、アルバム『Absence』です。いかにもECM的なピアニストですが、明確な個性が感じられ今後が楽しみな新人と言っていいでしょう。

【掲載アルバム】
マティアス・アイク『Ranensburg』(ECM)
『Jason Palmer at Wally's Volume 2』(Steeple Chase)
クリスチャン・ランダルク『Absence』(ECM)

ソングリスト

インフォメーション

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■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

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