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D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

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月曜日 22:00~ 新譜特集 第7回

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「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第142回
新譜特集 第7回(再放送)

今回最初に収録したのは、グラフィック・デザイナー出身のプロデューサー、ジェイソン・マクギネスの最新作『Empyrean Tones』(オクターヴ)です。今何かと注目されているアメリカ西海岸を拠点に活動するジェイソンは、カマシ・ワシントンはじめ、マイルスの伝記映画に使われたトランペッター、キーヨン・ハロルドや、ケンドリック・ラマーの『TRAB』のメンバーであるベーシスト、ブランドン・オウエンスらを起用し、「ヒップホップのレンズを通した」ジャズを制作しています。現代ジャズの一つの行き方ですね。
続いてはガラッと気分を変え、プエルトリコ出身のテナー・サックス奏者、マリオ・カストロのアルバム『Estrella De Mar』(Interrobang Records)です。エキゾチックで、どこか懐かしいような気分を醸し出すストリングスの使い方が巧みです。途中で「針音」のようなものが聴こえるトラックがありますが、これもレトロ感を醸し出すうまい演出。
3枚目に収録したアルバムは「ニーボディ」のテナー・サックス奏者ベン・ウェンデルの最新作『ホワット・ウィ・ブリング』(コアポート)です。ウェンデルは、この「新譜特集」シリーズの第4回で、西海岸で活動する電子音楽家デイデラスとの共演盤『ニーデラス』(Brainfeeder)をご紹介しましたが、まさに21世紀のジャズ・ミュージシャン。彼はチャーリー・パーカーやジョン・コルトレーンといったジャズの巨匠のアルバムと同時に、ヒップホップを聴きまくるという環境から、自らの音楽を作り上げてきたそうです。実際彼の演奏からはジャズの伝統と同時に、現代の息吹が伝わって来ます。
そして個人的に面白いと思ったのが、アルト・サックス奏者ステーヴ・リーマンの新作『Slebeyone』(PI Record)です。リーマンはずいぶん昔、ニューヨークの『CBGB』でトロンボーンのジョナサン・フィレンソン、ドラムスのタイソン・ショーリーなどといっしょに演奏しているのを見たことがあります。今回のアルバムはセネガルのラッパーを加えた編成で、彼の独特の語感が面白いですね。そして何より、リーマンならではの切れの良い個性的アルト・サウンドが印象的。今話題のロバート・グラスパー・トリオのドラマー、ダミオン・リードの叩き出すリズムが心地よいですね。
続くのは大御所ギタリスト、ジョン・スコフィールドの『カントリー・フォー・オールド・メン』(Impulse)です。この作品のコンセプトは、自らの音楽的ルーツであるカントリーやフォーク・ミュージックを「ジャズというフィルターを通して表現」しているそうです。ラリー・ゴールディングスのオルガンとの絡みも上々ですが、何よりジョンスコのギターの切れ味が尋常ではありません。ルーツ云々はその通りなのでしょうが、この凄まじい緊張感とノリの良さは、ジャズ以外の何ものでもありません。とは言え、ゆったりとしたナンバーでは、アルバム・タイトルどおり、古きよき時代のカントリー・ミュージックの気分が漂いだします。ともあれ、これはジョンスコ近年の傑作でしょう。
そして最後に収録したのは、少し前の作品ですがフランスのドラマー、フランク・バイヤンが、元プリズムのピアニスト、ピエール・ド・ベスマンと、ベーシスト、ブルーノ・ジョビンと組んだスーパー・トリオのアルバム『Thisisatrio』(Abalone)です。近年のピアノ・トリオの特徴であるリズムが突出した演奏の典型で、従来のピアノ・ジャズとは一線を画すスリリングな演奏です。このところスポットを浴びている「ゴー・ゴー・ペンギン」に通じる感覚が面白い。

【掲載アルバム】
ジョン・スコフィールド『カントリー・フォー・オールド・メン』(Impulse)
マリオ・カストロ『Estrella De Mar』(Interrobang)
ステーヴ・リーマン『Slebeyone』(PI Recordings)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~  ズート・シムズ特集

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「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第103回
ズート・シムズ特集(再放送)

ミスター・スウィンガーの異名を持つズート・シムズは、私の大好きな白人テナー・サックス奏者です。彼は、ウディ・ハーマン楽団の有名なサックス・セクション「フォー・ブラザース」でスタン・ゲッツとともに注目を集めました。ゲッツが“クール・ジャズ"の代名詞のように言われたのに対し、ズートはどちらかというとウォームでスウィンギーなスタイルで人気を博しました。ちなみに「ズート」は愛称で、1940年代に流行ったダブダブのスーツのこと。
『ズート』(Cadet)は初期の傑作で、冒頭の名曲《ボヘミア・アフター・ダーク》をアルト・サックスに持ち替え軽やかに吹いています。彼は1950年代、同じ白人テナー・サックス奏者、アル・コーンと「アル・アンド・ズート」の2テナー・バンドを組みました。『ユー・エン・ミー』(Mecury)は彼らの名演です。このチーム成功の秘密は、音楽的テイストが似通いつつも、微妙にキャラクターが異なる二人のアンサンブルの心地よさ、そして全編にみなぎる快適なスイング感でしょう。たいへん似た二人を聴き分けるヒントは音色で、心持ちアル・コーンの方がソリッドなサウンドです。名曲《ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ》も収録されています。
『ズート・シムズ・イン・パリ』(Ducretet-Thomson)はズートがジェリー・マリガン・セクステットのメンバーとしてパリを訪れた際、リーダー抜きで現地のミュージシャンたちと録音したアルバム。トランペットにはマリガン・コンボの同僚ジョン・アードレイを誘い、臨時編成グループながら名演として知られています。かつてオリジナル盤には途方も無い値段がついていました。まさに「幻の名盤」。
再びアル・アンド・ズートのチームに戻ります。『ハーフ・ノートの夜』(United Artists)は彼らの快適なライヴ演奏が聴ける傑作で、ジャズにおけるスイング感とは何か、ドライヴ感とは何かを知る絶好のアルバム。それにしても、この二人がノルと手に負えませんね。
さて、40年代末から50年代にかけ活躍を続けてきたズートは、1970年代になってもその実力に衰えを見せず新たな挑戦を試みます。ソプラノ・サックスを使用したアルバム『ズート・アット・イーズ』(Famous Door)で、ピアノの名手、ハンク・ジョーンズをサイドに迎え、スタンダード・ナンバー《朝日のように爽やかに》を軽やかに吹ききっています。そしてテナー・サックスに持ち替えた《イン・ザ・ミドル・オブ・ア・キス》では、陰影感を漂わせた落ち着いた演奏で、表現の幅も広がりを見せています。
最後に収録した『イフ・アイム・ラッキー』(Pablo)では、まろやかで滑らかなサックスの音色に乗せ、相変わらず軽快な演奏を繰り広げていますが、よく聴くと、フレーズの微妙な表情に落ち着きと深みが表れています。ミュージシャンが年輪を積み重ね、単なる技術だけでは表現できない境地に達していることが聴き取れるのです。
1970年代ハードバップ・リバイバルの流れの中で多くのベテラン・ミュージシャンが再評価されましたが、ズートもそうした時代の潮流の中で改めてその実力が再認識されたのです。多くのミュージシャンがとりあげたスタンダード《イッツ・オールライト・ウィズ・ミー》など、ズートならではの切れ味と味わいが堪能出来ます。この時期、パブロから似たようなジャケットのアルバムが山のように出ましたが、このアルバムなどズートの代表作に挙げてもおかしくない名盤と言えるでしょう。

【掲載アルバム】
『ズート・シムズ・イン・パリ』(Ducretet-Thomson)
アル・コーン・アンド・ズート・シムズ『ハーフノートの夜』
(United Artists)
ズート・シムズ『イフ・アイム・ラッキー』(Pablo)

火曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~ アート・ブレイキー特集

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「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第92回
「サイドマン聴きシリーズ」 その9・アート・ブレイキー(再放送)

アート・ブレイキーは1960年代、ジャズの代名詞的存在として知られた人気グループ「ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」のリーダーとして日本のファンに紹介されました。1961年、リー・モーガン、ウエイン・ショーターといった人気若手ミュージシャンを引き連れて来日し、一大ジャズ・ブームを巻き起こしたのです。そしてライヴで見せる華々しいドラムソロは、ブレイキー人気に拍車をかけました。
こうした背景があるので、ブレイキーというとウィントン・マルサリスに至る歴代メッセンジャーズ・バンドのスターたちや、豪快な得意技、ナイアガラロールのイメージがまず印象に残り、バンド・サウンドを支える一ドラマーとしてはどうだったのか、あまり語られることが無かったようです。サイドマン・シリーズの9回目は、サイドマンとしてのアート・ブレイキーを取り上げ、脇役としてのブレイキーの魅力に迫ります。
1枚目、人気テナー奏者ソニー・ロリンズの快演『ソニー・ロリンズVol.2』(Blue Note)でブレイキーは、セロニアス・モンク、J.J.ジョンソンといった超一流のジャズマンと共演していますが、華麗な技を存分に発揮し、大物連中に一歩も引けをとらない堂々とした風格を見せています。
一方、マニア好みのテナー奏者クリフ・ジョーダンの隠れ名盤『ブローイング・イン・フロム・シカゴ』(Blue Note)では、ハードバップ・ドラムの定番、脇から煽り立てるドラミングで、渋い味わいのクリフ・ジョーダン、ジョン・ギルモアの2テナーを引き立てています。まさにハードバップの名脇役です。
ブレイキーとブルーノート・レーベルは切っても切れない深い繋がりがありますが、もう一人のブルーノート名物男、オルガンのジミー・スミスのサイドを務めたのが『ザ・サーモン』(Blue Note)です。リー・モーガン、ルー・ドナルドソン、ティナ・ブルックスの3管にケニー・バレルが加わった豪華な編成によるジャム・セッション風演奏を、ブレイキーは派手なワザは一切見せず渋く支え、まさに裏方に徹しています。
一転して、まさにブレイキー印の派手なドラミングで始まるハンク・モブレイ『ロール・コール』(Blue Note)は、ハーバップ・マスター、ブレイキーの面目躍如。演奏の勢い、躍動感がいかにドラマーによって支えられているかがよくわかる快演です。ふだん控えめなモブレイもフレディ・ハバードに合わせ、ゴリゴリと吹きまくりです。
ケニー・バレルの『ブルー・ライツVol.2』(Blue Note)は、ブルーノートの隠れ名盤『ヒア・カムス・ルイ・スミス』で一部に強固なファンがいるトランペッター、ルイ・スミスと、これまたブルーノート幻の名盤『トゥルー・ブルー』でマニアご存知、ティナ・ブルックスがフロントを務める渋めの好盤です。そしてここでもブレイキーの、快適かつメンバーを活気付けるドラミングが演奏を気持ちの良いものにしています。
さて最後は、アート・ブレイキーにザ・ジャズ・メッセンジャーズの名称を譲ったホレス・シルヴァー初期のピアノ・トリオ・アルバム『ホレス・シルヴァー・トリオ』(Blue Note)。《サファリ》では、シルヴァーもまたバド・パウエル派の一員だったことが伺えます。そしてエンディングには、このアルバムからブレイキーのドラムソロ《ナッシング・バット・ソウル》を収録しました。
【掲載アルバム】
ソニー・ロリンズ『ソニー・ロリンズVol.2』(Blue Note)
ハンク・モブレイ『ロール・コール』(Blue Note)
ホレス・シルヴァー『ホレス・シルヴァー・トリオ』(Blue Note)

水曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~ マル・ウォルドロン特集

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「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第116回
マル・ウォルドロン特集(再放送)

ジャズ・ピアニストには、バド・パウエルやビル・エヴァンス、そしてオスカー・ピーターソンのように、ピアノ・トリオ編成で存分にピアノ・ソロを披露するタイプと、セロニアス・モンクやハービー・ハンコックのように、ホーン奏者をフロントに立たせ、バンド・サウンドとして自分の音楽を提示するタイプに分かれます。
今回ご紹介するマル・ウォルドロンはどちらかというと後者、つまりバンド・サウンド型ということになるのですが、モンクやハンコックほどの強いサウンド・カラーはありません。それは、マルが多くのアルバムを吹き込んだ'50年代プレスティッジ時代、彼はプレスティッジ・レーベルの専属ピアニストのような立場にいたからです。この会社は、同時代のブルーノートのように明確な企画性が無く、とりあえずミュージシャンを集めてセッションを行いアルバム化してしまうような作品もかなりある。そうした場合、マルが狩り出されるというわけです。
こう言ってしまうと何か「いいかげん」な作品という印象を持たれるかも知れませんが、時代が良かった。つまり「ハード・バップ絶頂期」のこの時期、とにかくミュージシャンを集めて演奏させれば、「それなり」に名演が生まれてしまったのです。また、「企画性の無さ」が良い方向に作用するという面もあったのです。それは「ジャズマンの日常性」が自然に浮き彫りになる。
最初にご紹介するアルバム『マル / 2』(Prestige)などはその典型で、《フロム・ジス・モーメント・オン》のジョン・コルトレーンのソロを聴けば、そのことがおわかりになると思います。そしてコルトレーンの次に登場するサヒブ・シハブのアルト・ソロだって、素晴らしいもの。彼のように、あまり知名度の高くないミュージシャンの優れた面がちゃんと記録されているのです。彼らのハード・バップ・セッションが、最後に登場するマルの個性的なソロによって「マルの作品」として形を与えられる。
そして2曲目に収録された《J.M.'s・ドリーム・ドル》の哀愁を帯びたジャッキー・マクリーンのソロがまたいいのですね。コルトレーン・ファンもマクリーン・ファンも満足するハード・バップ名盤がこれなのです。
2枚目のアルバム『マル / 1』(Prestige)でも同じことが言えて、こちらはアイドリース・シュリーマンのトランペットにジジ・グライスのアルト・サックスと、より人選は地味ですが、お聴きなればおわかりのように演奏の充実感は同格です。そして3枚目のアルバムが素晴らしい。エリック・ドルフィーの登場です。ドルフィーとチャールス・ミンガス・バンドで同じ釜の飯を食べた同僚、ブッカー・アーヴィンが参加した『ザ・クエスト』(New Jazz)は、ドルフィー・ファン必聴。ドルフィーの名演『ファイヴ・スポットVol.1』(Prestige)の11日後に録音されたこのアルバムには、ファイヴ・スポットでも演奏されたマルの名曲《ファイアー・ワルツ》が収録されています。アーヴィンの熱演も素晴らしい。
そして極め付き名盤が『レフト・アローン』(Bethlehem)です。晩年のビリー・ホリディの伴奏者を務めたマルが、彼女の死を悼んだ追悼盤。ジャッキー・マクリーンが切々と歌い上げるタイトル曲は絶品。マルがパウエル派ピアニストとしてスタートしたことを思い起こさせるのが、ピアノ・トリオによる名盤『マル / 4』(New Jazz)に収録された《ゲット・ハッピー》です。最後に収録したソロによる珍しいアルバム『オール・アローン』(Globe)は、マルのちょっとセンチメンタルで叙情的な側面が現れた隠れ名盤です。

【掲載アルバム】
マル・ウォルドロン『マル / 2』(Prestige)
マル・ウォルドロン『レフト・アローン』(Bethlehem)
マル・ウィルドロン『アール・アローン』(Globe)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第1回

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「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第136回
新譜特集 第1回(再放送)

今春から毎月1回新譜特集として、比較的新しいアルバムをご紹介して行こうと思います。選択基準はわりあい幅広く取って、21世紀以降に録音されたものを中心に、それ以前の録音でも、発掘音源など発売が21世紀以降という作品も含めることにしようと思います。
最初にご紹介するのは、このところ注目を集めているイスラエル・ミュージシャン、オマール・アヴィタルの『ニュー・ソング』(Plus Loin Music)。オマールはベーシストで、サイドにはトランペットのアヴィシャイ・コーエンが参加しており、彼の熱気を孕んだトランペット・サウンドが聴き所です。
次に収録したのはイギリス生まれのベテラン・サックス奏者、ジュリアン・アーギュロスの最新作『テトラ』(Whirlwind)。彼のサックス・サウンドはじっくり聴くほどに味が増すタイプ。3枚目のアルバムは、今まさに注目のグループ「スナーキー・パピー」のキーボード奏者、ビル・ローレンスの新作『アフター・サン』(Universal)。メンバーは同じくスナーキー・パピーのベース奏者マイケル・リーグに、ドラム奏者ロバート“スパット"シーライト、そしてガーナ出身のパーカッション奏者ウィーディー・プライマーの参加がサウンドにワールド・ミュージック色を加えているところが聴き所ですね。実に快適で心地よい演奏ながら、音楽としての新しさが感じられます。
そしてこちらもUKジャズのピアニスト、キット・ダウンズがサイドに参加した、テナー・サックス奏者サム・クロカットの新作『メルス・ベルス』(Whirlwind)も力作です。華やかなキットのピアノと渋味サックス、クロカットの組み合わせは正解。
そしてECMからは、いかにもECM的な作品『アルバ』(ECM)が面白い。マークス・ストックハウゼンのフリューゲル・ホーンとフローリアン・ウィーバーのピアノによるデュオ作品で、かなり変則的な楽器編成ながら聴き手を飽きさせない作りこみはさすがECMですね。聴き所は、ちょっとマティアス・アイクを思わせるマークスのフリューゲル・ホーンの叙情的なサウンドです。
さて、最後に収録したのは今回の目玉作品、ゴーゴー・ペンギンの新作『マン・メイド・オブジェクト』(Blue Note)です。実を言うと2月にこのアルバムを聴くまでまったく知らないグループだったのですが、その斬新な演奏に惹かれ先日ブルーノート東京でわずか2日のみのライヴに出かけて見ました。まださほど知名度の高いグループだとは思えないのに客席は満員、立ち見も出るほど。そして客層が従来のファン層とは少し違っていて年齢層も若く、まさに「ジャズ新時代」を予感させるものでした。
そして何より驚いたのは演奏の素晴らしさです。アルバムでもその魅力は充分に伝わるとは思いますが、ライヴでのメンバー相互のインタープレイの密度の濃さは尋常ならざるものがあります。まさに現代のトップ・ジャズ・グループと言っていいでしょう。
ロブ・ターナーのドラミングの凄さは言うまでもありませんが、ベーシスト、ニック・ブラカのテクニックが素晴らしい。彼がチームの要となっているのもライヴでよくわかりました。そしてクールな表情のピアニスト、クリス・イリングウォースの従来のジャズ・ピアニストとは一味違う発想が、このグループならではの斬新なテイストを醸し出しているのも実感できました。なお、途中で音が歪んでいるように聴こえる部分がありますが、これは意図的にサウンドを加工しているのです。

【掲載アルバム】
オマール・アヴィタル『ニュー・ソング』(Plus Loin Music)
ビル・ローレンス『アフターサン』(Universal)
ゴーゴー・ペンギン『マン・メイド・オブジェクト』(Blue Note)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第12回

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「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第147回
新譜特集 第12回

冒頭に少し宣伝をさせてください。私は2014年4月から『ジャズ100年』、2015年4月から『ジャズの巨人』、そして2016年5月から『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』という、小学館から刊行されたCD付きムックの選曲・監修をさせていただいてます。隔週刊行それぞれ年に26巻、トータルで78巻もようやく終るかと思いきや、好評に付き今年の5月から半年12巻の「ヴォーカル編」延長が決まりました。わたくしごとながら、いまや何度目かの「ジャズ・ブーム」が到来していることがヒシヒシと実感されます。
それは新譜状況を見ても明らかで、今までに無い斬新なジャズ・グループが続々と登場しています。スナーキー・パピーは既にご紹介してきましたが、今回はその重要なメンバーであるキーボード奏者、ビル・ローレンスのロンドンでのライヴ・アルバム『ライヴ・アット・ユニオン・チャペル』(Verve)からの選曲です。サイドマンとしてスナーキーの主要メンバーであるベーシストのマイケル・リーグ、ドラムスのロバート・シアライトが参加していることでもわかるように、サウンドはかなりスナーキー的。
リーダーがマイケルなので当然ですが、彼の斬新な音楽性、キーボード・センスが堪能できます。シアライトの切れの良いドラミングも気持ちいいですね。マイケルはイギリス人ということもあり、スナーキーのもう一人のキーボード奏者、コリー・ヘンリーとは対照的な音楽的バック・グラウンドの持ち主。それが、スナーキーの音楽の多様性に大きく貢献していることがこのマイケルのリーダー作を聴くと良くわかります。
次にご紹介する「ザ・コメット・イズ・カミング」もイギリスのグループで、キーボード、テナー・サックス、ドラムスによるトリオ。彼らのアルバム『チャネル・スピリット』は、「リーフ」というヨークシャーに拠点を置くエレクトロニック・ミュージックのレーベルから出されているだけに、サウンドは極めて鮮烈かつアグレッシヴ。ともあれ、こうしたUK勢の「非アメリカ的」感覚が、ジャズに新風を吹き込んでいるのは間違いないようです。それにしても、楽器編成からは想像がつかないサウンドではあります。
ぐっと雰囲気が変わってジョン・ゾーン名義のアルバム『オン・リーヴス・オブ・グラス』(Zadic)は、ゾーンの楽曲を「メデスキ・マーチン・ウッド」のピアニスト、ジョン・メデスキとケニー・ウォルセンのヴァイブを、ジョーイ・バロンのドラムスらが支える落ち着いた演奏です。この、懐かしいようなそれでいてちょっとエキゾチックなサウンドは心地良いですね。ゾーンの作曲センスはやはりユニーク。
ギタリスト、ライアン・ブロトニックの新作『クッシュ』(Songline)は、異色のサックス奏者マイケル・ブレイクの参加が効いています。ブロトニックのギターは地味ながら聴くほどに味わいが出るタイプ。じっくりと聴き込みたいですね。
ご存知アントニオ・サンチェスの『スリー・タイムス・スリー』(Cam Jazz)は、彼がブラッド・メルドー、ジョン・スコフィールド、そしてジョー・ロバーノの3人をそれぞれゲストに迎えたトリオ演奏で、今回はジョンスコとの共演トラックを収録しました。 最後にご紹介するのはベテラン、ピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィの2014年の録音『ダブル・サークル』(Cam Jazz)です。新進ギタリスト、フェデリコ・カサグランデとのデュオ作品で、ピエラヌンツィがいいのは言うまでもありませんが、カサグランデのギターが凄い。これは名演です。

【掲載アルバム】
The Comet Is Coming 『Channel The Spirits』(Leaf)
John Zorn 『On Leaves Of Grass』(Zadic)
Enrico Pieranunzi 『Double Circle』(Cam Jazz)

土・日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト



インフォメーション

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■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

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