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D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

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月曜日 22:00~ 新譜特集 第15回

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マーカス・ストリックランド
『Nihil Novi』
(Blue Note)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第150回
新譜特集 第15回(再放送)

前回冒頭に登場したビアンカ・ジスモンチも南米ミュージシャンでしたが、今回も最初にご紹介するのは南米ウルグアイ出身のサウンド・クリエーター、ロドリーゴ・G・ファレンのアルバム『One Way』(New Open Music)です。「サウンド・クリエーター」といった呼称がジャズで使われわれるようになったのは、80年代辺りからだったでしょうか。キップ・ハンラハンの活躍が思い出されますが、ロドリーゴは一部のファンからは「ハンラハンの再来」などとも言われています。
ハンラハンはラテン・パーカッションを巧みに使ったサウンドが印象的でしたが、ロドリーゴもナナ・バスコンセロス、バダル・ロイといった「アメリカ人以外」のミュージシャンを起用し、エスニックな中にも現代性を感じさせるサウンドを作り上げています。アルバムにはほんとうに多彩なトラックが収録されていますが、どの楽曲もキャッチーでありながら音楽的にもしっかりとした作りが感じ取れます。
次にご紹介するのは、先ごろ来日公演が評判を呼んだカート・ローゼンウィンケルの傑作アルバム『カイピ』で、カートの共同プロデューサー、ヴォイス担当で重要な役割を果たしたギタリスト兼コンポーザー、ペドロ・マルチンスが18歳で吹き込んだ初リーダー作『Dreaming High』(Adventure Music)です。まだ10代とは思えない完成度の高さですが、確かに『カイピ』に通じるテイストが感じ取れます。
3枚目にようやくアメリカ勢の登場です。『Nihil Novi』はクリス・デイヴ&ドラムヘッズのメンバーとしても知られるサックス奏者、マーカス・ストリックランドのブルーノート・デビュー作。すべてマーカスのオリジナル楽曲で固められ、プロデュースはミシェル・ンデゲオチェロ。こちらはいかにもアメリカ的なサウンドで、R&B的な要素を巧みにジャズに取り込んだトラックが並んでいます。
今話題のベッカ・スティーヴンス、グレッチェン・パーラトらと結成したヴォーカル・グループ「ティレリー」のメンバーとして知られるレベッカ・マーティンの新作『Upstate Project』(Sunnysicde)は、ギレルモ・クラインとの共演です。ギレルモはアルゼンチン、ブエノスアイレス出身のピアニスト兼ヴォーカリストで、作曲の才にも優れています。サイドを固めるのはラリー・グレナディアのベースにジェフ・バラードのドラムス、パーカッションで、地味ながら聴き応えのあるアルバムに仕上がっています。
ベテラン、ベーシスト、ロベルト・オチピンティの新作『Stabilimento』(Modica Music)はラテン系のミュージシャンが参加し、コンボからビッグ・バンドまで多彩な編成の演奏が楽しめます。
最後にご紹介するのは、以前も登場したパリ在住のサックス奏者、仲野麻紀さんが主宰するグループKy(キィ)の新作『Desespoir Agreable』邦題『心地よい絶望』(Ottava)です。共演のヤン・ピタールが弾くウードの音色はまるで日本の琵琶のようですが、元をたどれば両者は兄弟楽器。その深い音色に仲野のサックスが絡むと独自の音風景が浮かび上がります。採り上げている楽曲も特異で、エリック・サティの「グノシェンヌ1番」。ユニークな編成ユニークなアプローチですが、決して奇をてらったところはなく、聴くほどに彼らの音楽世界に惹き込まれます。彼らのチームKyはこれからもっと注目されるべきだと思います。

【掲載アルバム】
ロドリーゴ・G・ファレン『One Way』(New Open Music)
マーカス・ストリックランド『Nihil Novi』(Blue Note)
Ky『Desespoir Agreable』邦題『心地よい絶望』(Ottava)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~ ケニー・バレル特集

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ケニー・バレル
『アット・ザ・ファイヴ・スポット・カフェ』
(Blue Note)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第111回
ケニー・バレル特集(再放送)

ジャズ・ギタリストには、ウェス・モンゴメリーのように、自らのギター奏法だけで聴き手を惹き付けてしまうミュージシャンと、フロントにホーン奏者を入れ、チーム・プレイで味を出すタイプに分かれるようです。今回ご紹介するケニー・バレルはまさにチーム・プレイ派の代表とも言うべきギタリストで、さまざまなサイドマンたちと独特のアーシーな世界を生み出しています。
最初は彼の代表作『アット・ザ・ファイヴ・スポット・カフェ』(Blue Note)で、落ち着いた渋いアナウンスに続いて、これまた渋さの極地のような演奏が繰り広げられます。ちょっとダークで野太いバレルのギター・サウンドからは、暖炉の熾火のようなじんわりとした暖かさが伝わってきてとても気持ちが良い。
圧巻はマニア好みのテナー奏者、ティナ・ブルックスの哀愁たっぷりなソロ。若干掠れ気味のサウンドから搾り出されるフレーズは、地味ながら着実にファンの心に沁みこんで行きます。続くボビー・ティモンズの良く弾むピアノも、軽やかながら着実に地に足が着いたアーシーな演奏。
『K.B.ブルース』(Blue Note)は、サイドに参加しているホレス・シルヴァーがジャズ界の名高いパトロン、ニカ男爵夫人に捧げた名曲《ニカス・ドリーム》が素晴らしい。バレルの描き出す渋い世界にマッチしたハンク・モブレイが参加しているところも聴き所です。
最近展覧会が開かれていたアンディ・ウォーホルが、(おそらく)まだ有名でなかったころの素描のジャケットが印象的な『ブルー・ライツVol.2』(Blue Note)の聴きどころは、ブルーノートに唯一のリーダー作『ヒア・カムス・ルイ・スミス』を吹き込んだトランペッター、ルイ・スミスの参加でしょう。冒頭の名曲《キャラバン》での、クリフォード・ブラウン直系の張りと輝きのある吹きっぷりは実に爽快。続いて出てくる二人のテナー奏者、ジュニア・クックとティナ・ブルックスの違い、聴き分けられましたか? これはかなり高度なブラインド問題で、マニアの頭、いや耳を悩ませる難問です。
『オール・ディ・ロング』はプレスティッジお得意のジャム・セッション・アルバム。リラックスした中にもジャジーな気分が横溢した快演です。こうした「場」に、バレルがいるかいないかでずいぶんと演奏の雰囲気が変わってくるのはとても面白いことですね。 そして極め付きの名演、テナーの巨人ジョン・コルトレーンとの共演作『ケニー・バレル・アンド・ジョン・コルトレーン』(Prtestige)の凄いところは、吹きまくりコルトレーンに対し、必ずしも「ハイテク・ギタリスト」というわけでもないバレルが、「味」で五分と五分の勝負をしているところです。というか、ものによっては少々刺激的なところもあるコルトレーンのアルバムの中で、彼の良さを活かしつつ良い意味で「聴きやすく」している。こうしたところは、バレルのあまり表ざたにならない長所ではないでしょうか。
そして最後にご紹介するアルバム『フリーダム』(Blue Note)は、ちょっと珍しい組み合わせです。何とハービー・ハンコックがサイドを務めているのです。確かにピアノ・ソロは新鮮。しかしやはり聴きどころはバレルと極めて相性の良いテナー奏者、スタンレイ・タレンタインの燃えっぷりでしょう。《Gマイナー・バッシュ》で見せるフリーク・トーン一歩手前の壮絶ソロは何度聴いても気持ちよい。そしてそれに煽られたかのようなバレルのソロも絶品です。

【掲載アルバム】
ケニー・バレル『アット・ザ・ファイヴ・スポット・カフェ』(Blue Note)
ケニー・バレル『ブルー・ライツVol.2』(Blue Note)
ケニー・バレル『フリーダム』(Blue Note)

火曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~ クリフォード・ブラウン特集

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クリフォード・ブラウン
『ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド』
(Columgbia)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第100回
クリフォード・ブラウン特集(再放送)

気が付いて見ればこのコラムも100回を迎えることが出来ました。これも読者のみなさまのご支援のおかげです。これからも心してジャズファンの皆様に素晴らしい演奏をご紹介していきたいと思います。
さて、記念すべき100回目は超大物トランペッター、クリフォード・ブラウンです。若くして不慮の自動車事故で亡くなってしまったため、活動期間こそ短いのですが、その間に残したアルバムはどれも傑作ぞろい。あのマイルス・デイヴィスも、ブラウニーの愛称で親しまれたクリフォード・ブラウンが存命だったら大スターの地位を脅かされていたかもしれないと言われた名トランペッターです。
最初にご紹介する『ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド』(Columbia)は、正規アルバムとしては彼の最初のレコーディングで、ヴォーカルも入ったラテン・グループとの楽しげな共演。注目すべきは、1952年の時点ですでにテクニック、スタイルともに完成しているところです。トランペットの音色の素晴らしさにご注目ください。
翌1953年、ルー・ドナルドソンをサイドに従えたブルーノートへの吹込みでは、アート・ブレイキーの歴史的名盤『バードランドの夜』(Blue Note)の前哨戦ともいえる快演を残しています。ルー・ドナルドソンの快調なアルト・ソロも聴き所です。
ライオネル・ハンプトン楽団のメンバーとしてパリを訪れたクリフォード・ブラウンは、リーダーの目を盗んでヴォーグ・レコードにレコーディングしました。『パリ・コレクション』(Vogue)はそのときの記録で、ブラウニーのトランペット以外ホーン奏者のいない「ワンホーン」のフォーマットで吹き上げる《ソン・イズ・ユー》《降っても晴れても》は、歌心溢れる名演。
そしていよいよ歴史的名クインテット、マックス・ローチとの双頭コンボの結成です。折り紙つきの名盤『マックス・ローチ・アンド・クリフォード・ブラウン』(EmArcy)は、彼らの代表作にして50年代ハードバップの記念碑的作品。《ジョイ・スプリング》《ジョードゥ》など、まさに名曲名演が満載の傑作です。
『ジャズ・イモータル』(Pacific Jazz)は、クリフォード・ブラウンがウエスト・コーストのジャズマンたちと共演した珍しいアルバム。アレンジの面白さを生かした、スチュ・ウィリアムスのトランペットにズート・シムズのテナー・サックス、そしてボブ・ゴードンのバリトン・サックスという豪華メンバーの演奏には、ハードバップ・セッションとはまた一味違った心温まる魅力があります。
歴代クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ・クインテットのテナー奏者は、最初がハロルド・ランドで次がソニー・ロリンズ。『アット・ベイズン・ストリート』(EmArcy)は、若干荒削りながら勢いに溢れたロリンズに引き込まれ、ブラウニーのトランペットも炸裂。迫力満点のトランペット名盤です。
ストリングスをバックにしみじみとスタンダード・ナンバーを歌い上げた『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』(EmArcy)は、数ある「ストリングスもの」の中でも特筆もの。そして最後にお送りする《チュニジアの夜》と有名なバップナンバー《ドナ・リー》は、冒頭にご紹介した『ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド』のアナログB面に収録された、ブラウニー死の直前の記録。ソロの迫力、凄まじさには誰しも脱帽! 

【掲載アルバム】
クリフォード・ブラウン
『ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド』(Columgbia)
『クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ』(EmArcy)
クリフォード・ブラウン『アット・ザ・ベイズン・ストリート』(EmArcy)

水曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~  ビル・エヴァンス特集

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ビル・エヴァンス
『ポートレイト・イン・ジャズ』
(Riverside)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第124回
第2回 ビル・エヴァンス(再放送)

前回予告したとおり、今回もまた「ジャズの巨人」です。ビル・エヴァンスはさまざまな人気投票で必ず上位に入る人気ミュージシャンであると同時に、ジャズを長く聴き続けてきたコアなジャズファンからも高く評価されている、まさにジャズの巨人です。彼の功績は、モダン・ジャズ・ピアノの改組、バド・パウエルの業績を引き継ぎつつも、白人ミュージシャンらしい個性とピアノ・トリオのスタイルを一新するという、大きな改革をなしたことです。
とは言え、誰しもデビューの頃はさまざまな要素が混在していたり、いまひとつスムースさを欠いていたりするもの。その辺りの変化が良くわかるように、今回は録音年代順に聴いていくことにします。最初にご紹介するのは、エヴァンスを世に紹介したリヴァーサイド・レーベルからの記念すべき初リーダー作『ニュー・ジャズ・コンセプション』です。悪くない演奏ですし、後のエヴァンス・スタイルの萌芽が見えますが、少々ギクシャクしていたり肩に力が入り過ぎのようなところもうかがえます。それが『エヴリボディ・ディグス・ビル・エヴァンス』(Riverside)ともなると、まったく同じ傾向ながら完全に一個のピアニストとしての個性を確立させています。
そしてなんと言っても、マイルスのサイドマンという当時のジャズ・ピアニスト憧れの地位を手に入れたのが『カインド・オブ・ブルー』(Columbia)です。マイルスはこの時期、エヴァンスからの影響をあからさまに語っています。そしてもちろんエヴァンス自身の音楽的進歩も大きかった。その成果が歴然と現れたのがスコット・ラファロとの共演第1作『ポートレイト・イン・ジャズ』(Riverside)です。ここでの《枯葉》は絶品。
エヴァンスはサイドマンとしてのアルバムは比較的少ない方ですが、キャノンボール・アダレイとの異色作『ノウ・ホワット・アイ・ミーン』(Riverside)は傑作です。エヴァンスの代表作とも言うべき名曲《ワルツ・フォー・デビー》も素晴らしい。以下は世に「リヴァーサイド4部作」と呼ばれた、ラファロとの貴重な共演盤に記録された名演集です。まず耽美的とも思えるリリカルな表現が魅力的な《ナルディス》は、『エクスプロレーションズ』の白眉。そして極め付き名盤『ワルツ・フォー・デビー』からは、出だしの一音から聴き手を魅了する《マイ・フーリッシュ・ハート》。最後は同日録音の『サンディ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』から、通好みの名曲《グロリアス・ステップ》。
ビル・エヴァンスというと、共演するミュージシャンとの魅力的なコラボレーションが有名ですが、その代表がジム・ホールとの『アンダーカレント』(United Artists)でしょう。《マイ・ファニー・ヴァレンタイン》はジャズマン同士がお互いの出す音によって刺激され、よりスリリングなアドリブが展開される「インタープレイ」の典型的名演です。もちろんこれはラファロとの共演体験の賜物。
《ハイ・マイ・ハート・シングス》もまたエヴァンスの名演で知られた名曲ですが、これは同名のアルバムから。そして、その名も『インタープレイ』(Riverside)とされたフレディ・ハバード、ジム・ホールとの共演盤は極め付き《あなたと夜と音楽と》が有名です。エヴァンスとしては珍しい、寛いだ気分のライヴ盤が『シェリーズ・マン・ホール』(Riverside)。こういうエヴァンスも悪くありません。
そして、ヴァーブに移籍してからの代表作がエディ・ゴメス、ジャック・デジョネットを従えた新トリオによるモントルーでのライヴ盤で、かつての名演《ナルディス》をまったく違う切り口で演奏しています。晩年の枯淡とも言える境地を吐露した名演が、ハーモニカの名手トゥート・シールマンスと共演した『アフィニティ』(Warner Bros,)。そして最後期エヴァンスの傑作が『アイル・セイ・グッドバイ』(Fantasy)です。

【掲載アルバム】
ビル・エヴァンス『ポートレイト・イン・ジャズ』(Riverside)
ビル・エヴァンス『サンディ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』
(Riverside)
ビル・エヴァンス『エクスプロレーションズ』(Riverside)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第9回

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ジョーイ・アレキサンダー
『カウントダウン』
(Victor)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第144回
新譜特集 第9回(再放送)

今年の春から「新譜特集」をはじめたのは、ここ数年ジャズ・シーンが眼に見えて活性化し、興味深い新譜、新人が次々と現れたからです。その波は当然日本のミュージシャンにも及び、このシリーズでもご紹介した今や大物の貫禄を備えた上原ひろみの傑作『Spark』(Telark)や、黒田卓也の新作『ジグザガー』(Concord)、そしてアメリカを拠点に活躍しているBigyukiの『グリーク・ファイアー』(Universal)など、枚挙に暇がありません。 今回最初にご紹介するアルバム『Initial Stage』(ラッツパック)は、サックス・プレイヤー木村広人率いるエナジーヴォイドというグループによる彼の初リーダー作。ギター入りクインテットというオーソドックスな楽器編成ながら、演奏から溢れる熱気、意欲はただものではありません。ギターの勝田弘和のソロも良く、今注目の新グループと言えるでしょう。
また、アルバム制作の現場でも意欲的な試みが成されています。今やシリーズ雑誌「ジャズ・ザ・ニュー・チャプター」で有名な柳樂光隆の新レーベル、JTNCの第一作『Padre』(JTNC)は、南米コロンビア出身の女性シンガー、ピアニスト、コンポーザー、イシス・ヒラルドの不思議な雰囲気を湛えた作品。ライナー・ノートによると、音楽評論家、高橋健太郎の持ち込み音源で、カテゴライズが難しい種類の音楽とも言えますが、こういうものがジャズファンに届くのはいいことだと思います。というか、「ジャズ」は今やあらゆる音楽ジャンルを大きく包み込むような役割を果たしつつあるようですね。
3枚目に収録したアルバムは、最近来日したオーストリアのギタリスト、ウォルフガング・ムースピールのECMからの新譜『ライジング・グレース』です。聴き所はピアニスト、ブラッド・メルドー、トランペッター、アンブローズ・アキシムシーレ、そしてドラムスにはブライアン・ブレードという豪華なサイドマンたちの参加でしょう。ムースピールの新生面が現れた作品と言えそうです。
ユニークなヴォーカルが炸裂する『Autour Chet』(Verve)は、好評のチェット・ベイカーの伝記的映画『ブルーに生まれついて』にちなんだ作品で、多くの歌手、ミュージシャンが参加し、チェットにちなんだ楽曲を披露しています。ちょっと気だるく、しかしお洒落な雰囲気が気になるアルバムですね。
ピアノのミシェル・カミロとフラメンコ・ギターのTomatitoのデュオ・アルバム『スペイン・フォエヴァー』(Universal)は、エグベルト・ジスモンチ、チャーリー・ヘイデン、アストル・ピアソラ、そしてエリック・サティなどの作品をじっくりと聴かせる傑作です。
そして最後に収録したのは、天才少年ピアニストとして話題のジョーイ・アレキサンダーの新作『カウントダウン』(Victor)です。私たちは、ジャズはある程度大人でないとその味わいは表現できないのではないかと思いがちですが、彼の演奏を聴くとそれは思い込みであることが実感されます。
特にテクニックに走った演奏という訳ではなく、オーソドックスながら新鮮なピアノ演奏として十分評価できますね。「処女航海」でクリス・ポッターがゲスト参加しているのも注目ポイントでしょう。

【掲載アルバム】
木村広人『Initial Stage』(ララパック)
イシス・ヒラルド『Padre』(JTNC)
ミシェル・カミロ『Spain Forever』(Universal)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第20回

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ロン・マイルス
『アイ・アム・ア・マン』
(Muzak)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第155回
新譜特集 第20回

今回最初にご紹介する2枚のアルバムは発掘音源です。12月16日より、「私が殺したリー・モーガン」という物騒なタイトルのドキュメンタリー映画が公開されます。タイトルから想像されるように、この映画はリー・モーガンの短くも華やかな生涯を様々な関係者の証言から辿ったジャズ映画です。注目の的となるのは、モーガンを射殺した彼の内縁の妻、ヘレン・モーガンが最晩年に残した唯一のインタビューが登場することでしょう。
こうしたこともあって、このところリー・モーガンがらみの音源が多数登場していますが、私がご紹介する『リー・モーガン~クリフォード・ジョーダン・クインテット・ライヴ・イン・ボルティモア 1968』(SSJ)は、モーガン60年代の貴重な放送音源です。1968年にメリーランド州ボルティモアにあった「ロイヤル・ルームズ」というレストランのラウンジからの中継録音を、イギリスのBBCラジオが英国内で放送した音源で、若干音質に問題が有りますが、そんなことを忘れさせるモーガンの強烈なトランペット・ソロが印象的です。共演のクリフ・ジョーダンのテナー・サックスも極めて快調。
2枚目のアルバムは、マニアの間で話題だったスイス出身のヴォーカリスト兼ピアニスト、エルシー・ビアンキの貴重な未発表音源です。録音は1968年で、フランス語で歌われている「テイク・ファイヴ」が人気を呼びそうです。
3枚目からは本来の新録新譜です。最初に登場するのは、マニアの間で人気のハイテク・ギタリスト、パット・マルティーノ11年ぶりのレギュラー・グループによるアルバム『フォーミタブル』(High Note)です。聴き所は、二人のホーン奏者とオルガン奏者を擁する、チームによるアンサンブルを生かしたマルティーノの落ち着いたリーダーぶりでしょう。
続いて登場するのはLAを拠点とする7人組の新グループ、ホロフォナーのアルバム『ライト・マグネット』(World Galaxy)です。トランペット、トロンボーン、アルトの3管にヴァイブ、そしてリズム・セクションという豪華な編成から繰り出される軽快なサウンドはいかにも西海岸的です。注目すべきは、新人グループにもかかわらず大物ウェイン・ショーターがプロデュースを買って出ているところでしょう。
どうやら、ブルーノートの社長ドン・ウォズが、当初ブルーノートからデビューさせるつもりでショーターに話を持って行ったけれど様々な事情で見送りとなり、ショーターは律義に最後まで面倒を見たということのようです。
ロン・マイルスと言ってもあまりご存知ではないかもしれませんが、彼の新作『アイ・アム・ア・マン』(Muzac)のレコーディング・メンバーが凄い。ビル・フリゼールを筆頭に、ブライアン・ブレイド、ジェイソン・モラン、トーマス・モーガンと、今一番注目されているミュージシャンが勢ぞろいです。マイルスはコルネットを吹いていますが、その音楽性が極めて現代的で、過去の巨匠たちは言うに及ばずクラシックの素養もあり、また近年「アメリカーナ」という言い方で注目されているアメリカ特有の音楽風土の影響も巧みに取り入れているのですね。こうした柔軟性がフリゼール、ブレイドらの共感を呼んだのでしょう。
最後にパリ在住のピアニスト、ステファン・ツアヴィスの新作『ボーダー・ライン』(Crystal)をご紹介しましょう。私はつい最近、サックスの仲野麻紀さんとステファンが共演したライヴを観ましたが、彼のエスニックかつオリジナリティに溢れたピアノ演奏は機知と発見に満ちた斬新なものでした。

【掲載アルバム】
『リー・モーガン~クリフォード・ジョーダン・クインテット・
ライヴ・イン・ボルティモア 1968』(SSJ)
ホロフォナー『ライト・マグネット』(Weorld Galaxy)
ロン・マイルス『アイ・アム・ア・マン』(Muzak)

土・日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

インフォメーション

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■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

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