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D-51 ジャズ喫茶いーぐる (後藤雅洋)

東京・四谷にある老舗ジャズ喫茶いーぐるのスピーカーから流れる音をそのままに、店主でありジャズ評論家としても著名な後藤雅洋自身が選ぶ硬派なジャズをお送りします。毎夜22:00~24:00の「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」は、ビギナーからマニアまでが楽しめるテーマ設定で、後藤雅洋が執筆したコラムとともにジャズの魅力をお伝えします。

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月曜日 22:00~  『ジャズ・ジャイアンツ、これだけ聴けば大丈夫』 その2 セロニアス・モンクの音楽

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セロニアス・モンク『ブリリアント・コーナーズ』(Rriverside)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第55回
『ジャズ・ジャイアンツ、これだけ聴けば大丈夫』 その2 セロニアス・モンクの音楽(再放送)

「バップの高僧」という変わったあだ名や、ステージの上で踊りだすパフォーマンスなど、セロニアス・モンクは奇矯なジャズマン伝説を象徴する大物ミュージシャンである。それだけに一度彼の世界にはまり込むと、ちょっとネジれたようなフシギな旋律がアタマの中で勝手に鳴り出す強力な個性の持ち主だ。
しかし最初は、ハードバップ・ファンにもとっつきがよい2管クインテットのアルバム『5モンク・バイ5』(Riverside)から聴いていこう。サッド・ジョーンズの気持ち良いトランペットに導かれた快適な《ジャッキー・イング》は、モンクの世界への入り口として最適だ。テナーサックスのチャーリー・ラウズは晩年のモンクカルテットを支えた重要人物で、このアルバムでもよいソロをとっている。
モンクの面白いところは、ジョン・コルトレーンのような当時の新人とも、また、スイング時代から活躍していたベテラン、コールマン・ホーキンスともうまく合ってしまうところだ。アルバム『モンクス・ミュージック』(Riverside)は、新旧二人のテナーマンとの共演が見もの。
モンクは、基本的にテナーサックス奏者を擁するカルテットでレギュラーコンボを組んだが、ジョニー・グリフィンをサイドに従えた時期が有名だ。『ミステリオーソ』(Riverside)はモンクのライヴの傑作として知られた名盤で、グリフィンのソロが熱い。
そしてコルトレーンと並ぶ大物テナー、ソニー・ロリンズをサイドに従えたモンクの代表作『ブリリアント・コーナーズ』(Riverside)では、ロリンズの個性を生かしつつモンクの世界を完璧に表現した、“モンクス・ミュージック”のマジックが素晴らしい。もう一人のサイド、アルトのアーニー・ヘンリーも、モンクによって良さを引き出されている。
モンクはピアノ奏者としても圧倒的な個性を誇っているが、バド・パウエルやビル・エヴァンスのようにトリオアルバムはあまり作っていない。『セロニアス・モンク・トリオ』(Prestige)は彼の貴重なトリオ演奏の傑作で、独特のリズム感やユニークな「間」の取り方が良くわかる。パウエル派ピアニストとはちょっと違うが、ノリの良さも抜群だ。
モンクがパウエルやエヴァンスと異なるのは、作曲家としても大いに活躍している点だ。モンクの書いた曲は、エリントン・ナンバーと並ぶジャズ・スタンダードとしてファンに知られている。そして、多くのミュージシャンが彼の曲を演奏することによって、モンクの世界は広がっていく。
今でも第一線で影響力を及ぼしているポール・モチアンの『モンク・イン・モチアン』(Bamboo)は、誰が、どういう演奏をしてもモンクの香りが漂ってくることを教えてくれる素晴らしい演奏。その効果はインスト・ナンバーに限らず、ヴォーカルにおいても発揮され、カーメン・マクレエの《ラウンド・ミッドナイト》からは、モンクの姿がくっきりと浮かび上がってくる。そして極め付きは、モンクに音楽理論を習ったこともあるバド・パウエルによるアルバム『セロニアス・モンクの肖像』(Columbia)だ。パウエルの個性とモンクの世界が高い次元で融合した傑作である。
最後は再びモンク自身のソロ・ピアノによる自作の名曲《ラウンド・ミッドナイト》の演奏をお聴きいただいて、個性的で非常に幅広いモンクの世界をお楽しみください。

【掲載アルバム】
セロニアス・モンク『ブリリアント・コーナーズ』(Rriverside)
セロニアス・モンク『ミステリオーソ』(Riverside)
セロニアス・モンク『セロニアス・モンク・トリオ』(Prestige)

月曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

火曜日 22:00~  新譜特集 第16回

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ビル・フリゼール『スモール・タウン』(ECM)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第151回
新譜特集 第16回(再放送)

今回最初にご紹介するのは、今年なんと80歳を迎えたという大ベテラン・ドラマー、ルイス・ヘイズのブルーノート、デビュー・アルバム『セレナーデ・フォー・ホレス』です。タイトルからもわかるように、彼が長年サイドマンを務めたブルーノート・レーベルの看板ピアニスト、ホレス・シルヴァーの楽曲を披露しています。楽器編成は、かつてルイスがホレスのバンドにいた時と同じトランペットとテナーの2管クインテットに、楽曲によってヴァイブラフォンが加わった総勢6名。
聴き所は、2曲目に収録したホレスの名曲「セニョール・ブルース」とホレスの人気を不動のものとした、3曲目に収録した「ソング・フォー・マイ・ファーザー」でしょう。とりわけ後者には今人気のグレゴリー・ポーターがゲストに加わるという豪華さです。ブルーノート・レーベルの意気込みが伝わって来ます。
私は2015年に彼が来日した際インタビューを行っていますが、実に元気で、いろいろとホレス・シルヴァーのバンドにいたころの話をしてくれました。印象に残っているのは、ホレスがまだ若かったヘイズにいろいろと親切にジャズ界のことを教えてくれたことや、かなり自由に演奏させてくれたので、たいへんやりやすかったといったエピソードでした。
2枚目は、アメリカのTVトーク番組「トゥナイト・ショー」の音楽監督を降板し、アルバム制作を再開したギタリスト、ケヴィン・ユーバンクスの『イースト・ウェスト・タイム・ライン』(Mack avenue)です。二つのグループで録音していますが、ニコラス・ペイトン、ディヴ・ホランドによるメインストリーム・ジャズが聴き所です。
次は、山中千尋が今年生誕100周年を迎えたセロニアス・モンクをテーマとした新作『モンクス・スタディズ』(Blue Note)です。このアルバムで山中は、ピアノの他、シンセサイザー・オルガンも披露し、積極的にモンクの世界を拡張しています。聴き所は、彼女の前向きな意欲が演奏のクオリティに直結しているところでしょう。モンクの音楽が持つ、ちょっとクセがありつつも懐が深く、ミュージシャンによる解釈の自由度の高さが山中の資質と巧くフィットしたのでしょうね。たいへん素晴らしく聴き応えのある作品で、彼女の代表作となるでしょう。
そしてこの企画が成功の理由の一つに、適切なサイドマンの選択があったと思います。何しろドラマーが、フライング・ロータスやサンダーキャットの新作に参加した元祖人力ドラム・マシーン、ディーントニ・パークス、そしてベーシストもヒップホップ・グループ、ザ・ルーツのレギュラー・ベーシスト、マーク・ケリーです。彼らのまさに21世紀的なリズムが、山中の先鋭な発想と実にうまくマッチしているのですね。
ダーシー・ジェームス・アーギューはカナダで生まれアメリカで活動する作曲家です。今回ご紹介した『Infernal Machine』(New Amsterdam)は彼が率いるラージ・アンサンブル「シークレット・ソサエティ」が2009年に発表したアルバムで、スティーム・パンクを標榜した作品です。お聴きになればお分かりかと思いますが、さまざまなエフェクトを多用したサウンドの斬新さが新時代のジャズ・バンドの在り方を示唆しています。
次はダニー・マキャスリンなどのバンドで活躍するベーシスト、スコット・コリーの新譜『セヴン』(Artist Share)です。聴き所はジョナサン・フィレンソンの軽やかなトランペット。そして最後は、つい先日来日したビル・フリゼールが、トマス・モーガンと共演したデュオ・ライヴ・アルバム『スモール・タウン』(ECM)。フリゼールのギターが素晴らしいのは言うまでもありませんが、モーガンとの息の会い具合が何とも心地よい。ライヴの雰囲気も大変に暖かいものとなっています。

【掲載アルバム】
山中千尋『モンク・スタディズ』(Blue Note)
ダーシー・ジェームス『Inferent machines』(New amsterdam)
ビル・フリゼール『スモール・タウン』(ECM)

火曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

水曜日 22:00~  新譜特集 第5回

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カマシ・ワシントン『ザ・エピック』(Brainfeeder)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第140回
新譜特集 第5回(再放送)

まず最初にご紹介するのはニューヨーク、ブルックリンを拠点として活動するトランペット、フリューゲル・ホーン奏者ブライアン・グローダー2016年のアルバム『R Train on the D Line』(Latham Record)です。彼は作曲家でもあり、この新譜ではマイケル・ビシオのベースとジェイ・ローセンのドラムスのみを従えたシンプルなトリオ編成です。
一般にピアノ・レスのワン・ホーン・トリオというのは、そうとう実力が無ければ間が持てない難しいフォーマットです。とりわけトランペット、フリューゲル・ホーンでそれをやるというのは滅多にないこと。お聴きになればおわかりかと思いますが、その難題を見事にこなしているだけでこの人は注目に値するミュージシャンと言えるでしょう。
そしてそれを支えているリズム・セクションの実力もそうとうなものです。ベース、ドラムスとフリューゲル・ホーンの3者が緊密に絡み合っているからこその名演と言えるでしょう。
同じトランペット・ジャズでも、ノルウェーのミュージシャンともなるとずいぶん音楽の表情が変るものです。マティアス・アイクの『ミッドウェスト』(ECM)は、いかにも北欧的な空気感を感じさせるサウンドが実に魅力的。ノルウェイのフォーク・ミュージックと現代ジャズが見事に融合しています。ヴァイオリンの使い方も秀逸。
3枚目にご紹介する『Ancestral Tongues』((Latham Record)は、またもやブライアン・グローダーですが、こちらは彼の初期のアルバムで録音は1993年。サックスとギターが入ったわりあいオーソドックスなスタイルで演奏しています、しかしピアノはいません。この辺り彼のこだわりがあるのかもしれません。彼の出発点を知るアルバムと言えるでしょう。
『Super Petit』(Cuneiform)は、ドラムス、パーカッションのジョン・ホーレンベック率いる、結成20周年を迎えるクラウディア・クインテットの新譜です。アコーディオンとサックスが醸し出すユニークなサウンドとリズムの絡みが快適です。彼らのアルバムはものによってはちょっと取っ付きが悪いものもありますが、この新作は一般的なジャズ・ファンにも好意的に迎えられるのではないでしょうか。
今もっとも注目されているジャズ・ミュージシャンがカマシ・ワシントンでしょう。ブラック・ミュージックの伝統と現代ジャズ・シーンの動向がうまい具合に融合しています。昨年発表された3枚組みの大作『ザ・エピック』(Brainfeeder)は、彼の壮大な世界観がコーラスを含む大編成チームによって見事に結実した傑作です。
私も彼らのライヴを見ましたが、その実力を裏付ける素晴らしいものでした。12月にビルボード大阪、ビルボード東京で公演を行うので、またぜひ見たいと思っています。とにかく注目の人物ですね。
最後に収録したコリン・ヴァロンのアルバム『ル・ヴァン』(ECM)は2013年の録音ですが、ピアニストとしてのヴァロンの音楽性がよくわかる、地味ながら名演と言っていいでしょう。取り立てて派手なことや目新しいことはしませんが、じっくりと聴けば演奏の質の高さはおわかりになることと思います。

【掲載アルバム】
ブライアン・グローダー『R Train on the D Line』(Lathm Record)
マティアス・アイク『ミッドウェスト』(ECM)
カマシ・ワシントン『ザ・エピック』(Brainfeeder)

水曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

木曜日 22:00~  新譜特集 第29回

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マティアス・アイク『Ranensburg』(ECM)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第164回
新譜紹介 第29回(再放送)

前回予告した、カマシ・ワシントン『ヘヴン・アンド・アース』(Beat Record)のシークレット・ディスクを最初にご紹介いたしましょう。実を言うと、このアルバムに「ザ・チョイス」というタイトルの40分近いシークレット・ディスクが付いているということは、ライナー・ノートを書いた私も事前には知らされていませんでした。それほどこの件の情報は制限されていたのです。
こうした試みはたいへん面白いと思います。要するに「話題作り」なのですが、カマシは単に音楽的なことを考えているだけでなく、それを如何にファンに興味を持ってもらえるように伝えるかということにも、たいへん気を配っているのですね。こうした彼の「気遣い」はもちろん音楽面にも表れていて、音楽的な質の高さ、個性表現といったジャズの本筋を押さえた上でのポピュラリティということが、今回収録したシークレット・ディスクの内容にも現れています。
それは親しみやすいメロディ・ラインを持った楽曲と、それらの楽曲がそれぞれ多様で、モノトーンに陥らず、結果として「飽きずに聴ける」というところですね。付け加えれば、多様でありながら前回そして前々回にご紹介した「アース編」「ヘヴン編」を含め、すべての楽曲に「カマシらしさ」が実にわかりやすい形で現れているところでしょう。
マティアス・アイクは私が大いに気に入っているノルウェイのトランぺッターですが、今回の新譜『Ravensburg』(ECM)も期待にたがわぬ出来です。聴き所は何と言ってもトランペットの音色でしょう。単にまろやかなだけでなく、サウンドの表情が実に繊細でニュアンスに富んでいるのです。
ミュージシャンを評価するとき、まずはリズム感やフレージングに耳が行きがちですが、アイクのように音色の表情が豊かなミュージシャンは実は稀なのです。その音色に乗ったフレージングもいかにも北欧のミュージシャンらしいエキゾチックな響きがあり、そこもまた彼の大きな魅力なのです。
クリス・シーリーはカントリー畑のグループ、パンチ・ブラザースのマンドリン奏者です。そのシーリーがブラッド・メルドーと共演したアルバム『クリス・シーリー・アンド・ブラッド・メルドー』(Nonesuch)は、いわゆる「他流試合」作品なのですが、不思議と違和感はありません。シーリーも良いのですが、やはりメルドーの闊達で切れの良いピアノが光っています。
次にご紹介するのは、2000年にクルト・ワイルの生誕100周年及び没後50周年を記念して行われた、マリア・シュナイダーとSWAビッグ・バンドの共演ライヴです。「スピーク・ロウ」など、良く知られたクルト・ワイルの楽曲が収録されています。
オーソドックスながら力強いプレイが聴き所のトランぺッター、ジェイソン・パルマーの新譜『ジェイソン・パルマー・アット・ウォリーズVol.2』(Steeple Chase)は、ボストンのライヴ・ハウス「ウォリーズ」での実況盤です。取り立てて変わったことはしないのですが、ライヴならではの熱気が伝わる好演と言っていいでしょう。
最後に収録したのは、ハービー・ハンコックが「眩しいピアノ奏者」と賞したエストニア出身のピアニスト、クリスチャン・ランダルクのECMデビュー、アルバム『Absence』です。いかにもECM的なピアニストですが、明確な個性が感じられ今後が楽しみな新人と言っていいでしょう。

【掲載アルバム】
マティアス・アイク『Ranensburg』(ECM)
『Jason Palmer at Wally’s Volume 2』(Steeple Chase)
クリスチャン・ランダルク『Absence』(ECM)

木曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

金曜日 22:00~ 新譜特集 第48回

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ダニエル・カールソン『So Far』(Brus & Knaster)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第184回
新譜特集 第48回(再放送)

今回ご紹介する新譜は、いわゆるピアノ・トリオとギター入り編成のアルバムが多いのですが、当然ながらサウンドの傾向、スタイルは多彩です。とりわけピアノ・トリオではキーボード、オルガンなどの使用、そして周縁音楽の影響によって、一昔前のように一括りに出来るジャンルではなくなりました。
最初のアルバム『So Far』(Brus & Knaster)は、1973年スウェーデン生まれのピアノ、キーボード奏者、ダニエル・カールソンのピアノ・トリオ。エレクトロニカ系のサウンドはゴー・ゴー・ペンギンを思わせもしますが、カールソンのグループはより有機的で、その分「ジャズ的」とも言えるでしょう。ただ、いささか前のめりながらダイナミックでノリの良いリズムはゴー・ゴー・ペンギンと同質で、この辺りがヨーロッパ、新世代ピアノ・トリオの特徴なのかもしれません。
クリス・クロスからの新譜『Terrible Animals』は2005年のモンク・コンペティションでデビューしたノルウェイのギタリスト、ラゲ・ルンドの意欲作です。エフェクターを駆使したイマジネイティヴなサウンドを、ラリー・グレナディアのベース、タイソン・ショーリーのドラムスが煽り立てる小気味良い演奏で、ピアノのサリヴァン・フォートナーの参加も光っています。
ギタリストが続きます。ニューパンの新譜『Big City』(Losen Record)はたいへんコンセプトがはっきりしています。こちらもノルウェイを拠点として活動してきたギタリスト、ニューパンが、アメリカのジャズメンたちとの共演を望んだ彼の待望作が今回のアルバムです。
サックスのベン・ウェンデル、ピアノのテイラー・アウグスティら、ニューヨークで活躍中のミュージシャンをかき集めた臨時編成バンドながら、息の合い様は十分。聴き所はやはり情感に満ちたウェンデルのサックスですね。
以前バッド・ブラスの2019年に録音されたアルバム『Active Infinity』(Edition Infinity)をご紹介しましたが、今回収録した2017年録音の『Never Stop II』(Legbreaker Records)も、ピアノ・トリオの概念を刷新したバッド・プラスらしい好盤です。こちらもピアノはオリン・エヴァンスで、それをベースのリード・アンダーセン、ドラムスのデヴィッド・キングが支えるオーソドックスな編成ながら、リズムの扱いやクールな情感を湛えたユニークな曲想がもたらす効果は歴然で、完全にこのフォーマットが革新されたことを実感させます。
イスラエルのベーシスト、オル・バレケットも以前『OB 1』(Fresh Sound New Talent)というアルバムををご紹介しましたが、今回の新譜『33』(Enja)には、2018年にオルをサイドマンとして来日公演を行ったイスラエルの新人ピアニスト、ニタイ・ハーシュコヴィッツが参加しています。また、『OB 1』にも参加していたギタリスト、シャハル・エルナタンも加わった斬新なサウンドは、イスラエル・ジャズの勢いを示しているようです。
異色のサウンドが続きましたが、最後はベテラン、ピアニスト、マーク・ソスキンによるオーソドックスなピアノ・トリオ・アルバム『Upper Wast Side Stories』(Steeple Chase)です。聴き所はバド・パウエルの極め付き名曲《ウン・ポコ・ロコ》を快適に弾きこなしているところでしょう。

【掲載アルバム】
ダニエル・カールソン『So Far』(Brus & Knaster)
ニューパン『Big City』(Losen Record)
オル・バレケット『33』(Enja)

金曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

[Recommend!] 土・日曜日 22:00~  新譜特集 第59回

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レイクシア・ベンジャミン『パースエンス:ザ・コルトレーンズ』(Ropeadope)

「ジャズ喫茶いーぐるのジャズ入門」 第195回
新譜特集 第59回

今回冒頭に収録したダン・ローゼンブームのアルバム『Absurd In the Anthoropocene』(Gearbox Record)はかなり刺激的です。彼はロサンゼルスのコンテンポラリー・ミュージックシーンで活動するトランぺッターで、父親は実験音楽の分野で知られたデヴィッド・ローゼンブーム。重量級バックビートに乗った分厚いホーン・アンサンブルから飛び出す彼のトランペットが凄まじい。ロックの切れ味、ビッグバンド・サウンドの迫力、そしてソロの魅力が見事に一体化しているのですね。あるようでなかった現代ジャズの新しいスタイルです。
このところUKのヌバイア・ガルシアなど女性サックス奏者の活躍が目立ちますが、今回ご紹介するのは本家アメリカの、それも大物ジョン・コルトレーンの音楽を現代に蘇らせた女性アルト奏者、レイクシア・ベンジャミンの新作『パースエンス:ザ・コルトレーンズ』(Ropeadope)です。
メンバーが凄い。コルトレーンとの共演で知られたベーシスト、レジー・ワークマンが共同プロデュースを担当、ロン・カーター、ゲイリー・バーツといったベテランたちだけでなくハープ奏者ブランディ・ヤンガーなど、コルトレーン、そしてアリス・コルトレーンの音楽をリスペクトする新人が参加する豪華さです。
面白いのは、デイヴ・リーヴマンなどかつての重厚感を前面に押し出したコルトレーン・トリビュート作品とはかなり趣が異なっており、言ってみればまさに21世紀のコルトレーン解釈なのですね。それは、「コルトレーン直伝」というより、後にコルトレーンの音楽が“スピリチュアル・ジャズ”という文脈で理解されるようになった流れを汲みつつ、現代ジャズならではの軽やかさ、クールネスを身に纏っているところです。“ジャズ”はこうした「解釈の革新」を繰り返し、現代に息づいているのです。
次にご紹介するのは、2017年にロバート・グラスパーがクリスチャン・スコット、テイラー・マクファーリン、テラス・マーティン、デリック・ホッジ、ジャスティン・タイソンら現代の選りすぐりのメンバーで結成したグループ、R+R=NOWによる2018年のライヴを収録した『R+R=NOW LIVE』(Blue Note)です。
これはまさに現代ジャズが醸し出す独特の気分を象徴するアルバムと言えるでしょう。それをひとことで言い表せば、ジャズのカッコ良さ、都会性、クールネスの21世紀的表現ということだと思います。グラスパーのキーボード奏者としての実力も、ライヴという場面で遺憾なく発揮されています。
ギター、ドラムスを従えたデルヴォン・ラマー・オルガン・トリオによる新作『I Told You So』(P-Vine)は、オルガン・ジャズの新境地を拓いた傑作です。デヴィッド・マグロウの切れ味抜群のドラミングに乗ってファンキーなラマーのオルガンが響き、それを煽りまくるシンプルなジミー・ジェイムスのギターがアーシーな気分を盛り上げる。全体にダークでザラっとした手触りのサウンドが実に心地よいのですね。いつまでも聴いていたいと思わせる私の中毒盤です。
ニューヨークのジャズシーンはコロナで大きな影響を受けていますが、先ほど触れた女性ハーピスト、ブランディ・ヤンガーが注目のベース奏者デズロン・ダグラスとライヴ配信した音源を基に作られたアルバムが『Force Majeure』(Rings)です。
気の置けない仲間同士の親密さが、リヴィングルームでのデュオというシチュエーションによって生かされており、観客がいないことのマイナスが払拭されているのがこのアルバムの聴き所でしょう。ライヴ配信の可能性を示す作品では無いでしょうか。
最後にご紹介するのはポーランドの新進ピアニスト、ドミニク・ワニアの『Lonely Shadows』(ECM)です。ECMによるソロ・ピアノということで一定のイメージが喚起されることと思いますが、その予想通りであると同時に、「それ以上」の内容でした。明らかにクラシックの素養を感じさせる繊細なタッチから繰り出される即興演奏は、高度に洗練された“ジャズ”そのものなのです。あたかもドビュッシーの幻想的楽曲がジャズ化したかのような錯覚を起こさせる稀有の才能が聴き所ですね。

【掲載アルバム】
レイクシア・ベンジャミン『パースエンス:ザ・コルトレーンズ』(Ropeadope)
デルヴォン・ラマー・オルガン・トリオ『I Told You So』(P-Vine)
ドミニク・ワニア『Lonely Shadows』(ECM)

土・日曜日 22:00~ 2時間番組

ソングリスト

インフォメーション

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■ジャズ喫茶リアル・ヒストリー/後藤雅洋
発売中/河出書房新社/ISBN 978-4-309-27067-8

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