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B-66 世紀の名演 クラシック

音楽にじっくり耳を傾けてコーヒー・タイム……。そんなクラシックの名曲喫茶さながらの雰囲気をお届けします。今では手に入らない貴重な音源や、廃盤となった数々のレコードを中心に、クラシック音楽史に名を残す「巨匠」たちが活躍していた時代の本格的な演奏が甦ります。どこか優しく暖かみのあるレコード(アナログ)サウンドをお楽しみください。

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今月の特集

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指揮)エーリヒ・ベルゲル ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団『ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」』[ハンガリーHungaroton KR2198]

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vn)ゲルハルト・タシュナー 指揮)パウル・ローター ベルリン放送交響楽団『ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61』[アメリカREGENT MG6063]

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p)ヴィルヘルム・バックハウス『ベートーヴェン:ディアベリのワルツによる33の変奏曲 ハ長調 Op.120』[フランスDECCA 411745-1]

1月 ベートーヴェン生誕250年記念特集その1

2020年は楽聖ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)の生誕250年の記念年ということで、既に多くの演奏会やCD、書籍などでベートーヴェン作品が取り上げられています。そこで「世紀の名演クラシック」でも2020年はベートーヴェンの名盤を数度にわたってご紹介してまいります。

最初に「不滅の9曲」と呼ばれる交響曲から、ベートーヴェンが1804年(34歳)に完成した第3番《英雄》をお聴きいただきます。名曲だけに戦前のSPレコード時代から数多く録音されてきましたが、今回はその中からルーマニア出身の知られざる巨匠指揮者、エーリヒ・ベルゲル(1930〜98)が1991年1月15日にライヴ録音した珍しいLPレコードをご紹介します。ベルゲルはオルガン、フルート、トランペット、指揮を学び、1958年にクルジュ音楽院を卒業。同地のオーケストラの指揮者に就任したものの1959年に政治犯として投獄され、1962年に釈放されるまで強制労働に従事しました。その後、トランペット奏者として音楽活動を再開。1966年より指揮者に復帰しました。1970年にカラヤンの招きでベルリン・フィルに客演し、西側での演奏活動を活発化させ、1972年に旧西ドイツに亡命。1971年から74年まで北西ドイツ・フィルハーモニーの首席指揮者を務め、その後はベルリン・フィルやロンドン交響楽団を始めとする世界の一流オーケストラに客演。日本へも1975年に読売日本交響楽団に、1982年にNHK交響楽団に客演しています。1989〜94年には1853年設立の名門ブダペスト・フィルハーモニーの首席指揮者を務めました。悪性骨腫瘍のため指揮者としての働き盛りに亡くなったのは惜しまれます。この《英雄》は、彼の正攻法のアプローチ、瑞々しい音楽性と雄大なスケールをもった演奏を今に伝える逸品です。

2枚目はベートーヴェンが1806年(36歳)に完成した、唯一のヴァイオリン協奏曲をお聴きいただきます。これも録音の多い作品ですが、今回はLP初期にアメリカで発売されたゲルハルト・タシュナー(1922〜76)が録音したモノーラルLPをご紹介いたします。タシュナーはチェコのクルノフの出身で、7歳のときにモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番でデビューするほどの神童でした。その後、ブダペストでイェネー・フバイ、ウィーンでブロニスワフ・フーベルマンに学び、1939年にブルーノ市立劇場のコンサートマスターとなり、1941年、19歳でフルトヴェングラーに認められベルリン・フィルのコンサートマスターに就任しました。戦後はソリストとなり、ドイツを中心に活躍しましたが、1960年代初頭に故障のため演奏活動から引退。1950年から務めていたベルリン芸術大学を中心とした教育活動に専念しました。彼の商業録音は僅かしか残っておらず、CD時代になってから放送録音が複数のレーベルからCD化されたことで、ようやくヴァイオリニストとして再評価されるようになりました。このLPは彼の生前にアメリカRegentレーベルから発売された貴重な1枚で、彼の力強い音と技巧、師のフーベルマンを思わせる強烈な表現主義的演奏を刻み込んだものとなっています。注目はベートーヴェンがこの曲のピアノ版用に作曲したティンパニ入りのカデンツァを取り入れながら、技巧的で奔放な表現内容を示した、いかにもタシュナーらしいカデンツァです。1950年代にこうした試みがあったことを証明する1枚にもなっています。このLPはジャズのエンジニアとして名高いルディ・ヴァン・ゲルダーが録音を担当したことでも注目されるでしょう(RegentレーベルはジャズのSavoyレコーズの子会社でした)。

3枚目はベートーヴェンが1823年(53歳)に完成した「ディアベリのワルツによる33の変奏曲」です。この年は交響曲第9番の完成の前年にあたり、ベートーヴェンの作風もいわゆる「後期」の、技法的には変奏曲やフーガに重きをおき、内容的には精神的な深まりを見せていた時期にあたります。ベートーヴェンは、作曲家で出版業を営んでいたアントン・ディアベリから彼のワルツ主題に対する変奏を一つ書く(ディアベリは50人の作曲家の変奏をまとめて出版する計画でした)依頼に対し、自分だけで33の変奏を作曲して、独立した壮大な変奏曲に仕上げたのでした。ベートーヴェンの晩年を飾る傑作の一つですが《英雄》やヴァイオリン協奏曲ほどの演奏機会や録音機会に恵まれないのは残念です。ご紹介するのは、この作品の最高の名盤の一つ、ドイツの巨匠、ヴィルヘルム・バックハウス(1884〜1969)の録音です。英デッカは1954年10月にスイス、ジュネーヴのヴィクトリア・ホールで録音を行いました。ちょうど、ステレオLPが実用化される直前の時期だったため、従来のモノーラル録音(エンジニアはジル・ウェント)と同時に、将来を見据えて別のエンジニア(ロイ・ウォレス)を立ててステレオ録音も行いました。ところがモノーラルLPは1955年に発売されたものの、ステレオLPは長く発売されず、1984年になって初めてフランスと日本でだけステレオLPが発売されました。しかし、1986年の初CD化の際は再びモノーラル録音が採用され、今日に至るまでステレオ録音はCD化されていません。今回は、その未CD化のステレオ録音をフランス盤LPよりお聴きいただきます。

文/板倉重雄

※特集でお届けしているLP盤を放送後、当番組で過去にお届けしたLP音源の演奏をお届けします。引き続きお楽しみください。

毎日 0:00~ 1時間番組 リピート放送

ソングリスト

【今月の放送内容】
■第1週目
1月4日(土)〜1月10日(金)放送
今月の特集 1
1時間番組リピート放送

■第2週目
1月11日(土)〜1月17日(金)放送
今月の特集 2
1時間番組リピート放送

■第3週目
1月18日(土)〜1月24日(金)放送
今月の特集 3
1時間番組リピート放送

■第4週目
1月25日(土)〜1月31日(金)放送
1~3週までの総集編
3時間番組リピート放送

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